歴史の中の大地動乱

歴史の中の大地動乱
~奈良・平安の地震と天皇~
30416018 夏目真帆
目次
• 1、大地動乱の開始~7・8世紀
• 2、大地動乱の深化と桓武の遺産
• 3、陸奥海溝津波(貞観津波)と清和天皇
• 4、神話の神々から祟り神へ
1、大地動乱の開始
• 8世紀前半の地震
8世紀前半:文武 701年丹後地震 M6.5
元正 715年遠江・三河地震 M6.5ーM7.5
⇒奈良王朝に不安を与えた
聖武 734年河内・大和地震
744年肥後地震 M7.0
745年美濃地震 M7.9
2、大地動乱の深化と桓武の遺産
• 桓武天皇
781年、桓武即位
王権の独占
式家
785年、弟の早良親王を処断
→早良親王は絶食死し、怨霊化
788年、霧島山御鉢噴火
火炎が燃え上がり、雷音を響かせ、黒煙が上がって黒い砂が降った。
793年、長岡京から平安京への遷都の準備開始。
• 800年、富士の大噴火
3月14日から4月18日まで(約1か月間)
噴煙で昼でも薄暗く、夜は噴火の光が天を照らし、雷のような音が響き渡り、
火山灰が雨のように降った。
(噴火・地震・雷のセットの三位一体で火山噴火が印象されていた)
⇒人々の認識に変化
日本列島全域が火山島である
富士の大神が列島の神々の中でも最も威力がある神
⇒火山意識が西国と東国に二焦点化。
• 平城・嵯峨天皇と北関東地震の衝撃
817年12月、京都で3回の有感地震
818年7月、関東地方で大地震=北関東地震(M7.5以上)
被害は相模・下総・武蔵・常陸・下野・上野など関東6か国
圧死者多数。
断層・地割れ・墳砂の遺構が埼玉県、群馬県で広範囲に確認
⇒規模の大きさを物語っている
⇒嵯峨天皇素早く処置(翌8月に詔を発布)
関東諸国に使者:今年の免税、緊急給付を行い飢えから救うこと
家屋の修繕、死者を葬ること
9月にも詔を発布
「もし咎を一己に帰さば、人の夭折なくんば、その災いを移さんと
欲す」
地震が起きたとき周の文王は自分を罰しようとした。
すべての咎を自分がとってしまえば人が死なないというのなら
自分にその災いを移そうと思う。
• 淳和天皇と京都群発地震
827年5月、淳和天皇のもとに息子恒貞誕生
その夜雷が鳴り響いた
7月~京都で群発地震
最初の7月12日の地震はM6.5~7.0
7月中、連日激しい余震
830年1月出羽国秋田城で大地震発生(M7.0~7.5)
ほぼ連続して京都群発地震と東北の大震災が発生
⇒本格的な大地動乱の時代が到来することの前触れ
• 地震に追われた王(文徳天皇)
任明天皇のあとを継いだのは皇太子の文徳
即位直後には2回地震
⇒淳和天皇の時代の京都群発地震の再来
850年10月、出羽国で地震(M7.0)
851年から3年間、京都での有感地震は毎年10回~11回
854年は、年6回
855年5月、京都で2回。奈良でも地震があり大仏の仏頭が落下した。計17回
856年は計24回
8月、伊豆七島で噴火。黒い火山灰が降り地面に1センチ積もった。
858年8月、文徳は32歳で突然死
死の前年の7月、雷のような音が2方向から
死の直前、大流星が落下して異様な音・雷
結局、文徳を襲った地震は、総計99回、
在位期間8年で平均すると年に12.4回
⇒文徳は、京都の大地に宿る地霊、地震の神に呪われた王だった
3、陸奥海溝津波(貞観津波)と清和天皇
• 飢饉・疫病と応天門炎上事件
858年、父の文徳天皇の突然死によって清和は9歳で即位
任明天皇の時代に始まった神話の復活がはっきりと制度化される
⇒神々の扱い方に大きな変化
問題は新しい霊威を持った存在が登場していたこと。
この時期の自然災害の厳しさの中で、古い神話的な自然神にかわって、
疫病や飢饉などの災害を引き起こす神々それ自体が大きな位置を持ち始めた。
⇒「祟り神・疫病」の流行
• 陸奥海溝地震の前兆
867年1月20日豊後国速見郡の鶴見岳噴火(別府温泉の西)
山頂の3つの火山池の震動→雷のような音とともに硫黄が噴出
→火山弾を飛ばす
「昼は黒雲の下に熱気がこもり夜は火炎がみえ、火山灰が積もる」
⇒日本の火山噴火の典型的な情景
5月、肥後国阿蘇で「奇光」が照り輝き、地震+地割れ発生
⇒阿蘇の最大の火山活動
868年、京都で群発地震(M7.0以上)総計21回
• 陸奥海溝津波の襲来
清和天皇はこの地震をきわめて重く受け止めた
→応天門炎上事件において断罪した伴善男が死去したから
869年5月26日陸奥海溝地震発生(M8.3)
溺死者1000人。津波と同時に激しい断層の動き発生
原因:伴善男の怨霊だという噂
4、神話の神々から祟り神へー地震の深層
• 神話と国土観
政治の動き:非常に強く地震・噴火に左右されていた
8・9世紀の地震・噴火史料の中には濃厚な神話的観念が存在
自然の圧倒的な力に直面→神話を改めて強く意識
• 日本神話における雷電・地震・噴火
火山神・地震神・雷神の三位一体の関係