PowerPoint プレゼンテーション

Resveratrol:ラットに摂取させるとエネルギー消費量が増えるが、locomotor activityは減少する。骨格筋のミトコ
ンドリアが増えて、走行能も顕著に増大した。
By D.Lane at 2006日本肥満学会
アンチドーピング禁止リストにはないように見えるが?通販では販売されている。レスヴェラトロルはぶどうの表皮など
に含まれて、カビなどの病害を防御する成分。ブドウの品種、産地、収穫年などによって、含有量は著しく相違するが、
日照りなど大きなストレスに見舞われた年は、植物の防御機能(phytoalexin)が働き、レスヴェラトロルが増加する。長
寿、抗菌、抗炎症、抗腫瘍作用などとの関連が研究されている。
カロリ−制限
activation of stress pathways
altered O2 consumption (↑?)
カロリ−制限が寿命を延長すると酵母、蠅、線虫、クモ、マウスなど
において1930年代より示されてきた。
SIR2遺伝子の過剰発現は酵母やC.elegansの寿命を延長する。また
SIR2遺伝子を欠く酵母ではカロリー制限が寿命を延長しない。ヒト
SIRT1遺伝子は酵母のSIR2に相当する。
SIR2/SIRT1は蛋白の脱アセチル化活性を有し、この活性は細胞
のNAD/NADHの影響を受ける。
increased NAD/NADH2
SIR2活性を増大する物質の検索で葡萄、赤ワイン、ピー
activation of SIR2
polyphenol
ナッツバターなどに含まれているresveratrolが見つかり、
(resveratorol) この物質添加で酵母の寿命が延長する。
prolonged lifespan
Nature 425:132,2003
Science 301:1165,2003
Calorie Restriction Promotes Mitochondrial Biogenesis by Inducing the Expression of eNOS.
Science, Vol 310, 314, 2005
カロリー制限(エサを1日おきに与える)で3ヶ月飼育する
と、白色脂肪組織、褐色脂肪組織、肝臓、心臓および脳、
ミトコンドリアでの酸化能やeNOS活性や組織の酸素摂取
量を増大した。
QuickTimeý Dz
TIFFÅiLZWÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇ­Ç•
ÅB
血管内皮細胞に存在するNO合成酵素(eNOS)のノックア
ウトマウスではカロリー制限の効果が見られない。
一酸化窒素はカロリー制限による適応(カロリー制限によ
る寿命の延長にも?)に関与している。
QuickTimeý Dz
TIFFÅiLZWÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç …ÇÕïKóvÇ­Ç•
ÅB
ドイツ軍占領下の一時的な飢餓状態下のアムステルダム病院で出生した子供
〜 1944年10月
1800 kcal/day
1944年10月〜1945年5月
400-800 kcal/day
1945年5月〜
1700 kcal/day
19才の徴兵検査時 +20%過体重者の割合 Am J.Clin.Nutr. 59: 955-959, 1994
妊娠前半期(first 2 timesters)に母親が飢餓状態であった場合(2.8%)
妊娠後半期(last trimester)に母親が飢餓状態であった場合(0.8%)
対照群(1.8%)
50才時の調査 Am J.Clin.Nutr. 70: 811-816, 1999
飢餓前 妊娠後期 妊娠中期 妊娠前期
出生時体重
3383
3166
3212
3450
3443
肥満(BMI>25)率
65
63
64
75
67
体重
79.0
79.0
76.8
84.2
80.6
20歳代の経口糖負荷試験 Lancet 351: 173-177, 1998
飢餓前 妊娠後期 妊娠中期 妊娠前期
2時間血糖(mM)
5.7
6.3
6.1
6.1
5.9
2時間インスリン(pM)160
200
190
207
181
BMI
26.8
27.0
26.7
28.5
27.6
飢餓後
飢餓後
Epigenetics Diabetes54:1899-1906, 2005
発生の特定の時期での食事、行動
(DNA インプリンティング、メチル化、トランスポゾン)
成長後も持続する表現型
(DNA インプリンティング、メチル化、トランスポゾン)
次世代の表現型にも影響する?
Mother's diet changes pups' color
子供の遺伝子を変異させなくても、母親のとる栄養が子供の病気の進み具合に影響する
ことをほ乳類で確かめたのは、この研究が初めて。
「アグーチイエロー」と呼ばれる系統のマウスは、agouti遺伝子の中に余分なDNA断片が
あり、このため、肥満体で体毛が黄色い。このマウスに、ビタミンB12、葉酸、コリン、ベタイ
ンを妊娠前と妊娠中と妊娠後に与えると、やせて体毛が褐色の子を産んだ。これらの栄
養分はagouti遺伝子を沈黙させたが、その配列を変えたわけではない。DNAメチル化の
プロセスが、細胞内では、発生の際に遺伝子をオン、オフするのに使われている。
•Molecular and Cell Biology 23, 5293 (2003).
通常飼料
■メチル化合物含有飼料 (folic acid, vitamin B12, choline, betaine)
DNAのメチル化
•
ほ乳類のシトシン(C)の3%はメチル化(CH3が付
く)されている。
•
メチル化されたDNAは発現できず、そのDNAが関与
する多くの遺伝子が影響を受ける。
•
遺伝子の配列自体は変えないので、遺伝子複製は
正常に起こる。
•
CpGアイランド・・・ゲノム上でCとGが高密度で連続
している場所。
– CpGアイランドの80%ぼどがメチル化されてお
り、遺伝子発現の調節、癌、インプリンティング
等に関係していると言われている。
メチル化されたDNA
メチル化されていないDNA
メチル化合物の代謝
葉酸、ビタミンB12、亜鉛、コリン、ベタイン等はDNAのメチル化の代謝経路に取り込まれる(メチル基の材料、酵素補助因
子等)
DNAメチル化に影響を与える物質
食品中に含まれる物質の欠乏あるいは過剰摂取
によって、正常細胞のメチル化の状態が影響を
受ける。
•左表にDNAメチル化に影響を与えるこ
とが報告されている物質を示した。詳細
なメカニズムは明らかではないが、メチ
ル基を供与できる化学構造を持つ物質
は欠乏により細胞内のDNAに低メチル
化(染色体不安定性)を引き起こすこと
が推測される。
•2000年には、大腸がんを発症し易く遺
伝子改変したマウスを用いて、食餌中
の葉酸の有無に関する影響(1-2ヶ月
間給餌)が調べられた。葉酸入りの食
餌を与えたグループでは、葉酸なしの
食餌を与えられたグループと比較して、
正常なメチル化の状態を示した。そして、
腫瘍が腸内にできる前から継続的に葉
酸入りの食餌を与えられたグループで
は、葉酸なしのグループと比較して腺
腫(ポリープ)の発症率が減少した。し
かし、腫瘍が形成されてからの葉酸入
りの食餌には効果がなく、がん予防とし
ての葉酸の補充はタイミングを図る必
要があることが示された。
DNAメチル化とは
インプリンティングのサイクルは、DNA配
列に変化を与えないエピジェネティックな
機構で回転する。
そのような機構の代表はDNAメチル化で
ある。シトシンのメチル化は哺乳類ゲノム
DNAの唯一の生理的な修飾であり、DN
A(シトシン‐5)‐メチルトランスフェラーゼ
が2塩基配列CpGのシトシンを認識して5‐
メチルシトシンを生成する。
CpGに相補的な配列はやはりCpGである
から、2本鎖DNAは両鎖にメチル化の標
的をもつ。
哺乳類のメチルトランスフェラーゼは一方の鎖がメチル化されたヘミメチル化CpGを優先的
に認識し、相補鎖上のシトシンをメチル化する(維持メチル化)ので、DNA複製を経て同じメチ
ル化状態を維持できる。またDNAメチル化が遺伝子発現の制御機構として働くことは、X染
色体の不活性化をはじめ多くの例が示すとおりである。
食事とDNA
◆ 遺伝子そのものは正常でも、その発現に影響を及ぼす
◆
・・・エピジェネティック研究
◆ 癌、糖尿病、肥満、寿命等に深く関与しているとの研究報告
◆ 予防のための研究プロジェクトが欧州、米国で実施されている
◆ 日本においては、エピジェネティック・がん研究の国際的なプロジェクトや国内の複数研
究施設の協力による研究プロジェクトは実行されていない
◆ 食事から体内に摂取するメチル化合物が影響
◆ 発生段階で母親の栄養に依存する胎児の影響は大きいのでは
◆ 生活習慣によって、後天的に遺伝子発現(体質)が変化する可能性
◆ マウスの実験結果をそのままヒトに当てはめることはできない
DNAインプリンティング(ゲノムインプリンティング)とは
精子や卵子の形成過程において何らかの形で遺伝子に「しるし」あるいは「記憶」が刷り込
まれ、そのしるしにしたがって子での遺伝子発現が生じる現象を、ゲノムインプリンティン
グという。
インプリントの違いは受精を経て、同一の核に入っても維持され、さらに複製・細胞分裂を繰
り返しても消失しない。そして体細胞ではインプリントにしたがって父性または母性対立遺伝
子特異的な発現が起こる。一方生殖系列では始原生殖細胞で一旦インプリントが消去し、
続いて配偶子形成過程で新たなインプリントの獲得が起こる。
母の食事が子供の一生を決める
•
妊娠中の母親マウスに余分なビタミンを与えるだけで、生まれたマウスの毛の色と病気の
かかりやすさを変えることに、米国の研究者が成功した。
•
「アグーチイエロー」と呼ばれる系統のマウスは、agouti遺伝子の中に余分なDNA断片が
あり、このため、肥満体で体毛が黄色い。このマウスに、ビタミンB12、葉酸、コリン、ベタイ
ンを妊娠前と妊娠中と妊娠後に与えると、やせて体毛が褐色の子を産んだ。対照群のア
グーチイエローマウスの子供は太って黄色だった。
•
これらの栄養分はagouti遺伝子を沈黙させたが、その配列を変えたわけではない。その代
わり、炭素と水素を含む分子がこの遺伝子に結合していた。これはDNAメチル化のプロセ
スで、細胞内では、発生の際に遺伝子をオン、オフするのに使われている。
•
子供の遺伝子を変異させなくても、母親のとる栄養が子供の病気の進み具合に影響するこ
とをほ乳類で確かめたのは、この研究が初めて。
•
Transposable elements: targets for early nutritional effects on epigenetic gene regulation.
Molecular and Cell Biology 23, 5293-5300 (2003).
•
Epigenetic variations of H19 and LIT1 in patients with Beckwith-Weidemann Syndrome
with cancer and birth defects. American Journal of Human Genetics 72, 604-611 (2003).
腹いっぱいの食事 がん抑制に悪影響
•
•
平成17年9月4日(日)毎日新聞掲載記事によると、
満腹になるまで食べる習慣のある男性は、がん化を抑える遺伝子の働きが弱まっている率
が高く、逆に、キャベツやブロッコリーなどを多く食べたり緑茶を多く飲む男性ではこの率が
低いことが、東京医科歯科大(東京都文京区)の湯浅保仁教授(分子腫瘍医学)らの研究
で分かった。
•
湯浅教授らは、同大学病院などで手術を受けた男性の胃がん患者58人にアンケートし、
がんになる以前の食事の量や内容などを聞いた。一方で患者ごとに、手術で切り取ったが
ん細胞を多数分析し、がん化を抑えると考えられている遺伝子「CDX2」の働きを調べた。
•
「満腹するまで食べていた」と答えてた22人のうち10人(45%)では、細胞の一部でこの
遺伝子が「メチル化」と呼ばれる化学反応を起こし、働かなくなっていた。これに対し「腹八
分」または「意識的に食事の量を少なくしていた」とした35人では、メチル化が起きていた
のは10人(29%)にとどまった。無回答が1人いた。
•
ほうじ茶を含めた緑茶を飲む量では、日に6杯以下と答えた43人のうち17人(40%)にメ
チル化がみられた。7杯以上飲んでいた14人では2人(14%)と少なかった。無回答は1
人。またキャベツ、ブロッコリー、カリフラワーのどれかを食べる回数でみると、週に2回以
下とした32人中14人(44%)にメチル化があったのに対し、3回以上と答えた26人中では
6人(23%)だった。
おじいさんの食生活で子孫が迷惑?
•
2002年11月14日付けの、nature BioNews Archiveによると、おじいさんが大食漢だと、そ
の孫の健康が損なわれるかもしれない。この研究では、食習慣という獲得形質が遺伝子
変異を伴わずに子孫に影響することが示唆されている。
•
1890~1920年に生まれた300人のスウェーデン人の健康歴を集め、そして作物の収穫記
録から、これらの人々が思春期直前に摂取していた食物の量を調べた。
•
糖尿病による死亡率は、過剰な量の食事をしていた祖父がいる場合に4倍高い。また飢
饉に苦しんだ男性の子供たちは、心臓病による死亡率が低かった。
•
父親の栄養状態によっては、その精子に含まれる遺伝子の遺伝情報が変わらなくても、
遺伝子の活性が変わる可能性があるらしい。
•
遺伝子がインプリンティングを受けると、遺伝子のスイッチがオンするかどうかが決まる。
思春期に達して精子の産生が始まる頃になると、インプリンティングが起こり、このスイッ
チのオン、オフが決まる。父親の身体が食物摂取量を検知し、子供の生存のチャンスを
最大化するように精子の遺伝子をプログラムするらしい。
•
例えば祖父の時代に豊富な食糧があれば、特定のスイッチが精子によって父に伝えられ
る。もし父の時代には食糧不足が起これば、父の精子はプログラムし直され、その子供
が不安定な食糧供給に対応できるようにするのだ。
•
インプリンティングにより父の生殖活動における子供の数はトータルで減るかもしれない
が、それぞれの赤ん坊の発育率は上がり、食料の乏しい時代に生き残るチャンスが高ま
る。このプロセスは、その後の病気の発症率にも影響する可能性があると推測されてい
る。
Cardiovascular and diabetes mortality determined by nutrition during parents' and grandparents' slow
growth period. European Journal of Human Genetics (DOI: 10.1038/sj.ejhg.5200859) (2002).