なぜ貧しい国はなくならないのか 第1章 開発経済学とは何か 1 まず定義から始めよう • 筆者による定義 「貧しい開発途上国の 貧困削減に貢献する戦 略を研究する学問分野」 2 まず定義から始めよう 筆者の定義に対する反論① • 中進国がどうすれば先進国の仲間入りを果 たせるのかがテーマ • 明治期の日本がどのように先進国の仲間入 りを果たしたのか 3 まず定義から始めよう 筆者の定義に対する反論① • 中進国がどうすれば先進国の仲間入りを果 たせるのかがテーマ • 明治期の日本がどのように先進国の仲間入 りを果たしたのか =中くらいの所得の人々を高所得者にする方 法 ⇒貧しい人々の所得を引き上げる方法と原理 的に共通点が多い ? 4 まず定義から始めよう 筆者の定義に対する反論② 「貧しい開発途上国の貧困削減に貢献する戦 略を研究する学問分野」 • それぞれの国には、それぞれの事情があり、 したがって効果的な開発戦略も様々である。 ⇒共通部分や普遍的な部分を明らかにすること が使命なのではないか。 5 まず定義から始めよう • 「開発経済学」 …経済が発展するような方策を考える ⇔ • 「経済発展論」 …経済の内発的な発展を重視する 6 まず定義から始めよう • 筆者による定義 「貧しい開発途上国の 貧困削減に貢献する戦 略を研究する学問分野」 7 所得の国際比較 表1-1より • 東アジア(得に中国)の急速な成長 • アフリカの所得水準は低いまま • 南アメリカの成長は緩慢 ←発展への努力を怠れば東アジアの国々も 南アメリカのように成長が緩慢してしまう可能性 がある。 8 所得と「人生の質」の指標 筆者の挙げる「人生の質」の指標 • 乳児死亡率 …親にとって幼い子供が死亡するほどつらい ことはない • 平均寿命 …若くして死亡してしまう人が多いのは悲惨 • 就学率 …教育がなければ就きたい仕事に就けない 9 所得と「人生の質」の指標 表1-2から • 乳児死亡率 …高所得国で低く低所得国で高い 例:ナイジェリア • 平均寿命 …高所得国で高く低所得国で低い ⇒所得と乳児死亡率との間には強い負の関係(所得が上が れば乳児死亡率は下がる)、所得と平均寿命の間には正の 関係(所得が上がれば平均寿命も上がる)がある。 =所得の上昇は、乳児死亡率を減少させ、寿命を増 加させる。 10 所得と「人生の質」の指標 表1-3から • 就学率 …所得の低い国や地域で低い傾向にある 例:アフリカ =所得が子供の教育水準と密接に関係してい る 11 所得と「人生の質」の指標 • 乳児死亡率 • 平均寿命 • 就学率 以上から所得と「人生の質」には強いつながり がある。 12 所得と貧困 • 貧困者の尺度の一つ …一日当たりの所得が1.25ドル以下 • 貧困者比率 …貧困者数/その国の人口 13 所得と貧困 表1-1と表1-4の比較&図1-1から • 一人当たりの所得と貧困者比率の間には負 の関係がある =所得が増えれば貧困率が下がる 移動可能な地域での格差は長続きしないから 貧困を減らすためには所得を上げることが大切 14 基本的視点と本書の構成 • 通常の経済発展では 農業→工業→サービス業 である。 ならば 農業→サービス業 となるように、サービス業という近道はできな いか? 開発経済学の 大きなテーマ 15 基本的視点と本書の構成 • 貧困を無くすための方法は様々 例:道路を舗装して輸送費を下げる、携帯電話で農民が就職 情報を簡単に収集できるようにする、肥料に補助金をつける、 貧しい農民が銀行から低利でお金を借りられるようにする等 しかし資源(予算・人員)には限度がある。 →優先順位をつけることが大切。 →どう優先順位をつける考えることがこの本の目 的。 16
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