無線LAN基地局の省電力運用にお ける給電停止制御に関する研究 九州大学 工学部 電気情報工学科 岡村研究室 久保 貴哉 1 発表内容 • 背景 • 研究目的 – 給電停止制御の重要性 • 研究内容 – 無線LANサービスのログ解析 • タイムアウトを変更した時の – 再接続数 – 省電力効果 – 給電停止制御方式の提案 • まとめ 2 背景 • 無線LANが普及してきている • 無線LANを使用するためにはAP(アクセスポイント)が必要 – 端末は既存のネットワークに接続されたAPと通信することによって、 インターネットに接続する – いつ端末からの接続要求があるかわからない為、APは常に起動さ せておくことが多い。 • 夜間や休日など無線LANを利用する端末が少ない時 に電力を浪費している – 1台につき平均7[W]ほど – 九州大学のkitenetでは全体で892台のAPがある – 土日は平日の1/3程度、夜間は日中の1/10程度の接続 端末数 3 研究目的 無線LANを利用しようとする人が現れた時にAPを起動させる -どのように利用者が現れた事を識別するのか →プローブ要求を用いる Ryo Nakamura, Maho Hirasaka, Mari Suenage, Motoyuki Ohmori and Koji Okamura,A Proposal of Green Wireless LAN System Based on DYnamic Power Supply Control,Network Research Workshop,2009.07. -いつAPを停止させるかということについては論じられていない 目的:どのようなタイミングでAPを停止させれば効率が良いか調べる 4 無線の利用停止のタイミング ・ユーザが無線LANの利用をやめるタイミングは、通信結果からは厳密にはわからない -一旦通信が切れてもユーザはまだ無線LANを使う気かもしれない(再接続) -ユーザが意図的に切断していても、すぐに無線LANを使いたい他のユーザが現れる かもしれない ・停止しているAPを起動させる時、完全に立ち上がるまで時間がかかる -そのため頻繁にAPを停止させることはあまり良くない ・APと端末の間の通信が途切れた途端に、APへの給電を停止すると・・・・ ?? AP起動 のための 待ち時間 が発生 このように簡単にAPを停止させると、無線LANの利便性が低下する 5 研究内容 • APが受け持つ端末が無くなってから、~分後に 電源を切るというタイムアウトを設定する -タイムアウトの時間が長ければ、APの起動を 待つ端末の数は減るが、省電力効果は低くなる • タイムアウトの設定によって、APの起動を待つ 端末の数と、省電力効果が変わる • タイムアウト・影響を受ける端末数・省電力効果 の関係を調べる為に、kitenetのログデータを解 析する 6 研究内容~参考データ1~ ・kitenetのRADIUSサーバのアカウンティングログ Acct-Status-Type:”start”または”stop”アカウン ティングの開始か終了かを示す Calling-Station-Id:そのAPを使っている端末 のMACアドレス Client-IP-Address: APのアドレス Timestamp:記録された時間 7 研究内容~参考データ2~ ・ARPテーブル ・五分毎に保存されているIPアドレスと MACアドレスの対応表 8 AP毎に見たkitenetの利用状況 解析方法について • タイムアウトの値を予め決めて、5分毎にAP との接続を待たされる端末数を数える • ここでは仮にタイムアウトの値を5分、30分、 一時間と設定する • タイムアウトの値による省電力効果への影響 を調べる – タイムアウトが長くなると、その分起動時間は長く なる 10 タイムアウトによる停止 (例)7月5日(月)に終日この制御をした場合 (台) 5分内で接続待ちとなる端末数の最大値 timeout = 5min 49台 timeout = 30min 23台 timeout = 1h 21台 11 タイムアウトによる停止(2) (例)7月10日(土)に終日この制御を行った場合 台 5分内で接続待ちとなる端末数の最大値 timeout=5min 18台 timeout = 30min 9台 timeout = 1h 6台 12 タイムアウトによる停止(3) (例)7月4日(日)に終日この制御を行った場合 (台) 5分内で接続待ちとなる端末数の最大値 timeout = 5min 10 台 timeout = 30min 6台 timeout = 1h 5台 13 APの消費電力量 単位:Wh 5min 30min 1h 7月4日 7月10日 7月5日(月) (日) (土) 2903.33 14584.23 3576.13 3721.29 19422.18 4941.25 4322.06 22451.70 5977.52 kitenetの全APを24時間起動させておいた時の消費電力は約143kwh 14 給電停止制御方式の提案 ・接続待ちとなる端末数の制限を優先する時 平日 土曜 日曜 待ち端末50台以下 待ち端末25台以下 Timeout = 5min 消費電力=約14.5kwh Timeout= 30min 消費電力=約19.4kwh 20台以下 10台以下 Timeout = 5min 消費電力=3.6kwh Timeout=30min 消費電力=約5.0kwh 10台以下 5台以下 Timeout=5min 消費電力=3.0kwh Timeout=1h 消費電力=4.3kwh ・消費電力を優先にした時 平日 土曜 休日 消費電力を15kwh以下 消費電力を20kwh以下 Timeout = 5min 最大待ち端末数 = 49台 Timeout = 30min 最大待ち端末数 = 23台 消費電力を4wh以下 消費電力を6kwh以下 Timeout = 5min 最大待ち端末数 = 18台 Timeout = 1h 最大待ち端末数 = 6台 消費電力を3wh以下 消費電力を4kwh以下 Timeout = 5min 最大待ち端末数 = 10台 Timeout = 30min 最大待ち端末数 =6台 接続待ち端末と消費電力のどちらを優先させるかによってtimeoutの値はかわる ・両方とも達成させることは出来ない(トレードオフ) 15 今後の課題 • 平日の昼にこの電源制御を行うと、接続待ち 端末の数が多すぎる為、夜間のみこの制御 をした場合の解析を行う – その時の待ち端末数・1日の消費電力について 解析をする • さらに細かく・広い時間のデータを分析するこ とによって、接続待ち端末数・消費電力の制 限下でのtimeout値を確認する 16 御清聴ありがとうございました 17
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