症例から学ぶHIV感染症診療のコツ インタラクティブ・セッション Nov. 27, 2008 第22回日本エイズ学会学術集会・総会 シンポジウム3 企画・協力:HIV Care Management Initiative-Japan 共催:第22回日本エイズ学会学術集会・総会/グラクソ・スミスクライン株式会社 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 1 Please Vote 練習 大阪での献血サンプルにおけるHIV陽性率は、9.421/10万人で すが・・・ (参考:全国 2.065/10万人) この危機的状況について、あなたの第一印象を「大阪弁」で表現す ると・・・ 1) えらいこっちゃ・・・ 38% 2) そら、あかんわ!! 29% 3) ほんまでっか!? 20% 4) しゃぁないな・・・ 13% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 2 ケーススタディ Professor David A Cooper NCHECR November 2008 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 3 Case 1- IF 47歳白人男性 1986年にHIV感染症判明 CDC B CD4陽性細胞数最低値: 252/mm3 治療開始前VL: 376,100 c/mL アルコールおよび薬物乱用 HBVs抗原(-)、 c抗体(+) HCV(-) 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 4 Case 1- IF 治療歴: d4T + 3TC ABC + IDV/r 2000年11月- 2001年5月 ABC + LPV/r 2001年5月- 2004年9月 (治療中断) ABC + FPV/r 2005年8月- 2007年1月 AZT + 3TC + ATV/r 2007年1月- HIVは常にコントロールされていた。 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 5 Case 1- IF 2007年10月: 倦怠感および右上腹部痛 ABC+IDV/r 600 ABC+LPV/r ABC+FPV/r AZT+3TC +ATV/r ABC+IDV/r 14 ABC+LPV/r ABC+FPV/r AZT+3TC +ATV/r 12 500 10 400 8 300 BILIRUBIN ALT 200 100 0 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 HDL 6 ALK PHOS GGT CHOL 4 LDL TRIGS GLUCOSE 2 0 6 Please Vote Case 1- IF 肝炎の原因は? 1) HBV再活性化 43% 2) 急性HCV 11% 3) アルコール性肝炎 21% 4) 膵炎 6% 5) 乳酸アシドーシス 19% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 7 Please Vote Case 1- IF 肝炎の原因は? 1) HBV再活性化 43% 2) 急性HCV 11% 3) アルコール性肝炎 21% 4) 膵炎 6% 5) 乳酸アシドーシス 19% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 8 Case 1- IF HBV DNA: HCV RNA: 乳酸値: (-) 700,000 c/mL 14.4 mg/dL (正常値 4-15) 血糖値: コレステロール: HDL-chol: LDL-chol: トリグリセライド: 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 76 mg/dL 58 mg/dL 27 mg/dL 8 mg/dL 186 mg/dL 9 Please Vote Case 1- IF 急性HCVの治療は? 1) 経過観察 29% 2) PEG-IFN 16% 3) PEG-IFN + RBV 50% 4) 抗HIV療法強化 1% 5) その他 4% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 10 Please Vote Case 1- IF 急性HCVの治療は? 1) 経過観察 29% 2) PEG-IFN 16% 3) PEG-IFN + RBV 50% 4) 抗HIV療法強化 1% 5) その他 4% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 11 Case 1- IF 2008年9月にHCVは自然消失 ABC+IDV/r ABC+LPV/r ABC+FPV/r AZT+3TC+ATV/r 800 700 600 500 400 BILIRUBIN ALT 300 ALK PHOS GGT 200 100 0 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 12 Case 1- IF Please Vote HIV感染者の急性HCVの自然治癒の割合は? 1) 1-2% 8% 2) 10-20% 51% 3) 50-60% 35% 4) 90-100% 6% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 13 Case 1- IF Please Vote HIV感染者の急性HCVの自然治癒の割合は? 1) 1-2% 8% 2) 10-20% 51% 3) 50-60% 35% 4) 90-100% 6% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 14 Case 2- MB 41歳白人男性 1985年にHIV感染症判明 AIDS CDC C3 1994年にニューモシスチス肺炎をペンタミジンで治療 1997年にCMV網膜炎をGCV+シドフォビルで治療 2002年に非ホジキンリンパ腫をCHOP+高用量メトトレ キサートで治療 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 15 Case 2- MB ART開始前: CD4陽性細胞数: ウイルス量: 60/mm3 310,900 c/mL 治療歴 AZT+ddC 1995年1月- 1995年10月 AZT+3TC+loviride 1995年10月- 1996年3月 ddI+d4T+3TC+loviride 1996年3月- 1996年9月 d4T+DLV+SQV 1998年1月- 2002年5月 d4T+ABC+3TC+DLV+SQV 2002年5月- 2004年7月 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 16 Case 2- MB d4T+DLV+SQV d4T+DLV+SQV d4T+ABC+3TC+DLV+SQV 250 1000 12 d4T+ABC+3TC+DLV+SQV 12000 900 800 10 200 700 8 100 4 CREATININE UREA 500 2 0 0 CD4 300 VL 4000 2000 100 0 2003年8月 BUN 14 mg/dL クレアチニン 1.0 mg/dL 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 6000 400 200 50 8000 600 150 6 10000 0 17 Please Vote Case 2- MB 重度のリポジストロフィー発現。 どのレジメンを選択しますか? 1) AZT+3TC+EFV 7% 2) TDF+3TC+EFV 24% 3) TDF+3TC+LPV/r 19% 4) ABC+3TC+EFV 37% 5) ABC+3TC+LPV/r 13% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 18 Please Vote Case 2- MB 重度のリポジストロフィー発現。 どのレジメンを選択しますか? 1) AZT+3TC+EFV 7% 2) TDF+3TC+EFV 24% 3) TDF+3TC+LPV/r 19% 4) ABC+3TC+EFV 37% 5) ABC+3TC+LPV/r 13% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 19 Case 2- MB TDF+ABC+3TC+DLV+SQV に変更 手首および膝に重度の麻薬性鎮痛剤を必要とす るほどの痛み発現 350 d4T+DLV+SQV 12 d4T+ABC+3TC TDF+ABC+3TC +DLV+SQV +DLV+SQV 300 10 250 8 200 6 CREATININE 150 UREA 4 100 50 0 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 2 0 2005年8月 BUN 28 mg/L クレアチニン 2.8 mg/dL 20 Case 2- MB 2005年8月の骨密度 部位 右大腿骨 脊椎: L2-L4 測定年月 骨密度 (g/cm2) 2002年5月 0.979 2005年8月 0.778 2002年5月 1.153 2005年8月 1.128 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 若年成人 年齢調整 治療開始前 からの変化 (%) % Tscore % Zscore -20.5 71 -2.4 76 -1.9 -2.2 91 -0.9 96 -0.4 21 Case 2- MB 2005年8月の骨密度と年齢 脊椎 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 右大腿骨 左大腿骨 22 Please Vote Case 2- MB 腎障害と骨痛の原因は? 1) TDF 21% 2) HIV腎症 14% 3) TDF および かつて投与したペンタミジン 13% 4) かつて投与したシドフォビルおよびステロイド 14% 5) TDF および かつて投与したシドフォビル 38% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 23 Please Vote Case 2- MB 腎障害と骨痛の原因は? 1) TDF 21% 2) HIV腎症 14% 3) TDF および かつて投与したペンタミジン 13% 4) かつて投与したシドフォビルおよびステロイド 14% 5) TDF および かつて投与したシドフォビル 38% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 24 Case 2- MB 2005年8月にTDF投与中止 新たなレジメン: ABC+3TC+DLV+SQV 350 d4T+DLV+SQV d4T+ABC+3TC +DLV+SQV TDF中止 TDF+ABC+3TC +DLV+SQV ABC+3TC +DLV+SQV 18 16 300 14 250 12 200 10 150 8 CREATININE UREA 6 100 4 50 2 0 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 0 2008年10月 28 mg/dL クレアチニン 1.8 mg/dL BUN 25 Case 2- MB Please Vote 2005年12月に腎生検実施 腎生検でどのような変化が予見されますか? 1) 尿細管障害 27% 2) 間質性腎炎 28% 3) 虚脱性糸球体腎症(巣状糸球体硬化症のひとつ) 16% 4) 糸球体硬化症 6% 5) 糸球体および尿細管の疾患 23% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 26 Case 2- MB Please Vote 2005年12月に腎生検実施 腎生検でどのような変化が予見されますか? 1) 尿細管障害 27% 2) 間質性腎炎 28% 3) 虚脱性糸球体腎症(巣状糸球体硬化症のひとつ) 16% 4) 糸球体硬化症 6% 5) 糸球体および尿細管の疾患 23% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 27 Case 2- MB 腎生検の結果、 重度の間質繊維化 全体的な糸球体硬化 尿細管変性 BK ポリオーマ腎症 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 28 Case 3- EN 52歳アジア系男性 1991年にHIV感染症判明 AIDS CDC B1 1998年に軽度2型糖尿病判明 シェフとして勤務 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 29 Case 3- EN 治療開始前 CD4陽性細胞数: ウイルス量: 207/mm3 40,000 c/mL 治療歴 d4T+3TC+SQV 1997年2月- 1997年9月 d4T+3TC+NVP 1997年9月- 1997年11月 d4T+ddI+NVP 1997年11月- 1998年1月 d4T+ddI 1998年1月- 1998年4月 1998年7月- 1998年11月 1999年2月- 1999年10月 EFV+IDV/r 1999年10月- 2002年3月 EFV+ATV/r 2002年3月- EFV治療でHIVはコントロールされていた。 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 30 21/02/2002 21/03/2002 21/04/2002 21/05/2002 21/06/2002 21/07/2002 21/08/2002 21/09/2002 21/10/2002 21/11/2002 21/12/2002 21/01/2003 21/02/2003 21/03/2003 21/04/2003 21/05/2003 21/06/2003 21/07/2003 21/08/2003 21/09/2003 Case 3- EN 2002年2月~2003年8月の脂質変化 25 EFV+ATV/r 20 15 10 CHOL HDL TRIGS 5 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 2003年8月 TG: 655 mg/dL TC: 217 mg/dL HDL: 45 mg/dL 血糖値:209 mg/dL HbA1c:8.6% 0 31 Please Vote Case 3- EN 脂質代謝異常にどのように対処しますか? 1) 食事療法 30% 2) フィブラート 20% 3) スタチン 12% 4) フィブラートとスタチン 13% 5) メトフォルミンとスタチン 25% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 32 Please Vote Case 3- EN 脂質代謝異常にどのように対処しますか? 1) 食事療法 30% 2) フィブラート 20% 3) スタチン 12% 4) フィブラートとスタチン 13% 5) メトフォルミンとスタチン 25% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 33 Case 3- EN 2003年10月よりフィブラート投与開始 EFV+ATV/r 25 Gemfibrozil開始 Gemfibrozil中止 20 15 CHOL HDL 10 LDL TRIGS 5 21/12/2004 21/10/2004 21/08/2004 2004.02 21/06/2004 21/04/2004 21/02/2004 21/12/2003 21/10/2003 21/08/2003 2003.02 21/06/2003 21/04/2003 21/02/2003 21/12/2002 21/10/2002 21/08/2002 2002.02 21/06/2002 21/04/2002 21/02/2002 0 2005年2月 TG: 186 mg/dL TC: 228 mg/dL HDL: 66 mg/dL 血糖値:147 mg/dL HbA1c:8.1% 2005.02 2005年2月にミオパチーのため gemfibrozil投与中止 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 34 Case 3- EN Please Vote 脂質代謝異常にどのように対処しますか? 1) 食事療法 5% 2) メトフォルミン 25% 3) スタチン 6% 4) スタチンとエゼチミブ 14% 5) 抗HIVレジメン変更 50% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 35 Case 3- EN Please Vote 脂質代謝異常にどのように対処しますか? 1) 食事療法 5% 2) メトフォルミン 25% 3) スタチン 6% 4) スタチンとエゼチミブ 14% 5) 抗HIVレジメン変更 50% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 36 Case 3- EN 2005年2月にプラバスタチン投与開始 EFV+ATV/r 25 プラバスタチン開始 20 15 CHOL HDL LDL 10 TRIGS 5 0 2002.02 21/02/2002 2003.02 21/02/2003 2004.02 21/02/2004 2005.02 21/02/2005 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 2006年10月 TG: 1240 mg/dL TC: 309 mg/dL HDL: 31 mg/dL 血糖値:169 mg/dL HbA1c:6.9% 21/02/2006 37 追加スライド: 脂質代謝異常治療ガイドライン IDSAガイドライン: Table 5 (Dube MP, et al. CID 2003; 37: 613-27) 第1選択 (evidence level) 第2選択 (evidence level) [高LDL血症もしくは 高non-HDL血症] かつ 高TG血症(200-500 mg/dL) スタチン(B-I) フィブラート系(C-I) または ニコチン酸系(C-III) 高TG血症 > 500 mg/dL フィブラート系(B-I) ニコチン酸系(C-III) Fish oils (C-III) 脂質異常の種類 EACS(European AIDS Clinical Society)ガイドライン( Lundgren JD, et al. HIV Medcine 2008; 9: 72-81) 脂質異常の種類 第1選択 第2選択 高LDL血症のみ (cut off 値はfig.1に) スタチン +エゼチミブ 高LDL血症+高TG血症(TG 442885 mg/dL; 5-10 mmol/L) スタチン +フィブラート系 (またはニコチン酸系) 高TG血症のみ( TG 203-885 mg/dL; 2.3-10 mmol/L) 食事療法、禁酒 なし 重症高TG血症(TG > 885 mg/dL; 10mmol/L) フィブラート系 +ω3酸エステル?? (またはニコチン酸系) 低HDL血症のみ フィブラート系 +ニコチン酸系 スタチンとフィブラート系を同時に使うと横紋筋融解症のリスクがあがるので、併用は避けるのが好ましい。 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 38 Case 3- EN Please Vote 次に何をしますか? 1) より強力なスタチンに変更 12% 2) プラバスタチンにインスリンを追加 6% 3) プラバスタチンにメトフォルミンを追加 7% 4) プラバスタチンにエゼチミブを追加 21% 5) 抗HIVレジメンを脂質に対する影響のないものに変更 54% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 39 Case 3- EN Please Vote 次に何をしますか? 1) より強力なスタチンに変更 12% 2) プラバスタチンにインスリンを追加 6% 3) プラバスタチンにメトフォルミンを追加 7% 4) プラバスタチンにエゼチミブを追加 21% 5) 抗HIVレジメンを脂質に対する影響のないものに変更 54% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 40 追加スライド: 高脂血症薬 日米投与量比較 Statin 投与量の比較 初期投与量 最大投与量 日本 米国 日本 米国 Atrovastatin 10 mg 10 mg 20 mg 80 mg Fluvastatin 20 mg 20-40 mg 60 mg 80 mg Pravastatin 10 mg 20-40 mg 20 mg 80 mg Rosuvastatin 2.5-5 mg 10 mg 10 mg 40 mg Metformin投与量の比較 初期投与量(1日量) 最大投与量(1日量) 日本 米国 日本 米国 500mg 500-1000mg 750mg 2000 mg(徐放製剤) or 2550 mg フェノフィブラートの投与量は変わらない 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 41 Case 3- EN 2007年2月にロスバスタチン投与開始 25 EFV+ATV/r 20 ロスバスタチン開始 15 CHOL 10 HDL LDL TRIGS 5 2007年11月 TG: 956 mg/dL TC: 236 mg/dL HDL: 35 mg/dL 血糖値:111 mg/dL HbA1c:5.9% 0 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 42 Please Vote Case 3- EN 抗HIV療法変更を決定。 どのレジメンが勧められますか? 1) TDF+FTC+EFV 11% 2) TDF+FTC+ATV 13% 3) ABC+3TC+ATV 18% 4) TDF+FTC+ATV/r 23% 5) ATV + RAL 35% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 43 追加スライド: スタチンの用量比較 Approximate Equivalent Dose (mg) Atorvastatin(リピトール) 常用10mg、極量20mg 5 10 20 40 80 40 Fluvastatin(ローコール) 常用20~30mg 極量 60mg 20 40 80 Lovastatin(日本未発売) 10 20 40 80 Pravastatin(メバロチン) 常用10mg 極量 20mg 10 20 40 80 5 10 20 20 40 80 10/10 10/20 Rosuvastatin(クレストール) 常用 5~10mg、極量20mg Simvastatin(リポバス) 常用 5mg 極量 20mg Simvastatin/ezetimibe 5 10 10/40 10/80 上記の他、日本にはpitavastatin (リバロ)がある。常用1~2mg 極量4mg 。 CYP代謝の影響を受けにくい薬剤はメバロチン、クレストール、リバロである コレステロールの生合成は夜間行われるのでいずれの薬剤も夕食後投与が望ましい 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 44 追加スライド: PIとスタチン等との相互作用 PIはCYP450 3A4を強力に阻害するものが多いためスタチンのAUCが上昇し易い、(一部の薬 剤ではグルクロン酸抱合を誘導するという結果もある) シンバスタチン: NFV併用で505%上昇、SQV/RTV併用で3,059%上昇 アトルバスタチン: NFV併用で74%上昇、FPV併用で150%上昇 SQV/RTV併用で347%上昇、 LPV/RTV併用で588~900%上昇 フルバスタチン: データなし プラバスタチン: LPV/RTV併用で33%上昇、 SQV/RTV併用で50%低下 ロスバスタチン: LPV/RTV 併用で210%上昇、 しかし効果は25%減弱 (OATPC*) 例外: DRV/RTVはCYP450 3A4を阻害するが、 アトルバスタチン: 15%低下(しかしトラフ値は81%上昇) プラバスタチン: 81%上昇 (500%まで上昇との報告もあり) 理論的にはスタチンは、フィブラート系薬剤のクリアランスを促進する Thomson MICROMEDEX Health Care Series. Accessed June 12, 2008. 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 45 Please Vote Case 3- EN 抗HIV療法変更を決定。 どのレジメンが勧められますか? 1) TDF+FTC+EFV 11% 2) TDF+FTC+ATV 13% 3) ABC+3TC+ATV 18% 4) TDF+FTC+ATV/r 23% 5) ATV + RAL 35% 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 46 Case 3- EN 2007年11月にATV + RAL 投与開始 EFV+ATV/r ATV/r+RAL 25 ATV + RAL開始 20 15 CHOL HDL 10 LDL TRIGS 2008年8月 TG: 80 mg/dL TC: 130 mg/dL HDL: 43 mg/dL 血糖値:62 mg/dL HbA1c:5.1% 5 0 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 47 Case 4- RVB 60歳白人男性 1982年にHIV感染判明 CD4陽性細胞数最低値: 96/mm3 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 48 Case 4- RVB 治療歴: AZT 単独治療: 1988年8月- 1994年11月 1995年1月- 1995年8月 AZT+ DLV: 1994年11月- 1995年1月 d4T 単独治療: 1995年8月- 1996年8月 d4T+3TC+IDV: 1996年8月- 1996年11月 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 49 Case 4- RVB 1996年8月 ニューモシスチス肺炎 ペンタミジンで治療 1996年11月 筋肉減少 体重減少 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 血糖値: 473 mg/dL TG: 646 mg/dL TC: 140 mg/dL HbA1C: 10.9% 50 Case 4- RVB Please Vote 最も可能性の高い糖尿病の原因は? 1) PI 2) NRTIによるミトコンドリア障害 3) ペンタミジン 4) 高トリグリセライド血症による膵炎 5) HCV 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 51 Case 4- RVB Please Vote 最も可能性の高い糖尿病の原因は? 1) PI 2) NRTIによるミトコンドリア障害 3) ペンタミジン 4) 高トリグリセライド血症による膵炎 5) HCV 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 52 Case 4- RVB インスリン治療を開始したが、1999年に中止 1998年にHCV陽性が判明していた 治療終了後の空腹時検査値; 血糖値: 160 mg/dL HbA1C: 8% TC: 239 mg/dL HDL: 23 mg/dL TG: 1,620 mg/dL 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 53 Case 4- RVB Please Vote この糖尿病をどのように治療しますか? 1) 食事療法 2) インスリン 3) 血糖降下剤の経口投与 4) HCV治療 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 54 Case 4- RVB Please Vote この糖尿病をどのように治療しますか? 1) 食事療法 2) インスリン 3) 血糖降下剤の経口投与 4) HCV治療 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 55 Case 4- RVB 2001年4月、PEG-IFN + RBVでHCVを治療し、 ウイルス学的著効(SVR)が得られた 35 30 プラバスタチン中止 (強い頭痛) 25 20 GLUCOSE CHOL 15 HDL TRIGS 10 5 Hb1Ac 2006年8月 TG: 2700 mg/dL TC: 380 mg/dL HDL: 38 mg/dL 血糖値: 130 mg/dL HbA1c: 6.8% 0 現在ABC+3TC+NVPでHIV治療は順調 糖尿病治療は行っていない 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 56 Case 4- RVB Please Vote 現時点で治療方針を変えますか? 1) 変更しない 2) 経口血糖降下剤 投与 3) 経口血糖降下剤+フィブラート 投与 4) フィブラート 投与 5) フィブラート + スタチン 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 57 Case 4- RVB Please Vote 現時点で治療方針を変えますか? 1) 変更しない 2) 経口血糖降下剤 投与 3) 経口血糖降下剤+フィブラート 投与 4) フィブラート 投与 5) フィブラート + スタチン 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 58 Case 4- RVB 2006年10月にフェノフィブラート投与開始 2007年7月にメトホルミンとrosiglitazone投与開始 rosiglitazone + メトホルミン 40 35 30 プラバスタチン フェノフィブラート (強い頭痛で中止) 25 GLUCOSE 20 CHOL HDL 15 TRIGS Hb1Ac 10 2008年6月 TG: 4,080 mg/dL TC: 473 mg/dL HDL: 138 mg/dL 血糖値: 216 mg/dL HbA1c: 8.1% 5 0 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 59 Case 4- RVB Please Vote 脂質代謝異常にどのように対処しますか? 1) 経口血糖降下剤を中止し、フィブラートのみを継続 2) 経口血糖降下剤を中止し、 フィブラートに強力な スタチンを追加 3) 経口血糖降下剤およびフィブラートを継続し、強力な スタチンを追加 4) インスリンに変更し、フィブラートは継続 5) メトフォルミンとロスバスタチンを投与 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 60 Case 4- RVB Please Vote 脂質代謝異常にどのように対処しますか? 1) 経口血糖降下剤を中止し、フィブラートのみを継続 2) 経口血糖降下剤を中止し、 フィブラートに強力な スタチンを追加 3) 経口血糖降下剤およびフィブラートを継続し、強力な スタチンを追加 4) インスリンに変更し、フィブラートは継続 5) メトフォルミンとロスバスタチンを投与 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 61 Case 4- RVB 2008年6月にインスリン投与再 ACE阻害剤とアスピリンを追加 インスリン、ACE、アスピリン 40 35 30 25 20 15 10 5 2008年10月 TG: 416 mg/dL GLUCOSE TC: 220 mg/dL CHOL HDL HDL: 35 mg/dL TRIGS 血糖値: 93 mg/dL Hb1Ac HbA1c: 6.3 % 0 第22回日本エイズ学会教育セッション 2008.11.27 62
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