1.社会的責任に関する円卓会議 (1)概要

多様
地域円卓会議in茨城の取組
社会的責任とマルチステークホルダープロセス
認定NPO法人茨城NPOセンター・コモンズ
常務理事事務局長 横田 能洋
1.社会的責任に関する円卓会議
(1)概要
安全・安心で持続可能な未来に向け、事業者団体、労働組合、NPO・NG
Oなどの広範な主体が参画し、政府だけでは解決の難しい課題に対し、参
加主体が自ら行動することで解決していく枠組み。平成21年3月、政府、事
業者団体、労働組合、NPO等、消費者団体、学者等の発起人の署名により
設立以降、政府はメンバーの一員として参画
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1.社会的責任に関する円卓会議
(2)特色
特色① 各担い手が自ら課題を設定し、それぞれが自ら取り組む。
特色② 政府は、他の担い手と対等な立場で参加。協働のための環境整備も行う。
議題設定
審議会等
提言
消費者
団体
税制・補助金
規制等
政府の施策を審議
消費者
団体
労働
組合
事業者
団体
セクター
議題設定
自ら取組
事業者
団体
金融
労働
組合
政府
NPO・NGO
社会的責任に
関する
円卓会議
専門家
議題設定
協働のための環境
整備
金融
NPO・NGO
セクター
自ら取組
専門家
政府
政府も一参加者
審議会等
社会的責任に関する円卓会議
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「社会的責任」で問われていること
法令順守だけでなく、(言われたこと、やってます、だけでなく)
社会面・環境面の配慮を業務に統合すること
• 問われているのは 製品よりもその製品をつくる「仕事の仕方」
• 一過性の保育所への寄付<女性雇用企業からの調達
• 利益を還元すること<どのように利益をあげるか
SRとは社会を学ぶこと、社会への洞察力が重要
「わが組織には関係ない」ではすまない
• 法的義務はないが、ステークホルダーと自組織の間で起きてい
る社会課題について、このままでよいかを考え、判断し、実行す
るプロセス。
• その判断に際してステークホルダーと対話したり、協働すること
が重要になる
地域円卓会議開催までの経過
22年9月 SR円卓会議で、22年度モデル事業として地域版円卓
会議の実施が決まり、茨城が開催候補地に選ばれた。
選ばれた理由
各セクターの協働でNPOフォーラムを10年以上開催し、その中
から「地域のパートナーシップを拓くSRネット茨城」ができていた。
そこで、毎年開催してきたNPOフォーラムは、22年度は地域
円卓会議in茨城として開催することになり、SRネット茨城が円卓
会議の実行委員会になった。
地域のパートナーシップを拓く
SRネット茨城とは
• 企業・労組・経済団体・NPOの関係者が集い
• 組織の社会的責任や地域貢献に関する情報
を交換できる場を設け
• それぞれの活動のレベルアップを図り
• 地域の課題解決に向けた相互の連携と活動
の発展を促し、
• 組織や地域の価値を高める。
SRネット茨城の活動状況
・県内NPO実態調査への協力と情報共有
・NPOフォーラム共同開催
・ISO26000学習会
・地域課題検討
「耕作放棄地問題」「外国人児童教育問題」
・実験的事業
「茨城でのフードバンク設立」
最初は疑問だらけ
・何について協議するのか
・話したことを、どこまで、だれが実行するのか
・組織を代表して話せる人を集められるか
・セクターを代表する人などいるのか
・資金はどうするのか
議論の枠組みづくりのプロセス①
何を今回のゴールとするか
・・・「協働による課題解決の可能性を示す」VS 「円卓
の趣旨の紹介までいいのでは」の意見が平行線
いつまでに行うか
・・・年度内にイベントとしての会議は実施するが、その
後も議論は継続させることで合意
・テーマは何か
・・・「慎重に決めるべき」「協働の可能性がある中から
選べばよい」「県民に分かりやすいテーマにすべき」
など、まとまらず。
テーマを決めてから人選することは合意。
議論の枠組みづくりのプロセス②
「組織やセクターを代表して発言したり、合意することの
難しさ」がネックとなり議論が進まない
この状況を打開するための事務局提案
・年度内に実現可能なことを前提にし、「セクター間の合意、
代表性という言葉は外すこと」
・地域円卓会議の定義を下記とする
(様々なセクターの人が主体的に集い、従来の議論の場では取り
上げられなかったテーマを議論し、1セクターではできない新たな
協働の取り組みを具体化する会議及びそのプロセス)
議論の枠組みづくりのプロセス③
※議論の枠組みづくりでは、セクター代表による合意
という円卓の理想形と、現実のギャップが大きな焦点
形式や実効性を重視
自由な発想を重視
組織の意見を公に示し、組織間
合意したほうが実行性は高まる。
自由な発想から新たな協働ア
イディアが生まれる可能性が
ある
しかし、意思決定に膨大な時間
と手間がかかるほか、総論賛成
でも各論は慎重になりやすい
しかし、個人的コメントでとどま
ると組織的実践になりにくい。
今回は、自由な議論で企画の魅力を高め徐々に組織を巻き込む戦略でいくことに
。
議論の枠組みづくりのプロセス④
今回の目的・目標を実行委員全員で確認
1.目的
•各セクターから、地域課題解決に関する提案を持ち寄り議論する場づくりを行うこと。
•議論にとどまりがちなフォーラム形式ではなく実践までつながる場づくりとすること。
•SRネット茨城の活動を活かし、茨城が地域円卓のモデルとして全国の先駆けとなる。
2.今回の目標
•従来型の審議会や関係者を集めた協議会とは異なる円卓会議というものを公開で行う。
(各主体が主体的に参加するマルチステークホルダープロセスの可能性をアピール)
•地域の各組織とその構成員に円卓会議の意義を伝え、協働に向けた意識醸成を図る
•県民からみて円卓会議の仕組みや議論がわかりやすく興味をもってもらえるようにする
•円卓会議を1回のイベントとしてではなく継続性のあるプロセスとする
•会議ででた提案で各組織が連携して具体化できそうなものから実践につなげていく
議論の枠組みづくりのプロセス⑤
・円卓会議の構成メンバー
実行委員会が設定するテーマに関して主体的に議論に加わりた
い組織の人ならびに、円卓の議論を自セクターの関係者に周知
できる組織の人とする
(協議者は実行委員会で人選し、公募しない)
・円卓会議の協議者の役割
セクターを代表する必要は無いがテーマについて具体的な提案
したり、セクターに広めるなど、協働の具体化に貢献すること
「話す内容に応じて、あるときは個人とし て、あるとき
は組織としての発言でもよし」というルールで決着。
議論の枠組みづくりのプロセス⑤
協議テーマについて協議し3つに決定
・生協が提案した「農業の支援と新たな仕事づくり」
・NPOが提案した「新しい公共を広げるための地域資源循環」
・商工会議所が議論してきた「買い物支援や外出支援」
それぞれに関係しそうな組織や活動事例のリストアップを行い、実行委員会
が推薦した人や組織に協議者就任を依頼
議論のストーリーや落としところをどうするか・・・
「議論がどこにいくか不安だが、様々な立場、実践が融合する
中で想定外の化学反応が生まれるプロセスが円卓の醍醐味」
との意見に実行委員が賛同。プレ会議を2回を行って、議論の下地をつくることに。
最終的な「地域円卓会議in茨城」のコンセプト
円卓は、多様な立場の人がアイ
ディアを持ち寄り、共に味わう食卓
いいネタを集め、みなで調理し、土産を
もらえる美味しい会議
今回のお題は、「茨城の農、市民活動、
外出困難者、をみなで元気にしよう」
外出・買い物支援における協働
生協等が出前
販売車で巡回
企業が、駐車場な
どの場所を提供
ボランティアが、 自治会が住民に
案内
生活ニーズを
ききとり
サービスの充実で採算維持
廃食油リサイクルと農家支援
ボランティア
PTAが油回収
学校・行政が
回収に協力
企業が油を買
い取り燃料化
油の代金が
地域活動資金に
農家・自治体に安い
ボイラー燃料を提供
NPOへの寄付を仲介する仕組み
寄付
を求
める
NPO
活動計画⇒
←寄付
活動報告⇒
市
民
フ
ァ
ン
ド
寄付先の
カタログ⇒
←選んで寄付
活動報告+
税制優遇⇒
社会
貢献
したい
市民
企業
市民が安心して寄付ができ、寄付市場がNPOを育てる
地域での円卓的協働の仕掛け方
立ち上げ方は2パターン
パターン1 事業テーマ(地域課題)があり、それに
かかわりそうなキーパーソンに集まってもらう
(現状共有はしやすいが、協働につなげるには新たな事業の企画力がいる)
パターン2 多様なメンバーに集まってもらい、そのメン
バーで協働できる事業を考え、組み立てる
(関心が重なるテーマを選び、各組織の特性が生きる今までにない事業を作り
こみ、さらにメンバーを仲間にし、本気にさせる仕掛け人(グループ)がいる
メンバーの選び方
・業界代表などの肩書ではなく、新たな取り組みをすすめるなど、
自らの行動でリーダーシップをとっている人
・自ら何かコトを起こした実績がある、または人脈がある人
・話し合いやチームで目標を達成することの意義がわかる人
・他業種の人、異性や年齢が異なる人とも対等に話ができる人
・発想が柔軟で、ひとの話をきいて自分の発想を変えられる人
・口だけでなく、納得したら自らも行動する人
・自らの価値観や事業へのこだわりが強すぎない人
・個人としても地域課題への関心がある人
・NPOや協働に関心があり、現状を変えるべきと感じている人
・熱心で行動力がある若者やチャレンジ精神のある女性は大切
・いつものメンバーとは一味違うメンバーの組み合わせが大事
テーマ・事業の選び方
・近い将来、地域の課題になりそうなテーマ
・その問題の影響が、地域の様々な主体にも及びそうなこと
・少しマスコミで報道され、一部の人が気にしだしているテーマ
・行政による啓発だけでは問題解決がすすんでいないテーマ
・すでに他の地域で、協働で取り組んでいる事例があるテーマ
・地域の各主体がもっている資源(場所・人・ノウハウなど)が生
かせそうな事業
・すでに、一部で取り組んでいる団体があり、まわりが協力する
ことで取り組みが発展しそうな事業
・大きな目標への小さな一歩だとしても達成感が得られる事業
・行政が「これに困っているので、なんとか知恵を貸してほしい」 と言い出してくれる
と、アイディアは出やすい
協働に至るプロセス
・議論だけでなく、少しでも実践までする、ということを確認。
・何をどこまでするか、話し合って皆が納得して進めることを確認。
・行政やよびかけ団体が仕切りすぎない。臨機応変に運営する。
・各メンバーが本音を話せるよう、呼びかけ人が本音で話す。
・メンバーが同じ目的のために動く仲間と思える空気をつくる。
・メンバーの組織の強みや地域課題だと感じていることをきき、
関心が重なるテーマを選び、各自の強みを組み合わせられる
事業が何かを皆で考える。
・メンバーに「○○してください」と頼むのではなく、「○○できま
せんかね、どうしたらできますかね?」ときくことで、メンバーは
自分ができることを考える。「これなら協力できる」という提案が
でたら、できるだけ採用し、メンバーのアイディアを融合していく。
・人が困っている問題を直に見聞きすると、本気になることもある。
・他地域の事例を見聞きすることで、勇気がでてくることもある。
討議によって市民社会を広げよう
参加
市民社会
貢献活動
ファインプレー
組織社会
本業活動
やって当たり前
国
義務活動
必ず行う
関係
可変性
・自らを開き、力 ・仲間関係
・自発的に活動
を持ち寄る
・お互いさま ・役割は変わる
・自らの利害を ・対等な関係 ・不安定
超えられる
創造性
様々な人が自由
な対話で新しい
アイディアを生
み出せる。
・組織を守る、
閉じた関係
・組織の利害や
責任を重視
・契約関係
・取引関係
・上下関係
・競争関係
・自由は制限
メンバーが固定
・役割は固定的 化しやすく新し
・安定性は高い いアイディアが
出にくい。
・国益を重視
権利と義務の
関係
法に従わなけれ
ばならない
決定権を持つ人が
決まっている