第3章 資料の収集とコレクション構築

第3章 資料の収集とコレクション構築
1.資料構成評価の方法
 図書館が全体としてどのような資料で構成される
べきかを考えて、資料選択の方針を定める
 例えば、図書、逐次刊行物、その他の資料の割
合はどれくらいか、主題分野別の割合はどれくら
いか、といったことを総合して選択方針を定める
 そのためには、まず現状資料構成の評価をしな
ければならない。
資料評価の具体的方法
(1)観察評価法
(2)チェックリスト法
ふさわしいチェックリストを選択し、リストにあげら
れているタイトルが蔵書の中にある、所蔵率を比
較し、資料構成の適切さを評価する
(3)資料構成統計分析法
 例えばNDCの100区分や1000区分表により、資
料数を比較検討し評価する
 絶対値は大きな意味を持たないので、貸出数と
比較したり、経年変化を見たりする
 蔵書回転率=1冊当りの年間貸出冊数
つまり、年間延べ貸出冊数/蔵書冊数
 分野別蔵書回転率
=分野年間延べ貸出冊数/分野総冊数
参考
 貸出密度
=貸出延べ冊数/サービス対象人口(定住人
口)
 実質貸出密度=貸出延べ冊数/登録者数
貸出密度は、人口1人当たりの貸出回数であり、
公共図書館の利用の程度あるいは活動の程度
を測る指標としてよく用いられる
(4)基準の適用
図書館関係団体、文科省の基準など、何
らかの蔵書基準を適用し、与えられた基準
冊数の計算方法により、望ましい蔵書冊数
の目標値と比べる
2.資料選択の理論
(1)価値理論と要求理論
カーノフスキー(Leon Carnovsky、1936年)は図書
の選択理論を、価値理論と要求理論とに分けた。
 価値理論
図書の価値を基準とし、価値の高い図書を選択
する考え方
 要求理論
利用者の要求を基準とし、要求の高い図書を選
択する考え方
マッコルヴィンの要求理論(1925)
マッコルヴィン(Lionel McColvin、アメリカ)
 要求の価値と要求の量を算定し、両者の指数の
積を主題の表出指数として選択を行なうべきで
あるとする
 要求には、明示的要求と非明示的要求があると
する
明示的要求・・・・利用に現われる要求
非明示的要求・・表面には現われないが、潜在的
に存在する要求
(2)ウェラードの社会調査論、1937
ウェラード(James H. Wellard)(アメリカ)
 主題別の蔵書冊数、利用数、関心度の三者を比
較する三重比較法を提案
 蔵書、利用、関心がほぼ一致すれば理想である
とする。
3.分担収集と図書館協力
 資料の収集とその維持管理には莫大な労力と経
費がかかる。一館でもつ資料数には限りがある。
このため、資源の共有(Resource sharing)という考
え方が必要となる。資源共有の一形態として、分
担収集がある。
(1)協定分担制
複数の図書館が協議して、計画的に分担収集す
る。同一設置母体の場合と、異なる設置母体の
場合とがある。
・実例:外国雑誌センター館
(2)ファーミントン計画
 全世界のすべての学術的価値のある図書とパン
フレットとを、アメリカ国内のどこかの図書館で保
存しようという壮大な計画。1948年から開始。大学
図書館を中心に、議会図書館、専門図書館、公共
図書館も加わり、館種を越えた構成。
 1972年に終了し、世界中の学術的に価値のある
すべての出版物を議会図書館が複数部購入し、
一部を配布するという全米収書目録計画(NPAC)
に引き継がれる。
4.収集方針の作成(公共図書館)
成文化された収集方針を策定する必要が
ある。また収集方針を公開し、市民、利用
者からの意見を広く聴取し、意見をとりい
れていくのが望ましい。
収書方針の記述要素
①その図書館の奉仕対象とサービス活動が基本
的にめざすところ
②図書館資料と知的自由との関連
③収集・選択の機構と決定にあたる責任の所在
④収集する資料の範囲
⑤利用者からの要求と蔵書に対する批判への対処
⑥蔵書からの除去、廃棄についての基本的な考え
方
5.資料収集の実務
(1)資料選択の実際的な方法
選択のための方法
①納入書店等の見計らい
②販売書誌、全国書誌、出版社の新刊案内、新
聞・雑誌の広告などにより独自に選択
(1)資料選択の実際的な方法(続き)
資料を集合的にまとめて選択する方法
①ブランケットオーダー
ある出版社の全出版物といった一括購入
②一括見計らい
③継続注文(スタンディングオーダー)
シリーズものなどに適用
(2)資料選択のための情報源
教科書 p.88-100
図書(和洋)、雑誌(和洋)ごとに、
基本的な情報源を覚える。
(3)資料収集のプロセス
1)資料入手の方法 教科書p.101-106
①購入
②寄贈
③交換
④寄託
⑤会員加入
⑥納本