テレビ視聴(3) スポーツ・バラエティとジェンダー 1 1.スポーツにおけるジェンダー研究の重要性 2.スポーツは“男らしさ”の象徴か 3.スポーツ・バラエティとジェンダー・イメージ 4.マス・メディアに現れるスポーツ とジェンダー・イメージ 1.スポーツにおけるジェンダー研究の重要性 ジェンダー研究 =「女性の視点から捉え直す」(1970年代の女性学) →「両性間の権力とヒエラルキーの関係性を問う」 →「知=学問」の多くが男性中心主義であることに 挑戦 「体育・スポーツ」は、ジェンダーの秩序やステレオタ イプなどを再生産する装置である。 ←ジェンダー研究の重要性 2 2.スポーツは“男らしさ”の象徴か スポーツ=「ジェンダーの最後の砦」「セクシズムの温床」 ←スポーツは男性の身体上に構築された文化(サッ カー、ラグビー、オリンピック) スポーツ=筋力が優れている人に有利な結果をもた らすゲーム。 ⇒男性が女性よりも本質的に優れていることを証明す るために利用されてきた。 多くの種目が「男子○○」「女子○○」と分かれていた り、男子だけあるいは女子だけの種目しかないことも本 質的な男女差を前提としていると考えられる。 <ジェンダー最後の砦> 3 3.スポーツ・バラエティとジェンダー・イメージ (1)番組視聴 『関口宏東京フレンドパークⅡ』 ※バラエティ番組を成立させる、対立軸の存在 どんな対立軸が使われているか? (2)女性に手加減するのは当然 身体能力は、男>女。 女性には不利。 やるのは男性、見るのは女性。 4 (3)女性が男性に勝る場合の解釈 バラエティなので予想外のことも楽しめる。 女性に負かされた男性は、男性そのものではない。 ←着ぐるみを着た男性との対決 ←女性には有利な条件でプレー 普通の女性ではない。 女性に対する男性の身体能力の優位性を再認? 5 4.マス・メディアに現れるスポーツ とジェンダー・イメージ ニュース、中継とも男性競技者のスポーツが遥かに多 い。 ⇒スポーツ=男性がするもの、男らしさの象徴! したがって、女性競技(者)が登場するときは、 ①その扱いは小さい ②“女らしさ”からの逸脱の強調 e.g. スカートをはいたことがない ③“女性役割”の強調 e.g. ママの顔、料理が得意 ④男性の身体優位性 6 ⇒スポーツ界における“ヒロイン”“マドンナ”の創造。 ジョイナー、オグシオ、愛ちゃん、真央ちゃん、etc. ⑤女性のかわいらしさの強調 ⇒男性(=指導者)に守られ導かれる女性像 ⑥家父長制の温存・強化 e.g. 父が指導者、夫がコーチ、 面倒見のよいコーチ・監督 7 参考文献 Alexandar, S. (1994). Newspaper coverage of athletes as a function of gender. Women’s studies International Forum, 17: 655-662. Bernstein, A. (2002). Is it time for a victory lap? International Review for the Sociology of Sport, 37, : 415-428. Carlisle Duncan, M., & Messner, M. A. (1998). The Media Image of Sport and Gender, In L. A. Wenner (Eds.) Media Sport. London: Routledge, 170-185. Dufur, M. J. (1999). Gender and Sport, In J. S. Chafetz.(Ed.) Handbook of the sociology of Gender. New York.: Kluwer Academic/Prenum Publishers, 583599. 8 江刺正吾 (2001) 「スポーツとジェンダー」論の現在 体育社 会学キーノートレクチャー 日本体育学会大会号 52:84. Hardin, M., & Greer. J. D. (2009). The influence of gender-role socialization, media use and sports participation on perceptions of genderappropriatesports, Journal of Sports Behavior, 32: 207-226. 羽田野慶子 (2004) <身体的な男性優位>神話はなぜ維持 されるのか―スポーツ実践とジェンダーの再生産― 教育社会 学研究, 75, 105-125. 市村操一・鈴木博 (1996) スポーツ種目の性度に関する研究 筑波大学体育科学系紀要, 19, 167-171. 飯田貴子 (2003) スポーツ文化の変革を求めるジェンダー研 究 スポーツとジェンダー研究, 1, 2-4. 飯田貴子 (2003) 新聞報道における女性競技者のジェンダー 化 スポーツとジェンダー研究, 1, 5-15. 9 伊藤公雄 (1999) スポーツとジェンダー 井上俊・亀山佳明 (編) スポーツ文化を学ぶ人のために 世界思想社 Pp. 114-129. 河原和枝 (1999) スポーツ・ヒロインー女性近代スポーツの 100年 井上俊・亀山佳明(編) スポーツ文化を学ぶ人のた めに 世界思想社 Pp. 132-149. Koivula, N. (2001). Perceived characteristics of sports categorized as gender-neutral, feminine and masculine. Journal of Sport Behavior, 24,377-393. 熊安貴美江 (2000). 新聞のスポーツ関連記事見出しとジェン ダー―「月刊切り抜き体育・スポーツ」(一九九〇年~一九九 九年)より― 人間関係論集 17, 145-163. 森康司 (2002) 大学運動部員のジェンダー観:スポーツ価値 意識との関連を中心に 人間科学共生社会学, 2, 47-61. 森康司 (2006) スポーツ実践とジェンダー観:大学生調査か 10 ら 人間科学共生社会学, 5, 77-88. Munnings, F. (1995) How Does Gender Stereotyping Hurt Female Athletes?, Medicine, Exercise, Nutrition and Health, 4, 113. 來田享子 (2003) オリンピック大会への女性の参加をめぐ るIOC内部の議論とIAAFの擁護 スポーツとジェンダー研 究, 1, 39-53. Pedersen, P. M. (2002). Investigating interscholastic equity on the sports page: A content analysis of high school athletics newspaper articles. Sociology of Sport Journal, 19, 419-432. 斉藤慎一 (2006) テレビニュース番組における性役割描写 とその影響に関する研究 Women’s Studies 研究報告 26. 田中東子 (2003) ジェンダー化された身体とスポーツ マ ス・コミュニケーション研究, 62, 40-57. Vogler, C. C., & Schwartz, S. E. (1993). The Sociology of Sports, Prentice-Hall: 谷口雅子 (2007) スポーツする身体とジェンダー 青弓社 11 山科花恵・入口豊 (2006) サッカー競技とジェンダーに関する 一考察 大阪教育大学紀要, 54(2), 5-23. 12
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