人材育成を踏まえた 技術職員の人事交流について 舞鶴工業高等専門学校 教育研究支援センター 釣 健孝 概 要 平成23年9月より技術職員の人事交流で、 3年間の予定で沖縄高専から舞鶴高専に 異動 人事交流は、独立行政法人高等専門学校 機構の第二次中期計画の一として行って いる 中期計画において人事交流の期間は特に 定められていないが、沖縄高専と舞鶴高 専との合意により、概ね3年間を予定 本発表では、この人事交流について当事 者として、私見を述べる 第一次中期目標(H16~20) Ⅱ 国民に対して提供するサービスその他の業務の 質の向上に関する目標を達成するために取るべき 措置 4 管理運営に関する目標 機構としての迅速かつ責任ある意思決定を実現す るとともに、そのスケールメリットを生かし、戦略的 かつ計画的な資源配分を行う。また、統一的な会計 システム導入を始め、事務の電子化、合理化、アウ トソーシングを促進する 事務職員の資質の向上のため、国立大学法人など との人事交流を図るとともに、必要な研修を計画的 に実施する 中期計画としては・・・ 4 管理運営に関する事項 (① ~③ 省略) ④ 事務職員や技術職員の能力の向上のため、必 要な研修を計画的に実施するとともに、必要に応じ 文部科学省などが主催する研修や企業・地方自治 体などにおける異業種体験的な研修などに職員を 参加させる ⑤ 事務職員については、国立大学との間や高等 専門学校間などの積極的な人事交流を図る ※技術職員の人事交流については、謳われていない。 第二次中期目標(H21~25) Ⅱ 国民に対して提供するサービスその他の業務 の質の向上に関する目標を達成するために取るべ き措置 4 管理運営に関する目標 機構としての迅速かつ責任ある意思決定を実現す るとともに、そのスケールメリットを生かし、戦略的 かつ計画的な資源配分を行う。また、統一的な会 計システム導入を始め、事務の電子化、合理化、 アウトソーシングを促進する 事務職員の資質の向上のため、国立大学法人な どとの人事交流を図るとともに、必要な研修を計画 的に実施する(以下、省略) 第二次中期計画で 4 管理運営に関する事項 (①~③および⑥は省略) ④ 事務職員や技術職員の能力の向上のため,必 要な研修を計画的に実施するとともに,必要に応じ 文部科学省などが主催する研修や企業・地方自治 体などにおける異業種体験的な研修などに職員を 参加させる ⑤ 事務職員及び技術職員については,国立大学 との間や高等専門学校間などの積極的な人事交 流を図る ※技術職員の人事交流について明記 高専機構が定める昇格基準 (理事長裁定) (技術専門員) 第2条 技術専門員の配置は,次の各号に掲げるところに基づ き,極めて高度に専門的な技術を有することが客観的に明ら かな者の中から行うものとする 一 職務に関する技術系の国家資格試験(大卒程度を想定した試験以 上。ただし,国家公務員等の採用試験は除く。)に合格した者 二 職務に関する特許取得等の独創的な技術開発を行った者 三 学会賞等を受賞した者 四 科学技術研究費補助金等の公募採択型の各種補助金を受けた者 五 修士以上の学位を有する者 六 学会等において職務に関連する論文の発表(査読付)を行った者 七 その他,校長が前各号と同等以上の資格等を持つと判断した者 2 前項第七号に該当するものとして技術専門員に配置する場 合は,あらかじめ,別紙様式1により理事長に協議を行うも のとする (技術専門職員) 第3条 技術専門職員の配置は,次の各号に掲げるところに基 づき,高度の専門的な技術を有することが客観的に明らかな 者の中から行うものとする 一 前条第二号から第五号までに該当する者 二 職務に関する技術系の国家資格試験(国家公務員等の採用試験 は除く。)に合格した者 三 技術発表会等において職務に関連する技術発表等を行った者 四 学会等において職務に関連する論文発表等を行った者 五 その他,校長が前各号と同等以上の資格等を持つと判断した者 2 年度末年齢が33歳以下の者を技術専門職員に配置する場 合は,あらかじめ,別紙様式2により理事長に協議を行うも のとする 古い体質の技術職員からの脱却 • 教員のいいなり • 学科とのしがらみ • 向上心のなさ • 他高専との情報(技術)交換が滞っている • etc・・・・ 新しい技術職員(組織)へ変貌<=機構本部の ねらい? • アウトプット • 地域貢献 • 探究心 • 幅広い技術力と知識 • etc・・・ 一つの方法として、 人事交流が 挙げられている 人事交流に至るまでの経緯 昭和58年 富山高専採用 平成16年 富山高専から新設の沖縄高専に異動 (配置換え) 平成22年 他機関との人事交流予定(ご破算) 平成23年9月 舞鶴高専との人事交流(3年間) 人事交流の理由は? 組織のリーダとしてのマネジメント 技術者としてのアウトプット まだまだ力不足 修行してこい 事務職員の人事交流(異動?) 3~5年を目途に行われている 学内や高専間だけでなく、近隣の大学等も含 めた交流 職員としてのキャリアアップ(ステップアップ) 等が目的 異動することで、係長ポストなどを奪い合う (競争意識を持たせる) 技術職員の人事交流 期間は特に定められてない 学内や高専間だけでなく、近隣の大学等も含 めた交流を目的としているが、まだ前例がない (異動はある) 技術職員としてのスキルアップが目的 スキルアップする中でアウトプットも必要になる 高専の技術職員にもスキルプットやアウト プットが求められてる=>昇格基準 人事交流の流れ(本来の流れ) 人事交流希望者を募る 各高専の人事を通して、高専機構本部の交 流希望名簿に載る 高専機構本部より各高専に交流希望者名簿 一覧が配布(公示?) 高専間同志で調整(マッチング)し、本人へ確 認 人事交流の決定・実施 現実には・・・ 交流希望者が少ない マッチングが難しい(交流希望者の年齢、専 門、期間等) 事務と違い、技術者としての立ち位置が難 しい(学校よりさまざま) ある程度の年齢になれば、技術専門職員 (係長級)に上がれる=>向上心がなくなる 等々の問題点はある 沖縄高専と舞鶴高専の比較 沖縄高専 舞鶴高専 開校 平成16年 昭和39年 (創立9年目) (創立48年目) 学科数 4学科(機械、情報 4学科(機械、電気、 系2、生物) 制御、建設) 技術職員数 10名 12名+4名 背景 高専として最後に 開校 地域振興策 軍港として栄えた 造船関連が中心 (現在は下火) 今回の人事交流者の概要 現 在 年齢(異動当時) 職 名 専 門 人事権 釣 対象者 舞鶴高専 沖縄高専 49 36 技術専門職員 技術職員 情報・ネットワーク 電子回路・制御 沖縄高専 舞鶴高専 人事交流と人材育成 人事交流は人材育成につながる? キャリアアップ・スキルアップだけを目的とし ない 違う環境で自分を試す 交流期間中も目的意識を持つ 当事者のモチベーション次第か? 当事者として 何しに来たの?(受け入れ側) 何をしてきたの?帰ってこなくていいよ(送り出 した側) と言われないためにも・・・ 新しい環境でスキルアップを目指す 組織の一員として協力と協調する 交流中、積極的にアウトプットをする 組織のマネジメントに関わる 組織として 送り出す • 当事者を含めた引き継ぎを行うことで、新 たな体制作り • 業務の整理と再配置 受け入れる • 当事者が慣れるまでのバックアップ体制 • 組織としての新たな信頼関係の構築 • 業務の見直しと振り分け 人事交流で得られるものは・・・ 当事者も組織も、仕事の整理や仕分けをする ことで、業務の見直しができる 当事者からの意見を聞くことで、組織全体に 新たな発見や方法が導き出されるかも 他高専(機関)との情報交換が進む 風が吹くことで、交流当事者以外でも 人材育成ができる(かもしれない) 課題はないのか? 交流希望者が少ないのでマッチングが難しい 事務と違い、学校により技術職員の立ち位置 が違う 当事者のモチベーション次第で、お互いが不 幸になる可能性もある 交流中の人事権 交流後に元の学校に戻れる保証と身分保障 年齢的なこと(若手の技術職員がいいので は?) まとめ 技術職員の人事交流は、まだ始まったばかり 交流希望者のマッチングが鍵 人事交流で得られるものは、当事者だけでな くお互いの組織も刺激を受ける 当事者だけでなく、組織としても人材育成に つながる 若い年代(採用して5年くらい?)に経験して もらいたい 謝 辞 このような人事交流の機会を与えて頂いた、 沖縄高専技術支援室、技術長 屋良朝康氏、 同副技術長 藏屋英介氏、同主査 佐竹卓 彦氏、舞鶴高専教育研究支援センター総括 眞柄賢一氏 には、大変なご尽力を賜りまし た。ここに深く感謝いたします。 交流中の目標達成について • 交流中の目標は、2つ 「アウトプット・自己研鑚」 =>複数の査読付き論文 「組織マネジメント」 =>組織運営のためのマネジメントを学ぶ(経 験を積む) ーアウトプット・自己研鑚ー • • • 査読付き論文は、まだ達成してない 平成25年度中には少なくとも2つの査読付き論文 を達成する(高専教育等) 舞鶴高専在職中、舞鶴高専を足がかりとした自己 研鑚(学科の特徴を生かしたもの?)をする =>科研費等 ー組織マネジメントー • • 組織運営について、組織内だけでなく組織と 他の組織との関わり =>良くも悪くも、新しい学校と古くからある 学校のギャップを感じた 人・グループの動かし方、仕事の割り振り、 人事について関わる =>問題解決に積極的に協力する
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