「情報化と職業倫理」 ~ 社会保障行政に携わる理数系官僚の立場から ~ 〔 2日目 〕 厚生労働省年金局数理課 数理調整管理室 室長補佐 西岡 隆 4.政府における電子化・情報化の変遷と現在の取り組み 〔 政府におけるIT戦略のこれまでの歩み 〕 – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – H6.8 高度情報通信社会推進本部を内閣に設置 H12.7 情報通信技術戦略本部を内閣に設置/IT戦略会議を設置 H12.11 IT基本戦略 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)が成立 H13.1 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)を内閣に設置 e-Japan戦略 H13.3 e-Japan重点計画 H13.6 e-Japan2002プログラム H14.6 e-Japan重点計画-2002 H15.7 e-Japan戦略Ⅱ H15.8 e-Japan重点計画-2003 H16.2 e-Japan戦略Ⅱ加速化パッケージ H16.6 e-Japan重点計画-2004 H17.2 IT政策パッケージ-2005 H18.1 IT新改革戦略 H18.7 重点計画-2006 H19.4 IT新改革戦略政策パッケージ H19.7 重点計画-2007 H19.11 ITによる地域活性化緊急プログラム骨子 H20.2 ITによる地域活性化緊急プログラム H20.6 IT政策ロードマップ 〔総理官邸 高度情報通信ネットワーク社会政策推進本部ホームページより〕 〔総理官邸 高度情報通信ネットワーク社会政策推進本部ホームページより〕 IT政策ロードマップ (平成20年6月11日、IT戦略本部) (基本的考え方) 「IT新改革戦略」に位置づけた2010年頃の目標の実現を図りつつ、かつ、2010年以降 の政策の展開も視野においた上で、取組の強化が特に必要な以下の3分野について、 今後の方向性と具体的段取り(工程表)を示すために策定 ① 国民本位のワンストップ電子行政、医療・社会保障サービスの実現 – – ライフイベントごとの複数の行政手続きが一か所で完結 レセプトオンラインと社会保障カード(仮称) ② ITを安心して活用でき、環境に先進的な社会の実現 – インターネット上の違法・有害情報から利用者が守られる社会の形成、国民が安 心してITの利便性を享受できる、世界の規範となる環境を実現 – 温暖化対策と経済成長の両立を可能とする低炭素社会の実現に貢献する。 ③ 「つながり力」発揮による経済成長の実現 – 以下の5つの取組を有機的に連携させ、総合的に展開して、ITによる新しいビジネ スや市場(ITクリエイティビティ市場)を創出できる環境基盤を構築する。 我が国のIT産業の国際競争力強化のため、以下の3つの戦略的な目標を立て、グローバル市 場での競争力(グローバル競争力)を強化し、「ガラパゴス状態」の解消を図る。 i) a) b) c) ii) iii) iv) v) 我が国のIT市場のユニークさを強みに変えていくこと 我が国が誇る文化遺産やポップカルチャー等のコンテンツ(知的財産)を活用し、デジタル情報資源の 自給率を高めるとともに、重層的なITビジネスを創造すること 我が国の強みを残しつつ、世界各国・各地域の生活・文化に基づくニーズを踏まえた製品・サービスを 開発・提供すること 真の経営改革につながる戦略的なIT活用や、中小企業等における汎用性の高いIT活用の推 進、農商工連携等により、企業の生産性の抜本的な底上げを図る。それにより、世界トップク ラスのIT経営を実現するとともに、2015年度までに第4段階(企業間最適)の企業の割合を2 割程度に引き上げることを目指す。 情報通信基盤の戦略的活用により、既存産業の変革・新事業領域の創出を図る。 IT産業及びIT利用産業における生産性を向上させるとともに、創造力と実現力を兼ね備えた 絶え間ないイノベーションを実現し、国際競争力を強化するため、我が国の高度IT人材育成の 規模拡大・定着及び日本と海外のバランスの取れたIT人材の活用を図る。これにより、2015 年度までに、内外のIT人材の育成・活用の好循環プロセスを産学官で確立するとともに、日本 が世界最高レベルのIT人材の供給源となることを目指す。また、高度IT人材育成のための裾 野の拡大に向け、情報教育やITを活用した教育を推進する。 国内のデジタル・ディバイドの解消に加え、IPv6への完全対応や将来の新たなネットワーク基 盤の構築等を進め、国内外のIT企業が魅力を持つ、有線系及び無線系で構成される高信頼 で、コストパフォーマンスの高い世界最先端の情報通信基盤を確立する。これにより、2015年 度までに国内企業はもとより、海外のIT企業を日本に誘致し、この基盤を活用して世界に先駆 けて新たなサービスや製品の開発及び革新的なユビキタス技術等を生み出すことのできる世 界のIT拠点の実現を目指す。 5.政府における情報セキュリティ対策 内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)設置までの経緯 〔内閣官房情報セキュリティセンターホームページより〕 情報セキュリティ政策会議と第一次情報セキュリティ基本計画 • • • 2005年5月 情報セキュリティ政策会議 設置 2006年2月 第一次情報セキュリティ基本計画策定(2006~2008年度の3年度計画) セキュアジャパン2006、2007、2008の策定(PDCAサイクル) (セキュア・ジャパン2008(平成20年6月19日)のポイント) ○ セキュリティ対策を推進する体制の維持や、対策が不十分な部分の底上げを含めて対策推進 の安定化を図る。 ○ 2008年度に実施する具体的行動計画と、2009年度の重点施策の方向性を示す。 ○ 総施策数179施策(内新規19施策、継続138施策、2009年度の重点22施策) (次期情報セキュリティ基本計画策定に向けた「第一次提言」のポイント) ○ 「事故前提社会」への対応力強化 事前予防の継続的な推進に加え、事後対応力の強化を図る。 ○ 合理性に裏付けられたアプローチの実現 情報資産の重要度とリスクの評価(アセスメント)に基づく対策の実施 ○ 成熟した情報セキュリティ立国に向けたITルネッサンス より現実に即して実効的な情報セキュリティ対策が冷静に実現され、ITに踊らされず、ITを安 全・安心に最大限利活用することができる社会の実現。 → 平成21年2月の「第2次基本計画(仮称)」決定につなげる。 6.我が国の社会保障制度の概要 (1) 我が国の人口の推移 実績値 (国勢調査等) 人口(万人) 14,000 平成18年推計値 (日本の将来人口推計) 人口ピーク(2004年) 12,779万人 12,777 生産年齢人口(15~64歳)割合 11,522 12,000 65.5% (2006) 2,660 3,667 10,000 65歳以上人口 生産年齢 人口割合 8,993 51.1% 8,373 8,000 21.0% (2006) 15~64歳人口 3,646 高齢化率 40.5% 6,000 高齢化率(65歳以上人口割合) 6,740 4,000 合計特殊出生率 2,000 1.32 (2006) 14歳以下人口 0 1950 1960 1970 1980 1990 2000 4,595 合計特殊 出生率 1.26 1,743 1,115 752 2055 2006 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055 (西暦) 資料:2005年までは総務省統計局「国勢調査」、2006年は総務省統計局「推計人口(年報)」、2010年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)中位推計」 人口ピラミッドの変化(2005,2030,2055) - 平成18年中位推計 ○我が国の人口構造の変化を見ると、現在1人の高齢者を3人で支えている社会構造になっており、 少子高齢化が一層進行する2055年には1人の高齢者を1.2人で支える社会構造になると想定 2005年(実績) 歳 100 100 総人口 1億2,777万人 90 65~74歳 1,412(11%) 70 100 60 60 50 50 50 40 30 30 20 20 ~19歳 2,418(19%) 10 20~64歳 6,305(55%) 40 30 2007年~ 生まれ 2007年~ 生まれ 20 今後の出生率の 動向により変化 今後の出生率の 動向により変化 10 0 0 0 50 65歳~人口 20~64歳人口 100 150 1人 3.0人 200 250 万人 注:2005年は国勢調査結果(年齢不詳按分人口)。 20~64歳 4,290(48%) 40 ~19歳 1,550(13%) 10 65~74歳 1,260(14%) 70 60 20~64歳 7,783(61%) 75歳~ 2,387(27%) 80 65~74歳 1,401(12%) 70 総人口 8,993万人 90 75歳~ 2,266(20%) 80 2055年 歳 総人口 1億1,522万人 90 75歳~ 1,164( 9%) 80 2030年 歳 ~19歳 1,057(12%) 0 0 50 100 150 1人 1.7人 200 250 万人 0 50 100 150 1人 1.2人 200 250 万人 (2) 我が国の社会保障給付費の状況 (1人当たり) 93.6 (万円) 80 (兆円) 100 国民所得額(兆円)A 給付費総額(兆円)B (内訳) 年金 医療 福祉その他 B/A 90 80 2007(予算ベース) 1970 1980 1990 383.2 61.0 203.2 348.3 3.5(100.0%) 24.8(100.0%) 47.2(100.0%)93.6(100.0%) 0.9( 24.3%) 10.5( 42.2%) 24.0( 50.9%)49.5( 52.9%) 2.1( 58.9%) 10.7( 43.3%) 18.4( 38.9%)28.7( 30.7%) 0.6( 16.8%) 3.6( 14.5%) 4.8( 10.2%)15.5( 16.6%) 5.77% 12.19% 13.56% 24.43% 73万2,854円 68万8,083円 87.9 70 60 70 年金 50 医療 60 福祉その他 47.2 1人当たり社会保障給付費 50 年金 40 40 30 一人当たり社会保障給付費 24.8 30 20 医療 20 10 10 0.7 3.5 福祉その他 0 1950 (昭和25) 1960 (昭和35) 1970 (昭和45) 1980 (昭和55) 1990 (平成2) ~ 0.1 0 2005 2007 (平成17)(予算ベース) 資料:国立社会保障・人口問題研究所「平成17年度社会保障給付費」、2007年度(予算ベース)は厚生労働省推計 (注1)図中の数値は、1950,1960,1970,1980,1990及び2005並びに2007年度(予算ベース)の社会保障給付費(兆円)である。 社会保障給付の部門別の国際的な比較 (対国民所得比) 44.1% 45% 40% 福祉その他 35% 医療 《うち介護》 年金 30% 25% 25.7% 4.55% 《1.49%》 20% 15% 8.49% 5% 39.4% 11.27% 12.00% 《0.27%》 《0.12%》 19.90% 《3.66%》 27.4% 20.6% 3.43% 10.04% 8.58% 8.54% 11.00% 10.29% 9.88% 《0.70%》 《0.01%》 10% 12.62% 39.2% 8.55% 8.82% アメリカ イギリス 16.90% 17.10% ドイツ フランス 14.36% 0% 日本 《高 齢 化 率(2005年)》 《20.1%》 《12.4%》 《16.1%》 《19.2%》 《16.4%》 スウェーデン 《17.2%》 《国民負担率(2005年)》 《38.3%》 Database 2007”等に基づき、厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室で算出したもの。いずれも2003 《34.5%》 《48.3%》 《51.7%》 《62.2%》 《70.7%》 (注)OECD:”Social Expenditure 年。 OECD社会支出基準に基づく社会支出データを用いているため、社会保障給付費よりも広い範囲の費用(公的住宅費用、施設整備費等)も計 上 されている。 高齢化率は OECD: “OECD in figures 2007” 、国民負担率は財務省調べによる(なお、日本の2008年度の国民負担率は40.1%(見通し)。) 社会保障の給付と負担の見通し(平成18年5月推計) ○少子高齢化の進行に伴い、社会保障給付及びその負担は年々増加していくが、平成16年の年金制度改革、 平成17年の介護保険制度改革、平成18年の医療制度改革により質の向上と効率化を図った結果、社会保障 給付及びその負担は抑制される見通しになっている 給付 改革反映 改革前 105兆円 110兆円 89.8兆円 91.0兆円 25.3% 24.2% 24.2% NI比23.9% 116兆円 25.3% 126兆円 27.4% 141兆円 26.1% 負担 162兆円 30.0% 改革効果 143兆円 26.5% 114兆円 105兆円 24.8% 101兆円 改革反映 改革前 24.3% 23.3% 82.8兆円 84.3兆円 22.4% 22.0% 121兆円 26.3% 改革効果 (13.8%) (75兆円) (12.6%) 年 12.6% 金 47.4兆円 (47.3兆円) 12.5% (12.9%) 12.8% (56兆円) 59兆円 (13.8%) 12.0% (64兆円) 65兆円 公 7.7% (7.8%) 費 28.8兆円 (29.5兆円 54兆円 8.4% (9.7%) (8.9%) 8.9% (38兆円) 41兆円 (15.4%) (16.6%) 15.9% (77兆円) (45兆円) 36兆円 (10.3%) (8.7%) 医 7.3% 療 27.5兆円 (7.6%) (28.5兆円) 福 (4.1%) 祉 4.0% (15.2兆円) 等 14.9兆円 2006 年度 (8.0%) 7.5% (34兆円) 32兆円 4.2% (4.5%) (20兆円) 8.0% (40兆円) 8.8% (56兆円) 48兆円 37兆円 (4.9%) 4.5% 18兆円 21兆円 2011 2015 (23兆円) 5.3% (5.8%) 保 14.4% (14.6%) 険 54.0兆円 (54.8兆円) 料 14.9% (67兆円) 65兆円 73兆円 (32兆円) 28兆円 2025 2 0 0 6 年度 2011 2015 (参考) 注1) 前面のグラフは、2004年年金制度改革、2005年介護保険制度改革及び2006年医療制度改革の効果を織り込んでいる(改革反映)。 背面のグラフはこれらの改革が行われなかった場合(改革前)。 注2) 公費は、2009年度に基礎年金国庫負担割合が1/2に引き上げられたものとしている。 165兆円 30.5% 2025 (参考) (3) 我が国の年金制度の状況 (数値は、注釈のない限り平成19年3月末) 加入者数 9.0万人 H19.12.31 確定拠出年金 (個人型) 国民年金基金 加入員数 69万人 加入者数 264万人 H19.12.31 加入員数 525万人 H19.7.1 加入者数 498万人 H20.1.1 厚生年金 基金 確定給付 企業年金 加入者数 506万人 適格退 職年金 確定拠出年 金(企業型) (職域加算部分) ・国家公務員共済組合 (代行部分) 厚生年金保険 加入員数 3,379万人 旧三共済、旧農林共済を含む 共済年金 加入員数 468万人 加入員数 457万人 〔108万人〕 ・地方公務員共済組合 〔304万人〕 ・私立学校教職員共済 〔46万人〕 国 民 年 金 ( 基 礎 年 金 ) 第2号被保険者 の 被扶養配偶者 1,079万人 第3号被保険者 自営業者等 2,123万人 第1号被保険者 民間サラリーマン 公務員等 3,836万人 第2号被保険者等 ※ 厚生年金基金、確定給付企業年金、適格退職年金及び私学共済年金の加入者は、 7,038万人 確定拠出年金(企業型)にも加入できる。 ※ 国民年金基金の加入員は、確定拠出年金(個人型)にも加入できる。 ※ 適格退職年金については、平成23年度末までに他の企業年金等に移行。 ※ 第2号被保険者等は、被用者年金被保険者のことをいう(第2号被保険者のほか、 65歳以上で老齢又は退職を支給事由とする年金給付の受給権を有する者を含む。)。
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