第3回 レポート 締め切り 12月29日17:00 就職に関する講演会の感想 講演会の後にレポートのことを言い忘れたので 締め切りを12月29日17:00まで伸ばします. 12月22日 談話解析 談話:一連の発話の系列 この章で扱う問題 談話構造を決定する問題 照応や省略などの指示に関する問題 談話によってもたらされる意味や効果に関する問題 談話構造 学生:先生,A社から内定をもらいました!! 先生:君の工学研修の発表はひどかったね. 談話は互いに関連性のある発話の列によって 構成される 文単位で意味が理解できても,談話の理解は できない 発話や談話単位の間の関連性 言語表現レベル 結束性(cohesion) 文法要素(指示,代用,省略,接続) 語彙的要素(同一語・同義語・上位語による繰り返し,関連語 の共起) 意味レベル 首尾一貫性(coherence) 言語的要素 非言語的要素(領域知識,常識,推論,連想など) 談話構造とその決定 談話単位:談話の意味の単位 談話構造の解析: 談話単位間の関係の決定 個々の文や発話の解釈に関与する単位を決定 談話構造 言語的構造 談話中の実際の発話例が作り出す構造 意図の構造 談話参加者の意図が作り出す構造 談話単位の目的とそれらの相互の関係から構成 支配と充足先行 支配:一方の充足が他方の充足に寄与 充足先行:一方が他方に先行して充足されなければならない 注意状態 談話の進行に伴う話者の注意の焦点を反映 合図句(手掛り語,談話マーカ, 談話助詞) 「さて」,「まず」,「ところで」 「たとえば」,「最初に」,「2番目に」,「最後に」 「たとえば」による談話構造の変化 注意状態 DSPA FSA 意図構造 注意状態 DSPA DSPB FSB DSPA FSA 意図構造 DSPA DSPB 談話内現象とその解析 照応解析アプローチ 推論過程の一部として取り扱う 指示表現の解釈のみを問題とする 指示表現と注意状態(焦点)の関係に基づく 指示表現の生成における制約も考慮 中心化理論(Centering Theory) 結束性 結束性が高い談話例 鈴木は黒板に書きながら説明していた(鈴) 金丸はいすに座って聞いていた(金) 彼は大きなあくびをした(金) 結束性が低い談話例 鈴木は黒板に書きながら説明していた(鈴) 金丸はいすに座って聞いていた(金) 彼は黒板消しで消し始めた(鈴) 中心化理論 談話中の各発話には「話の中心」が結び ついている 「話の中心」の移り変わりによって 談話の結束性が決まる 代名詞の使用の制限 曖昧な代名詞の先行詞に優先順位を与える 中心の定義 前向き中心:Cf(U) 後向き中心:Cb(U) 発話Uにおいて実現されている(Uが属する談 話単位中の)対象リスト Cfのうち,現在,話の中心になっている要素 優先中心:Cp(U) Cfの中でもっとも序列が高い要素(優先中心) Cbの遷移の優先順序 CONTINUE>RETAIN>SMOOTH-SHIFT>ROUGHSHIFT CONTINUE:先行文脈から引き継いだCbがその後も続く と予測される場合 RETAIN:それまで続いてきたCbが次には移動すると予 測される場合 SMOOTH-SHIFT:先行文脈からCbが移動した場合 (Cb がその後も続くと予想される) ROUGH-SHIFT:先行文脈からCbが移動した場合(Cbが 次には移動すると予測される) ゼロ代名詞への適用 Cf(前向き中心)ランキング (文法・ゼロ)主題>視点>ガ格>ニ格>ヲ格 >その他 文法主題:「ハ」でマークされた要素 ゼロ主題:ゼロ主題付与規則による 視点:話し手の共感がおかれる対象 授与動詞「(~して)やる」のガ格,「(~して)くれる」 のニ格 ゼロ代名詞 a.太郎i は花子j を映画に誘いました. b1. φiが 一日中何も手につきませんでした. b2. φjが 一日中何も手につきませんでした. Cb a Cf 遷移パターン 太郎 [太郎(主),映画(ニ),花子(ヲ)] b1 太郎 [太郎(ガ)] CONTINUE b2 花子 [花子(ガ)] SMOOTHSHIFT ゼロ主題付与規則 Ui中のゼロ代名詞がCb(Ui-1)を指すとき, CONTINUEの遷移を得る手段がほかにないなら, このゼロ代名詞をUiのゼロ主題としてもかまわ ない. ゼロ主題付与 a. 花子i は試験を終えて,教室に戻りました. b. φiガ 本をロッカーにしまいました c. いつものように道子j がφiニ 問題の解き方を説 明しだしました. d. i. φiガ φjヲ お昼に誘いました. d. ii. ?φjガ φiヲ お昼に誘いました. 中心の遷移 Cb Cf 遷移パターン a. 花子 花子<主>,教室<ニ> ,試験<ヲ> b. 花子 花子<ガ>,ロッカー<ニ>,本<ヲ> CONTINUE c. 花子 道子<ガ>,花子<ニ>,解き方<ヲ> RETAIN d.i. 道子 花子<ガ>,お昼<ニ>,道子<ヲ> ROUGH-SHIFT d.ii. 道子 道子<ガ>,お昼<ニ>,花子<ヲ> SMOOTH-SHIFT c. 花子 花子<主>,道子<ガ>,解き方<ヲ> ZTA-CONTINUE d.i. 花子 花子<ガ>,お昼<ニ>,道子<ヲ> CONTINUE d.ii. 花子 道子<ガ>,お昼<ニ>,花子<ヲ> RETAIN プラン認識に基づく理解 個々の発話 相手の心的状態(信念や意図)を変化させる行為 対話 世界に作用し何らかの目的(ゴール)を達成するた めの計画(プラン) 発話の理解 駅の案内所での客と駅員の会話 客:モントリオール行きの列車は何時に出発しますか. 駅員:3時15分に7番ゲートからです. ウィンザー行きの列車は何時に発車するかご存知ですか. 駅員:3時15分に出発します. 行為の記述 乗車(行為者,列車,駅) 制約:発車駅(列車,駅) 出発場所(列車,場所) 出発時間(列車,時間) 前提条件: いる(行為者,場所,時間) 効果:乗車状態(行為者,列車) 第4回 レポート 締め切り 12月29日10:30 照応解析 a. 鈴木は黒板に書きながら説明していた. b. 金丸はいすに座って鈴木の説明を聞いていた. c. 彼は大きなあくびをした. d. あごがはずれ,みんなに笑われた. c.の「彼」は誰のことか? 理由を述べよ d.の「あご」は誰のあごか? 理由を述べよ. 理由はなるべくたくさん考えてください.
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