分散システム特論 岡村耕二 インターネットの歴史と運用 • 1969年 ARPANET (Advanced Research Projects Agency Network) – 国防総省がスポンサー • 1980年 NSFNET (National Science Foundation Network) – 全米科学財団 • 1990年 商用インターネットの急成長 – WWW,電子メールの普及 分散システム特論 2 インターネットに関連する組織 • 1984年 インターネットアーキテクチャ委員会 (IAB) – RFC 発行開始 • 1992年 インターネット学会(ISOC; Internet Society) – IAB はISOC の一部となる 分散システム特論 3 インターネットの運用 インターネットガバナンス • 1988年 IANA (Internet Assigned Numbers Authority) – IPアドレス、ドメイン名、TCP/IPなどで使用するパラメー タ(ポート番号など)の割り当て管理を行う。 • 1993年 ネットワーク情報センター(NIC) – InterNIC (北米) – RIPE NCC (欧州) – APNIC (アジア太平洋) • JPNIC • 1998年 IANA → ICANN (The International Corporation for Assigned Nmaes and Number) 分散システム特論 4 ICANN • ICANN – IPアドレス、ドメイン名、プロトコルパラメータなどのイン ターネット資源の割当の調整を世界規模かつ民主的に行 う。 • ドメイン名支持組織 – 営利、非営利企業、レジストラ、通信事業者、など • アドレス支持組織 – ARIN(旧 InterNIC),RIPE NCC, APNIC • プロトコル支持組織 – IETF, W3C, ITU, ETSI 分散システム特論 5 ICANN • IEPG (Internet Engineering Planning Group) – ISPに対する技術援助、運用ポリシの調整 • CERT (Computer Emergency Response Team) – コンピュータネットワークへの不正侵入などの方 法を解析し対策を研究する。 分散システム特論 6 インターネット技術の開発と標準化 • ISOC (インターネット学会) – IAB (アーキテクチャ委員会) • IRTF 次世代技術委員会 – 標準化は行わないが、先進技術の研究を担当 – 必要であればIETFに標準化を提案 • IETF 技術標準化委員会 – RFC による技術標準化に責任を持つ – 年3回のミーティング、電子メールによる議論 – IESG(運営管理委員会) » 複数のワーキンググループによって遂行 » http://www.ietf.org • ISTF 社会政策委員会 分散システム特論 7 RFCのできるまで • アイディアが浮かぶ – 個人、WGで提案 Internet Draft • IETF で6ヶ月保存 • IESG が標準化すべきと判断 – Proposed Standard • RFC 番号 • 実装、テスト • 6ヵ月後 IESG審議 – Draft Standard • 4ヶ月の運用試験 • STD 番号の付与 • RFC – Informational – Experimental – Historical 分散システム特論 8 日本におけるインターネットの歴史 • 1984年 JUNET (インターネットではない) • 1988年 WIDE プロジェクト – 1990年 九州大学 WIDE プロジェクトに接続 • 大阪大学と 64Kbps • 1993年 – 日本インターネット協会 (IAJ) – 日本での商用ネットワークの始まり 分散システム特論 9 講義のすすめ方 • RFC 選ぶ。 • その RFC に基づいて実装されているソフトウェアを 見つける。 • そのソフトウェアと照らし合わせながら RFC の仕様 を発表形式で紹介する。 • RFC の仕様と照らし合わせて実装されているソフト ウェアの • 重要と思われるコード部分を説明する。 • ソフトウェアの実行結果を示す。 • A4 x 4 程度のレポートを提出する。 • 韓国と遠隔講義の予定 分散システム特論 10 韓国との遠隔講義 • 韓国大学院生などの遠隔参加 • 先方から質問、発表 • 90分のうちいくらかは韓国人との交流に利 用可 分散システム特論 11 参考 • http://okaweb.ec.kyushu-u.ac.jp/lectures/ds/ – いままでの講義の発表・レポート • http://gembu.ec.kyushu-u.ac.jp/cgi-bin/Internet/namazu.cgi – インターネット文書の検索 分散システム特論 12 スケジュール • • • • • • • • • • • • 10/06 10/20 10/27 11/10 11/17 12/01 12/08 12/15 01/12 01/19 01/26 02/02 ガイダンス 発表内容確定・韓国人と顔合わせ 第1回目発表開始 休講かも 休講 分散システム特論 13 おまけ • ネットワーキングの基礎 分散システム特論 14 階層とプロトコル (OSI 参照モデル) アプリケーション層 プロトコル アプリケーション層 プレゼンテーション層 プロトコル プレゼンテーション層 セッション層 プロトコル セッション層 トランスポート層 プロトコル トランスポート層 ネットワーク層 プロトコル ネットワーク層 データリンク層 プロトコル データリンク層 物理層 プロトコル 分散システム特論 物理層 15 物理層 • ビット列 – 64Kbps, 1Gbps • 電圧などの電気的条件 – リンクがあがる 分散システム特論 16 物理層 • ケーブルそのものではない – 物理層 → ビット列 • 001000111100010001001110 – 標準化された物理層の規格にあったケーブル • デジタルであることが前提 – メタルケーブルは必ずしも物理層ではない – アナログケーブルは通信とは関係ない 分散システム特論 17 データリンク層 • • ビットパターンをフレーム 8ビット=1バイト – 001000111100010001001110 – 00100011 11000100 01001110 – 23 D8 8E • • 送り元・あて先という概念 イーサネット – MAC アドレス(48bit) • 00:50:56:8A:00:00 • ベンダ固有 24bit – 最初の 24bit を見ればメーカの察しがつく • • • 同一物理ネットワーク間のみ スイッチングハブ L2 スイッチ 分散システム特論 18 UNIXの ifconfig コマンド $ ifconfig vmnet1 vmnet1 Link encap:Ethernet HWaddr 00:50:56:8A:00:00 inet addr:192.168.34.1 Bcast:192.168.34.255 Mask:255.255.255.0 UP BROADCAST RUNNING MULTICAST MTU:1500 Metric:1 RX packets:223989 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0 TX packets:247923 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0 collisions:0 txqueuelen:100 MACアドレスは、LANアダプタ固有である。 分散システム特論 19 MAC アドレスからベンダを調べる • http://coffer.com/mac_find/ 分散システム特論 20 データリンク層通信 • MAC アドレス: イーサネットカード固有 • イーサネットカードは自分の MAC アドレス のフレームのみを受信する – ハードによる処理 – OS によらない 分散システム特論 21 データリンク層通信 • 通信容量:フレームの流量 – CSMA/CD • スイッチによって関係ない部分にフレームが出ないようにで きる。 • 関係ない部分→ MAC アドレスで判断 分散システム特論 22 ネットワーク層 • • • • インターネットの重要な階層 IPv4、IPv6 通信の単位: パケット スイッチング・ルータ、L3スイッチ 分散システム特論 23 ルータとスイッチングルータ • ルータ – ネットワーク層でパケット交換 • スイッチングルータ – 2.5層でフレーム交換 – L3スイッチ • 機能(経路制御など)は変わらない。 分散システム特論 24 ネットワーク層 • 経路制御 – 同一物理ネットワークを越えた通信 – ルータ • IP アドレス – IPv4: 32bit • 133.5.1.1 – IPv6:128bit • 3ffe:501:2c24:a00:202:e3ff:fe00:10c5 • 2001:248:180:300:202:e3ff:fe00:14ea • IP アドレス • ネットワークアドレス+ホストアドレス 分散システム特論 25 IPアドレス • 九州大学内のサブネットマスクは基本的に、 24ビット – ネットマスク 255.255.255.0 • 133.5.X.0 – ネットワーク識別子 • 133.5.X.255 – ブロードキャスト識別子 • 133.5.X.1 ~ 254 – ホスト識別子 分散システム特論 26 IPアドレス • 32ビット • 133.5.1.2 – 133*256^3+5*256^2+1*256+2 – 2231697666 $ ping 2231697666 PING 2231697666 (133.5.1.2): 56 data bytes 64 bytes from 133.5.1.2: icmp_seq=0 ttl=249 time=106.0 ms http://2231697666 分散システム特論 27 トランスポート層 • プロセスとプロセスの通信 • TCP – 信頼性があるが、速度が不定 • メール、WEBアクセス • UDP – 信頼性がないが、 速度は一定 • マルチメディア通信 分散システム特論 28 トランスポート層 • IPアドレスだけでは識別子が足りない – ホスト内でもっと細かく識別できる必要がある • プロセス • ウインドウ – IP Address + Port = トランスポートアドレス • ポート番号 – 16bit • 特定のサービスを固定的に割り当てる – 25: 電子メール – 80: WWW 分散システム特論 29 決められたポート番号 http://www.iana.org/assignments/port-numbers The range for assigned ports managed by the IANA is 0-1023. Port Assignments: Keyword Decimal Description References ------------- -------------------0/tcp Reserved 0/udp Reserved # Jon Postel <[email protected]> tcpmux 1/tcp TCP Port Service Multiplexer tcpmux 1/udp TCP Port Service Multiplexer # Mark Lottor <[email protected]> compressnet 2/tcp Management Utility compressnet 2/udp Management Utility compressnet 3/tcp Compression Process compressnet 3/udp Compression Process # Bernie Volz <[email protected]> 分散システム特論 30 通信アプリケーション • 電子メール – SMTP/POP/IMAP • WWW – HTTP/FTP • DNS – DNS • VoD – RTSP • テレビ会議 – RTP 分散システム特論 31 通信アプリケーション • 一定の手順(プロトコル)に従って動作してい る • インターネットの通信プロトコルは RFC とし て公開されている • どのように実現されているかプログラムによっ て固有 – 設定方法がプログラムによってまちまち • 通信プロトコルの重要な部分を押さえておけ ば設定すべき箇所は予想がつく 分散システム特論 32 メールソフト • メール配送サーバ – SMTP • メール受信サーバ – POP/IMAP • メールフォルダの設定などは通信機能とは別 の次元の話 分散システム特論 33 通信アプリケーション • プロトコルは公開されている • 物理層からすべて公開されている – ビット列 – フレーム列 – パケット列 – パケットに含まれるデータ内容 – ポート番号から既知のサービスは察しがつく • ビット列がわかれば、通信内容は全て解析可 能 分散システム特論 34 通信の仕組み • コンピュータにとって MAC アドレス が重要 • 人間にとって ホスト名・IPアドレス が重要 • ホスト名 → IP アドレス – DNS – www.kyushu-u.ac.jp → 133.5.1.2 • IP アドレス → MAC アドレス – ARP (Address Resolution Protocol) 分散システム特論 35
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