信頼の崩壊 - 國井技術士設計事務所(Active

040105 ちょっと一休み(017)
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今年は、「トラブルの再発防止」
「PPT アニメーション機能」
に重点を置いていきます。
でご覧下さい。
ご期待ください。
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040105 ちょっと一休み(017)
ちょっと一休み(18)Rev.-1
040105
前回の「シンプソン・パラドックス」は学習されまし
たか?
昨年は国内企業の「リコール」社告が相次ぎました。
今年は、何とか少なくなってほしいものです。
その対策は、「設計の基本に一度、戻る
」ことです。
さて、今回のテーマは・・・
信
頼
の
崩
壊
日経メカニカル 2002 DEC No.12より抜粋
です。
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040105 ちょっと一休み(017)
「信頼の崩壊 」を特集する
日経メカニカル 2002 DEC No.12より抜粋
講師の設計分析
■ コスト削減策を進めれば品質トラブルは巨大化する
コストを下げるための部品の共通化、分業化に思わぬ落とし穴が待っていた。
一度生じた不具合が、あっという間に巨大化するリスクだ。それは、コスト削減
効果をはるかに上回るコスト増の要因としてのしかかる。
さらに深刻な問題は、「信頼の崩壊」という見えないリスクにさらされること。
これは、目に見えるコストよりもさらに深刻かもしれない。なによリ重要なのは、
不具合を出さないこと。
そして、それでも出てしまった不具合には、可能な限り迅速に対応することだ。
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身につまされるお話しです。
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040105 ちょっと一休み(017)
「信頼の崩壊 」を特集する
日経メカニカル 2002 DEC No.12より抜粋
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講師の設計分析
■ M 自動車・So携帯電話社・ Bタイヤ社の損失
2000年夏にリコール隠しが発覚したM 自動車工業が、事件に関連し計上し
た回収費用が180億~190億円。
180億~190億円
2001年に携帯電話機の相次ぐ不具合に見舞われたSo社の回収関連費用が
131億円 (2001年4~6月期連結決算)。
131億円
814億円!
同じ2001年にタイヤの不具合を引き金とした横転事故に絡んだB社の対策費
用は814億円 (2000年12月期決算)。
製品の不具合で企業が大きな損失を被る事件が相次いでいる。
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いずれも、もの凄い損失費
用ですね。
仮に、純利益とするならば、超
優良企業のメーカでも、これら
の10倍~20倍の売上が必要で
す。
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「信頼の崩壊 」を特集する
日経メカニカル 2002 DEC No.12より抜粋
講師の設計分析
■ M 自動車・So携帯電話社・ Bタイヤ社の損失
企業が支払う代償は、金額的な損失だけではない。こうした製品の大規模な
不具合によって、企業にとって最も大事な資産である「信頼」や「ブランド」は、
対応を一つ間違えれば一瞬にして崩壊してしまう。
そして、一度崩壊してしまった信頼やブランドを修復するのは並大抵のことで
はない。
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「雪印」を思い出します。
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「信頼の崩壊 」を特集する
日経メカニカル 2002 DEC No.12より抜粋
講師の設計分析
■ リコール隠し:M 自動車
M 自動車のある技術者は、リコール隠し以降 ・・・
お客様の選択肢から消えた!
「お客様の選択肢から M 自動車のクルマが消えてしまった!」
というほどの打撃を受けたと打ち明ける。
何度も述べますが・・・
もう一歩間違えれば、
「雪印」となってしまいます。
問題は、こうした巨大な品質トラブルが、特殊な例ではなくなってきていること
だ。ひとたび不具合を起こせば、あっという間に問題が拡大し、損害は甚大な
ものになる。
その要因となっているのが、コスト削減のために進めてきた部品の共通化や
分業化だ。
部品共通化や分業がリコ
ールの要因?
部品の共通化や分業化が原因?!?!
本末転倒、短絡的な分析
ではないかと思われます
が・・・
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「信頼の崩壊 」を特集する
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講師の設計分析
日経メカニカル 2002 DEC No.12より抜粋
■たった一つの部品 – H 自動車の例
たった一つの電子部品が、約72万台 の大量リコールにつながった。H自動
車 4輪品質総責任者で、同社品質改革推進センター所長のS.K氏は悔しそう
に話す。
たかが、イグニッションス
イッチで72万台の回収!
確かに、部品共通化の怖さが
理解できます。
同氏が指摘するのは、H 自動
車が2002年5月に国土交通省に
届け出たリコール。
しかし、部品共通化とは別の
問題とは思いませんか?
問題になった部品はエンジンの
イグニッションスイッチである。
キーシリンダ
イグニッションスイッチ
不具合発生箇所
イグニッションスイッチ
(イメージ図)
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【引用文献・参考文献】
・http://www.mlit.go.jp/jidosha/recall/
recall02/05/images/honda05-24.gif
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日経メカニカル 2002 DEC No.12より抜粋
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講師の設計分析
■たった一つの部品(H 自動車の例) - 続き
接点部に流れる電流値が大きいために、主電源を入れる瞬間に大きなアー
ク放電を生じてしまう。このため始動操作を繰り返すうちに接点が摩耗して接
触圧力が低下し、走行時の振動などで導通不良となる恐れがある。
最悪のケースでは・・・
エンジンが突然停止!
最悪のケースではエンジンが突然停止する。
その原因は、イグニッションスイッチの設計変更の際、抵抗を一つ省いたこ
とにあった。このために過電流が流れるようになり、接点磨耗につながったの
である。
このイグニッションスイッチは、同社の10車種、34形式に使われていたため
72万台ものリコール台数に膨らんだ。コスト削減のために同じ部品を多くの車
種で使うのは、今では珍しいことではない。
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高速走行における突然のエ
ンジン停止は死を招きます。
コスト削減のために、たった
一つの抵抗を省いたことで
・・・
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講師の設計分析
日経メカニカル 2002 DEC No.12より抜粋
■たった一つの部品 – T 自動社の例
T 自動車が2002年10月に届け出た約40万台を対象とするリコールも、同様
の原因で規模が拡大した事例といえる。
設計FMEAで防止できたかも!
後輪用ブレーキパイプの形状が不適切だった。
ディスクホイール内側に雪が多量に堆積し、氷結するとブレーキパイプと干
渉する恐れがあるというものだ。
不具合発生箇所
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設計FMEAを実行してい
れば、防げたかもしれませ
んね。
後輪用
ブレーキパイプ
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【引用文献・参考文献】
・http://www.mlit.go.jp/jidosha/recall
/recall02/10/images/toyota10-12.gif
・システム工学設計法 テキスト第18部
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講師の設計分析
日経メカニカル 2002 DEC No.12より抜粋
■たった一つの部品(T 自動社の例) - 続き
この結果、最悪の場合にはブレーキパイプが損傷してしまい、そこから制動
液が漏れてブレーキが利かなくなってしまう。
この不具合は、同社が1999年1月から売り出したスモールカー「ヴイッツ」系
のプラットフォームで発覚した。この結果、このプラットフォームを使う車種す
べてが同じ不具合を抱えることになってしまった。
「部品の共通化」が悪い訳で
はありません。
システムコストダウンが考慮さ
れていないのです。設計バラ
ンスが採れていないのです。
コスト削減のための戦略が、このケースでは
裏目に出た格好だ。
こうした問題が、自動車業界全体を覆い始め
ている。実際、リコール対象となった自動車の
台数は、1990年代後半から急激な伸びを見せ
始めている。
部品の共通化が原因?!?!
国土交通省は、その主な要因を「部品の共通化」
としている。
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【参考文献】 システム工学設計:テキスト第14部(超低コスト化設計法)
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システムコスト
【講師の所感】
3ページの、「その要因となっているのが、コスト削減のために進めてきた部品の共通化や分業化
だ。」の表記には驚きました。この言葉を直接的に理解するエンジニアは少ないと思います。
部品の共通化は、昔から何処でも、全世界の優良企業で実施されてきました。
例えば、「ちょっと一休み(010):新型カローラを分析する」をもう一度読んでみませんか? 次の言
葉に皆様も非常にショックを受けたことでしょう!
部品共通化・・・これが、トラブルやリコールの原因とは!?!?
「ここでトヨタは自らの甘さを痛感させ
られる。
VW(フォルクスワーゲン)の部品共通
化にショックを受けたのだ。」
ちょっと短絡的な分析とは思いませんか?
部品の共通化が原因ではなく、システムコストダウンが考慮されていないのです。設計バランス
が採れていないのです。
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【参考文献】 システム工学設計:テキスト第14部(超低コスト化設計法)から抜粋
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「信頼の崩壊 」を特集する
【講師の所感】
システムコストダウン・・・これは、前ページの説明や図で理解できたと思います。
一方、設計バランスとはどのような意味でしょうか?
共通部品と
仮定します。
その前に ・・・
部品共通化 の 弱点・・・これは一体、何だと思いますか ?
例えば、設計の優先順位が「2→1→3」で設計すべきをシリ
低設計力の企業や設計グループは、共通部品化をただ単に、コ
ンダが共通部品となった途端に、「ブラックボックス化」され、
ストダウンのためにと活動し、それをにわか大工の設計者が何も
何の優先順位も与えられず、そこにレイアウトされてしまうので
考えずに設計採用することが問題なのです。
す。
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【講師の所感】
システムコストダウン・・・これは、前ページの説明や図で理解できたと思います。
一方、設計バランスとはどのような意味でしょうか?
一度、設計の基本に戻ろう!
その前に・・・
共通部品化の弱点・・・これは一体、何でしょうか?
そう! 答えは、「ブラックボックス化 」です。
この共通部品に命を与えるのが皆さん、設計者です。命とは、「設計思想とその優先順位」です。
そして最後に・・・
結局、「一度、設計の基本に戻ろう!」と言うことだと思います。
【引用文献・参考文献】
・日経メカニカル 2002 DEC No.12
・http://www.mlit.go.jp/jidosha/recall/
recall02/05/images/honda05-24.gif
・http://www.mlit.go.jp/jidosha/recall
/recall02/10/images/toyota10-12.gif
・http://www.watch.impress.co.jp/
pc/docs/2002/1021/xerox.htm
終わり
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・システム工学設計法 テキスト第1部
・システム工学設計法 テキスト第14部
・システム工学設計法 テキスト第18部