無機元素化学

無機元素化学
無機化合物の構造と特性
との関係を理解する
積層コンデンサ
• 同じサイズで大容量化が可能
構造の概要
積層コンデンサ
p.2の(1)式
C=AS/t
• 積層コンデンサの断面図
電極面積:S
1層の厚さ:t
• 単層コンデンサの断面図
単層の場合
電極面積:S
厚さ:5 t
問題:
電極面積がS(m2)、単板の厚さが5t(m)である場合の単層
コンデンサの容量がC(F)であるとする。この時、同じ材料
を用いて作製した積層コンデンサ(5層)の容量(F)は?
主なセラミックス
(固体の無機化合物)
•
•
•
•
Al2O3(基板)
TiO2(光触媒)
SiO2(ガラス)
SnO2(透明電極)
・
・
・
結晶構造(復習)
問1 立方体を描き、立方最密構造と体心立方構造に
おける格子点を記しなさい。
問2 問1における2種類の立方体の大きさを比べな
さい。
問3 問1における2種類の構造の充填率を求めなさ
い。
ミラー指数の意味と表し方
• 3次元に広がる結晶中の平面を表す
(101)面
(100)面
(211)面
状態図
全域固溶体型状態図
B’
L
L+S
固溶体:
A’
化学組成が変化しても、
結晶構造が元のまま保
たれている固相
S
A
A
X
B
欠陥構造
不定比化合物
• NiO(Ni1-O)
一部のNiが欠損
• ZnO(Zn1+O) ただし、0 格子間にZnが存在
定比化合物
• MgO
• Al2O3
• フレンケル欠陥とショットキー欠陥
格子欠陥の表示法
2種類の格子欠陥と固溶体の例
格子欠陥表示の記号
欠陥の表記法(Kroger-Vink
notation)
¨
•
•
•
•
電子、正孔:e-、h・
空孔:V
格子間位置:i
不純物原子(イオン):M
a
Ab
A:原子記号
a: 相対価電子数
(通常状態からの変位)
b:位置
欠陥表記の練習
• 塩化ナトリウムのNaイオン、およびClイオン
• 塩化ナトリウムのNa位置に入っているKイオ
ン
• 塩化ナトリウム中に生成するショトキー欠陥
• 塩化ナトリウム中に生成するフレンケル欠陥
• NiOのNi位置にあるLi
• NiOのNi位置にNiがない欠陥
欠陥表記の考え方
• NiOは酸素過剰:Ni1-δO or NiO1+δ
この表記の意味は同じ?
• ZnOは酸素不足:Zn1+δO or ZnO1-δ
この場合は?
• いずれも非化学量論組成
(しかし)電荷の総和はゼロ
格子欠陥
• 点欠陥
線欠陥
面欠陥
 空孔
 格子間原子(イオン)
 不純物原子(イオン)
体積欠陥
(空孔、粒界など)
• 点欠陥の例
 ショットキー欠陥
 フレンケル欠陥
• 化学量論組成と非化学量論組成
転移(固相の相転移)
• 温度の上昇につれて結晶構造が変化
・SiO2の例:
石英(α石英)またはトリジマイト型構造
↓(温度上昇)
β石英
変移型転移: α石英→(容易)β石英
再編型転移: α石英→(困難)トリジマイト
固溶体の種類
• 置換型固溶体と侵入型固溶体
課題 侵入型固溶体のひとつである水素吸蔵合金
(または水素貯蔵合金)について、その代表的化合物
からその用途について調べなさい。
固溶体の格子定数
• ベガード則 NiO-MgO系固溶体化合物の格
子定数は、組成と同様、端成分のそれらと直
線的な関係にある。
問題 NiOとMgOは共にNaClと同様の結晶構造である。
それぞれの化合物の格子定数を求めなさい。また、
Ni1/4Mg3/4O、 Ni1/2Mg1/2O、 およびNi3/4Mg1/4Oなる組成
式で表される化合物の格子定数を求めなさい。
結晶構造1
• 配位数(陽イオンの周りの陰イオンの数)
問 イオン結晶における配位数は、4、6、8などと
様々 である。このように配位数が異なる理由を推
察し なさい。
(ヒント:イオンの大きさを考える)
結晶構造2
• ペロブスカイト型化合物
問1 2種類のイオンの結合強度を求めなさい。また、これら
の結合強度と酸素イオンの価数との関係を述べなさい。
問2 立方晶ペロブスカイト型構造を有する金属酸化物(例
えば、BaTiO3)において、2種類の陽イオンと酸素イオン
との間になりたつ関係式を導き出しなさい。
問1の解答
• 結合強度について考える
黄色(B)の周りには酸素
イオンが6個
結合強度:+4/6
青色(A)の周りには酸素
イオンが12個
結合強度:+2/12
赤の陰イオンの周りには、青が4個、黄色が2個
結合強度が+2/12の青が4個
結合強度が+4/6の黄色が2個
8/12 + 8/6 = 2
酸素の価数
問2の解答
•√2 ( rB + rO ) = rA + rOを導く
立方体の1辺の長さ:1
面の対角線の長さ:√ 2
中心を通る対角線の長さ:√ 3
赤線の長さ: 2(rB + rO )
白線の長さ: 2(rA + rO )
白線の長さ/赤線の長さ=√2/1
結晶構造3
• スピネル型化合物
(教科書p. 29の図1.26から、スピネル構造中の配
位について理解する)
問 スピネル型構造を有する金属酸化物(例えば、
ZnFe2O4)の単位格子中に存在する2種類の陽イオン
と酸素イオンの数を求めなさい。
問 逆スピネル型が多い理由を考察しなさい。
結晶構造4
• ダイヤモンド型構造化合物
(単成分からなる物質もある)
問1 ダイヤモンドの単位格子中に存在する炭素原子の数
を求めなさい。
問2 炭素原子の半径が1であるとして、単位格子1辺の長
さを求めなさい。
問3 ダイヤモンド結晶の空間占有率(約35%)を求めなさい。
問4 教科書の記述から、炭素原子の大きさ(nm)を求めな
さい。
問5 ダイヤモンド単位格子の1辺の長さを求め、実際の値
と比べなさい。(文献値:0.3567nm)