全二重通信と半二重通信の混在環境における問題

全二重通信と半二重通信の
混在環境における問題
九州大学 システム情報科学府
情報知能工学専攻
林 健太朗
目次
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全二重と半二重の混在環境
この通信が起こる条件
半二重に設定される原因
同軸ケーブルでの半二重通信
ツイストペアケーブルでの半二重通信
問題のメカニズム
問題への対策
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全二重と半二重の混在環境

一方が全二重通信に、もう一方が半二重通信に設
定されている場合、半二重側から全二重側への通信
速度が極端に落ちる。
1kbps程度の通
信速度でしか送
信できない。
100M
半二重
100M
全二重
3
この通信が起こる条件



一方がオートネゴシエーションに、もう一方が全二重
固定に設定されている場合
オートネゴシエーションは半二重を選択する。
このような設定は一般的に起こりうる。
優先順位
規格
モード
1
100base-Tx
Full
2
100base-T4
-
3
100base-Tx
Half
4
10base-T
Full
5
10base-T
half
表1:オートネゴシエーションの設定優先度
どちらもオートネゴシエーションの場合
FLPバースト
auto
auto
FLP(Fast Link Pulse)バースト
のやり取りにより、最適な同じ
規格に設定される。
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半二重に設定される原因
片方のみオートネゴシエーションの場合
FLPバースト
auto
×
FLPバーストを受け取らないので
流れる電気信号から判断する
?固定
NLP(Non Link Pulse)⇒10BASE-T
アイドル信号
⇒100BASE-Tx

電気信号からは全二重であるのか、半二重であるの
か判断できない。

仕様により半二重が選択される。
5
同軸ケーブルでの半二重通信
同時に送信が行われて衝突が発生した時は
CSMA/CDに基づき、以下の処理がなされる
①電気信号の揺らぎから衝突を検知
②フレーム送信の中止、およびJAM信号の送信
③JAM信号を受信した場合、フレーム送信の中止
④ランダム時間後再送

①
半二重
②
半二重
JAM
③
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ツイストペアケーブルでの半二重通信

送信と受信が同時に起こった時、擬似的に衝突が発
生したと判断している。
ツイストペアケーブルの通信路は送信用と受信用の2つ
に分かれているため、衝突が発生しない。
送
受
半二重
半二重
受
送
擬似的な衝突検知。以降の処理は同軸ケーブルの場合と同様
JAM信号の送信とフレームの再送が行われる。
7
問題のメカニズム

全二重と半二重の混在環境において、送信と受信が
同時に発生した場合。
半二重側では衝突が発生したと判断してフレーム送信を中断し、
JAM信号を送信する。
送
受
半二重
全二重
受
送
全二重側では送信と受信が同時に起こることは通常の動作。
当然、フレーム送信の中断などしない。
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問題のメカニズム

全二重と半二重の混在環境において、送信と受信が
同時に発生した場合。
半二重側では衝突を検知したのでJAM信号を送信する。
(ただし送信側の線のみ)
送
JAM
受
半二重
全二重
受
送
全二重側では受信したJAM信号を無視する。
つまり、送信を中断しない。
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問題のメカニズム

全二重と半二重の混在環境において、送信と受信が
同時に発生した場合。
半二重側ではフレームの再送を試みる。しかし、
全二重側の送信は中断されないため、再送のタイミングが少ない。
送
×
受
半二重
全二重
受
送
少しずつしか送信できないため送信バッファに
パケットがたまり、いずれパケットロスが起こる。
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問題への対策

両エンド端末でこの問題を解決するためには?
 同時に送信が起こることを回避

エンドエンドの通信路で、絶対に送信が同時に起こらないように制
御
 頻繁に同時送信が起こることを回避

パケットとパケットの間隔を大きくして再送可能なタイミングを増や
し、再送させやすくする。
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参考サイト

シスコム株式会社:技術情報
 http://www.syscom-net.co.jp/tech/index.htm

小久保にもわかる!ネットワーク講座
LANとEthernet後編
 http://ehos.hp.infoseek.co.jp/Ethernet2.html

NETWORK:STUDY
オートネゴシエーションってなに?
 http://www.n-study.com/network/autonego.htm
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