世界共通言語としての 数理言語の提案 博士後期課程3年 小林 俊一 求められている世界共通言語 インターネット時代の新しい言語 コンピュータ処理に適した言語 数学的処理に適していて、 曖昧性がない言語 新しい世界共通言語の提案 新しい世界共通言語として 数理言語を提案 新しい世界共通言語の提案 Internet New Esperanto INE(イーネ) INE言語(イーネ言語) 関数形言語 INEの定式化の必要性 コンピュータ処理・数学的処理 に適した世界共通言語 ・ どの自然言語にも依存しない ・ 曖昧性がない 数学的に定式化 INEの定式化 Boolean Valued Function (BVF) 集合の分割 述語論理 INEの定式化 定式化の証明の正しさを ワルシャワ大学で開発された 証明検証システムMIZAR を用いて検証 Journal of FORMALIZED MATHEMATICS の4つの論文としてまとめた INE言語の考え方の基本 述語命題関数で文をモデル化 例えば、「私は行く」という文を 「行く(私)」という関数の形で表す 「行く(X)」と書けば、「Xは行く」 を意味する 1変数述語論理 真実 「私は行く」 「彼は行かない」 述語命題関数「行く(X)」を用い 「X = 私」を代入 行く(私)=TRUE 「X = 彼」を代入 行く(彼)=FALSE 「行く(X)」 1変数述語論理 2変数述語論理 「xがyより大きい」という文の場合 「大きい(x)(y)」という関数形で書ける x,yを定めれば、この関数の値が TRUE か FALSE かが定まる 「大きい(x)(y)」 2変数述語論理 INE言語の考え方の基本 全ての文を関数形で記述 述語命題関数 TRUE or FALSE を値とする関数 Boole値をとる関数 Boolean Valued Function (BVF) INEの定式化 1 関数形 述語命題関数 Boolean Valued Functionとして定式化 証明検証システムMIZARを用いて検証 Boolean Valued Function BVF(Y) = Funcs(Y,Boolean) Funcs(A,B) AからBへの写像の全体 Boolean = {TRUE, FALSE} BVF(Y)の要素の例 1 0 TRUE = 1 FALSE = 0 Y 1 0 Y Pj(a,x)の定義 1 0 x Pj(a,x) = a(x) x における a の値 Y a ‘<‘ b (a implies b)の定義 1 0 1 Y 0 Y a ‘<‘ b (a implies b)の定義 限定作用素 all Exist 「全ての」「ある」という表現 全ての人が、全ての本を読む。 全ての人が、ある本を読む。 read(All(book))(All(man)) read(Exist(book))(All(man)) 限定作用素 all Exist 「全ての」「ある」という表現 文章表現ではきわめて重要 集合の分割 「全ての」「ある」という表現 文章表現ではきわめて重要 「集合の分割」の考え方を Boolean Valued Function に導入 INEの定式化 2 「全ての」「ある」という表現 「集合の分割」を定式化 証明検証システムMIZARを用いて検証 分割(Partition)とは 空でない集合Y 分割(Partition)とは PA 空でない集合Y 分割の定義 最小の分割 %I(Y) 空でない集合Y 最大の分割 %O(Y) 空でない集合Y 分割のJoin演算子の定義 Y Y PA PB Y PA PB 分割のJoin演算子の定義 分割のMeet演算子の定義 Y Y PA PB Y PA PB 分割のMeet演算子の定義 b is_min_depend PA,PB b is_a_dependent_set_of PA Y 分割のJoin,Meet演算子の定理 結合法則 分割全体 PARTITIONS(Y) PA PD PB PE 集合Yの分割の全体集合 PC PF 複数の分割のJoin演算子の定義 PA G PB PC G PARTITIONS(Y) G = {PA,PB,PC} 複数の分割のJoin演算子 限定作用素を含む述語論理 ある人は全ての本を読む 全ての本はある人に読まれる x y P x y y x P x y という2変数述語論理の数式で記述される x,yは直交する座標であると考えられる 2変数述語論理 xがyを読む P(x,y) 3が2を読む P(3,2) 2変数述語論理 ここでは、例えば 1~4という人が (人は全部で4人) 1~4という本を読む(本は全部で4冊) とします 2変数述語論理 y (4,4) 4 (1,4) 3 3が2を読む P(3,2) (3,2) 2 1 (1,1) 1 (4,1) 2 3 4 x 2変数述語論理 y 4 3 TRUE 2 P(3,2)=T (3,2) 3が2を読む 1 1 2 3 4 x 2変数述語論理 ここでは、例えば 3という人が 1~4という本をすべて読む と仮定します 2変数述語論理 まず、 3 という 人 に着目して考えると・・・ 2変数述語論理 y (3,4) P(3,4)=T 3 (3,3) P(3,3)=T 2 (3,2) P(3,2)=T 1 (3,1) 4 3 2 4 1 P(3,1)=T x y 2変数述語論理 4 (3,4) 3 (3,3) 2 (3,2) 1 (3,1) 4 3 2 1 P(3,4)=T P(3,3)=T P(3,2)=T P(3,1)=T y P 3 y =T x y P x y =T x 2変数述語論理 次に、 1~4 の 本 に着目して考えると・・・ y P(3,4)=T P(3,3)=T P(3,2)=T P(3,1)=T 2変数述語論理 4 (3,4) 3 (3,3) 2 (3,2) 1 (3,1) 4 3 2 1 x xP xP xP xP x x x x 4 3 2 1 =T =T =T =T 2変数述語論理 xP xP xP xP P(3,4)=T P(3,3)=T P(3,2)=T P(3,1)=T y x x x x 4 3 2 1 =T =T =T =T x P x y =T 2変数述語論理 y y 3 x x y P x y =T 4 3 2 1 y x x P x y =T ある人は全ての本を読む 全ての本はある人に読まれる 2変数述語論理 y y 4 3 2 1 y x x P x y =T x x y P x y =T 3 全ての本はある人に読まれる ある人は全ての本を読む INEの定式化 3 x y P x y y x P x y 限定作用素を含む2変数述語論理を定式化 証明検証システムMIZARを用いて検証 CompF(PA,G) B_INF(a,PA) B_SUP(a,PA) などを定義 INEの定式化 3 x y P x y y x P x y x,yは座標であると考えられる 座標を定義 座標の定義 G 集合Yの分割の全体集合 PA PB PC PD PE PF 座標の定義 G PARTITIONS(Y) のとき G が 座標 G is_a_coordinate 座標の定義 次の 1~3の条件を満たすとき G is_a_coordinate と定義する 座標の定義 (条件1) Y G is_a_generating_family_of_partitions 座標の定義 (条件2) G = {PA,PB,・・・} PA A PB A B A PA PB B B G is_an_independent_family_of_partitions 座標の定義 (条件2) G is_an_independent_family_of_partitions 座標の定義 (条件3) G = {PA,PB,・・・} PB Y PA PA PB PA Y PB = %O(Y) CompF(PA,G)の定義 CompF(PA,G) = (G {PA}) 限定作用素の定義に必要なため (All, Exist) CompF(PA,G) PB G is_a_coordinate G = {PA,PB}の場合 PB Y PA G = %I(Y) Y CompF(PA,G) = PB G is_a_coordinate CompF(PA,G) G = {PA,PB,PC}の場合 PB PA PC G = %I(Y) CompF(PA,G) B_INF(a,PA)の定義 PA 1 0 B_INF(a,PA) Y 1 0 Y B_SUP(a,PA)の定義 PA 1 0 B_SUP(a,PA) Y 1 0 Y All(a,PA,G), Ex(a,PA,G)の定義 全称作用素 All All(a,PA,G) = B_INF(a,CompF(PA,G)) 存在作用素 Exist Ex(a,PA,G) = B_SUP(a,CompF(PA,G)) All(a,PA,G) PA PB G = %I(Y) G is_a_coordinate G = {PA,PB}の場合 Y PB Y CompF(PA,G) = PB All(a,PA,G) = B_INF(a,CompF(PA,G)) = B_INF(a, PB) All(a,PA,G) = B_INF(a,CompF(PA,G)) G = {PA,PB}のとき CompF(PA,G) = PB PB 1 a TRUE 0 1 All(a,PA,G) = B_INF(a,PB) Y TRUE Z Y All(a,PA,G) All(a,PA,G) PB Y A TRUE G is_a_coordinate G = {PA,PB}の場合 a PB TRUE TRUE Z TRUE TRUE Pj(All(a,PA,G),Z)=TRUE x A Pj(a,x)=TRUE Y G is_a_coordinate G = {PA,PB}の場合 Ex(a,PA,G) Ex(a,PA,G) PB Y A TRUE a TRUE Z Pj(Ex(a,PA,G),Z)=TRUE Y PB x A x Pj(a,x)=TRUE 2変数述語論理 数学の本で記述される x y P x y y x P x y という2変数述語論理は、BVFでは Ex(All(a,PA,G),PB,G) ‘<‘ All(Ex(a,PB,G),PA,G) 2変数述語論理 条件 G is_a_coordinate G = {PA,PB} PA PB Ex(All(a,PA,G),PB,G) ‘<‘ All(Ex(a,PB,G),PA,G) x y P x y y x P x y Ex(All(a,PA,G),PB,G) ‘<‘ All(Ex(a,PB,G),PA,G) 全体集合Y 条件 G is_a_coordinate PA G = {PA,PB} PA PB PB 2変数述語論理 y y 3 x x y P x y =T 4 3 2 1 x y x P x y =T ある人は全ての本を読む 全ての本はある人に読まれる Ex(All(a,PA,G),PB,G) ‘<‘ All(Ex(a,PB,G),PA,G) Ex(All(a,PA,G),PB,G) ‘<‘ All(Ex(a,PB,G),PA,G) 同値(定義) z Y: Pj(Ex(All(a,PA,G),PB,G),z) = TRUE Pj(All(Ex(a,PB,G),PA,G),z) = TRUE Ex(All(a,PA,G),PB,G) ‘<‘ All(Ex(a,PB,G),PA,G) z Y: 仮定 Pj(Ex(All(a,PA,G),PB,G),z) = TRUE 結論 Pj(All(Ex(a,PB,G),PA,G),z) = TRUE Ex(All(a,PA,G),PB,G) ‘<‘ All(Ex(a,PB,G),PA,G) PB TRUE y PA A x z A, x y B x B : Pj(a,y)=TRUE 仮定 Pj(Ex(All(a,PA,G),PB,G),z) = TRUE Ex(All(a,PA,G),PB,G) ‘<‘ All(Ex(a,PB,G),PA,G) PB z x A, y TRUE B B : Pj(a,y)=TRUE 仮定 Pj(Ex(All(a,PA,G),PB,G),z) = TRUE Ex(All(a,PA,G),PB,G) ‘<‘ All(Ex(a,PB,G),PA,G) PB D y z C, y x PA C y TRUE ? x D : Pj(a,x)=TRUE 結論 Pj(All(Ex(a,PB,G),PA,G),z) = TRUE Ex(All(a,PA,G),PB,G) ‘<‘ All(Ex(a,PB,G),PA,G) TRUE PA z y C, x D : Pj(a,x)=TRUE 結論 Pj(All(Ex(a,PB,G),PA,G),z) = TRUE Ex(All(a,PA,G),PB,G) ‘<‘ All(Ex(a,PB,G),PA,G) 仮定 PB 結論 PA Pj(Ex(All(a,PA,G),PB,G),z) = TRUE Pj(All(Ex(a,PB,G),PA,G),z) = TRUE 2変数述語論理 y y 仮定 3 x x y P x y =T 4 3 2 1 結論 x y x P x y =T 2変数述語論理 条件 G is_a_coordinate G = {PA,PB} PA PB Ex(All(a,PA,G),PB,G) ‘<‘ All(Ex(a,PB,G),PA,G) x y P x y y x P x y 2変数述語論理 条件 G is_a_coordinate G = {PA,PB} PA PB Ex(All(a,PA,G),PB,G) ‘<‘ All(Ex(a,PB,G),PA,G) 証明検証システムMIZARを用いて検証 2変数述語論理の定理 これ以外の 2変数述語論理の定理 に関しても証明可能 証明検証システムMIZARを用いて検証 INEの短所 1. 人間にとっては、自然言語に 比べて、入力しにくい 2. 理解しにくい INEの欠点の克服 INEの欠点の克服のため Writing Aid と呼ぶツールを開発 Writing Aidとは 1. INEの入力・表現ツール (INEを人間が簡単に扱えるように 開発した新しいソフトウェア) 2. 対話型同時多言語生成ツール 3. 翻訳支援ツール Writing Aidの構成 多言語をリアルタイムに目で見て確認 ユーザ Graphical User Interface 文章作成 に必要な 様々な情 報 キーボード マウス 入力 表記情報 構文情報 意味情報 辞書 INE 生成 ルール 言語生成 日本語 英語 デモ Writing Aid のデモを行います まとめ 1. 世界共通言語として数理言語を提案 2. 数理言語「INE」を数学的に定式化 3. その定式化の正しさをMizarで検証 4. INEの入力、表現ツールを開発 ご静聴ありがとうございました
© Copyright 2024 ExpyDoc