AM and T. Hirano, arXiv:1003:3087 (to appear in Nucl. Phys. A) 複数の保存荷電流がある多成分系 における相対論的粘性流体力学 門内 晶彦 東京大学理学系研究科物理学専攻 共同研究者:平野 哲文 日本物理学会 2010年秋季大会 2010年9月11日-14日, 九州工業大学 はじめに 相対論的重イオン衝突とクォークグルーオンプラズマ(QGP) ハドロン相 (クロスオーバー) QGP 相 sQGP (wQGP?) 流体による重イオン衝突のモデリング 粒子 t t ハドロンカスケード描像 凍結 ハドロン相 相対論的流体描像 QGP相 初期条件 熱平衡前 z CGC/Glasma 描像 A power point template created by Akihiko Monnai 門内 晶彦 (東大理)、『複数の保存荷電流がある多成分系における相対論的粘性流体力学』、日本物理学会 2010年秋季大会、九州工業大学、2010年9月12日 はじめに なぜ粘性散逸流体か? RHIC実験(2000-) 完全流体モデルの成功 粘性流体モデルが必要 格子QCDの状態方程式を入力すると結果がずれる LHC実験(2009-) QCDの漸近的自由性 粘性流体モデルが必要 より高温でQGPの強結合性が弱まると期待 QGPの解析には多成分+相互作用のある系での 相対論的散逸流体が必要 (これまでは単成分+弾性散乱系の流体で解析) A power point template created by Akihiko Monnai 門内 晶彦 (東大理)、『複数の保存荷電流がある多成分系における相対論的粘性流体力学』、日本物理学会 2010年秋季大会、九州工業大学、2010年9月12日 本研究の概要 相対論的散逸流体力学を多成分/複数保存流系にて定式化 START エネルギー運動量保存則 荷電保存則 エントロピー増大則 モーメント方程式 , 一般化されたグラッドのモーメント法 GOAL 散逸流の運動方程式 , , , オンサーガーの相反定理が満たされる A power point template created by Akihiko Monnai 門内 晶彦 (東大理)、『複数の保存荷電流がある多成分系における相対論的粘性流体力学』、日本物理学会 2010年秋季大会、九州工業大学、2010年9月12日 物理量の定義 流速 による射影分解 2+N 個の平衡量 エネルギー密度: 静水圧: 荷電密度(種類J): *熱力学的安定条件 は構成方程式の導出後に必要 10+4N 個の散逸流 エネルギー密度補正: 体積粘性応力: エネルギー散逸流: ずれ粘性応力テンソル: 荷電密度補正(種類J): 荷電散逸流(種類J): A power point template created by Akihiko Monnai 門内 晶彦 (東大理)、『複数の保存荷電流がある多成分系における相対論的粘性流体力学』、日本物理学会 2010年秋季大会、九州工業大学、2010年9月12日 相対論的流体力学 完全流体の枠組み 未知数(5+N) , , , 保存則(4+N)+ 状態方程式(1) , , 散逸流体の枠組み 追加の未知数(10+4N) , , , , , モーメント方程式 !?, 相対論的運動学で定義 複数保存流系 のために導入 エントロピー増大則 からその具体形を決定 A power point template created by Akihiko Monnai 門内 晶彦 (東大理)、『複数の保存荷電流がある多成分系における相対論的粘性流体力学』、日本物理学会 2010年秋季大会、九州工業大学、2010年9月12日 モーメント方程式の評価 分布関数の歪みを導入 *グラッド法をオンサーガーの相反定理を満たすように複数保存流系へ拡張 エントロピー増大則から 歪みテンソル , , が 、 で表される(二次形式) は定義から粘性量で表させる 分布歪みテンソル 散逸流 , 、 、 , , セルフコンシステント条件 モーメント方程式 , 半正定値性条件 A power point template created by Akihiko Monnai 門内 晶彦 (東大理)、『複数の保存荷電流がある多成分系における相対論的粘性流体力学』、日本物理学会 2010年秋季大会、九州工業大学、2010年9月12日 散逸流体方程式 体積粘性応力 膨張への線形応答 交差項(線形応答) 二次の補正項 緩和項 交差項の存在(オンサーガーの相反定理) 二次の補正項が最も一般的な形(複数保存流込) 緩和項が自然に表れる(因果律) A power point template created by Akihiko Monnai 門内 晶彦 (東大理)、『複数の保存荷電流がある多成分系における相対論的粘性流体力学』、日本物理学会 2010年秋季大会、九州工業大学、2010年9月12日 散逸流体方程式 エネルギー散逸流 温度勾配への線形応答 交差項(線形応答) デュフォー効果 二次の補正項 緩和項 A power point template created by Akihiko Monnai 門内 晶彦 (東大理)、『複数の保存荷電流がある多成分系における相対論的粘性流体力学』、日本物理学会 2010年秋季大会、九州工業大学、2010年9月12日 散逸流体方程式 荷電散逸流 化学勾配への線形応答+交差項 交差項(線形応答) ソレー効果 二次の補正項 緩和項 A power point template created by Akihiko Monnai 門内 晶彦 (東大理)、『複数の保存荷電流がある多成分系における相対論的粘性流体力学』、日本物理学会 2010年秋季大会、九州工業大学、2010年9月12日 交差項の意味 同階テンソルの散逸流と熱力学的な力の結合 例) オンサーガーの相反定理を満たす( ) Cf: 『煮物を一度冷ますと味が染みる』 成分の浸透 だし 煮物 温度勾配 温度勾配によって起こる熱流 ソレー効果 相対論的な「クォークのスープ」でも重要と期待 A power point template created by Akihiko Monnai 門内 晶彦 (東大理)、『複数の保存荷電流がある多成分系における相対論的粘性流体力学』、日本物理学会 2010年秋季大会、九州工業大学、2010年9月12日 散逸流体方程式 ずれ粘性応力 膨張への線形応答 二次の補正項 緩和項 テンソル構造は他の定式化と概ねコンシステント AdS/CFT + 現象論の方法 Baier et al. (‘08) 繰り込み群の方法 Tsumura and Kunihiro (‘10) グラッドの14モーメント法 Betz et al. (‘09) A power point template created by Akihiko Monnai 門内 晶彦 (東大理)、『複数の保存荷電流がある多成分系における相対論的粘性流体力学』、日本物理学会 2010年秋季大会、九州工業大学、2010年9月12日 まとめと展望 因果的な相対論的散逸流体力学を定式化 1. 多成分・複数保存流系を扱える理論 相互作用がある系を扱うことが可能 2. オンサーガーの相反定理を満たす交差項が存在 モーメント展開の正当性を示唆する 3. 最も一般的な二次の補正項の形 他の定式化との対応関係がある 4. フレーム固定の必要がない エネルギー散逸流と荷電散逸流の式が同時に得られる 将来の展望 • 重イオン衝突反応における粘性流体の数値解を得る • 基礎理論のため、宇宙論など他分野へ応用可能 A power point template created by Akihiko Monnai 門内 晶彦 (東大理)、『複数の保存荷電流がある多成分系における相対論的粘性流体力学』、日本物理学会 2010年秋季大会、九州工業大学、2010年9月12日 スライド終わり ご静聴ありがとうございました A power point template created by Akihiko Monnai 門内 晶彦 (東大理)、『複数の保存荷電流がある多成分系における相対論的粘性流体力学』、日本物理学会 2010年秋季大会、九州工業大学、2010年9月12日
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