物理システム工学科3年次 「物性工学概論」 第12回光エレクトロニクス(5)

物理システム工学科3年次
「物性工学概論」
第12回光エレクトロニクス(5)
さまざまなディスプレイ
物理システム工学科量子機能工学分野
佐藤勝昭
第11回に学んだこと
光ストレージについて
• 読み出しは、レーザー光を絞ったときに回折限界
で決まるスポットサイズで制限されるため、波長
が短いほど高密度に記録される。
• 光ストレージには、読み出し(再生)専用のもの、1
度だけ書き込み(記録)できるもの、繰り返し記録・
再生できるものの3種類がある。
• 記録には、さまざまな物理現象が使われている。
光ストレージについて興味を持った点
身近な光ディスクに物理が使われていること
• CD, CD-Rなど身近でよく使うものなので、話は難しいが、聞いて
いて興味をもった。(坪内、増田、宮城)
• CD-ROM, DVD-Rの仕組みが大まかにわかった。(高橋)
• 私たちの生活にとても近いものでこんなにも物理が恩恵をもたらし
ていると思うとわくわくする (須藤) 。
• 身近なCD-R, CD-RWの仕組みが、自分の勉強している授業の
内容であること(土屋)。
• 光ディスクは毎日お世話になっている必需品。メディアもそうだけ
どドライブも気になる。(佐藤俊)
• ドライブのフォーカスサーボやトラッキングサーボが小さな領域で
調整できること。(松本)
• 光ストレージには、再生専用、1度だけ記録、繰り返し記録再生の
3種類あること。(深津、山口、窪田)
光ストレージについて興味を持った点
身近な光ディスクに物理が使われていること
• CD-ROMが光の干渉を利用していること。(今井、松下)
• 光ディスクは身近にあるものだけど、(動作原理を)初めて学んで、
結構難しいことを原理にしているのだということに気がついた。(民
部)
• せっかく技術者が開発したものが安く売られてしまい、会社が儲か
らないことにショックを受けた。(土屋)
光ストレージについて興味を持った点
光記録の物理に興味
• 外見上区別の付かないCD-RW, CD-R, DVD-RWなどが書き込
みの段階で違いがあることが印象的。例えば、DVD-RAM,
DVD±RWの相変化記録、使用回数の違いなど、基礎の大切さを
感じた。(安藤)
• 光ストレージにおいて、さまざまな物理現象(相変化、光磁気効
果)を用いている点に興味をもった。(市村、石黒、円子)
光ストレージについて興味を持った点
光相変化記録に興味
• CD-RWの繰り返し記録・消去に相変化を用いていること。(遠藤、
前田)
• CD-RWの記録で結晶→アモルファスの相変化が30nsという短時
間で行われていることに驚いた。(今野)
• 光相変化記録では加熱により光コントラストを付けること。(須藤)
• DVD-RWで繰り返し記録するたびに薄くなっていくということが不
思議な気がした。(白橋)
• 書き換え型は半永久的と思っていたが、高温にするため傷むと聞
き、形あるものはいつか壊れるのだと思った。(宮本)
• CD-RWなどの書き換えに冷却時間の違いが使われていること。
(村上)
• CD-Rの記録消去の仕方にアモルファス化と結晶化を利用してい
ること。(長井)→注意:CD-Rは消去で来ません。相変化を用いる
のは、CD-RWの方です。
光ストレージについて興味を持った点
CD-Rに興味
• CD-Rに記録するのに、熱で色素を分解して気体にする点が面白
いと思った。(白橋)
• CD-R、DVD-Rで基板の変形を利用していることに感心した。(石
黒、平木)
• CD-RがCD-RWと記録の方法が違うことを初めて知った。(小尻)
• CD, DVDなどで熱で色素が分解されて、それが原因で書き換え
回数が制限されているということに興味をもった。(SK)→A. S君、
キミは誤解しています。色素が分解されるのはCD-R, DVD-Rで、
1回しか記録できないタイプです。融液が薄くなって書き換え回数
が制限されるのはCD-RW, DVD-RWなどのRewritable(書き換え
可能)のディスクです。
光ストレージについて興味を持った点
光磁気記録に興味
• MO、MDなど光磁気記録は、保磁力が働くため、常温では磁石を
近づけてもデータが壊れないこと。 (今野、村松、庄子)
• 書き換え耐性が高いこと。(今野)
• MO記録は光の熱を使い記録し、また、熱を加えて消し、また、記
録が難解も記録できること。(岩崎)
• 光磁気記録で磁気 (注:磁気ではなく保磁力です。)が室温で無限
大(注:正しくは測定できないくらい大きくなる)になること。(野澤)
• MO, MDの書き換え耐性が1000万回以上に驚いた。(柳澤、中島)
Q&A1(CD-ROM, CD-R)
Q: なぜピットの深さをλ/4にしたのか。誤差があっても干渉を
読み出せるのか。(HK)→A. 第11回の最初の方で説明しま
したが、ピットがないところは85-100%反射しますが、ピット
のあるところでは、ピットの底からの反射光とピットの周りか
らの反射光の位相がほぼ180°違うので干渉し合って、反
射光が10%以下になるのです。多少、干渉条件からずれて
も反射率は十分低くとれるので許容されるのです。
Q: CD-Rで有機色素がどのような働きをするのか(HK、
MS)→A. 色素というのは、特定の波長域に吸収があるため、
透過光に色が付くような物質です。CD-Rでは780nm付近、
DVD-Rでは650nm付近に吸収帯をもつ色素が使われます。
吸収した光が熱に変わり、その熱で色素が分解され、気体
になり、基板の変形をもたらします。
Q&A2(CD-RW, CD)
Q: CD-RWをフォーマットするとき、結晶化してデータを消
去すると聞きましたが、簡易消去するときはこのような操
作をしているのか疑問です。(F)→A: HDDでもそうなので
すが、データを消去する代わりに、その部分のアドレス帳
に「消去」マークを付けるだけなのです。実際に新たな
データを記録する際に、前に記録されたデータの上に
オーバーライトをするのです。
Q:傷が付いたCDを聞けるようにするのに表面をやするとよ
いと聞いたが、コーティング層のことですか。(A)→A. 傷
が付いて読めなくなったとすれば、コーティング層だけで
なくアルミニウムの反射膜に損傷が及んだものでしょう。
やすることによって深い傷がなめされて回復することもあ
るようですが、お薦めできません。
Q&A3 (メディアの比較)
Q: CD-RよりDVD-Rの方が容量が大きいのはなぜですか
(SY、YT) →A: Rに限らず、ROMでもRWでも、CDと
DVDの規格に差があるのです。CD-Rはλ=780nm、
NA=0.55、トラックピッチ1.6μmです。一方、DVD-Rは
λ=650nm、NA=0.6、トラックピッチ0.74μmです。波長を
短くし、レンズの開口数を上げ、トラックピッチを増やした
ことで、容量を大きくしたのです。
Q: DVD-RWとDVD+RWの違いは何ですか。(IK,MT)→規
格の違いとしか言えません。媒体材料も同じ、波長も同じ、
レンズの開口数も同じです。ウォッブルといってトラックを
円周でなくクネクネとうねらしているのですが、そのうねり
の付け方が異なります。また、ランドに記録するかグルー
ブに記録するかの違いもあります。
Q&A4 (高速DVD)
Q: 半年前から4倍速DVDドライブ、4倍速対応メディアが
出回りましたが、4倍の速さで加熱→急冷→アモルファ
スを行っているのですか。(SY)→A. 媒体側でも材料、構
造の工夫により、相変化の高速化を図っていますが、ド
ライブにおいて、チルト制御、機械振動低減、信号処理
などを改善して4倍速でもジッターを減らした効果が大き
いようです。
Q: メディアに記録する際、なるべく低速で焼いた方が、ア
モルファス化の時間がとれるのでエラーが起きにくいで
すか(SY)→A. 4倍速のメディアを使い、純正の4倍速ド
ライブを使う限りは速くても問題がないでしょう。
Q&A5(青紫色レーザーを用いた記録)
Q: Bluray Diskの記録はどのようにされているのか。(KK)→A.
5”(=12cm), 27GBの大容量, 405mn 青紫色レーザー, レンズの
開口数 (NA) 0.85, 保護層膜厚 : 0.1mm, 媒体厚:1.2mm, データ
転送速度:36Mbpsというスペックは公開されていますが、技術の
詳細はライセンスをもつ10社だけに公開されています。
Q: Blurayの話が良くわからない。大容量の理由はスポット径が小さ
くなることらしいが、どうしてそれが原因かわからない (MT) 。波長
が短いほど高密度に記録されるという関係を詳しく知りたい。(IA)
→A. 第11回の始めに述べたように、読み出しの際のレーザーの
スポット径は回折限界で決まり、d=0.6λ/NAで決まります。波長が
半分になれば、スポットの面積は1/4になり、同じ面積に4倍詰め
込めるので、記録密度は4倍になるのです。
Q: 青色レーザー以前にも黄色や緑を使えば書き込み容量はふえた
のではないですか。(MO)→A. LD開発は、GaAlAs系の赤から
InGaN系の青紫に一気に飛んだのです。間の波長領域(黄~緑)
には、まだよい半導体レーザーがないのです。
Q&A6(光磁気記録)
Q: 「磁化に応じた偏光の回転を検出し電気に変換」とは具体的にど
のようなことですか。(IK)→A. 磁性体には磁化の向きに応じて入
射偏光の向きを回転させる性質(磁気光学効果)があります。回転
角はたった1°以下の小さなものです。ディスク面に垂直上向きに
磁化が向いているときと、下向きに向いているときとで、偏光回転
の向きが右回りか左回りかの違いが生じます。この違いを検出す
るのです。物理システム工学実験III・IVテキストの「磁性」の項を
読んで下さい。
Q: 光ディスクの劣化はディスク表面を600℃くらいまで上げるのが原
因だそうですが、MOも記録するとき200℃まで上げるのに半永久
的に使えるのは何故ですか。(H) →A: 表面上のスポットの温度
を上昇するだけの問題なら、熱放散層を入れることで基板の損傷
を防げます。光相変化ディスクでは、結晶アモルファスという形
で媒体そのものを変化させるので、劣化が激しいのです。MOの
場合は、物質は変化させず、磁気状態だけを変化させるので、劣
化しないのです。
Q&A7(磁気記録)
Q:クレジットカードの磁気も磁石を近づけても変化しないですか(M)
→A: クレジットカードの場合は、光磁気記録ではなく、普通の磁気
記録なので、保磁力が小さく、強い磁石を近づけると消えてしまい
ます。
Q: FDよりMOの容量が多いのは垂直磁気記録だからでしょうか。
(KN)→A. FDは媒体がフレキシブルであること、ドライブにおける
ヘッドの位置決め精度がないことなどのため、高密度記録ができ
ないのです。MOは光スポットを小さくできることが高密度の原因で
す。なお、現行HDDは面内記録ですが、MOより高密度を達成し
ています。
Q&A8(ストレージの技術的限界)
Q: 記録密度の技術的限界はまだまだ上がっていくのでしょうか。理
論限界はどれくらいなのでしょうか。(MA)→A. 光ディスクの普通
の(遠視野)光学系では回折限界で決まりますが、近接場(近視野)
光学系を使うことにより2桁以上の高密度化が可能と言えます。
Q: 磁気記録にもスポットに限界があるのでしょうか。光と磁気とでは
どちらがスポットを小さくできるのでしょうか。(KN)→A. 光には、回
折限界があり、読み出せるスポットサイズに限界があります。超解
像を使ってようやく0.2μm、MAMMOS技術を使って0.05μmが読
み出せます。一方、磁気記録では、すでに周回方向ではマークの
直径が0.1μmを切っています。これは、再生磁気ヘッドが改良され
たためです。しかし、超常磁性限界があって何処までも小さくでき
ません。記録したビットが時間とともに消えていくのです。この解決
のために、光磁気記録と磁気記録の長所を組み合わせた「ハイブ
リッド記録」が研究されています。
Q&A9(今後の光ディスク)
Q:MOの容量は128MB→2.3GBと増えましたが、今後さらに増える
のでしょうか、増えるならば、どの程度と予想されているのでしょう
か(K)→A: 現在の方式の延長では限界があるので、次世代規格
(ASMO)が検討されています。3.5”MOで20GBをめざしています。
Q: Bluray, AODという言葉は初めて聞いたが、ふつうのCDと同じ形
や色ですか(KT)→A. 直径は、CDと同じ5”=120mmです。現物を
見たことがないので色はわかりません。
Q: CD-Rの小型化はあり得るのですか。(YT)→A. ハンディカメラ用
にDVDの小型化が研究されています。
Q: 青色レーザーより短波長のレーザーが使えるのですか。短くなる
と透過率が高くなると思うのですが。(HK’)→A. 波長が短くなると
プラスチックの基板の吸収端にかかってしまうので405nmが最適
と考えられているのです。
Q: 大容量光ディスクのために短波長を使うと言っていましたが、X線
は使わないのですか。(KT)→A. X線を小さなスポットに絞るのも
難しいし、放射線は身体に危険ですから、使うことは検討されてい
ません。
第12回さまざまなディスプレイ
現行のディスプレイ
• ブラウン管(CRT=cathode ray tube)
• 液晶ディスプレイ(LCD=liquid crystal display)
• プラズマディスプレイ(PDP=plasma display panel)
• 無機ELD (Inorganic electroluminescence display)
これからのディスプレイ
• 有機ELD (organic electroluminescence display)
• 電界放出ディスプレイ(FED=field emission display)
ディスプレイの比較
CRT(ブラウン管)
• 電子ビームを加速→RGB三色の蛍光体を励起
→発光(CL=cathodoluminescence)
• 加速・集束系:電子レンズ
• シャドウマスク方式、アパーチャグリル方式
• 高精細度、視野角依存性なし、技術的に確立
• 大きい、重い、高電圧(→ホコリ)、色ズレ、消費電
力大、ちらつき、焼き付き
CRTの原理
• 電子銃からの
電子ビームを
1万V位の高
電圧で加速、
シャドウマス
クを通して、
蛍光スクリー
ンの蛍光体を
励起
http://www.nanoelectronics.jp/kaitai/pdp/3.htm
アパーチャグリル方式
• FDトリニトロン管を含むトリニトロンブ
ラウン管は、R、G、Bの三原色からな
るカラー画像を正しく再現するために、
色選別機構(管面の蛍光体を発色させ
るため、R、G、Bの電子ビームを選別
する小さな孔の開いたフィルター)に縦
ストライプ状のアパチャーグリルを使
用しています。画面の上下方向に電子
ビームを遮るものがありませんので、
ピッチを狭めても明るく輝度の高い画
像を得られるという特長があります。ま
た、グリルは上下方向にテンション(張
力)を持たせていますので、ビーム照
射による熱膨張を吸収し、色ズレや色
ムラを起こしにくく、長時間安定した画
質を維持することができます。
ソニーのホームページより
www.sony.jp/.../Display/CRT/tech
nology/ Images/tech_3_1.gif
液晶ディスプレイ
•
•
•
•
液晶を光スイッチとして使用
直交偏光板ではさんだ液晶内での偏光の伝搬
電界印加により液晶分子の配向を制御
TFT(薄膜トランジスタで各画素のRGBを個別に
選択制御):アモルファスSiから多結晶Siへ
• 利点:薄型、省電力、高精細度、ちらつきがない
• 欠点:視角依存性、バックライト必要、大画面に問
題
液晶
●液晶は、液体と固体の中間的物質
•1888年:液晶を発見:ライニツァー(オースト
リアの植物学者)
•「液晶」とは、固体と液体の中間にある物質
の状態(イカの墨や石鹸水など)を指す。
•ディスプレイへの応用:1963年ウィリアムズ
(RCA社), 液晶に電気的な刺激を与えると、
光の透過が変わることを発見。
•1968年:ハイルマイヤーら(RCA)、この性
質を応用した表示装置を試作→液晶ディス
プレイの始まり。
•ディスプレイの材料としては不安定で商用
として問題あり
•1973年:シャープより電卓(EL-805)の表示
として世界で初めてLCDを応用。
•1976年:グレイ教授(英国ハル大学)が安
定な液晶材料(ビフェニール系)を発見。
www.bohlken.com/
C
O
N
H
www.chem.wisc.edu/
21
45
T
液晶分子の配向と電界制御
• 液晶分子の配向
– 配向剤を塗布、
ラビング。分子を
ラビング方向に
配列
• 電界による配向
制御(液晶分子は
電気双極子)
http://www.nanoelectronics.jp/kaitai/lcd/index.htm
液晶ディスプレイの構造
カラー液晶ディスプレイの構造は、構成
要素が層状になっている。
1-偏光フィルター :出入りする光をコン
トロールする。
2-ガラス基板 :電極部からの電気がほ
かの部分に漏れないようにする。
3-透明電極 :液晶ディスプレイを駆動
するための電極。表示の妨げになら
ないよう透明度の高い材料を使う。
4-配向膜 :液晶の分子を一定方向に
並べるための膜。
5-液晶 :ネマティック液晶
6-スペーサー :液晶物質をはさむ2枚
のガラス基板に、均一なスペースを確
保する
シャープのホームページより
http://www.sharp.co.jp/products
/lcd/tech/s2_3.html#2
アクティブ・マトリックス
1. X電極が、各画素に付
いたアクティブ素子を
ON/OFFする。
2. ON状態にあるアクティ
ブ素子は、そのままの
電圧を保ち、Y電極と通
じることができる。
3. Y電極に電圧をかけ、
ON状態にある目的の
画素を点灯させる。
http://www.sharp.co.jp/products/lcd/tech/s2_3.html#2
TFTアクティブマトリクスLCD
http://www.nanoelectronics.jp/kaitai/lcd/index.htm
プラズマディスプレイ
• 気体の放電→紫外線→RGB蛍光体を励起
(Photoluminescence):蛍光灯と同じメカニズム
• 放電の持続性→メモリ性
• 利点:大画面(32型~60型超)、薄型(CRTの10分
の1)、軽量(CRTの6分の1 )、広視野角(160°以
上 )、色再現性よい(自発光による高画質 )
• 欠点:高価格、発光効率低く電力消費大(LCDが
標準150Wに対し、プラズマは250W)、液晶に比
べ高電圧を扱うので周辺回路が複雑
プラズマディスプレイの構造
• PDPの仕組みは、RGB発色
するように細工した小さな蛍
光灯の集合体といえる。
• つまり、発光素子(小さな蛍光
灯、正確には「放電セル」)が
一つ一つのドットを構成すると
いう仕組み(ドットマトリックス)
になっている。
• そのため放電セルを増やして
つないでいけば、いくらでも大
きなディスプレイがつくれる。
• 放電セルに詰め込まれている
プラズマは自発光し、紫外線
を出している。それが蛍光体
にぶつかると可視光にかわり
私たちの目に入ってくる。
http://www.nanoelectronics.jp/kaitai/pdp/3.htm
無機エレクトロルミネセンス
• 発光中心を添加した半導体に電界を印加して、
ホットキャリアを注入、発光中心を衝突励起
• ZnS:Cu多結晶体のパネル:長い歴史
• ZnS:Mn薄膜を用いた2重絶縁構造のオレンジ色
ELパネル:シャープが30年前に開発
• 青色発光に課題:
• 利点:薄型、電力消費微小、単色は大画面可、真
空不要
• 閾電圧200V前後と高く制御困難、カラー化に難
無機ELの構造
• 電子が電界により絶縁
体/ZnS:Mn界面から放
出される
• 電界で加速されホットエ
レクトロンとして移動
• ホットエレクトロンがMn
など発光中心に衝突
• 発光中心の電子系が励
起される
• 励起状態が放射遷移
• 長寿命
ZnS:Mnの発光(結晶場遷移)
• ZnS:Mnの発光は、
Mn2+イオンの3d5多電
子系における励起状態
4T から基底状態6A へ
1
1
のd-d遷移による。
• このような遷移を結晶場
遷移または配位子場遷
移とよぶ。
• 1電子系のバンド図では
説明できない
基底状態
励起状態
4T
2
4T
1
4A
1
無機ELで35インチ
ディスプレイ
TDKのHPより
•DNPと三洋、iFireが35インチ無機EL
ディスプレイを共同開発へ
大日本印刷(DNP)とカナダiFire Technologyは3月27日、35イン
チ程度の大型無機ELディスプレイを共同開発すると発表した。三
洋電機も技術支援する。
年末までにモノクロ製品の試作品完成を目指し、2004年前半ま
でに同サイズのカラー製品を、2005年に量産型を完成させる計画。
•TDK、業界最高輝度のカラー無機ELディスプレイを開発
カラー無機ELを開発しているカナダiFire Technologyの技術を
ベースに、TDKが独自開発した、青色蛍光体材料を含む高輝度
蛍光体材料を採用。200カンデラ/平方メートル以上(白色)の高
輝度を実現した。長寿命:3万時間以上
•iFire(http://www.ifire.com/)
有機エレクトロルミネセンス
• 有機物(高分子または
低分子)の発光層に電
子とホールを注入して、
1重項励起状態に遷移
させる。
• 電子輸送層とホール輸
送層で挟んで、効率的
にキャリアを注入
• 寿命に問題
三洋電機のHPより
光産業技術振興協会のHPより
有機EL材料
低分子
昇華蒸着
大型化困難
電子輸送層
Alq3
高分子
塗布、コート
大型フレキシブ
ル可能
PPV
NPB
PEDOT
発光層
ホール輸送層
http://www.nanoelectronics.jp/kaitai/oel/2.htm
有機ELの電子構造
• キャリアはホッピングし
ながら移動し再結合
• 有機層は数十~数百
nmの薄さ。
• バッファ層の導入で
ホール注入効率を改善
• 陰極金属にCaを使うこ
とで電子注入効率改善
LUMO
HOMO
LUMO=lowest unoccupied molecular orbital
HOMO=highest occupied molecular orbital
http://www.nanoelectronics.jp/kaitai/oel/3.htm
ヘテロ構造有機EL
• 有機層が三つの有機分子の
層から構成されていて、順バ
イアスをかけたときのエネル
ギー関係は上図のようになっ
ている。正孔を注入する陽極
とPPV層の橋渡役をする
MEH-PPVは、正孔輸送層
(HTL)と呼ばれている。一方、
電子を注入する陰極とPPV層
の橋渡役をするCN-PPVは、
電子輸送層(ETL)と呼ばれて
いる。また、キャリアが閉じ込
められるPPV層で再結合が起
こり発光するので、PPV層は
発光層(EML)と呼ばれている
http://www.nanoelectronics.jp/kaitai/oel/3.htm
電界放出ディスプレイ
(FED)
•CRTに電子銃を小
さくして数を増やし、
画素(ピクセル)ごと
に電子銃を配置した
ディスプレイ。
•低速電子線による
カソードルミネセンス
http://www.nanoelectroni
cs.jp/kaitai/fed/index.htm
FEDの構造
• FEDの大まかな構造は、真空の空間
が二つのガラスシートによってはさま
れたものになっている。そのガラスシ
ートのうち、カソード(陰極)からは
電界放出によって電子が放たれる。
このときの電子はカソードとゲート電極
の間の電圧の差によって生じる。
• 真空中に放出された電子はアノード(陽極)の方に向かって進み、
途中で蛍光体に衝突して光を放つ。こうして、RGBの三つの蛍光
体一組から発せられた可視光が、ディスプレイの1ピクセルに相
当する。
• 従来のFEDの電子放出源:マイクロティップ。
1ピクセルを構成するのに必要なマイクロティップの数は一つでは
なく、数千個規模のマイクロティップ・アレイが使われている。
カーボンナノチューブで実用化の可能性が増大