TOC(制約条件理論) - 慶應義塾大学 理工学部

TOC(制約条件理論)
背景

Eliyahu M.Goldratt とOPT






70年代 物理学者
親族工場における効率追求管理
OPTの誕生
アメリカGMなどで30%全体効率アップに成功
内容の非公開
小説によるアイデアの紹介





The Haystack Syndrome 1990
The Goal 1992 250万部売れる→続き出版
Its not luck 1994
Critical Chain 1997
Theory of Contraints 1997
Chicken coop factory の生産スケジューリング問題の解決
1974年末、スケジューリング・ソリューションを開発
追加の設備、労力なしに生産を40-50%増加
1978年、大学を30歳で卒業し、CDCの勧めで、OPTソフト販売会
社 Creative Output Inc. を設立。
米国での最初のプロジェクトはGEの防衛システム事業部
スループットを30%増加させ、在庫を半減。
Creative Output Inc.社は高成長企業となる。



1987年、 Creative Output Inc. を去り、アブラハム Y. ゴー
ルドラット・インスティテュート (AGI) を設立し、思考プロセ
スと教育に関心を向けた。この時点で、方針、業績測定、原価
計算、経営風土、思考プロセスなどが、コンピュータ・システ
ムよりも重要とはっきり認識し、生産組織運営の一般理論の展
開に注力
1990年、 “Haystack syndrome” を出版し、ロジスティックス
部分と業績測定部分を体系化。
1993年、 問題解決、思考プロセス部分を議論する最初の論文
を発表。
The Goal
 問題提起
 The
Goal
 自動化,ボトルネック,システム全体効率
 スループットの問題
 ドラム・バッファー・ロープ(同期化)
ザ・ゴール
主人公アレックス・ロゴが、家族をぶん投げ、ヨナ
という、イスラエル人の物理学者の指導の下に、
成績が改善されない限り3ヵ月後に閉鎖を予告さ
れた、自分の管下の工場の業績を、期間内に回
復させるお話。
構成部品 A
作業
原材料
A
10
(5単位/時)
作業
20
(2単位/時)
作業
30
(5単位/時)
制約
製品C
組立
(20単位/時)
出荷
構成部品 B
作業
原材料
B
15
(10単位/時)
作業
25
(4単位/時)
作業
35
(5単位/時)
クイズ
2単位
•製品Cの最大生産量は1時間あたり何単位か? その理由は?
•作業25の生産性が向上し、1時間あたり10単位生産できるようになったらどうなるか? その理由 2単位
は?
•なるか?
作業10、および作業15に、1時間あたり2単位を超える原材料が投入されると製品Cの生産量はどう
2単位、在庫増
その理由は?
•作業10が4時間停止したらどうなるか? その理由は?
作業20の前に在庫がなければ、8単位減
•作業30が4時間停止した場合と結果は異なるか? その理由
作業20の後にスペースがなければ、8単位減
は?
Source: Constraints Management Handbook by J.F.Cox and M.S. Spencer
Its not luck
 印刷会社の事例
 ラベル量販割引と新製品投入の問題
A社:原材料:少量、ラベル生産:小ロット、価格高
い
 B社:原材料:大量、ラベル生産:大量、価格:低い
 C社:購買基準(単価)、ラベルの大量使用残

 中核問題
 CRT
 FRT
TOC構成
制約条件の理論(TOC)
ロジスティックス分枝
5段階継続的
改善プロセス
スケジューリング
プロセス
問題解決/思考プロセス分枝
V-A-T 分析
ECE図
業績システム分枝
スループット
在庫
(T)
エバポレイティン
グ・クラウド
現状問題構造ツリー
マイナス・ブランチ制限
未来問題構造ツリー
バッファー管理
DBR
ECE検証
プロセス
プロダクト・ミックスの決定
前提条件ツリー
移行ツリー
スループット・ダラー・デイズ
(I)
業務費用
(OE)
在庫ダラー・デイズ
Thinking Process(TP)とは

「根深い複雑な問題に対して妥協案ではないブレークスルー
案を考え、変化を起こし、実行に移す手法」
1.中核問題の発見
-現状問題構造ツリー(Current Reality Tree:CRT)
2.解決策の作成と検証
-対立解消図(Conflict Resolution Diagram:CRD)、未来問題構造ツリー
(Future Reality Tree:FRT)
3.実行計画の作成
-前提条件ツリー(Prerequisite Tree:PRT)、移行ツリー(Transition Tree:
TT)
TPの問題解決
何を変えるのか
中核問題の発見
何に変えるのか
解決策の作成と検証
どう変えるのか
実行計画の作成
問題解決のアプローチ

新QC7つ道具(N7)との比較
Thinking Process
新QC7つ道具
C C F P T 親 連 系 マ ア
R R R T T 和 関 統 ト ロ
T D T
図 図 図 リ ー
法 法 法 ッ ・
ク ダ
ス イ
図 ア
法 グ
ラ
ム
問題の発見
要素の抽出(目標達成の障害事例を抽出)
問題の提示
問題の記述(問題の内容と解決の必要性を提示)
問題状況の認識
要素の抽出(問題の要点,理由,形成要素等についての認識)
本質的な問題の探究
階層構造の把握(問題の本質的な部分を探究)
解決目標の設定
要素の抽出階層構造の把握(行動目標を設定)
代替案の策定
創造力・要素の抽出(方法・方式を選択)
解決案の評価/選択
評価・意思決定(複数の代替案から解決策を選択)
解決行動の計画
計画(具体的な計画を練る,リスク分析)
解決行動の実施
実施(計画に基づいて実施する)
解決行動の評価/検証
評価・検証(問題がどの程度解決されたか)
P
D
P
C
TPのメリット

ツリー展開の妥当性検証ルールCLR(Categories of Legitimate
Reservation)の存在








明確性(clearness)
表現の適切性(entity existence)
因果妥当性(causality existence)
原因不十分性(cause insufficiency)
追加的独立原因(additional cause)
因果逆転製(cause effect reversal)
効果不十分性(predicted effect existence)
循環ロジック(tautology)
• 論理的、客観的な問題認識が可能
– 的確な対処、感情的対立の回避
• 直感と論理の融合
– ブレイクスルー案の抽出
• 規定のステップを踏んでの実施
– 見落とし、抜け落ちの防止
• 実行上障害の克服
現状問題構造ツリー(Current Reality Tree:
CRT)

問題の中に潜む因果関係の構造を明確にし中核問題を発見する
好ましくない結果
(UDE)
好ましくない結果
(UDE)
好ましくない結果
(UDE)
根本原因
(RC)
問題
(IE)
好ましくない結果
(UDE)
問題
(IE)
根本原因
(RC)
UDE: Undesirable Effect
RC: Root Cause
中核問題
(CP)
CP : Core Problem
IE : Intermediate Effect
現状問題構造ツリー(Current Reality Tree:
CRT)

現在抱えている問題UDE(5個ー10個)をリストする

UDEの各組合わせで因果関係の探索を行なう

どちらが原因で、どちらが結果かを決める

IF, THENロジックで、UDEをすべて結ぶ

原因と結果の間に欠落しているエンティティを明確に識別し、因果関
係をはっきりさせ、誰でもが納得できるように問題構造ツリーを構築
する

問題を発生させている根本原因(root problem)を確認し、除去し、
それに由来するUDEを除去する
対立解消図の作成

中核問題に潜む根本的な矛盾や対立をツリーを用いて解消する
必要条件
#1
目的
(中核問題の反対)
前提条件
#1
これらの因果関係の
いずれかを打破する
(無効にする)
アイデアの注入
必要条件
#2
対立
前提条件
#2
対立解消図 (例)
店から車まで
楽に袋を運びたい
買い物を
楽に持ち帰りたい
車のトランクに
買い物袋が入るサイズの
ダンボールを常備しておく
車の中で袋が
倒れてほしくない
手提げ式
プラスチックバッグ
をもらう
対立
紙袋をもらう
未来構造ツリーの作成

ブレイクスルー案の検証
好ましい結果
(DE)
好ましい結果
(DE)
好ましい結果
(DE)
根本原因
(RC)
好ましい結果
(DE)
アイデアの注入
好ましい結果
(DE)
好ましい結果
(DE)
目的
根本原因
(RC)
前提条件ツリーの作成

目的達成の障害を発見し,克服するために必要な状態を中間目的として設定
目的
中間目的
中間目的
障害
障害
中間目的
障害
中間目的
中間目的
障害
中間目的
移行ツリーの作成

前提条件ツリーの各中間目的を達成する行動計画の作成
目的
理由
中間目的
障害除去行動
理由
中間目的
障害除去行動
理由
中間目的
障害除去行動
Thinking Process全体像
現状問題構造ツリー
好ましい結果
(DE)
未来問題構造ツリー
好ましくない結果
(UDE)
好ましくない結果
(UDE)
好ましい結果
(DE)
好ましくない結果
(UDE)
好ましい結果
(DE)
根本原因
(RC)
根本原因
(RC)
好ましくない結果
(UDE)
好ましい結果
(DE)
問題
(IE)
好ましい結果
(DE)
問題
(IE)
好ましい結果
(DE)
根本原因
(RC)
アイデアの注入
目的
中核問題
(CP)
必要条件
#1
目的
(中核問題の反対)
対立解消図
前提条件
#1
これらの因果関係の
いずれかを打破する
(無効にする)
アイデアの注入
必要条件
#2
対立
前提条件
#2
移行ツリー
前提条件ツリー
目的
目的
中間目的
理由
中間目的
中間目的
障害除去行動
障害
障害
中間目的
理由
中間目的
障害除去行動
障害
中間目的
中間目的
理由
中間目的
障害除去行動
障害
中間目的
根本原因
(RC)
ディスカッション
TP会計
製品名称
売値
固定費用
変動費用(材料)
P
100
10
50
Q
110
60
20
生産能力:合せて100個生産する能力しかない.
市場需要:製品P100個,製品Q100個
生産と販売
販売価格とコスト
コスト単価
月
1月
2月 小売価格
99 (1)変動コスト
月初在庫
0 200 変動製造コスト
20 製造コスト
生産量
600 650 変動販売コスト
19 販売コスト
販売量
400 750 総製造固定コスト
12800 総変動コスト
月末在庫
200 100 総販売固定コスト
10400 (2)製造コスト
製造コスト
標準製造固定コスト
総製造コスト
20
19
39
20
16
36
月初在庫
生産量
小計
販売量
期末在庫
販売額
月初在庫学
変動製造コスト
固定製造コスト
小計
月初在庫金額
販売コスト
製造コスト差額
総販売コスト
総販売利益
販売管理費
企業利益
ケース1 ケース2 ケース3 ケース4 ケース5
200
200
200
200
200
550
650
700
800
850
750
850
900
1000
1050
750
750
750
750
750
0
100
150
250
300
74250 74250 74250 74250 74250
7200
7200
7200
7200
7200
11000 13000 14000 16000 17000
8800 10400 11200 12800 13600
17000 30600 32400 36000 37800
0
3600
5400
9000 10800
17000 27000 27000 27000 17000
4000u 2400u 1600u
0
800f
31000 29400 28600 27000 26200
43250 44850 45650 47250 48050
24650 24650 24650 24650 24650
18600 20200 21000 22600 23400
CC理論
 Critical
Chain
 プロジェクトマネジメントの計画
 プロジェクトマネジメントの実際
 学生シンドロームと2つのバッファー
プロジェクトバッファー
 フィーディングバッファー

 平行作業の効率と非効率

事例討論
ディスカッション問題
山田君は富士工業株式会社で複数の製品開
発に携わっている.彼は毎週末になると各製品
の開発担当者から進捗報告を求められており,
毎日の作業時間を各製品に均等に配分するとい
う平行作業で製品開発に臨んだ.その結果,山
田君は各担当者から咎められることなく仕事を無
事開発の仕事を終えることができたが,各製品
開発にはすべて遅れがでる結果になった.
一般的に平行作業は時間短縮ができるはず
だが,なぜこのような結果になったのだろうか?
全体最適化
 製造オリエンテーション
 コストの世界
 マーケットオリエンテーション
 スループットの世界