ビタミンCの科学

・北野 圭介 ・阿手 貴皓 ・杉森 哲
也 ・市村 祐樹 ・得野 翔太
はじめに
金沢高等学校科学部の過去の研究
・高校化学実験におけるホルムアルデヒド汚染とその
除去(東他 2000)。
明らかになったこと
HCHO樹脂や銀鏡反応等で高濃度のHCHOの発生
する。還元剤としてブドウ糖を代用するとよい。
・還元剤としてビタミンCを使った実験(野曽原2002)。
銀鏡反応・実験.1
実験材料と方法
・硝酸銀溶液 (0.1mol/l)7ml
・アンモニア水(0.1mol/l)1ml
・ビタミンC溶液 2ml
・ビタミンC溶液の濃度を変えて銀鏡反応の生成状態を
観察し、最適なビタミンC濃度を求めた。
・最初に成功した14%を基準に実験を行った。
結果
ビタミンC
結果
10% 11% 12% 13% 14% 15% 16% 17% 18% 19% 20%
× × × △ △ △ × × × × ×
×銀鏡ができない
△不完全な銀鏡ができる
○銀鏡ができる
◎きれいな銀鏡ができる
・ビタミンCの濃度が14%で最適であることがわかった。
銀鏡反応・実験.2
14%ビタミンC溶液の量を変え、銀鏡反応に最適
な添加量(ml)を求める。
実験材料と方法
・硝酸銀溶液 (0.1mol/l)7ml
・アンモニア水(0.1mol/l)1ml
・ビタミンC溶液(14%)
結果
14%ビタミンC量(ml) 0,05
△
14%ビタミンC量(ml) 0,4
△
14%ビタミンC量(ml) 0,75
△
0,1
○
0,45
△
0,8
△
0,15
◎
0,5
△
0,85
△
0,2
○
0,55
△
0,9
△
0,25
△
0,6
△
0,95
△
0,3
△
0,65
△
1,0
△
0,35
△
0,7
△
×銀鏡ができない
△不完全な銀鏡ができる
○銀鏡ができる
◎きれいな銀鏡ができる
14%ビタミンC溶液の量が0.15mlの時に最適である
ことが分かった。
銀鏡反応・実験.3
ビタミンCはアンモニアで中和されるため、アンモニア
を過剰にした方がきれいにでる可能性がある。そこで
アンモニアの最適な添加量を求めた。
実験材料と方法
・硝酸銀溶液 (0.1mol/l)7ml
・ビタミンC溶液(14%)0.15ml
・アンモニア水(0.1mol/l)
結果
アンモニア(ml)
アンモニア(ml)
アンモニア(ml)
0,1
×
1,1
△
2,1
○
0,2
×
1,2
△
2,2
○
0,3
×
1,3
△
2,3
△
0,4
×
1,4
△
2,4
△
×銀鏡ができない
○銀鏡ができる
0,5
×
1,5
△
2,5
△
0,6 0,7 0,8
× × ×
1,6 1,07 1,8
△ △ ○
2,6 2,7 2,8
△ △ △
0,9
×
1,9
○
2,9.
△
1,0
△
2,0
◎
3,0
△
△不完全な銀鏡ができる
◎きれいな銀鏡ができる
アンモニア水の量が1.0mlでAg2Oの沈殿が消えて
銀鏡反応がみられるようになり、2.0mlの時最も
きれいな銀鏡が生じた。
銀鏡反応・実験.4
・アンモニアとビタミンCの最適な量が分かったとこ
ろで、再びビタミンC濃度を変えて、銀鏡反応に
最適のビタミンC濃度を求めた。
実験材料
・硝酸銀溶液 (0.1mol/l)7ml
・アンモニア水(0.1mol/l)2ml
・ビタミンC溶液 0.15ml
結果
ビタミンC濃度(%)
ビタミンC濃度(%)
ビタミンC濃度(%)
5
×
15
◎
25
◎
7
○
16
◎
35
◎
8
10
13
○
○
○
17
18
19
◎
◎
◎
45
55
65
◎
○
○
×銀鏡ができない
14
◎
20
◎
△不完全な銀鏡ができる
・硝酸銀溶液 (0.1mol/l)7ml
○銀鏡ができる
・アンモニア水(0.1mol/l)2ml
◎きれいな銀鏡ができる
・ビタミンC溶液 0.15ml
の条件では、銀鏡反応はビタミンC溶液の濃度にあまり
関係せずきれいに生成することがわかった。(この条件で
は室温でも銀鏡が生成した)
まとめ
・ビタミンCは酸化力が強く、さまざまな還元実験に
活用出来ることがわかった。
・銀鏡反応については以下の条件で実験を行うと
美しい銀鏡反応が出ることが分かった。
硝酸銀溶液(0.1mol/l)7ml
アンモニア溶液(0.1mol/l)2ml
ビタミンC溶液(6%以上)0.15ml
*ビタミンC溶液は必ず試験管の側面にゆっくり流
す。
*湯せんの温度はあまり関係ない。
今後の課題
・金鏡反応等、新しい実験開発に挑戦したい。