PHITS Multi-Purpose Particle and Heavy Ion Transport code System 治療応用実習(II) 電子線治療のシミュレーション 2013年9月改訂 title 1 本実習の目標 電子線治療シミュレーションにおける吸収線量分 布の評価や散乱ホイルなどの装置の追加、マル チソース機能を利用した複数線源による照射が できるようになる。 20MeVの電子線を左右から水ファントムに 照射して得られた吸収線量分布 Purpose 2 実習内容 1. 2. 3. 4. 体系の確認 電子線による吸収線量分布の分析 散乱ホイルとアプリケーターの設置 マルチソースを用いた複数線源による 電子線の照射 Table of contents 3 ElectronTherapy.inp 初期設定の体系 Electron 20 MeV Water phantom 30 cm 約100 cm 30 cm Input file 4 体系の確認 はじめに、このインプットファイルで構築している 3次元体系を描画機能を用いて把握する。 Icntl=7としてPHITSを実行すると[t-gshow]が、 Icntl=11として実行すると[t-3dshow]が有効となり、 これらのタリー結果が出力されます。 [ T - Gshow ] title = Geometry check on xz-plane ・・・・・・ ・・・・・・ file = gshow-xz.dat ・・・・・・ ・・・・・・ [ T - 3Dshow ] title = Geometry check using [T-3dshow] file = 3dshow.dat ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ Geometry 5 gshow-xz.eps 体系の確認 3dshow.eps 水ファントム Geometry 6 空間分布 スペクトルを調べる前に、 icntl=0として輸送計算 を実行させ、各粒子のフルエンスの分布([t-track] を使用)と各物質における吸収線量の空間分布 ([t-deposit]を使用)を確認してみましょう。 [T-Track] title = Track in xyz mesh ・・・・・・ ・・・・・・ file = track.out ・・・・・・ ・・・・・・ 粒子フルエンス [ T - Deposit ] title = Dose in xyz mesh ・・・・・・ ・・・・・・ file = dose.out ・・・・・・ ・・・・・・ 吸収線量 Analysis 7 フルエンス分布 track.eps (1枚目) 電子のフルエンス分布 水ファントム 20MeV電子線 Analysis 8 フルエンス分布 track.eps (2枚目) 光子のフルエンス分布 電子線が水ファントムに衝突し、 光子が発生している。 Analysis 9 フルエンス分布 track.eps (3枚目) 中性子のフルエンス分布 中性子は生成されていない。 Analysis 10 吸収線量 dose.eps 吸収線量分布 空気 水ファントム Analysis 11 実習内容 1. 2. 3. 4. 体系の確認 電子線による吸収線量分布の分析 散乱ホイルとアプリケーターの設置 マルチソースを用いた複数線源による 電子線の照射 Table of contents 12 吸収線量 (step1)[t-deposit]を用いて、水ファントムにおける吸収 線量の空間分布について分析してみましょう。 • 深さ方向(z軸方向)の吸収線量分布。 • ビーム軸に垂直な方向(x軸方向)の吸収線量分布。 消す [ T - Deposit ] off title = z-distribution of dose ・・・・・・ file = dose-z.out ・・・・・・ [ T - Deposit ] off title = x-distribution of dose ・・・・・・ file = dose-x.out ・・・・・・ インプットファイルの2つの[t-deposit]にあるoffを消して実行。 Analysis 13 吸収線量のz分布 水ファントムの深さ に関する依存性は どうか。 dose-z.eps • 表面付近でピークをもつ。 • 深さ方向に関して急速に減少する。 Analysis 14 吸収線量のx分布 垂直方向への広がり はどうか。 dose-x.epsの1枚目と2枚目 • 吸収線量の広がりは電子線のビーム幅(0.2cm)と同じ。 • 中間(z=115cm)では幅が広がっているが、その絶対値は小さい。 Analysis 15 実習内容 1. 2. 3. 4. 体系の確認 電子線による吸収線量分布の分析 散乱ホイルとアプリケーターの設置 マルチソースを用いた複数線源による 電子線の照射 Table of contents 16 装置の追加 • 散乱ホイルとアプリケーター(コリメーター)を体 系に追加する。 • 各タリー結果を確認し、各装置の影響を調べる。 散乱ホイル:電子線の照射範囲が拡大さ れているか。 アプリケーター:電子線の流れがきちんと コントロールされているか。 Setting of equipment 17 散乱ホイル (step2)タンタル(Ta)とアルミ(Al)の薄膜を 散乱ホイルとして配置して見ましょう。 0.01 mm [Cell] ・・・・・・ ・・・・・・ 98 2 -1.20e-3 #1 #2 #3 -999 99 -1 999 2 3 -16.65 -2 3 4 -2.70 -3 1 cm 直径1cm, 厚さ0.01mm の2枚の円盤。 Al 1 cm Ta 1 cm 0.01 mm [Surface] ・・・・・・ ・・・・・・ 2 rcc 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.001 0.5 3 rcc 0.0 0.0 1.0 0.0 0.0 0.001 0.5 マクロボディRCC(円柱) 赤文字部分を追加し、icntl=0として実行。 を使用 •ホイルの厚さが薄すぎるので、ここでは [t-gshow]による確認は行わない。 Setting of equipment 18 散乱ホイル (step2)タンタル(Ta)とアルミ(Al)の薄膜を 散乱ホイルとして配置して見ましょう。 track.eps (1枚目) 電子のフルエンス分布 0.01 mm Al 1 cm 直径1cm, 厚さ0.01mm の2枚の円盤。 1 cm Ta 1 cm 0.01 mm • 散乱された電子線は、水ファントム表面でおよそ10cm幅に広がっている。 Analysis 19 吸収線量の空間分布 垂直方向 水ファントムにおけ る吸収線量の分布 はどう変化したか。 深さ方向 水ファントムにおける吸収線量の分布 dose-z.eps 深さ方向 dose-x.eps(1枚目) ビーム軸に 垂直な方向 • 吸収線量も水ファントム表面でおよそ10cm幅となっている。 Analysis 20 アプリケーター(コリメーター) (step3)3段階の亜鉛(Zn)材質のコリメーターを配置 して、電子線の流れをコントロールしてみましょう。 Zn 10 cm 6 cm 12 cm 12 cm 6cm×6cmの穴の空いた 12cm×12cmの厚さ2cmの直方体。 10 cm 6 cm 2 cm [Ce ・・・ ・・・ 98 ・・・ 4 5 6 ll] ・・・ ・・・ 2 -1.20e-3 ・・・ 5 -7.13 -4 5 -7.13 -6 5 -7.13 -8 #1 #2 #3 #4 #5 #6 -999 5 7 9 [Surface] ・・・・・・ 4 rpp 5 rpp 6 rpp 7 rpp 8 rpp 9 rpp -6 -3 -6 -3 -6 -3 6 3 6 3 6 3 -6 -3 -6 -3 -6 -3 6 3 6 3 6 3 50 50 60 60 70 70 52 52 62 62 72 72 マクロボディ rpp(直方体) を使用 赤文字部分を追加し、icntl=7として実行 Setting of equipment 21 アプリケーター(コリメーター) Zn gtshow-xz.eps 10 cm 6 cm 12 cm 12 cm 6cm×6cmの穴の空いた 12cm×12cmの厚さ2cmの直方体。 10 cm 6 cm 2 cm Setting of equipment 22 アプリケーター(コリメーター) icntl=0として実行 •[t-track]の結果(track.eps)から効果を確認してみる Zn track.eps (1枚目) 電子のフルエンス分布 10 cm 6 cm 12 cm 12 cm 6cm×6cmの穴の空いた 12cm×12cmの厚さ2cmの直方体。 10 cm 6 cm 2 cm • 3段階のコリメーターによって電子線の広がりが制限されている。 Analysis 23 吸収線量の空間分布 垂直方向 水ファントムにおけ る吸収線量の分布 はどう変化したか。 深さ方向 水ファントムにおける吸収線量の分布 dose-z.eps 深さ方向 dose-x.eps(1枚目) • 吸収線量の分布がおよそ6cm幅に変化した。 Analysis ビーム軸に 垂直な方向 24 実習内容 1. 2. 3. 4. 体系の確認 電子線による吸収線量分布の分析 散乱ホイルとアプリケーターの設置 マルチソースを用いた複数線源による 電子線の照射 Table of contents 25 マルチソース Electron 20 MeV [Source] totfact =1.0 <source> = 0.5 s-type = 1 proj = electron ・・・・・・ ・・・・・・ Water phantom 30 cm (step4)逆側からも電子線を照射して、2方向から の照射による線量の和を計算してみましょう。 Electron 20 MeV 30 cm ([source]セクションの続き) <source> = 0.5 s-type = 1 proj = electron e0 = 20.00 r0 = 0.1000 x0 = 0.0000 y0 = 0.0000 z0 = 250.000 z1 = 250.000 dir = -1.0000 Multi source 赤文字部分を追加し、 icntl=0として実行 •[t-track]のz軸に関する タリー範囲を拡げる (zmax=240,nz=250) 26 マルチソース Electron 20 MeV track.eps (1枚目) 電子のフルエンス分布 Water phantom 30 cm (step4)逆側からも電子線を照射して、2方向から の照射による線量の和を計算してみましょう。 Electron 20 MeV 30 cm Multi source 27 マルチソース Electron 20 MeV Water phantom 30 cm (step5)[transform]を使って、散乱ホイルとアプリ ケーターを逆側にも配置してみましょう。 Electron 20 MeV 30 cm [Cell] ・・・・・・ 98 2 -1.20e-3 #1 #2 #3 #4 #5 #6 #12 #13 #14 #15 #16 -999 ・・・・・・ 12 3 -16.65 -2 trcl=1 [transform]セクション 13 4 -2.70 -3 trcl=2 で定義してある座標 14 5 -7.13 -4 5 trcl=3 変換番号1,2,3を使用 15 5 -7.13 -6 7 trcl=3 16 5 -7.13 -8 9 trcl=3 Multi source 赤文字部分を追加し、 icntl=7として実行 •[t-gshow]のz軸に関する タリー範囲を拡げる (zmax=240) 28 マルチソース Electron 20 MeV Water phantom 30 cm (step5)[transform]を使って、散乱ホイルとアプリ ケーターを逆側にも配置してみましょう。 Electron 20 MeV 30 cm gtshow-xz.eps Multi source 29 [transform]セクション ソース、surfaceやcellの定義、タリーのr-zやxyzメッシュ、磁場 の定義等の際に、平行移動や回転を行うことが可能。 [Transf set: c10[0] set: c20[0] set: c30[0] orm] $ angle of around Z (degree) $ angle of around Y (degree) $ angle of around X (degree) Z軸, Y軸, X軸の周りに 回転させる角度 tr1 0 0 0 平行移動のX,Y,Z成分 cos(c10/180*pi)*cos(c20/180*pi) sin(c10/180*pi)*cos(c30/180*pi)+cos(c10/180*pi)*sin(c20/180*pi)*sin(c30/180*pi) sin(c10/180*pi)*sin(c30/180*pi)-cos(c10/180*pi)*sin(c20/180*pi)*cos(c30/180*pi) -sin(c10/180*pi)*cos(c20/180*pi) cos(c10/180*pi)*cos(c30/180*pi)-sin(c10/180*pi)*sin(c20/180*pi)*sin(c30/180*pi) cos(c10/180*pi)*sin(c30/180*pi)+sin(c10/180*pi)*sin(c20/180*pi)*cos(c30/180*pi) sin(c20/180*pi) -cos(c20/180*pi)*sin(c30/180*pi) cos(c20/180*pi)*cos(c30/180*pi) 1 Cellを定義する際にtrcl=1を加える [transform] 30 マルチソース icntl=0として実行 •[t-track]の結果(track.eps)から効果を確認してみる track.eps (1枚目) 電子のフルエンス分布 • Z=115cmの面に関して対称な体系で、 水ファントムに電子線を照射。 Multi source 31 吸収線量の空間分布 水ファントムに おける吸収線量 の分布はどう変 化したか。 垂直方向 深さ方向 水ファントムにおける吸収線量の分布 dose-z.eps 深さ方向 dose-x.eps(3枚目) • 吸収線量の分布も面対称となっている。 Analysis ビーム軸に 垂直な方向 32 まとめ • 20MeV電子を線源とする電子線治療をシミュレー ションした。 • 水ファントムにおける吸収線量の分布をタリーし、そ の分析を行った。 • 散乱ホイルやアプリケーターを体系に追加し、これ らの吸収線量分布に対する影響を調べた。 • マルチソース機能を利用し、両側から電子線を照射 するシミュレーションを行った。 Summary 33
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