日本で働く「不法」就労者 地域文化論講座2回生 中村幸代 目次 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 外国人労働者をめぐる論争 外国人労働者の区分 「不法」就労者の定義と彼らの抱える問題 非正規滞在者に対する日本政府の対応 NPO・NGOによる取り組み 今後の課題 論点 1.外国人労働者をめぐる論争 少子化 労働力不足 大幅導入 移民 経済縮小 日本人雇用機会減少 導入慎重 2.外国人労働者の4区分 就労目的の 在留資格保持者 身分または地位に基づく 在留資格保持者 外国人労働者 在留特別許可を得た者 非正規労働者(「不法」 就労者) 2006年の外国人労働者数 厚生労働省職業安定局の推計 アルバイト 12% 不法就労、不 法残留者 18% 技能実習生等 の特定活動 10% 合法的就労者数 約75.5万 専門的技術的 分野 20% 日系人、日本 人配偶者 40% 不法就労者数 外国人労働者数 約17万人 約92.5万人 在留資格別外国人労働者の割合 (2010) 不法就労者 外国人労働者 || 約7万人 649982人 || 11%以上 が 不法就労者! 3.「不法」就労者とは • 許可された以外の収入や報酬をともなう活 動(=就労)を行う外国人 不法就労者 非正規滞在者 (在留資格ない者 =入管法に違反して いる者 =バレたら摘発され 強制送還になるはず の人) 正規滞在者 のうち資格外 の活動を行う 者 国籍別 不法残留者数の割合(2009) 不法就労者の就労分野(2010) 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 2846 2358 2455 1347 777 670 490 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 2439 1332 801 676 単純労働者 工員 男性 1530 392387 女性 ホステスなどの接客業 建設業者 工員 その他の労務作業者 ウエイトレス等給仕 調理人 その他サービス業従事者 農業従事者 皿洗い その他のサービス業従事者 調理人 その他 その他 4.「不法」就労者の抱える問題 労働面 • 賃金不払い • 労働災害 • 不当解雇 3K労働 生活面 • 医療・福祉 • 子供の教育 • 長期滞在に伴う 帰国の困難 • 「犯罪者」という 偏見 「不法」就労者の労働環境 不当解雇 • 不況による人員整理解雇 • 撤回が求められない状況 経営基盤の脆弱さ 労働法•は非正規滞在者 に対しても適用される! • 経営者、労働者ともに労働法 賃金不払い に無知 労働災害 • 安全装置の不備 • 労働災害保険請求に消極的な 会社側 「不法」就労者の生活環境 • 医療、福祉:国民健康保険の加入、生活保護 が適用されない。+言語の問題 • 子供の教育:義務教育の対象外。長期滞在 化の要因になりうる。 • 長期滞在化:子供の存在、国境管理の厳格 化。⇒帰国という選択が困難になる • 「外国人犯罪」報道:メディアの助長による日 本人の偏見。テロリストとしての眼差し(9.1 1以降) 4.非正規滞在者に対する 日本政府の対応 1990年代放置された非正規滞在者 • 1980年代:バブル期による人手不足 ⇒「不法」就労者の激増と「単純労働」問題 • 1989:改定入管法制定←「不法」就労に対す る取り締まりを強化 (鎖論vs.開国論) • 政策意図に反して「不法」残留者数は増加 取り締まり強 存在は黙認、 矛盾 化の方針 放置の対応 不法残留者数の推移 2001年~非正規滞在者の徹底的排除 • 2003:「非正規滞在者を5年間で半減させる」 という共同宣言公表(by警視庁、東京都etc) • 2004:法務省によるHP上での非正滞在者通 報制度 • 2005:「第三次出入国管理計画」策定 – 専門的、技術的分野における外国人労働は積極 的に推進する – 人口減少時代への対応 • 『現在では専門的,技術的分野に該当するとは評価さ れていない分野における外国人労働者の受入れにつ いて着実に検討していく。』 外国人カテゴリーの概念図 専門的・技 術的労働者 単純労働者 線 引 き の 変 更 高度 人材 専門的・ 技術的労 働者 特定技能労 働者 単純労働者 新しい在留管理制度を導入 • 2009年、入管法を改正⇒新在留管理制度導入 – 在留資格をもつ外国人を政府が継続的に把握 – 「外国人登録証」→ICチップ付きの「在留カード」 – 対象者: 3カ月を超える在留期間決定を受けた外国 人(150万程度?) 目的 • 非正規滞在者への交付を防ぐ • 非正規滞在者or在留資格のある外国人の情報 管理の強化 ⇒非正規滞在者への取り締まりは より強まる・・・? 在留特別許可を求めて • 非正規滞在外国人が日本で正規化される唯一 の方法 • 法務大臣の裁量によって判断される • 法務省HPで許可、不許可の事例が示されている • 許可された事例は、日本人や子供との「家族的 つながり」がある場合がほとんど • 労働者としての評価はされない • 認められなかった場合は強制退去 5.NPO・NGOの取り組み(A.P.F.S) • • • • 労働相談 「命」に対する差別是正を目指す 非正規滞在者と地域住民のパイプ役 外国人登録や在留特別許可のサポート など 今後の課題(現非正規滞在者に対して) • 在留特別許可の制度の見直し(政府) • 非正規滞在者の人権の保障(政府) • 「外国人犯罪」の報道の仕方と外国人労働者 に対する偏見の改善(政府&国民) • 非正規労働者の雇用側の責任追及の強化 (政府&企業) ただ、非正規滞在者の取り締まり強化を目指すだけで なく、 現在日本で生活する非正規滞在者に対して今後どの ようなアプローチをするかが重要ではないか 論点 • 外国人労働者 – どのレベルで今後受け入れていくべきだと思うか (全面反対/高度人材のみ/単純労働者の枠増やすべき etc…) • 現非正規滞在者 – どのような処置がとられるべきか • 外国人労働者として受け入れるか、移民とし て受け入れるか 参考文献 • 依光正哲編著「日本の移民政策を考える 題」 人口減少社会の課 • 鈴木江理子著「日本で働く非正規滞在者 彼らは「好ましくな い外国人労働者」なのか?」 • 週刊エコノミスト2008.6.17 「動き出す移民政策」 • 法務省:入管管理局HP http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_ind ex.html • 朝日新聞:新戦略を求めて:ニュース特集 http://www.asahi.com/strategy/0829a.html • 毎日jp. http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111221k0000m04 0031000c.html
© Copyright 2024 ExpyDoc