ハドロン衝突実験での第三世代粒子測定法の改善とその

<公募研究>
ハドロン衝突実験での第三世代
粒子測定法の改善とその発展性
top quark
b quark
τ leptonの研究です。
寄田浩平(早稲田大学)
2011年7月1日(金)
於三重県の温泉
第三世代粒子の重要性(1)
 やはり始めはヒッグス粒子、、。
Low Mass
High Mass
> 質量の制限:(95% CL)
- MH > 114.4 GeV (LEP)
- MH < 158 GeV (SM global fit)
(MPV: 89 +35-26 GeV)
- 158~173 GeVにはない(Tevatron)
ex) MSSM Higgs:
あるなら、この辺にありそう、、。
 小さいHiggsは重くない!
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第三世代粒子の重要性(2)
 トップクォークとヒッグス粒子:
トップ湯川結合の最新値(質量から計算)
?
1
mf 
Yf  v
2
現在のYtは0.996 !?
→ なんだかTop Quarkの役割は大きそう、。
Gateway to BSM ?
 Top quarkは一筋縄ではいかない、、
が、多くの理論でもその重要性は高い。
- Z’
- Top-Color
- FCNC等々たくさん。
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第三世代粒子同定の難しさ
τ lepton:
→ ハドロン崩壊 し、細いジェットに
b quark jet:
→ 2次崩壊点を作る特徴
Top quark:
→ いろいろな終状態に崩壊
e/μなどに比べ、非常に同定が難しい(フェイクレートも高い)。また、終状態に
ニュートリノを含むため、parton levelのエネルギー運動量測定が難儀。
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本研究課題の目的
“「第三世代粒子」の同定、測定は非常に重要。でも非常に難しい“
もちろん、各所で様々な努力がなされてはいますが、、
(1) さらに第三世代粒子を積極的に使う。
(2) 同定法・エネルギー分解能を改善。
(3) ヒッグス粒子探索や新粒子・新現象
探索の実行性の幅を広げる。
 これらの課題を実験の枠組みを超え
て考察し、包括的な成果をだす。
→ 2大エネルギーフロンティア実験:
- CDF/Tevatron実験@FNAL
- ATLAS/LHC実験@CERN
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CDF/Tevatron実験@FNAL
 今年9月30日に終了することが決定
→ 最終的には10fb-1のデータが解析可能
 LHCとの競合、Consistencyの確認等、まだまだ重要な役割。
Low Mass Search
CDF
(mH=115 GeV)
Exp. Limit/Lumi.
WH→lvbb
[email protected]
ZH→vvbb
[email protected]
ZH→llbb
[email protected]
VH/VBF→bbjj
[email protected]
H/VH/VBF→ττ+jets
[email protected]
H→γγ
[email protected]
H→bbを基本軸にどれだけ総合的な感度を上げられるか!
* 本研究はH→ττに焦点を当てている。
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τを用いたヒッグス粒子探索(1.1)
Weak Boson Associated Production
VBF
Gluon Fusion
e/μ+τhad+>=2jet
 ττ+ jetsは全過程から寄与!
 Event Selection ( 8.3fb-1 )
e/μ + τhad channel (& e + μ)
1 isolated e/μ with Pt > 10
1 hadronic τ with Pt > 15(20)
Z boson veto
 解析はMVAを利用
-Support Vector Machine
8.2event
(MH=115GeV/c2)
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τを用いたヒッグス粒子探索(1.2)
Analysis optimization by Support Vector Machine
e/μ+τhad+1jet
e/μ+τhad+>=2jet
No systematic yet
Signal×100
e + μ+ 1 jet
7.8×SM (MH=115GeV/c2)
e + μ+ >= 2 jet
Limit: ~11×SM with systematics.
来週にデータオープンの予定
(結果は今月中に正式承認される予定)
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τを用いたヒッグス粒子探索(2.1)
Simple Event Selection
•
•
•
•
Require vertex quality
Require 3 or 4 lepton including τh
Charge sum of leptons ±1(3L) or 0(4L)
Missing ET significance > 1.0
6.2fb-1
BG Estimation
Data
3L
4L
lll
llτ
eμτ
lττ
LLLL
292±9
225±32
7.0+1.8-1.3
22.3+6.7-5.9
3.8±1.1
284
203
8
16
6
S<<Bなので様々なKinematicsを使って、MVA(今回はSVM)で最終判別をした。
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τを用いたヒッグス粒子探索(2.2)
5つのカテゴリー(lll、llτ、eμτ、lττ、LLLL)それぞれで解析→ Global Likelihood
L0
L1
Exp:17.3×σSM
L2
L3
Obs:18.5×σSM
> Tevatronで初めての結果。
他と統合することにより、ヒッグス
粒子の棄却・発見に貢献できる。
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τ粒子同定の改善について
■ Training sample
Signal:W→τν (MC)
Background:Jet sample (data)
Background
Signal
■ Training category
・1 prong, 3prong で分割
・Energy で分割
■ Input variable
1prong
Cut Base Tau ID で 拾える範囲
細いjetというτの特徴を活かす
⇒ Signal region, Isolation region の変数
* Fake率を保ち、~20%程度向上!現在SFとsystematicsを見積もり中
ATLAS/LHC実験
 陽子・陽子衝突@7TeV
 瞬間ルミノシティーは1033
を超え、安定に運転。
積分ルミノシティーは>1fb-1
 2011年Winter Conference
に使用されたルミノシティー
は~35pb-1
円周~27Km
Jura
CMS
LHCb
ALICE
ATLAS
CERN
現在Summer Conferenceに向け、解析が急速に進められている。
ルミノシティーは500~800pb-1以上 ready for analysis。
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トップクォークの物理@ATLAS/LHC実験
All hadronic decay modeの解析(2011年4月25日に承認済)
> Backgroundは100% data driven
4jet
1btag CR
2btag CR
5jet
CR
CR
>=6jet
CR
SIGNAL
CR: Control Region
Signal RegionのKinematicsの例
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トップクォークの物理@ATLAS/LHC実験
 非常にシンプルな解析手法を採用:
χ2 Template
> Sensitivity 2.2σ
→Upper limit of 261pb@95% CL
Theory: 165 pb
[Fitted Center value: 118 pb]
> 現在、20倍のデータで鋭意解析中 → 8σレベルへ
> Multijetのヒッグス解析やBSM Search の基礎となる測定!
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トップ湯川結合測定の可能性
(2010年度学部4年生の卒業論文課題の一つ)
?
> これまで、ttH(H→bb)で実行性
が議論された結果、Combinatory
バックグランドのため、解析は困難
と報告されている。
今回の試み:
tt(→alljet)H(→ττ)を見る!
(参考:ΔYb>ΔYτだろうし、、)
100fb-1 4j Et>60GeV
100fb-1 4j Et>60GeV
…やはり両方難しそう。
改善の余地多々あり。
→ 課題:
(1) トリガーの改善
(2) PIDの改善
(3) 解析手法の改善
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ATLAS実験での今後の課題(FTK)
 高ルミノシティー環境下(~1034)で如何に
b jet/τ leptonを選択的にトリガーできるか?
High Luminosityの世界
 Tracking Triggerの重要性(c.f. SVT@CDF):
Objectの閾値を上げずに、Trigger Rateを抑える!
- Online Vertex Reconstruction、 Momentum Resolutionの改善
Track based isolation、Secondary Vertexの再構成 … 等々
Calo
Muon
Pixel/SCT
WHbb L=3×1034[cm-2・s-1] Pile-up
LVL1
Trigger
RoI
ROD
ROD
ROD
ROB
ROB
ROB
FTK
平均
24μsec
LVL2 CPU Farm
全飛跡再構成を一瞬で可能にする9U VME Hardware Trigger System
→ ATLAS Upgradeとして正式に承認された2つの増強計画の1つ!
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その他の試み
(1) b jet energy scaleの測定に関する研究
Top quark事象を用いてb jet energyを測り、ヒッグス粒子
探索、質量測定に役立てることが目的。
(2) ττ不変質量分解能の改善に関する研究
Z→ττ事象を用いて、分解能を向上させ、
ヒッグス粒子探索、質量測定に役立てることが目的。
Collinear Approximation
Likelihood Method
ヒッグスの質量分布
参考(過去1年間)
本研究に関連する学会講演(日本物理学会)
 2010年3月年次大会@岡山大学
(1) CDF実験におけるトップクォーク対生成事象を用いたb jet energyの測定
桜井雄基、寄田浩平 (早大理工)
(2) CDF実験におけるτ粒子同定とττ質量分解能の改善
船越雄二郎、蛯名幸二、寄田浩平 (早大理工)
(3) ATLAS実験における高速トラッキングトリガーシステムのシミュレーションによる最適化
千葉英誉、木村直樹、寄田浩平(早大理工)
 2010年9月秋季大会@九州工業大学
(1) CDF実験におけるVh->lνττ,llττによるヒッグス粒子探索
蛯名幸二、舩越雄二郎、寄田浩平(早大理工)
(2) ATLAS実験における高速トラッキングトリガーシステムの構築
木村直樹、千葉英誉、鎌塚翔平、寄田浩平(早大理工)
 2011年3月年次大会(講演資料のみ)
(1) Tevatron/CDF実験におけるVH → lν+ττ,ll+ττによるヒッグス粒子探索
蛯名幸二、寄田浩平(早大理工)
(2) Tevatron/CDF実験におけるττ+2jets事象を用いたヒッグス粒子の探索
桜井雄基、舩越雄二郎、蛯名幸二、寄田浩平(早大理工)
(3) ATLAS実験におけるトップクォーク測定のための多ジェット事象解析
木村直樹、飯澤知弥、寄田浩平(早大理工)
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纏め
 ハドロン衝突実験での第三世代粒子を包括的に研究
-CDF/Tevatron実験でのτを使ったヒッグス粒子探索
-ATLAS/LHC実験におけるトップクォークの物理
-高速トラッキングトリガーシステム(FTK)の構築
*そのためのシステム構築(ストレージ等)と研究出張に研究費を使用した。
 今後の予定:
-CDF/Tevaron実験での成果の論文発表
-ATLAS/LHC実験でのb jet tagging/bJESの改善
- トップクォーク事象を用いた新粒子探索
-ATLAS/LHC実験でのFTK Trigger Systemの開発を継続
-CDF/ATLAS相互の理解、繋がりを考える
第三世代粒子を軸に、新しいTrigger開発、PID、
物理解析と首尾一貫して研究を進め、新粒子・
新現象探索の基礎を構築したい。
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Higgs Limit @ Tevatron
Higgs Hunting の今後
Tevatron:
LHC:
(2011年9月迄運転10fb-1解析可能)
2011年(1-2fb-1),12年(~5fb-1)