障害福祉施策の最近の動向 平成22年3月25日 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課長 中島 誠 目 次 Ⅰ 障害福祉施策の最近の動向について・・ Ⅱ 新体系サービスへの移行について 2 ・・ 21 Ⅲ 障害のある人が普通に暮らせる地域づくり について ・・・・・・・・・・・・・・ 26 Ⅳ 相談支援体制の充実強化について Ⅴ 障害者虐待防止対策等について ・・ 34 ・・・ 39 1 Ⅰ 障害福祉施策の最近の動向について 2 【障害者保健福祉について】 ○ 昨年9月9日の連立政権合意において、「障害者自立支援法」は廃 止し、「制度の谷間」がなく、利用者の応能負担を基本とする総合的 な制度をつくることとされている。 ○ 今後、障害者の方々や事業者など現場の方々をはじめ、様々な関 係者の御意見などを十分に聞きながら、検討を進めていく。 ・12月8日、閣議決定により内閣に「障がい者制度改革推進本部」が設置。 ・1月12日、第1回「障がい者制度改革推進会議」が開催。 ○ この新たな制度ができるまでの間、平成22年度予算案においては、 低所得(市町村民税非課税)の障害者及び障害児につき、障害福祉 サービス及び補装具に係る利用者負担を無料とすることとしている。 3 連立政権合意等 連立政権合意 ○ 「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、利用者の応能負担を基本とする総合的 な制度をつくる。 (2009年9月9日 民主党、社会民主党、国民新党「連立政権樹立に当たっての政策合意」より) 民主党 マニフェスト(抜粋) 26.「障害者自立支援法」を廃止して、障がい者福祉制度を 抜本的に見直す 社民党 マニフェスト(抜粋) 再建2 >>いのち セーフティネットを充実 5.障がい者福祉 【政策目的】 ○障がい者等が当たり前に地域で暮らし、地域の一員と してともに生活できる社会をつくる。 【具体策】 ○「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、 サービスの利用者負担を応能負担とする障がい者総合 福祉法(仮称)を制定する。 ○わが国の障がい者施策を総合的かつ集中的に改革し、 「国連障害者権利条約」の批准に必要な国内法の整備 を行うために、内閣に「障がい者制度改革推進本部」を 設置する。 【所要額】 400億円程度 ○基本的な生活、働く場にも利用料を課す「障害者自立 支援法」を廃止し、支援費制度の応能負担の仕組みに 戻します。医療と福祉を区分し、両面から障がい者の生 活を支えます。精神通院公費、更生医療・育成医療を復 活して重くなった自己負担を軽減します。 ○谷間の障がい者、難病者をカバーする総合的な「障害 者福祉法」を制定します。 ○国際的な水準による「障がいの定義」を確立します。「国 連障害者の権利条約」にもとづいて障がい者の所得保 障、働く場や生活の場など基幹的な社会資源の拡充、 就労支援策の強化などを行います。 4 平成22年度障害保健福祉関係予算【案】の概要 ◆予算【案】 21年度予算 22年度予算【案】 (対前年度増減額、伸率) 9,936億円 → 1兆1,202億円(+1,266億円、+12.7%) ◆障害福祉サービス関係費(自立支援給付+地域生活支援事業) 5,512億円 → 6,159億円(+ 648億円、+11.8%) 【主な施策】 (対前年度増▲減額) ○ 利用者負担の軽減【新規】 107億円 ( - ) ※障害者自立支援給付費負担金及び児童保護費等負担金の内数 ○ 良質な障害福祉サービスの確保 5,719億円 ○ 地域生活支援事業の着実な実施 440億円 ○ 障害者に対する良質かつ適切な医療の提供 1,954億円 (+648億円) (± (+507億円) ○ 障害者虐待防止等に関する総合的な施策の推進【新規】 4.7億円 ( ○ 障害児施設に係る給付費等の確保 (+ ○ 重症心身障害児(者)に対する在宅支援の推進 710億円 31億円 0億円) - ) 93億円) (+1.2億円) ○ 精神医療の質の向上や精神障害者の地域移行を支援する施策の推進 47億円 (+2.1億円) ○ 自殺対策の推進 6.0億円 (+0.6億円) 5 障害福祉サービス予算の推移 障害福祉サービス予算は着実な伸びを確保している 億円 6,159 7,000 5,512 +12% 6,000 5,000 4,873 +6% 5,155 +7% 4,375 +11% 3,947 +11% 4,000 3,000 2,000 1,000 0 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 予算案 (注1)平成17年度については、自立支援法施行前の障害福祉サービス関係予算(支援費等)を積み上げたものである。 (注2)平成18年度については、自立支援法施行前後の障害福祉サービス関係予算(支援費、自立支援給付等)を積み上げたものである。 (自立支援法は平成18年4月一部施行、同年10月完全施行) (注3)平成19年度~22年度については、自立支援法に基づく現行のサービス体系における予算(平成20年度は補正後)である。 6 障害者自立支援法における利用者負担の基本的な枠組み 【障害者(20歳以上)の場合】 ① 定率負担が過大なものとならないよう、所得に応じて1月当たりの負担限度額を設定。 ② 低所得の通所サービス利用者については、更に、食費負担額の軽減措置を実施。 ③ 低所得の入所施設利用者については、更に、個別減免、補足給付(手許金制度)を実施。 入 居宅・通所 負 担 額 <原 定率負担(1割) (サービス量に応じ) <原 則> 所 則> 一般 37,200円 <食事提供体制加算> 一般 一 般 37,200円 (所得割16万円未満) 9,300円 月額負担上限 (所得に応じ) 低所得2 3,000円 (通所1,500円) 低所得1 1,500円 【通所サービス のみ】 + 食費のうち、人 件費相当分を 給付し、利用 者の食費負担 を食材料費相 当に 生活保護 0円 低所得2 24,600円 + 低所得1 15,000円 <個別減免> <補足給付> ・収入66,667円まで は利用者負担ゼ ロ。 ・66,667円を超える ときは、超える額 の半額を上限に。 食費等を負担して も手許金25,000円 (障害基礎年金1 級は28,000円)を 残す。 (生活保護の場合 は食費等の負担 額を全額給付) 生活保護 0円 サービス量 利用者負担の区分 (1) 一般:市町村民税課税世帯 (2) 低所得2:市町村民税非課税世帯((3)を除く) 低所得の利用者負担を無料とする (平成22年4月~(予定)) (3) 低所得1:市町村民税非課税世帯であって、利用者本人の年収が80万円以下の方 (4) 生活保護:生活保護世帯 7 利用者負担の軽減について ○ 障害者福祉制度に関しては、障害者自立支援法を廃止し、新たな総合的な制度をつくることとしている。 ○ そこで、平成21年12月25日に閣議決定された平成22年度予算案において、この新たな総合的な制度ができるまでの 間、低所得(市町村民税非課税)の障害者等につき、福祉サービス及び補装具に係る利用者負担を無料とする。 ○ 施行期日:平成22年4月1日(予定) ○ 所要額:107億円 ○ 負担軽減の対象者数 ・ 福祉サービス:41万人(障害者39万人、障害児2万人。平成21年7月国保連データ等による推計) ・ 補装具:16万件(平成20年度実績等による推計) (参考:現行の負担上限額一覧) ※原則として費用の1割を負担。ただし、以下のとおり負担の上限額を設定。 区分 生活保護 世帯 市町村民税非課税世帯 低所得1 低所得2 福祉サービス(居宅・通所) 【障害者】 0円 1,500円 3,000円 通所:1,500円 福祉サービス(居宅・通所) 【障害児】 0円 1,500円 3,000円 通所:1,500円 福祉サービス(入所施設等) 【障害者】 0円 個別減免 0円~15,000円 個別減免 0円~24,600円 福祉サービス(入所施設等) 【障害児】 0円 3,500円 6,000円 補装具 0円 15,000円 24,600円 一般(市町村民税課税世帯) 市町村民税所得割 16万円未満 28万円未満 46万円未満 9,300円 世帯の範囲 46万円超 者 児 本人 及び 配偶者 住民 基本 台帳上 の世帯 37,200円 4,600円 37,200円 37,200円 9,300円 37,200円 37,200円 全額 自己負担 8 【利用者負担の軽減の具体的な内容等について】 ○ 利用者負担の軽減について、具体的には、所得階層の低所得1・2に該当する障害者及び障害 児の保護者に係る、次に掲げる利用者負担を無料とする。 ① 障害福祉サービス(療養介護医療を除く。以下同じ。)に係る利用者負担 ② 障害児施設支援(障害児施設医療を除く。以下同じ。)に係る利用者負担 ③ 補装具に係る利用者負担 ○ 利用者負担の軽減に関し、以下に留意されたい。 ① 今回の利用者負担の軽減においては、特別対策(平成19年4月)又は緊急措置(平成20年7月 )において軽減の対象ではなかった、入所施設やグループホーム、ケアホーム等を利用している 20歳以上の障害者や、補装具費の支給を受ける障害者等も対象とする。 ② 補足給付(特定障害者特別給付費、特定入所障害児食費等給付費等)については、引き続き 、従前と同じ方法により算出する。 ※ 今回の措置により、障害福祉サービスに係る利用者負担が無料となるが、その分の額を補足 給付から減らすことなどは行わない。 ③ 療養介護医療又は障害児施設医療に係る利用者負担については、今回の軽減の対象外である ことから、従前と同じ方法により算出して行うこととする。 ※ 療養介護又は障害児施設支援に係る利用者負担は、「福祉部分」、「医療費部分」及び「 食事療養」で構成されるが、今回の措置は、このうち「福祉部分」の負担を無料とするもので あり、「医療費部分」及び「食事療養」に係る利用者負担は従前と変わらない。 9 【平成21年12月15日 第1回障がい者制度改革推進本部資料(内閣府作成)】 障害者制度改革の推進体制 障がい者制度改革推進本部 (内閣総理大臣を本部長とし すべての国務大臣で構成) 障がい者制度改革推進会議 (障害者、障害者の福祉に関 する事業に従事する者、学識 経験者等) ●障害者権利条約の締結に必要な 国内法の整備を始めとする我が国 の障害者に係る制度の集中的な改 革を行うため、閣議決定により設置。 ●当面5年間を障害者制度改革 の集中期間と位置付け、 ・改革推進に関する総合調整 ・改革推進の基本的な方針の案 の作成及び推進 ・「障害」の表記の在り方に関 する検討 等を行う。 障害者に係る制度の改革を始め、 障害者施策の推進に関する事項に ついて意見 部会(施策分野別) 必要に応じ、部会を開催 【新たな推進体制の下での検討事項の例】 ・障害者権利条約の実施状況の監視等を行う機関(モニタリング機関) ・障害を理由とする差別等の禁止に係る制度 ・教育 ・雇用 ・障害福祉サービス 等 10 障がい者制度改革推進本部の設置について 平成21年12月8日 閣 議 決 定 1 障害者の権利に関する条約(仮称)の締結に必要な国内法の整備を始めとする我が国の障害者に係る制度の集中的な 改革を行い、関係行政機関相互間の緊密な連携を確保しつつ、障害者施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、内閣 に障がい者制度改革推進本部(以下「本部」という。)を設置する。 2 本部の構成員は、次のとおりとする。ただし、本部長は、必要があると認めるときは、関係者の出席を求めることができる。 本部長 内閣総理大臣 副本部長 内閣官房長官 副本部長 内閣府特命担当大臣(障害者施策) 本部員 他のすべての国務大臣 3 本部は、当面の5年間を障害者の制度に係る改革の集中期間と位置付け、改革の推進に関する総合調整、改革推進 の基本的な方針の案の作成及び推進並びに法令等における「障害」の表記の在り方に関する検討等を行う。 4 本部長は、障害者施策の推進に関する事項について意見を求めるため、障害者、障害者の福祉に関する事業に従事 する者及び学識経験者等の参集を求めることができる。 5 本部の庶務は、関係行政機関の協力を得て、内閣府において処理する。 6 前各項に定めるもののほか、本部の運営に関する事項その他必要な事項は、本部長が定める。 7 平成12年12月26日閣議決定により設置された障害者施策推進本部(以下「旧本部」という。)は廃止し、これまで 旧本部が決定した事項については、本部に引き継がれるものとする。 11 障がい者制度改革推進会議の開催について 平 成 2 1 年 1 2 月 1 5 日 障がい者制度改革推進本部長決定 1 障害者施策の推進に関する事項について意見を求めるため、障がい者制度改革推進会議(以下「会議」という。)を 開催する。 2 会議の構成員は、障害者、障害者の福祉に関する事業に従事する者及び学識経験者等のうちから、別に指名する。 3 会議は、必要に応じ、構成員以外の者の出席を求めることができる。 4 会議の議長は、構成員の互選により決定する。 5 会議は、必要に応じ、部会を開催することができる。部会の構成員は、別に氏名する。 6 会議の庶務は、関係行政機関の協力を得て、内閣府政策統括官(共生社会政策担当)において処理する。 12 障がい者制度改革推進会議構成員名簿 (敬称略 五十音順) 大久保 常明 (福)全日本手をつなぐ育成会常務理事 関口 明彦 全国「精神病」者集団運営委員 大谷 恭子 弁護士 竹下 義樹 (福)日本盲人会連合副会長 大濱 眞 (社)全国脊髄損傷者連合会副理事長 土本 秋夫 ピープルファースト北海道会長 小川 榮一 日本障害フォーラム代表 堂本 暁子 前千葉県知事 中島 圭子 日本労働組合総連合会総合政策局長 中西 由紀子 アジア・ディスアビリティ・インスティテート代表 尾上 浩二 勝又 幸子 (NPO)障害者インターナショナル日本会議 事務局長 国立社会保障・人口問題研究所 情報調査分析部長 門川 紳一郎 (福)全国盲ろう者協会評議員 長瀬 修 東京大学大学院特任准教授 川﨑 洋子 (NPO)全国精神保健福祉会連合会理事長 久松 三二 (財)全日本ろうあ連盟常任理事・事務局長 北野 誠一 (NPO)おおさか地域生活支援ネットワーク 理事長 藤井 克徳 日本障害フォーラム幹事会議長 清原 慶子 三鷹市長 松井 亮輔 法政大学教授 佐藤 久夫 日本社会事業大学教授 森 祐司 (福)日本身体障害者団体連合会 常務理事・事務局長 新谷 友良 (社)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 常務理事 山崎 公士 神奈川大学教授 オブザーバー 遠藤 和夫 日本経済団体連合会労働政策本部主幹 13 第1回障がい者制度改革推進会議(H22.1.12) 配布資料(抜粋) 14 障害児支援の見直しに関する検討会の開催について ノーマライゼーションの理念に基づき、障害のある人が普 通に暮らせる地域作りを目指して制定された障害者自立支 援法が施行されてから約2年が経過し、この間、法の定着に 向けた着実な取組を進めてきたところである。 このような中、障害児施策については、障害者自立支援法 の附則において「この法律の施行後3年を目途として、障害 児の児童福祉施設への入所に係る実施主体の在り方等を 勘案し、必要な措置を講ずるものとする。」とされているなど 残された課題の検討が必要となっているところである。 また、平成17年度に発達障害者支援法が施行されるとと もに、平成19年度から特別支援教育が実施されるなど、 ノーマライゼーションの理念に基づいた障害児への支援も 一層充実しているところである。 このように、障害児を取り巻く環境が急速に変化する中、 共生社会の実現をより確かなものとするためには、障害児 支援に係る課題を解決するとともに、障害児を取り巻く環境 の変化に応じた適切な障害児支援の在り方について検討を 行うことが必要である。 このため、今般、有識者をはじめ、関係者からなる検討 会を開催し、障害児支援施策のあるべき姿について検討を 行うこととする。 障害児支援の見直しに関する検討会メンバー 委 員 名 いちかわ 市川 宏伸 かしわめ れいほう 柏女 霊峰 きたうら まさこ 北 浦 雅子 きみづか 君塚 葵 まさこ 坂 本 正子 坂本 しばた 末光 そえじま 副島 たなか 之輔 茂 宏克 東松山市長 日本知的障害者福祉協会政策委員会専門委員 日本知的障害者福祉協会政策委員会委員長・日の出福祉園総合園長 日本重症児福祉協会常務理事 全日本手をつなぐ育成会理事長 全国地域生活支援ネットワーク代表 たかのぶ 隆信 橋本 勝行 まつ や かつひろ 松矢 勝宏 みやざき ひでのり 英憲 慶應義塾大学客員教授 全国肢体不自由児者父母の会連合会会長 目白大学教授 東洋大学教授 ひろよし 宮田 広 善 山岡 甲子園大学教授 まさひろ かつゆき やまおか 全国肢体不自由児施設運営協議会会長 ひろかつ 中島 みやた 全国重症心身障害児(者)を守る会会長 しげる はしもと 宮崎 淑徳大学教授 ひろ や 田中 正 博 なかじま 都立梅ヶ丘病院長 ゆう の すけ 柴田 洋 弥 すえみつ 属 まもり さかもと さかもと 所 ひろのぶ 全国肢体不自由児通園施設連絡協議会会長 しゅう 修 わたなべ けんいちろう 渡辺 顕一郎 日本発達障害ネットワーク副代表 日本発達障害ネットワーク代表 日本福祉大学教授 以上 17 名(敬称略、五十音順) ※ 開催時期等:平成20年3月から7月まで。(計11回) 15 障害児支援の見直しに関する検討会報告書の概要 (平成20年7月22日) <見直しの4つの基本的視点> (1)子どもの将来の自立に向けた発達支援 (2)子どものライフステージに応じた一貫した支援 (3)家族を含めたトータルな支援 (4)できるだけ子ども・家族にとって身近な地域における支援 1.障害の早期発見・早期対応策 ○ 医療機関(産科、小児科等)、母子保健、障害児の専門機関等の連携を強化。 ○ 「気になる段階」から、保健センター等の身近なところで専門的に支援。 2.就学前の支援策 ○ 障害児の専門機関による、保育所等への巡回支援等により、保育所等での受入れをできるだけ促進。 ○ 通所施設について、障害種別による区分をなくし、多様な障害の子どもを受入れられるよう検討。 3.学齢期・青年期の支援策 ○ 放課後において、子どもの発達に必要な訓練などを実施するものは、放課後型のデイサービスとして事業 実施を検討。 ○ 卒業後の地域生活や就労を見据え、夏休み等において体験的に就労事業等を利用。 4.ライフステージを通じた相談支援の方策 ○ 市町村を中心として、都道府県や障害児の専門機関が、市町村を支える体制。 ○ 地域自立支援協議会(子ども部会の設置)等により関係者の連携を強化。教育と連携した「個別の支援計 画」づくり。 16 5.家族支援の方策 ○ 心理的なカウンセリング、養育方法の支援等を検討。 ○ ショートステイの充実等により、家族の負担感を軽減。 6.入所施設の在り方 ○ 障害の重複化等を踏まえれば、基本的な方向としては、一元化を図っていくことが適当。その際、それぞれ の施設の専門性を維持していくことが可能となるよう配慮。 ○ 子どもから大人にわたる支援の継続性を確保しつつ、満18歳以上の入所者は、障害者施策として対応す ることを検討。その際、支援の継続のための措置や、現に入所している者が退所させられることがないよう にするなど配慮が必要。 ○ 特に、重症心身障害児施設については、更に、児者一貫した支援の継続性が保たれるよう、小児神経科 医等が継続して関われるようにするなど、十分な配慮が必要。 7.行政の実施主体 ○ 通所については、在宅の支援施策等との関係から、市町村とする方向で検討。 ○ 入所については、以下の3案を踏まえ、さらに検討が必要 (第1案) 市町村。(この場合児童養護施設等への入所と実施主体が異なるという課題あり。) (第2案) 措置は都道府県、契約は市町村。(この場合、措置と契約で実施主体が異なるという 課題あり。) (第3案) 当面は都道府県。(この場合、市町村の関与を現状より強めることが適当。また、将 来的には、市町村とすることを検討。) ○ 障害児施設の利用(措置・契約)については、現行制度を基本にさらに検討。措置と契約について全国的 に適切な判断が行われるよう、ガイドラインを作成。 8.法律上の位置付けなど ○ 保育所等の一般施策との連携の観点から「児童福祉法」に位置付けることを基本とすべき。 17 障害者自立支援法等の一部を改正する法律案の概要(H21.3.31国会提出→廃案) ① 利用者負担の見直し - 利用者負担について、応能負担を原則に - 障害福祉サービスと補装具の利用者負担を合算し負担を軽減 ② 障害者の範囲及び障害程度区分の見直し - 発達障害が障害者自立支援法の対象となることを明確化 - 障害程度区分の名称と定義の見直し (※ 障害程度区分そのものについても障害の多様な特性を踏まえて抜本的に見直し) ③ 相談支援の充実 - 相談支援体制の強化(市町村に総合的な相談支援センターを設置、「自立支援協議会」を法律上位置付け) - 支給決定プロセスの見直し(サービス利用計画案を勘案)、サービス利用計画作成の対象者の大幅な拡大 ④ 障害児支援の強化 - 児童福祉法を基本として身近な地域での支援を充実 (障害種別等で分かれている施設の一元化、通所サービスの実施主体を都道府県から市町村へ - 放課後型のデイサービス等の充実 など) ⑤ 地域における自立した生活のための支援の充実 - グループホーム・ケアホーム利用の際の助成を創設 - 重度の視覚障害者の移動を支援するサービスの創設(個別給付化) (その他)事業者の業務管理体制の整備、精神科救急医療体制の整備等 施行期日:1年6ヶ月を超えない範囲内において政令で定める日。(障害者の範囲は公布の日。 障害程度区分、③、④は平成24年4月1日。) 18 障害児支援施策の見直し << 障害者自立支援法 >> << 児童福祉法 >> 【市町村】 【市町村】 児童デイサービス << 児童福祉法 >> 【都道府県】 障害児通所支援 知的障害児通園施設 盲ろうあ児施設 ・難聴幼児通園施設 肢体不自由児施設 ・肢体不自由児通園施設(医) 通 所 サ ー ビ ス ・児童発達支援 ・医療型児童発達支援 ・放課後等デイサービス 新 ・保育所等訪問支援 重症心身障害児・者通園事業(補助事業) 知的障害児施設 ・知的障害児施設 ・第一種自閉症児施設(医) ・第二種自閉症児施設 盲ろうあ児施設 ・盲児施設 ・ろうあ児施設 肢体不自由児施設 ・肢体不自由児施設(医) ・肢体不自由児療護施設 重症心身障害児施設(医) 【都道府県】 入 所 サ ー ビ ス (医)とあるのは医療の 提供を行っているもの 障害児入所支援 ・福祉型 ・医療型 19 障害児の放課後支援の充実について 児童デイサービスの概要 ○ 平成22年3月9日公表 障害のある児童について、日常生活における体の動作の訓練や集団生活を営むための訓練などを行う。 ※全国で1,491ヵ所、45,165人が利用(平成21年10月現在) ○ 児童デイサービスⅠ型(約1,100ヵ所) ・ 主に就学前の障害児に対する発達支援 【報酬】定員11人~20人の場合 558単位(1人1日当たり) ○ 児童デイサービスⅡ型(約400ヵ所) ・ 主に就学している障害児に対する放課後支援 【報酬】定員11人~20人の場合 465単位(1人1日当たり) このたびの放課後支援の充実策 ○ 社会福祉施設整備費補助金の補助対象とする予定 (平成22年度予算(案)において、新たに補助対象とすることとしている) ○ 障害者自立支援対策臨時特例交付金の基金事業として、就学児の放課 後支援を行う事業所(児童デイサービスⅡ型)に、障害児を育てた子育 ての先輩などによる相談等の体制整備に係る費用の補助を行う。 補助額:1ヵ所当たり 年間1,000千円以内 ※ただし、公立・公営は除く 20 Ⅱ 新体系サービスへの移行について 21 利用者本位のサービス体系へ再編 <再編前:旧体系> <再編後:新体系> 重 症 心 身 障 害 児 施 設 ( 年 齢 超 過 児 ) 進行性筋萎縮症療養等給付事業 日中活動の場 新体系 へ移行 身 体 障 害 者 療 護 施 設 ①②③ 小規模通所授産施設(身体・知的・精神) 3昼地 障夜域 害分移 一離行 元 等 化 の 促 進 精 神 障 害 者 生 活 訓 練 施 設 精神障害者地域生活支援センター ( デ イ サ ー ビ ス 部 分 ) 障 害 者 デ イ サ ー ビ ス 【介護給付】 ※ 医療施設で実施 授産施設(身体・知的・精神) 福祉工場(身体・知的・精神) 以下から一又は複数の事業を選択 ① 療養介護(医療型) 更 生 施 設 ( 身 体 ・ 知 的 ) 居住支援の場 ② 生活介護(福祉型) 【訓練等給付】 ③ 自立訓練(機能・生活訓練) ④ 就労移行支援 ⑤ 就労継続支援 居住支援サービス ケアホーム グループホーム 福祉ホーム 又は 施設への入所 【地域生活支援事業】 ⑥ 地域活動支援センター ※ 障害者自立支援法による旧体系から新体系への移行は平成24年3月まで。 (移行率45%(平成21年10月1日現在)) 22 障害者自立支援法に基づく新体系サービスが目指すもの 3障害一元化 身体、知的、精神障害者ばらばらの サービス (精神障害者は支援費制度の対象外) ○ 3障害の制度格差を解消し、精神障害者を対象 ○ 重複障害者なども総合的かつ効率的なサービスを 受けられる 昼夜分離 24時間同一施設で生活 ○ 日中活動と居住に係るサービスの分離により、複数の サービスと組み合わせが可能 「障害者の選択に基づく多様なライフスタイル」へ 地域移行 施設中心の処遇により、障害者が地域 で自立するためのサービスが不十分 ○ 地域生活支援や就労支援といった地域で生活して いくために必要なサービスを創設 サービス名称 「更生」、「授産」などの国民にわかり にくいサービス名称 ○ 「介護」、「訓練」、「就労支援」といった国民にわかり やすいサービス名称に変更 23 新体系サービスへの移行状況 ○新体系サービスへの移行状況 平成1 8 年 9 月3 0 日 指定数 平成1 9 年 4 月1 日 新体系 移行数 平成2 0 年 1 0 月1 日 移行率 新体系 移行数 4 月1 日 移行率 新体系 移行数 平成2 1 年 1 0 月1 日 移行率 新体系 移行数 4 月1 日 移行率 新体系 移行数 1 0 月1 日 移行率 新体系 移行数 移行率 (1 )身体障害者更生援護施設等 身体障害者療護施設 503 43 8.5% 68 13.5% 101 20.1% 116 23.1% 179 35.6% 205 40.8% 身体障害者更生施設 106 15 14.2% 19 17.9% 29 27.4% 33 31.1% 49 46.2% 50 47.2% 身体障害者入所授産施設 202 20 9.9% 26 12.9% 44 21.8% 53 26.2% 73 36.1% 83 41.1% 身体障害者通所授産施設 343 70 20.4% 102 29.7% 133 38.8% 143 41.7% 178 51.9% 181 52.8% 身体障害者小規模通所授産施設 239 72 30.1% 99 41.4% 124 51.9% 135 56.5% 175 73.2% 182 76.2% 34 12 35.3% 13 38.2% 17 50.0% 15 44.1% 18 52.9% 21 61.8% 1 ,4 2 7 232 1 6 .3 % 327 2 2 .9 % 448 3 1 .4 % 495 3 4 .7 % 672 4 7 .1 % 722 5 0 .6 % 知的障害者入所更生施設 1,453 74 5.1% 107 7.4% 224 15.4% 264 18.2% 438 30.1% 496 34.1% 知的障害者入所授産施設 227 12 5.3% 18 7.9% 33 14.5% 38 16.7% 57 25.1% 68 30.0% 知的障害者通勤寮 126 6 4.8% 9 7.1% 13 10.3% 15 11.9% 23 18.3% 28 22.2% 知的障害者通所更生施設 604 93 15.4% 119 19.7% 188 31.1% 189 31.3% 270 44.7% 283 46.9% 知的障害者通所授産施設 1,634 182 11.1% 235 14.4% 398 24.4% 440 26.9% 651 39.8% 683 41.8% 434 166 38.2% 199 45.9% 254 58.5% 272 62.7% 314 72.4% 325 74.9% 70 35 50.0% 40 57.1% 46 65.7% 49 70.0% 52 74.3% 53 75.7% 4 ,5 4 8 568 1 2 .5 % 727 1 6 .0 % 1 ,1 5 6 2 5 .4 % 1 ,2 6 7 2 7 .9 % 1 ,8 0 5 3 9 .7 % 1 ,9 3 6 4 2 .6 % 精神障害者生活訓練施設 293 19 6.5% 29 9.9% 40 13.7% 42 14.3% 62 21.2% 66 22.5% 精神障害者入所授産施設 29 5 17.2% 6 20.7% 8 27.6% 9 31.0% 12 41.4% 13 44.8% 精神障害者通所授産施設 305 71 23.3% 87 28.5% 119 39.0% 123 40.3% 151 49.5% 157 51.5% 精神障害者小規模通所授産施設 347 107 30.8% 138 39.8% 184 53.0% 195 56.2% 236 68.0% 255 73.5% 19 6 31.6% 7 36.8% 8 42.1% 11 57.9% 13 68.4% 14 73.7% 993 208 2 0 .9 % 267 2 6 .9 % 359 3 6 .2 % 380 3 8 .3 % 474 4 7 .7 % 505 5 0 .9 % 6 ,9 6 8 1 ,0 0 8 1 4 .5 % 1 ,3 2 1 1 9 .0 % 1 ,9 6 3 2 8 .2 % 2 ,1 4 2 3 0 .7 % 2 ,9 5 1 4 2 .4 % 3 ,1 6 3 4 5 .4 % 身体障害者福祉工場 合 計 (2)知的障害者更生援護施設等 知的障害者小規模通所授産施設 知的障害者福祉工場 合 計 (3)精神障害者社会復帰施設 精神障害者福祉工場 合 計 (4)合 計 合 計 ※「 新体系移行数」 及び「 移行率」 は、平成1 8 年9 月3 0 日時点で指定を受けていた旧法施設等のうち、各時点の前日において新体系へ移行済の施設数及びその割合である。 ※厚生労働省社会・ 援護局障害保健福祉部障害福祉課調べ 24 第174回通常国会・衆・予算委員会[平成22年2月15日(月)] (公)高木美智代議員質疑 【新体系サービス移行関係部分を抜粋】 (高木美智代議員) 大臣、これは緊急的な課題でございますが、その中で新体系の移行の問題があります。今、これもやっと50%が移行したと聞いています。 法律では、24年の3月までに移行するということが定められております。しかし、先程申し上げた遅くとも3年半ということですが、そうなりま すとこれは、25年の8月、その間、事業者の方達は自立支援法改正の在り方など、先が見えてこないと、戸惑っていると、どうしたらいいの かと、これはまさに悲鳴です。今後、どういう風にしていくのか、移行するのか、しないのか、はっきり方針を示していただきたい。これは多く の事業者のお声でございます。明快な答弁を求めます。 (長妻厚生労働大臣) 今、おっしゃられた点はですね、障害者の皆様方への施策というのは、かつて昔は措置ということでございまして、その後契約支援費とい うことになりましたけれども、ただその時代の障害者施設が細かく分かれているという、この考え方を統合しようということで3障害一元化と か、昼夜分離とか、いろんな考え方がその後生まれ、それに徐々に移行しているというところで、今おっしゃられるように、まだ移行率は半分 ということでございます。これについて、我々はもちろん推進をする立場でございます。 ただですね、これも拙速というか、きちっと議論をしなければならないのは、この障害者自立支援法の、私共、野党時代も申し上げたんで すが、その当事者、障害者のまさにその当事者の方の議論がなかなか反映されなかったんではないかという深い反省に立っておりまして、 今後、推進会議、あるいは部会等でも十分に障害者の皆様方の当事者のお考えを十二分に聞いた上で、法律等の中でも、この推進を反映 できるように取り組んでまいりたいと考えています。 (高木美智代議員) 事業者は新体系の移行をどうするのか。まさにこれは生活がかかっている問題であり、また障害者の方達にとってみたら自分達の働いて いる所が存続できるのかどうか、その今瀬戸際なわけです。それが、この年限があるわけですので、確かに今ちょっと大臣がおっしゃった3 障害一元化とか、違うことをお考えなのかと、一瞬思ってしまいましたが、いずれにしても移行することが法律上決められている。24年の3 月まで移行しなければ、今度は政府からの様々な支援を受けられないという状況があります。これに対して、どのように対応されますか。こ のまま放置しておいていいということですか。事業者の方達に当事者の意見を聞くから、このまま待ってくれという、今の大臣の答弁でよろし いんでしょうか。 (長妻厚生労働大臣) 先程も申し上げましたように、今の点については移行を我々も後押しして進めていくということであります。そしてもう一つの議論としては、 全体のですね、そういう施設の在り方、全体についても、新しい法律体系の中で、見直すべきところは見直すし、障害者の皆さんのご意見を 十分に反映して、それも法案の中で位置付けられるものは位置付けていきたい、こういうことであります。 25 Ⅲ 障害のある人が普通に暮らせる地域づく りについて 26 施設入所者の地域生活への移行に関する状況について① 速報値(2/22時点) 1 入所者の推移 ※2,596施設からの回答を集計(回収率約96%) 〈H20.10.1現在〉 入所者数 〈H21.10.1現在〉 138,039人 136,016人 ▲1.5%(▲2,023人) ○ 対象施設 (1)身体障害者療護施設 (2)身体障害者入所授産施設 (3)知的障害者入所更生施設 (4)知的障害者入所授産施設 (5)精神障害者入所授産施設 (6)身体障害者入所更生施設 (7)精神障害者生活訓練施設 (8)障害者支援施設 2 施設退所後の居住の場の状況 (1)退所者の居住の場の内訳 地域生活移行 他入所施設 (障害) 他入所施設 (老人) 地域移行型 ホーム 病 院 死亡 その他 計 新規入所者 5,332人 (51.4%) 1,081人 (10.4%) 471人 (4.5%) 85人 (0.8%) 1,386人 (13.4%) 1,669人 (16.1%) 348人 (3.4%) 10,372人 8,349人 ※「その他」には、救護施設、刑務所、所在不明等が含まれる。 (2)地域生活への移行状況 〈H20.10.1→H21.10.1〉 5,332人 地域生活へ移行した者 3.9%(H20.10.1入所者数をベースとして地域生活へ移行した割合) 〈地域生活へ移行した者の住まいの場の内訳〉 共同生活介護 共同生活援助 福祉ホーム 通勤寮(旧法) 家庭復帰 1,876人 (35.2%) 650人 (12.2%) 83人 (1.6%) 71人 (1.3%) 1,828人 (34.3%) 1人暮らし・結婚等 民間住宅 公営住宅 682人 (12.8%) 106人 (2.0%) その他 36人 (0.7%) 27 施設入所者の地域生活への移行に関する状況について② 速報値(2/22時点) 3 地域生活へ移行した者の日中活動の状況 ※2,596施設からの回答を集計(回収率約96%) 〈地域生活へ移行した者の日中活動の内訳〉 生活介護 自立訓練 (機能訓練) 自立訓練 (生活訓練) 就労移行支援 就労継続支援 A型 就労継続支援 B型 旧体系施設 (授産) 旧体系施設 (授産以外) 887人 (16.6%) 28人 (0.5%) 188人 (3.5%) 284人 (5.3%) 59人 (1.1%) 832人 (15.6%) 328人 (6.2%) 260人 (4.9%) 地域活動支援 センター 一般就労 学校 精神科 デイケア等 通所介護 (介護保険) その他の活動 未定 不明 155人 (2.9%) 564人 (10.6%) 41人 (0.8%) 439人 (8.2%) 144人 (2.7%) 166人 (3.1%) 621人 (11.6%) 336人 (6.3%) 4 施設入所前の居住の場の状況 (1)新規入所者の入所前の内訳 地域生活 他入所施設 (障害) 他入所施設 (老人) 地域移行型 ホーム 病 院 その他 計 3,286人 (39.4%) 1,548人 (18.5%) 128人 (1.5%) 17人 (0.2%) 2,992人 (35.8%) 378人 (4.5%) 8,349人 (2)地域生活の内訳 共同生活介護 共同生活援助 福祉ホーム 通勤寮(旧法) 家庭 171人 (5.2%) 94人 (2.9%) 10人 (0.3%) 25人 (0.8%) 2,656人 (80.8%) 1人暮らし・結婚等 民間住宅 公営住宅 191人 (5.8%) 35人 (1.1%) その他 104人 (3.2%) 28 ○障害者の地域生活移行について 障害のある人が普通に暮らせる地域づくり (目指す方向) 重度の障害者でも地域での暮らしを選択できる基盤づくり ・安心して暮らせる住まいの場の確保、・日常生活を支える相談支援体制の整備、・関係者の連携によるネットワークの構築 連携 地域社会での普通の暮らし 福祉 施策 労働 施策 住宅 施策 関係者の連携によるネットワーク (自立支援協議会) まちづくり 施策 バス 安心して暮らせる住まいの場 行政 映画館 グループホーム 障害者就業・ 生活支援センター 企業 自宅 電車 入所施設 地域移行 アパート 希望・ ニーズ 障害福祉サービス事業所 レストラン 病院 デパート 商店街 郵便局 宅建業者 医療機関 学校 相談支援事業者 日常生活を支える相談支援 公園 銀行 29 障害者の地域移行を進めるための支援方策について 地 域 入所施設・病院 住宅施策による支援 施設における 地域移行支援 移行実績に応じた ・報酬による評価 (地域移行加算) ・基金による助成 退 所 ・ 退 院 を 希 望 個別給付 補助事業 宿 泊 型 自 立 訓 練 ケグ アル ホー ープ 個別給付 補助事業 ムホ ー ム グループホーム・ケアホームの体験利用 個別給付 精神障害者地域移行支援特別対策事業 整 備 費 補 助 ※退院・退所から原則6か月を上限 ・退院促進・地域定着に必要な体制整備の総合調整、退院に向けた個別支援計画の作成 就労移行支援 自立訓練(機能訓練・生活訓練) 障害者支援施設の場合 サービス利用計画の作成 居住サポート事業 ・入居支援、24時間支援 労働施策による支援 公ア 一 営パ 般 住ー 住 宅ト 宅 一 般 就 労 就 労 ( A継 型続 )支 援 補助事業 個別給付 個別給付 個別給付 就 ( B労 型継 )続 等支 援 個別給付 補助事業 個別給付 交付税 補助事業 相談支援事業 (日常生活上の相談・助言、情報提供、サービス利用調整) 自立支援協議会 交付税 補助事業 (障害福祉サービス事業者、医療関係者、教育関係者、ハローワーク、宅建業者、企業、当事者 等から構成) 30 障害保健福祉関係主管課長会議[3月4日]資料(抜粋) (1)グループホーム・ケアホームについて ○ 障害者の地域生活への移行を促進するため → グループホーム・ケアホームのさらなる整備促進が急務 ※ 平成21年10月から、ワンルームマンション等について建物内に複数の「共同生活住居」 を 設置可能に。 ○ 一方で、 ・ 同一敷地内で複数の共同生活住居を設置 → 集団処遇ではないか ・ 同一敷地内での日中活動との併設 → 昼夜の一体化ではないか といった意見もある。 → 「家庭的な雰囲気」「地域との交流」といったグループホーム等の趣旨について十分配慮し な がら整備促進。 ○ また、近年の火災による死亡事故の発生や消防法令の改正 → 防火安全体制について改めて関係者への周知をお願いする。 31 障害保健福祉関係主管課長会議[3月4日]資料(抜粋) (2)障害者の住まいの場の確保のための福祉部局と住宅部局の連携について ○ 障害者の住まいの場の確保のため福祉施策と住宅施策の連携が必要。 ○ 国においても、厚生労働省と国土交通省が協力し施策を推進。 ① 公営住宅の活用や施設整備費・地域住宅交付金 → グループホーム・ケアホームの整備促進 ② 公営住宅における障害者の優先枠の設定や既存民間住宅の借り上げ → 公的賃貸住宅の入居促進 ③ あんしん賃貸支援事業、家賃債務保証制度等の活用 → 民間賃貸住宅への入居の円滑化 ④ バリアフリー改修促進税制や地域住宅交付金による民間住宅のバリアフリー改修 助成の活用 → 住宅のバリアフリー化の支援 ○ 福祉部局と住宅部局の連携をお願いする。 32 障害者の住まいの場の確保のための福祉部局と住宅部局の連携について 障害者が安心して暮らすことのできる住まいの場の確保 1.グループホーム・ケアホームの整備促進 ○身体障害者を対象とするグループホーム・ケアホームに対する公営住宅の活用 ○公営住宅をグループホームとして活用するためのマニュアルの活用 ○厚生労働省における施設整備費の助成等と国土交通省における地域住宅交付金の活用 2.公的賃貸住宅の入居促進 ○障害者の優先枠の設定や障害者向けの公営住宅の供給等による入居促進 ○既存民間住宅の一部を借り上げて行う公営住宅の供給 ○公的賃貸住宅団地の余剰地に福祉施設等を積極的に誘致・導入する安心住空間創出プロジェクトの実施 3.民間賃貸住宅への入居の円滑化 ○障害者等の民間賃貸住宅への円滑な入居について協議する居住支援協議会の積極的な活用 ○福祉部局と住宅部局との連携によるあんしん賃貸支援事業の積極的な活用と周知徹底 ○(財)高齢者住宅財団が未払い家賃の債務保証を行う家賃債務保証制度の普及 4.住宅のバリアフリー化の支援 ○バリアフリー工事について所得税や固定資産税を減税するバリアフリー改修促進税制についての周知徹底 ○地域住宅交付金の提案事業として行う民間住宅のバリアフリー改修への助成 (平成21年11月12日厚生労働省社会・援護局地域福祉課長、障害保健福祉部企画課長、 障害保健福祉部障害福祉課長、国土交通省住宅局住宅総合整備課長連名通知) 33 Ⅳ 相談支援体制の充実強化について 34 相談支援事業の現状 障害者相談支援事業 ・一般的な相談支援(情報提供、助言、障害福祉サービスの利用支援等) 一 般 的 な 相 談 支 援 【財源】 一般財源(交付税) 機能強化 ・ 市町村相談支援機能強化事業(専門職員の配置等) ・ 住宅入居等支援事業(居住サポート事業) ・ 成年後見制度利用支援事業 【財源】 地域生活支援事業費補助金 ・相談支援充実・ 強化事業 (家庭訪問等) 【財源】基金事業 国1/2、県1/4、市町村1/4 ( 広 域 的 ・ 専 門 的 な 支 援 ) 都 道 府 県 (市町村/相談支援事業者に委託可) サ ー ビ ス 利 用 計 画 サービス利用計画作成費の支給 (指定相談支援事業者) ・サービス利用のあっせん・調整 【財源】自立支援給付 国1/2、県1/4、市町村1/4 障害者自立支援法 第32条による 「サービス利用計 画作成費」の支給 障害者自立支援法 第77、78条による 「地域生活支援事 業」として実施 ※サービス利用計画作成費の対象者は 特に計画的な自立支援を必要とする 者に限定 35 相談支援事業(地域生活支援事業及び基金事業)一覧 事業内容 区分 相談支援事業 平成21年度実績(実施予定を含む) 予算額 - ア 市町村相談支援機能強化事業 地 域 生 活 支 援 事 業 市町村の相談支援事業の機能を強化するため、一般的な相談支援事業に加え、特に必 要と認められる能力を有する専門的職員(社会福祉士、保健師、精神保健福祉士等)を市 町村等に配置する。 824市町村/1,798市町村(46%) イ 住宅入居等支援事業( 居住サポート 事業) 賃貸契約による一般住宅への入居を希望しているが、保証人がいない等の理由により入 居が困難な障害者等に対し、入居に必要な調整等に係る支援を行うとともに、家主等への 相談・助言を通じて障害者等の地域生活を支援する。 264市町村/1,798市町村(15%) ウ 成年後見制度利用支援事業 障害福祉サービスの利用等の観点から、成年後見制度の利用が有効と認められる知的 障害者又は精神障害者に対し、成年後見制度の利用を支援する(申立てに要する経費及 び後見人等の報酬の全部又は一部を助成)ことにより、これらの障害者の権利擁護を図 る。 ・地域生活支援事業費補助金の内数 平成21年度予算 平成22年度予算(案) (対前年度増減額、伸び率) 440億円 → 440億円 (±0億円、±0%) 782市町村/1,798市町村(43%) 都道府県相談支援体制整備事業 都道府県に相談支援に関する広域的な支援を行うアドバイザーの配置、広域的課題、複数圏 域にまたがる課題の解決に向けた支援等 制度改正に 向け た 相談支援体制整備特別支援事業 35都道府県/47都道府県(74%) - ア 特別ア ド バイ ザー派遣事業 先進地のスーパーバイザーや学識経験者等2~3名を特別アドバイザーとして招聘し、 チームで都道府県内の相談支援体制の整備や充実強化に向けて、評価、指導等を実施す る。 40都道府県/47都道府県(85%) イ 相談支援発展推進支援事業 相談支援事業の新規の立ち上げや拡充等に当たり、必要な設備整備や事業を発展させ るための求人、広告及び従業者の研修等について支援する。 19都道府県/47都道府県(40%) ウ ピ ア サポート セン タ ー等設置推進事業 基 金 事 業 地域交流や自己啓発などの社会参加に資する事業(障害当事者が障害者の活動をサ ポートする形態とする。)を実施するセンターを設置する場合に必要な設備整備やサポー ターの研修等について支援する。 11都道府県/47都道府県(23%) エ 居住サポート 事業立ち 上げ支援事業 居住サポート事業の立ち上げ等に当たり、必要な設備整備、不動産業者や家主等に対 する説明会、先進地の視察等について支援する。 ・平成18年度補正予算で創設 960億円の内数 ・平成20年度補正予算で積増し、延長 +650億円の内数 ・平成21年度1次補正予算で積増し +355億円 ※ この基金は、平成24年3月まで活用できることとしている。 13都道府県/47都道府県(28%) オ 地域自立支援協議会運営強化事業 地域自立支援協議会の機能の強化のため、個別事例を効率的に整理するためのシステ ムの導入や、先進地の視察、広報等について支援する。 21都道府県/47都道府県(45%) 相談支援充実・ 強化事業 自宅に引きこもっている障害者等に対して、地域における障害福祉サービスの状況や障害者 自立支援法の見直しの状況等の障害福祉施策に関する情報をきめ細かく周知する事業を実施 する。 14都道府県/47都道府県(30%) ※ 平成20年度実績 36 ◇ 相談支援体制の充実等について 障害保健福祉関係主管課長会議[3月4日]資料(抜粋) (1)相談支援の充実等について ○ 障害者が地域で安心した生活を送っていくため相談支援が重要 → しかし、市町村ごとの取組に格差があるとの指摘。 → 相談支援事業の機能を強化する事業(地域生活支援事業や基金事業)の活用が重要であ り 積極的な活用をお願いする。 ○ サービス利用計画作成費は実績が低調 ※利用者数2,731人(平成21年4月) → 利用者の地域生活を支援する上で、計画作成後のモニタリングやサービス事業者との連 絡 調整が重要であり、積極的な活用をお願いする。 ○ 障害者の地域生活を支えるために、相談支援専門員やサービス管理責任者等の 人材の質の向上が不可欠 → 昨年度、国において都道府県研修の企画立案・運営を担う者に対する研修を実施したの で、 その人材の活用をお願いする。 37 (2)地域自立支援協議会の活動の充実について ○ 障害者が地域で安心して自立生活を送っていくためには、本人のニーズに合った各 種 のサービスを提供する地域の支援体制の整備が必要 → 地域自立支援協議が市町村に設置されることが重要。 ※平成21年4月時点で79%の市町村が設置 ○ 更なる設置の促進・活性化のため、 ・ 「自立支援協議会設置・運営マニュアル」(平成19年度に各自治体に配布) ・ 「都道府県相談支援体制整備事業」(地域生活支援事業) ※自立支援協議会の設置・運営に関するアドバイザーを派遣する事業 ・ 「地域自立支援協議会運営強化事業」(基金事業) の活用をお願いしたい。 38 Ⅴ 障害者虐待防止対策等について 39 障害者虐待防止対策について ○障害者虐待防止対策支援事業費(平成22年度予算案・新規事項) 461,587千円 1 事業概要 障害者に対する虐待の防止や虐待を受けた者に対する支援等を行うため、地域における連携体制の整備や支援体制の強化を行う 事業に要する費用を都道府県に対して補助する。 2 主な事業内容 (1)地域協力体制整備事業 ・ 以前に虐待のあった家庭等に対し相談支援事業者等が訪問して相談を実施、相談窓口の体制強化、虐待を受けた障害者の 一時保護を行うための居室の確保等 (2)障害者虐待防止・権利擁護研修事業 ・ 施設従事者等に対する虐待防止等に関する研修 ・ 相談窓口職員に対する虐待の防止や虐待を受けた者の支援等に関する専門的な研修 (3)専門性強化事業 ・ 都道府県は、学識経験者、医師、弁護士等との連携体制を整備して、医学的見地からの助言、司法的対応への協力等を得て 専門性を強化 (4)カウンセリング強化事業 ・ 虐待を受けた障害者又は虐待を行った者等に対する精神科医等による心理的側面によるケアの実施 3 実施主体 都道府県 4 補 助 率 1/2 (負担割合 国1/2、都道府県1/2) ○障害者虐待防止・権利擁護事業費(平成22年度予算案・新規事項) 3,435千円 1 事業目的 国において、障害者の虐待防止や権利擁護に関して各都道府県で指導的役割を担う者を養成するための研修等を実施し、関連 する制度の周知等を行う。 2 事業内容 ・ 充実した研修を実施するため、有識者による検討会を開催する。 ・ 各都道府県及び指定都市から5名程度の受講者の推薦を受け、年1回程度の研修を実施する。 3 実施主体 国(民間法人へ委託予定) 40 障害者虐待防止対策支援事業の実施イメージ 都道府県 (事業実施は市区町村等に委託可) 研修の開催 【虐待対応窓口】 ※自治体・相談支援事業所等 休日・深夜対応 家庭訪問 委託・補助 【医師・弁護士等】 【入所施設等】 【精神科医等】 専門的助言 一時保護 カウンセリング 虐待 41 工賃倍増5か年計画の推進について 工賃倍増に向けた取組 ◇ 就労継続支援B型等で働く障害者の工賃水準(平成18年度平均工賃月額は12,222円)が低く、障害者が自立して生活するために 工賃を引き上げることが必要。 ◇ 平成23年度までの5年間で平均工賃の倍増を目指すため、平成19年度において都道府県ごとに工賃の倍増を図るための具体的な 方策等を定めた「工賃倍増5か年計画」を策定し、同計画に基づき都道府県が実施する事業等に対して支援を行う。 ◇ 行政刷新会議の「事業仕分け」における指摘事項を踏まえ、既存事業の見直しを行うとともに、新規事業を追加。 【指摘事項】 ①効果的な事業手法を工夫すべき、②執行率が低い、③補助事業のメニューの多様化を検討し、就労継続支援事業所等への経営コンサルタントの派 遣だけでなく、都道府県が考えた効果的な事業も対象となるようにすべき、④地方負担の存在が執行率が低い大きな要因の一つとなっていると考えられ るので、国庫負担のあり方を検討。 事業の成果(平成20年度) ◇ 平成19年度にコンサルタントによる支援を実施した事業所 平成19年度 13,664円 → 平成20年度 14,438円(5.7%増) ◇ 平均工賃の高い県(佐賀県、福井県、徳島県)は、共同受注体制の整備など、事業所間で協働した取組を実施。 (参考) 全国平均 平成19年度 12,600円 平成22年度における主な事業内容 → 平成20年度 12,587円 (21年度予算 約17億円 → 22年度予算案 約8億円(実施主体:都道府県)) 【既存事業(補助率:1/2(負担割合 国1/2、都道府県1/2))】 → 効果的な事業実施のための見直しを実施 ○ 経営コンサルタント派遣等による個別事業所の工賃引上げの促進 平成22年度は、1県あたり平均16事業所にコンサルタント派遣を実施、派遣期間は2年 ○ 事業所職員の人材育成に関する経費 事業所職員の人材育成(スキルアップ、経営ノウハウの向上)、インターネットを活用した情報提供(研修使用資料、データ) 【新規事業(補助率:定額(10/10相当))】 → 効果的かつ国庫負担のあり方を踏まえた事業実施 ○ 複数の事業所が協働して受注、品質管理等を行う「共同受注窓口組織」の整備(8か所(ブロックごとに1か所)) ○ 工賃引上げに積極的な事業所による好事例の紹介、説明会の実施 ○ 事業者の経営意識の向上(未着手事業所への説明会) 42
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