CMBカメラ開発における アルミ超伝導トンネル結合素子 (STJ)の基礎特性評価 岡山大,高エ研A,理研B 美馬覚○,石野宏和,樹林敦子,羽澄昌史A, 住澤一高A,樋口岳雄A,吉田光宏A,田島治A,佐藤広海B, 他 測定器開発室:超電導ミリ波カメラ開発グループ アウトライン 1. 研究背景 2. STJの原理 3. STJの試作 4. STJの評価:I-V測定 5. まとめ 2008/09/20 1 1.背景:CMBの偏光観測 • Bモードと呼ばれる宇宙背景輻射の偏光成分の測 定をしたい – (宇宙のインフレーション起源の原始重力波の間接測定とその研究をしたい) 邪魔者(foreground)を理解しつつ ~40GHz と ~200GHz Bモードの測定をしたい ~90GHz付近で最良のS/N ミリ波帯 30~300GHz(0.1~1.2meV,波長1~10mm) に感度のある精密センサーがほしい!! 波長10mm 2008/09/20 波長 1mm 2 2.STJの原理 photon検出 酸化膜(I) 超伝導(S) 超伝導(S) エネルギー順位 ギャップエネルギーEgap(=2D)以上の E エネルギー損失を検出できる × S 2008/09/20 I gap S 3 2.STJの原理 酸化膜(I) photon検出 アンテナ読み出し(ビデオ検出) 超伝導(S) 超伝導(S) 超伝導(S) 超伝導(S) エネルギー順位 Egap S 2008/09/20 I S アンテナ V エネルギー順位 1/2Egap ~Egap S I S 4 超伝導体の選択 AlとAl/Taのビデオ検出で、50-300GHz のほぼ全域をカバーできる可能性あり。 Alの動作温度(=Tc/10)はおよそ120mK。 ADR冷凍機でテストできる。 2008/09/20 5 3.STJの試作 : 理研(和光)にて 2008/09/20 6 ミリ波検出用のアンテナのデザイン • 理研ではNbでアンテナ を用いた光検出器の実 績がすでにある アンテナ付Al-STJのチップのデザイン 伝送線 • Al-STJ用に72GHzに最 適化したアンテナ用のマ スクを作成 この先にSTJ を設置 2008/09/20 アンテナのデザイン 7 STJ(Nb/Al)の試作 • 新しいマスクのテストのた めに、今までに経験のある Nb/Al-STJを試作 Nb Al I AlOx Al S Nb アンテナ(Nb) Al2O3 50 nm 25 nm 6~9nm(20Torr X 0.5Hour) 25 nm 50 nm 150 nm 100 nm シリコン基板 Nb/Al-STJ作成条件 S • 近接効果 – 超伝導体に常伝導体をつなぐと、 クーパー対が常伝導体にしみ出す 現象。 – 浸みだしは数十μmに及ぶ。 – これにより、Nb/AlなどはAlのTc以 上の温度でも超伝導転移をする 2008/09/20 Nb wire (500nm) SiO2 酸化膜 Nbアンテナ Nb/Al-STJ断面図 Nb Al / AlOx / Al Nb アンテナ(Nb) Buffer(Al2O3) 基盤(Si) 8 完成したアンテナ付STJ アンテナ付STJ 5mm角のチップが7 x 7枚 5 mm 2008/09/20 STJ(SIS構造)の確認用 9 4.STJの評価:I-V測定 SIS構造が出来ている事のチェック I V -Egap +Egap Egap以上の電圧になって はじめて電流が流れる (実際にはEgap未満でもリーク電流がある) STJには地場をかけて ジョセフソン電流を抑制してある エネルギー順位 エネルギー順位 × Egap S 2008/09/20 I S S I Egap S 10 Nb/Al-STJ試験 Heデュアーを使ったI-V測定 I V -Egap +Egap 測定温度:1.6K 減圧により 4.2K1.6Kまで可 I-VよりSIS構造を確認することができた。 (リークが大きく見えるのは測定温度が高いため) 2008/09/20 11 ミリ波検出用のSTJ作成に向けて • STJのEgapを下げるためには、アンテナの Nbからの近接効果が問題になる。 – 対策 • アンテナからAlへの近接効果をどうにかして防ぐ – 次ページ • Alをμmオーダーまで厚くし、近接効果の影響を減らす。 – アルミは現在の装置ではドライエッチングしにくいため、 ウェットエッチングを行う(2ページ後) • リーク電流を減らす • STJ側面に陽極酸化を行う(2ページ後) 2008/09/20 12 近接効果の確認 Egap=1.2mV Egap(Al) 0.34 meV Egap(Nb) 3.1 meV Nbアンテナ 現在まで:アンテナ/Nb/Al/AlOx/Al/Nb Egap=0.7mV SiO2 Nb wire (500nm) トンネルバリア Nbアンテナ アンテナのNbからの 近接効果の影響が減少 することを確認した。 アンテナ/Al/AlOx/Al/Nb 2008/09/20 13 Al-STJ作成するための手法を試す • 条件だし – 純Al-STJに近づけるため、 Alを厚くする • 今の装置では100nm以上の Alを削るのは難しいので、 ウェットエッチングを試してい る Alのウェットエッチング 電源 – STJ側面からのリークを減 らしたい • 側面を陽極酸化 電解液 2008/09/20 陽極酸化 14 5.まとめと今後の予定 • STJを使ったミリ波(30~300GHz, 0.1~1.2meV)測定器の開発 • Al/Nb-STJをCMBカメラ用のデザインで試作 SISのI-V特性を確認 • • • • • ミリ波検出用STJの作成手法の確立 100GHzの発振器を使ったミリ波照射試験(Al-STJ) 膜厚や大きさなどのパラメーター依存性を調査 低ノイズの実現 : NEP<10-17W/(Hz)1/2 多チャンネルの実現 ~1,000 ch 2008/09/20 15 バックアップ 2008/09/20 16 Al-STJ:アンテナと伝送線の設計 Microwave studio ログペリアンテナ 伝送線 サブストレート この先にSTJ を設置 アンテナの半径 818mm 伝送線の長さ 547mm (1/4波長) 伝送線の幅 10 mm STJの断面積 40 mm2 (半径7μm) インピーダンス整合 72GHzに最適化 2008/09/20 17 超伝導体の選定 ノイズ a eAT なので、 1/10TC程度まで冷却する事が望ましい (I-V測定などは1/4TC程度でも可能) 検出可能な帯域 (GHz) TC (K) Egap (meV) ビデオ検出 Nb 9.23 3.1 375 ~ 750 750 ~ Ta 4.93 1.4 170 ~ 340 340 ~ Al 1.196 0.34 40 ~ 80 80 ~ Hf 0.165 0.04 5 ~ 10 10 ~ photon検出 (アンテナ併用) Nb : ほしい帯域の外側 Al : ほしい帯域をカバー Ta Ta/Al : 近接効果による 帯域変化を期待 2008/09/20 Al/NbのSTJを試作して性能評価した 18 ウェットエッチング • • H3PO4:20ml、HNO3:5mlの混合液にAlを腐食させる。Nb、SiO2は削れない。 1000Å以上のAlをエッチングするためには現時点で必要不可欠。 – 理研にあるドライエッチング装置ではAlを科学的に削ることができない。何度かパ ターンを作成するが小さいジャンクションではパターンのずれが問題になる。 – 単純に時間がかかる。 – なお、Cl2を使えるエッチング装置なら、Alも科学的に削ることができる。 Junctionの形成(模式図) SiO2 Nb Al / Al2O3 / Al Nb(アンテナ) Buffer(Al2O3) 基盤(Si) 酸化膜 表面のNbをドライエッチング Alをウェットエッチング フォトレジスト 2008/09/20 ウェットエッチングでAlが削れていく様子。白く見えるのがAl。削れた場所は黒っぽく(Nb)見える。 19 陽極酸化 • 電解液に基盤を入れ、電流を流し酸化する • 側面からのリークの減少が期待される • 酸化された表面は膨張する 100nm(1000Å)ほど 電源 電解液 基盤を挟み込んだ容器に電解液を 満たし、電流を流し酸化する 2008/09/20 酸化後、基盤表面に見えるNbが 黄色く色づいた。 20 0.3K無冷媒冷凍機 (CMBグループ) 4月22日に 0.3K達成 2008/09/20 21 KEKDTP Clean Rooms A picture of the experimental hall in which the clean rooms were built. Room A: 15m x 10m (Class 10000) Room B: 15m x 10m (Class 100000) Yellow room: 5m x 6m (Class 1000, in Room A) B A Y Mask aligner (Mar.08) Sputtering/Etching machines (~Aug.08 from RIKEN) 2008/09/20 22 Nb wire (400nm) SiO2 Al (50nm) Nb wire (400nm) プラズマ酸化 Al (50nm) トンネルバリア サファイア基板 2008/09/20 酸化:20Torr, 30分 23 Nb wire (400nm) SiO2 Al (50nm) Nb wire (400nm) プラズマ酸化 Al (50nm) トンネルバリア サファイア基板 Nb wire (500nm) 酸化:20Torr, 30分 Nb wire (500nm) SiO2 プラズマ酸化 トンネルバリア 2008/09/20 24
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