PowerPoint プレゼンテーション

帯電微粒子の非線形現象
2012.8.7
庄司多津男
NIFS「プラズマ科学のフロンティア2012研究会]
名古屋大学
共同研究者:
上村鉄夫
名城大学
秦浩起
鹿児島大理
石崎龍二
福岡県立大人社
名大大学院学生(古田洋輔、諏訪部元樹石川多一、小澤隆嘉、小暮貴士、
清水大輔)
名城大大学院学生(米澤逸人、横井渉)
Nagoya University
微粒子と帯電
微粒子の一例
微粒子(タバコの煙、排煙、土星の輪) => 1mm-1/1000mm (ミクロン m)
原子、分子、イオン、電子---(星、産業応用、実験室) => 1/107mm以下
帯電の過程
摩擦電気によ
る
微粒子、チリ(静電気吸着、他)
電圧による
微粒子、チリ(空気清浄器、静電
塗装、コピー器、他)
放電による
微粒子、チリ(蛍光灯、プラズマ
ディスプレイ、半導体の微細加工
溶接、他)
高温、圧力による
星、天体
Nagoya University
他に化学反応、衝撃帯電、光照射による帯電
等
帯電微粒子を用いた研究テーマ
帯電過程のダイナミックス:材質と形状、電荷の経時変化
電場中での帯電、粒子衝突による荷電交換‥
帯電粒子の閉じ込め:電磁場(ポールトラップ、ペニングトラップ)
液体中(コロイド、表面張力---)
電磁場中の帯電粒子の閉じ込め非線形運動:リミットサイクル、カオス-帯電粒子の集団現象(長距離相互作用):輸送現象、揺らぎ・波動の伝播
分布関数
非平衡散逸系の構造形成
振動子の大域構造、同期現象--
Nagoya University
長距離力で相互作用する集団の
ダイナミックス
Nagoya University
DC電圧による帯電振動子の同期と構造形成
(参考:プラズマ・核融合学会誌
Nagoya University
2012年7月号小特集カオスと同期現象の科学)
MOtivation
非平衡状態で運動する帯電微粒子の多体系:
・様々な多体現象(同期、構造形成--)
・振動子集団としての記述
・マクロな物理量との関係の可能
多数のリミットサイクル振動子が長距離相互作用
によって結合する大域結合系
[1]蔵本由紀,河村洋史,”同期現象の数理-位相記述によるアプローチ”培風館(2010)
[2] D. Tanaka, Phys. Rev. Lett. 99 (2007) 134103
[3] D. Tanaka et al., Phys. Rev. E 81(2010) 066214
Nagoya University
DC電場中の帯電微粒子実験
実験パラメーター
ITO電極
ガラス管
Φ48mm 高さ15mm
シリンドリカルレンズ
DC
(~20kV)
Laser
(532nm 200mw)
or
ハロゲンランプ
ステンレス電極
(60W,12V)
Φ75mm
粒子の帯電
SUS球
300 or 500μm
q  4 0 r a 2 E
Κ:幾何学因子=1.64
(εr:媒質の比誘電率、a:微粒子半径)
Nagoya University
q/e=106-7
高速度CCDカメラ
50~20000f/s
シリコンオイル
η 0.048 kg/m/s
εν 2.74
ρ 0.96 kg/m3
・電極間電圧Vdc
V]
・微粒子
~20[k
SUS球
粒径 300,500 μm
密度 7.8×103 kg/m3
・高速度カメラ;50fps20000fps
・Laser出力;532nm 200mW
・圧力;760torr(大気下)
・電圧 9-19 kV
DC電場中で起きる微粒子の帯電、振動現象
+に帯電
- - - - - - - - - - - - -
Vdc
+
+
+
+ + + + + + + + + +
+ + + +
mdvi / dt  qE  6 avi  m g   Fij
電場の力
Nagoya University
粘性項
重力
j i
多体相互作用
-に帯電
帯電粒子の軌道
粒子の時系列ストロボ写真
Z
(a)
−
電
極
d
q>0
q<0
+
v
z
d
T (q  0),T (q  0), T  T  1
  Sign(q)  TSign(q)
(b)
振動子(帯電粒子)の位相θの定義
Z

Nagoya University
粒子の高さzとdz/dt空間におけるリミットサイ
クル軌道
振動子(帯電粒子)の位相差θと相互作用
1粒子
2粒子
Nagoya University
数珠構造の形成
電極
ランダムな状態
Nagoya University
位相同期で数珠構造が出来る
(a)
+
(b)
+
-
+
z
電極
+
+
+
-
衝突=>電荷の入れ代わり
=>縦方向に並ぶ
-
+
t
位相差φ
2粒子(振動子)の場合の数珠構造の中の粒子軌道
-
+
水平方向に離れた、小さな位相差(垂直距
Nagoya
University
離)の2振動子(帯電粒子)に斥力が働く
z
不安定点
電極
t
位相差
φ
2粒子の数珠構造の中の衝突点(2周期点)のリター
ンマップ (VDC=15kV、d=15mm
Nagoya University
)
安定点
2粒子の位相と相互作用
2振動子(帯電粒子)の位相差θij(垂直距離)と水平
距離rijに依存する相互作用(振動周期で平均)
(α=0.2)
Nagoya University
α=T- / (T++T-)
数珠同士の相互作用
z(t)
(
粒子でなく電荷に着目した
“振動子”と見なす
“電荷振動子”)
→
数珠と粒子の相互作用を
振動子の相互作用で記述可能
+
+
-
+
-
+
粒子2
- + - + - + - 粒子1
t
z(t)
+
-
Nagoya University
-
-
振動2
+
+
+ -
-
振動1
t
鉛直方向の数珠構造の形成
+q
+q
-q
-q
+q
-q
鉛直方向の数珠構造
(6粒子、印加電圧15kV
h=15mm)
数珠状構造中の各振動粒子の運動
Nagoya University
(7個、15kV、250fps)
5.5kV
random
Nagoya University
7kV
秩序構造
数珠集団の構造形成
(a)
(b)
Nagoya University
数珠集団の秩序構造
V=5.5kV
g(r) 2体分布関数
<d>=0.54mm
a=0.5mmφ sus
h=10mm
57mmφ
V=7kV
r/a
<d>=1.25mm
V=8.4kV
N=690 個
Nagoya University
<d>=1.25mm
ACトラップされた帯電粒子の非線形現象
Nagoya University
帯電微粒子のACトラップのテーマ
少数個
•電磁場中の荷電粒子の非線形運動
(1-数個)
多数個
(101-103
Nagoya University
Chaos, 同期現象現象、相互作用するBrown運動---
•散逸のあるクーロン多体系の物性、統計
個)
相転移、揺らぎと統計、構造形成
帯電微粒子のACトラップのテーマ
少数個 ・電磁場中の荷電粒子の非線形運動
1~100個
Chaos、同期、相互作用するブラウン運動
多数個 ・散逸のあるクーロン多体系の物性、統計、ゆらぎ
102~105個
強結合プラズマ、相転移、構造形成、脈動
Nagoya University
微粒子のAC トラップ 装置
ACトラップの特徴 ・微粒子などを安定に長時間閉じ込め可能(数週間以上)
・大気中で閉じ込めるので系が単純
・揺らぎなど統計的な解析が容易
高速カメラ 撮
影:1000fps
ITO電極
ミクロバール
φ=30μm
q = 9.56×10-15C
Vac:6kV、
fac:60Hz
シートレ
ーザー
Vg :
237V
1.5c
m
SUS
板
Nagoya University
11c
m
Vs :
7.4kV
微粒子:ジビニルベンゼンに金を
コーティング
粒径 20~50 (m)
真球度 4%以下
比重 1.19 (g/cm3)
AC電圧: ~7 (kV)
周波数 : ~220 (Hz)
DC電圧: ~few kV (charging)
200 (V) (position
control)
q/e=103-4
微粒子群の様子
赤道面(z=0)
微粒子群の様子
閉じ込め粒子数
約1~2万個
25mm
平均粒子間距離
微粒子半径
(30μm)の10倍程度
30mm
Nagoya University
Vac:8.0kV fac:60Hz
Vg : 237VVs : 7.4kV
閉じ込め時間
数日~数週間~
強結合プラズマ
液相領域
単一粒子の非線形運動
Nagoya University
粒子の安定性
運動方程式
d 2r
dr
m 2  QE ac  6 r0
dt
dt

 t
2
RF field friction

r 2  2z 2 

E ac    V (t )
2
R


V (t )  Vdc  Vac cos t
m : 質量、 r : 変位
R : 電極半径、 r0 : 粒子半径
  空気の粘性、 Q : 帯電量
Mathieu 方程式
d 2r
 (ar  2qr cos 2 )r
2
d
d 2z
 (a z  2q z cos 2 ) z
2
d
8QVac
qz 
 2qr
2 2
mR 
16QVdc
6 r0 2
2
az 

(
)
(


2
a

p
)
r
m R2 2
m
q z : 交流パラメータ
a z : 直流パラメータ
p : 粘性パラメータ
安定性は
Vac、f、Vdcに依存
qz、azの値によって粒子の安定性を評価可能
Nagoya University
stability diagram
安定領域
(中心に落ちる)
不安定領域
(飛び出す)
10
1.5
y
1.0
0.5
5
x
10
5
5
5
10
1.5 1.0 0.5
0.5
1.0
1.5
10
Nagoya University
y
x
0.5 1.0 1.5
Single Particle Orbit
chaotic
periodic
fac= 125.7Hz
149.8Hz
Vac=5.0kVpp
Nagoya University
156.47Hz
Simulation (粒子の電荷と重力
r(t)
r(t)
y
r(t)
y
x
r = r0 + AC osc.
Nagoya University
中心がずれている事による効果)
y
x
freq. doubling ?
x
Chaos
( Lyapnov exp. >0)
少数粒子群の結晶構造とその変化
16mm
安定強制振動
Vac=1115V,f=19.7Hz
Vdc=0V
Nagoya University
3粒子回転
Vac=2800V,f=40.00Hz
Vdc=0V
配置換え
Vac=2200V, f=31.80Hz,
Vdc=50V
θ方向の時間推移(配置換え現象)
θ1
θ2
θ3
7
6
5
θ
実験結果
4
3
2
1
0
0
10
20
30
t
40
50
60
70
[sec]
粒子1
粒子2
粒子3
7
6
5

数値計算
4
3
2
1
0
0
200
400

600
800
R.Ishizaki,H.Hata,T.Shoji,Procedia IUTAM 00
Nagoya University
80
揺らぎ
と
統計
クーロン相互作用する粒子のブラウン運動
荷電粒子の速度分布関数
Nagoya University
帯電粒子のブラウン運動
90Hz3.0kv 粒 子 1個
0-60s
0.4
0.3
1個
Y座標[ m m ]
0.2
ステップサイズδxの統計
0.1
90Hz 3.0kV
0
1個
多数個
100
-0.1
-0.2
-0.4
-0.2 -0.1
0
0.1
0.2
0.3
log[f(x)][%]
-0.3
0.4
X 座 標 [mm]
0.6
9 0 H z 3 . 0 k v 粒 子多 数 個
0-60s
10
正規分布からのズレ
1
0.5
Y座標[ m m ]
0.4
0.1
0.3
多数個
0.2
δx
0.1
0
-0.1
-0.3
-0.2
-0.1
0
X 座 標[ m m ]
Nagoya University
0.1
0.2
0
0.0001 0.0002 0.0003 0.0004 0.0005 0.0006
2
2
(Δr) [mm ]
(Δt=1/30s)
Tsallis statistics [non Boltzmann statistics]
C.Tsallis, J.Stat. Phys. 52,479(1992)
Non additive Entropy
N
 p 1
i 1
i
N
q  1 ,S  k  pi logpi
Boltzmann
i 1
Distribution function obtained by maximum Entropy method
pi  [1  (1  q) i / kT ]
1/(1q )
power low
Nagoya University
Velocity distribution in troidal direction
Gaussian distribution
2
f(v)  exp(  βv )
Tsallis
Tsallis distribution
Gaussian
f(v)∝(1-(1-q)βv 2)1/(1-q )
β=1/kT
Nagoya University
 dependence on Tsallis index q
q
1.8
q=1 ガウス分布
Nagoya University
1.4
1
0.3
1
Γ
10
大偏差統計
u(t)
Random event {u1, u2, -----uN}
uT (t )
の確率密度
PT (u) ~ e  S ( u )T
母関数 :
uT (t )
t T
Z q (T )  e qT .uT ~ e  ( q )T
 u( s)ds
t
1
特性関数 : (q)  lim ln Z q (T )
T  T
u (q) 
T : 粗視化の時間スケール
Nagoya University
(T>>τ; 相関時間)
確率密度にパラメターqで重み付け(分配関数に対応)
T
1
粗視化 uT ( t ) 
T
PT (u)   (uT  u)
d ( q )
dS (u )
, S (u )  qu   (q ), q 
dq
du
・粗視化した時系列により解析
(大きなゆらぎのため)
・u(q)とS(q)(エントロピーに対応)で構造を評価
有限個のデータが統計に与える影響
微粒子2個のとき u(q)のヒストグラム
微粒子1個のとき u(q)のヒストグラム
2
0
20
40
60
80
100 120 140 160
u(q)
ヒストグラム
1.5
1
2
0.5
1
0
-1
-1
-2
-1.5
-3
-4
-3
-2
-1
u(q)が直線的
Nagoya University
0
q
1
2
3
80
160 240 320 400 480 560 640
u(q)
ヒストグラム
0
-0.5
-2
0
3
u(q)
u(q)
4
4
正規分布のゆらぎ
-4
-4
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
q
クーロン相互作用から大きなゆらぎ
が正規分布からはずれる
微粒子が1,2,5個のときu(q)とS(q)の比較
A
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
2
4
1個
3
1
2個
0
-1
-2
8
4
0
0
-1
さらに大きく外れる
-4
-8
-12
-2
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
q
-1
-4
-1
1
1個
4
-3
-2
-2
0
-1
-2.5
-2
1
2
3
4
20
5個
15
-0.5
S(q) 5個
1
S(q) 1個
2
0
2個
0
-1.5
-1
q
0.5
2個
3
S(q) 2個
5個
-0.5
ガウス型からのずれ
-3
10
-1
-1.5
5
-2
-2.5
-3
-3
-2
-1
0
q
Nagoya University
u(q) 2個
0
-3
-4
12
1
2
3
4
u(q) 5個
0.5
1
u(q) 1個
u(q) 2個
2
-4
-4
2個
1
S(q) 2個
-4
-3
-4
0
-3
-2
-1
0
q
1
2
3
4
相互作用する粒子数が多くなると大偏差ゆらぎが顕著になってくる
協同現象
Nagoya University
-
波動
磁場による振動粒子
100G
赤道面を上から見た図
2H
z
磁
場
:Si 微粒子(30μm)→磁場の影響なし
:SiにNiコーティングした微粒子(75μm)→磁場の影響を受ける
Nagoya University
Niコーティング粒子の磁場の影響
磁場印加時の微粒子群の様子
径方向 [mm]
径方向 [mm]
Niコーティン
グ粒子
磁場なし(上)と磁場あり(下)の
Niコーティング粒子の位置変化
時間 [s]
・AC電場 60Hz,6.9kV、・ 磁場 2Hz
・赤道面を1000fpsにて撮影
Nagoya University
粒子の振動スペクトル
周辺の粒子
Niコーティング粒子
1.2
fac
fac
0.8
スペクトル強度
fmod
fmod
0.4
0
1.2
0.8
0.4
0
0.4
0.3
0.2
0.1
0
1
磁場(2Hz)により強制振動
(4Hz)して
Nagoya University
いるNiコーティング微粒子
10
周波数[Hz]
100
振動子から
1.4mm(緑)、2.6mm(ピンク)、
3.7mm(赤)にある粒子のスペ
強結合プラズマ
-縦波の分散式
Γ=0.993
q 2n
p 
m 0
Γ=9.7
=300~700
縦波の分散式
Γ=110.4
Γ=152.4
J. -P. Hansen, I. R. McDonald, E. L. P. (1975).
Nagoya University
不思議な構造(非平衡散逸系)
とダイナミックス
Nagoya University
微粒子群のダイナミックスと構造
Nagoya University
・AC電場 30Hz,9.41kV
・z=-5mmを1000fpsにて撮
微粒子群の振動構造
各高さの断面図の時間変化
高速カメラ 撮影:1000fps
高
さ
上下方向に移動
Vac=9.41kV、fac=30Hz
Vg : 237V 、Vs : 7.4kV
Tac : AC電場の周期[s]
Nagoya University
Tac
時間
2Tac
3次元構造の復元
横から見たときの粒子群構
造
高さ
Tac
径方向
Tac
中心の粒子の塊が上下に振動
→AC電場周期の2倍
シュミレーションでは再現できない
Nagoya University
まとめ
●
閉じ込められた帯電微粒子の系を用いてクーロン多体相互作用の強い非平
衡散逸系を実現、微粒子の複雑な非線形運動、カオスなどを解析した。
●
多数個、または少数粒子の長時間統計に
長距離相互作用の影響を示す大偏差の
正規分布からのずれが観測される。
●
ACトラップ中の(大気中)多数個の粒子集団に複雑な非平衡散逸系の
構造とダイナミクスが観測されている。
Nagoya University
Charged string
Nagoya University