「結婚」のスクリプト分析 グループ4 藤森 安奈 宮崎 洋平 加藤 健 研究について <研究の目的> 多くの人が経験する「結婚」という人生の中のイベント。 現代の日本人はどういうものとして 捉えているのかを探る。 <分析方法> 新聞の投書の中で「結婚」という言葉が含まれたも のを対象としたスクリプト分析。 「結婚」についていわれている一般論と比較し、それ が人々の意識下のレベルでデータにいかに反映さ れているか、またはどう異なっているかを見る。 データソース・参考文献 <データソース> 朝日新聞の1984年2005年までの投書、1486件 <参考文献> 『人はなぜ結婚するのか 』 小浜逸郎著 草思社 1992年発行 『結婚の社会学:未婚化・晩婚化はつづくのか』 山田昌弘著 丸善株式会社 1996年発行 『女はすべからく結婚すべし』 島田裕巳著 中央公論新社 2004年発行 分析する上で注目したポイント 男女間の結婚観のずれ 仕事と結婚の関係 データの特性・注意点 投書は全てが「結婚」について語られている ものではないため、出現頻度の高かった言葉 が、直接「結婚」と関連していない場合もある と思われる 性別が明らかでないため、文脈から予想 一般論1 女性にとっての方が 結婚は重要なものである 女性誌では結婚について繰り返し 特集が組まれている しかし 同じ年代向けの男性誌ではほとんどそうした 特集は見られない ⇒多くの女性は結婚に強い関心を持って いるが、男性はそうでない場合が多い 係り受け一覧表から見られるデータ <対象となる係り受け> 性別を表す名詞 ⇒ 結婚する 頻度 女性 娘 男性 息子 長男 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ 結婚する 18回 結婚する 15回 結婚する 11回 結婚する 7回 結婚する 5回 「女性」や「娘」が結婚することが 語られている場合が多い 「長男」という言葉が登場するのは 日本特有の「家制度」が表れている ためかもしれない 注意点 先ほどの表では女性について語っているケースと 男性について語っているケースの数に あまり大きな差が見られない。 以下の「私⇒結婚する」と「夫⇒結婚する」の ケースの中で女性が語っているものが多く含まれる。 私 夫 ⇒ ⇒ 結婚する 結婚する 56回 10回 ⇒女性の方が結婚について語っている場合が多い 基礎意味チャンク一覧表を用いて さらに詳しく分析 女性⇒結婚する の場合 女性 は 結婚する 6回 と 結婚する 13回 が 結婚する 6回 例文 女性-は-結婚する: 働く環境を整えることと並行して進めなければ、女性はますます 結婚することや子供を産むことへの不安ばかりを抱えることに なるのではないだろうか。 一般に女性は結婚すると、大多数は男性に従う形で夫の姓になりますが、 結婚式の形態にも同じことが言えると思うのです。 女性-と-結婚する: いとこが韓国の女性と結婚することになり、来日した彼女のご両親に、 私も息子と共に会いに行きました。 彼の手紙には別の女性と結婚することになったこと、 ついては別れの時間を持ちたいということが書いてあった。 女性-が-結婚する 私は今年、就職活動でさまざまな企業を訪れ、女性が結婚して子供を産んでも 続けられる環境にある職場がいかに少ないかということを感じた。 女性が結婚し子供を育てながら働き続けるのは容易ではありません。 例文から言える事 「女性-と-結婚する」の文の中で ・「私が-女性-と-結婚する」のように 男性が語っているものは非常に少ない ・多くは知人が「女性-と-結婚する」のように 人について説明するものが多かった ⇒やはり、「結婚」は女性が多く語っている 結果 一般論1: <女性にとっての方が結婚は重要なものである>の検証結果 「結婚」は男性にとっては「イベント」 女性にとっては「生まれ変わり」 男性は結婚により「人生のコース」が変わる事があまりない e.g.男性が結婚したため退職するケースはほとんど見られない 多くの女性は結婚する際、相手の親と同居するか、 仕事を続けられるか、子供ができたらどうするか、などの 事を考える必要がある 結果 女性は「家庭内役割」によって自分の社会的役割を 見出している場合が多い ⇒「~の娘」、「~の妻」、「~の母」 多くの場合は女性が相手の姓に変える ⇒民法七五〇条によると、妻の姓に夫が変える事も 可能だが、実際そうする人は少ない つまり 結婚から女性の人生がはじまる という見方が 日本人には根強く存在している 一般論2 女性の結婚において 仕事は無視できない要素である 女性の「結婚」と「仕事」の関係 女性の自立、社会進出の増加に伴う 「結婚すなわち退職」といった結婚観の変化 女性の「結婚」と「仕事」の関係を 新聞投書欄から読み取る。 係り受け一覧表から見られるデータ <対象となる係り受け> 仕事 結婚 ⇒ 続ける 11回 ⇒ する 8回 ⇒ 持つ 5回 ⇒ やめる 5回 ⇒ 考える 3回 ⇒ 働く 4回 想定された通り、結婚において仕事は無視できない要素の一つであり 仕事を続けるか、続けないかの議論がされている 例文 女性が結婚し子供を育てながら働き続けるのは 容易ではありません。 女性の中にも結婚後は家庭に入りたい人もいる だろうし、逆に仕事を続けたい人もいると思います。 延長保育、低保育料の保育所への改善をすれば 働く女性の結婚や出産も増えるでしょう。 ⇒結婚と仕事の両立の厳しさについて 語っている内容が多い。 特徴別に分析 1.一般論としての女性の結婚と仕事の関係(一般論) ex)今では結婚・出産後も仕事を続ける人が増えている。 2. 「私」の希望における結婚と仕事の関係(希望) ex)私は将来、拒食症が完治したら、結婚して子供を産み 「パラサイト」期間中に取得した翻訳実務士の資格を生かし 働きたいと思っています。 3. 実際の経験からの「私」の結婚と仕事の関係(経験) ex)結婚しないで男の人と同じように働き続けるんだと思っていたのに 縁あって結婚、出産。 4. 身近な知り合いの結婚と仕事の関係(経験) ex)会社時代の友人五人中、結婚後も仕事をしている人は 三人いますが、子供が出来ても続けている人はわずか一人です。 特徴別の相違 <一般論や希望の場合> ・結婚と仕事の両立は大変だが 結婚後の女性の社会進出は今後増えていくだろう。 ・結婚後も仕事を続けたい。 <経験の場合> ・結婚と仕事の両立は思った以上に大変だ。 ・結婚を機に仕事をやめた。 ・結婚をしていることを理由に仕事を断られた。 考察 女性が結婚と仕事を両立する事に対して 否定的な声はほとんどない。 結婚と仕事を両立するための制度、仕組みは 増やすべきだし、増えていくだろう。 →もはや結婚するから 仕事を辞めるのが当たり前という風潮は無い。 一方で 原文より 結婚しないで男の人と同じように働き続けるんだと 思っていたのに、縁あって結婚、出産。 この仕事の忙しさは、結婚前から知っていましが、 一緒に生活をするようになると、異常ささえ 感じるようになりました。 ⇒結婚経験者の発言から、結婚して仕事を 続ける事の難しさは想像以上である事がわかる。 育児が仕事の負担 結婚して子供ができた友人は 「残業とは両立できない」「周りがみなそうする」 などの 理由で専業主婦になるか、私のように結婚後も 仕事を続けて夫婦2人だけのパターンだ。 会社時代の友人五人中、結婚後も仕事をしている人は 三人いますが、子供が出来ても続けている人は わずか一人です。 ⇒結婚生活において特に育児が仕事の負担となっている 結果 「結婚をしたら仕事を辞めなければいけない」 という風潮はもはや無くなった。 実際の環境は、女性が結婚と仕事を 両立させるにはまだまだ遠い。 仕事との両立において出産、育児が 特に負担となっている。 結論 現代の日本の「結婚」は、男性に比べ 女性の方が変わる事を要求される場合 が多い 女性の結婚、仕事の自立が大事なもの だとされているが、実際はまだまだな 部分が多い 日本の現状 その背景には 男女平等が未だ日本で 実現されていない という事実が 影響しているのではないか
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