確かな学力を身に付ける 生活科・総合的な学習の時間の授業づくり ~探究的・協同的に学び合う活動を通して~ 共栄大学教育学部 若手三喜雄 これからの社会を見つめ、確かな 学力を身に付けるために(概要) 1 社会の変化に伴って求められる学力の変遷 (*今求められる学力とは!) 2 新設の趣旨やねらいを振り返って (*生活・総合の同じところ違うところは!) 3 授業改善に向けて (*探究的・協同的な学びへの改善!) 4 未来を生きる子どもたち (*これからの社会の創造のために!) これからの社会に求められる学力1 (1945~1975年頃まで):高度経済成長 ○知識・理解・技能の重視 (1975~1995年頃まで):安定期、バブル崩壊 ○主体的に学ぶ力(関心・意欲・態度の重視) *1989年(平成元年):生活科新設 (1995~現在まで):低成長、イノベーション ○「生きる力」(確かな学力、豊かな心、健やかな体) ○思考力・判断力・表現力の重視 これからの社会に求められる学力2 (1996年):平成8年中教審第一次答申 ○国際化、情報化、科学技術の発展、環境問題など (1998年):平成10年学習指導要領改訂 ○国際理解、情報、環境、福祉・健康など *総合的な学習の時間の創設 ・自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、 よりよく問題を解決する資質や能力 ・学び方やものの考え方 ・問題の解決や探究活動に主体的、創造的、協同的に取り組む態度 これからの社会に求められる学力3 (2008年):平成20年学習指導要領改訂 ○知識基盤社会、グローバル社会など ○「生きる力」の継承 (確かな学力、豊かな心、健やかな体) *学校教育法第30条②(平成19年6月) ・基礎的な知識及び技能の習得 ・思考力、判断力、表現力などの能力の育成 ・主体的に学習に取り組む態度 これからの社会に求められる学力4 ※ 従来求められていたスキル ・個人が知識を正確に理解する力 ・与えられた課題を効率よく解くことができる力 ↓ ○ 知識も技術も環境もすごい早さで変わる! (解のない社会) ○ 2011年の小学校入学の子どもがつく職業 (・・・・・65%)米デューク大学 キャッシー・デビットソン氏 これからの社会に求められる学力5 ※ ATC21Sが考える21世紀型スキル ○ 思考の方法 創造性、批判的思考、問題解決、意思決定、学習能力、メタ認知など ○ 仕事の方法 コミュニケーション、コラボレーション(チームワーク)など ○ 仕事の道具 情報通信技術(ICT)、情報リテラシーなど ○ 世界で暮らすための技能 市民性、生活と職業、個人的責任及び社会的責任など 21世紀型能力試案(文部科学省) 生きる力 ↑ 21世紀型能力 思考力を中核とし、それを支える 基礎力と使い方を方向付ける 実践力の三層構造 実践力 ・自律的活動力 ・人間関係形成力 ・社会参画力 ・持続可能な未来への責任 思考力 ・問題解決・発見力・創造力 ・論理的・批判的思考力 ・メタ認知・適応的学習力 基礎力 ・言語スキル ・数量スキル ・情報スキル これからの社会に求められる学力6 1 少子高齢・人口減少社会 ・65歳以上の人口が4人に1人以上 →20年後:3人に1人! →→→2.5人に1人! ・空き家:800万戸(7軒に1軒)→→→3軒に1軒 2 グローバル社会 ・世界の様々な国の人々と共に手を携えて 3 自分自身について考える社会 *あなたはどう考えるかが求められることに! →→→自分自身を見失わない生き方 これまでの授業を振り返って ○ 定食型(1945~1975頃) ・与えられた課題を効率よく解決することが中心! ○ バイキング型(1976~1996頃) ・課題や方法を選択して効率よく解決することが中心! ○ 協同調理型(1997~現在) ・課題や方法を自分たちで見付け、友達も含め様々な人々と 協力して解決することが中心! 生活科新設の趣旨とねらい 平成元年(1989) ※児童の発達上の特性や社会の変化に主体的に対応できる 能力の育成等 *新しい学力観を具現化させるための教科として ①低学年児童の発達上の特性に対応する (直接体験を重視し、意欲的に学習や生活ができるようにする) ②児童を取り巻く環境を一体的に捉える (自分とのかかわりで考えさせる) ③生活上必要な習慣や技能を身に付けさせる (必要に応じ、適切な機会を通じて指導する) ④自立への基礎を養う (よき生活者としての能力や態度を育てる) 日本生活科教育学会全国大会 (埼玉大会)1 ○日本生活科教育学会設立総会並びに 第1回全国大会(埼玉大会) *平成4年(1992)12/5(土)、6(日) *大会テーマ「21世紀の学校と生活科の可能性」 ※これからの学校(教育)を変える教科として誕生! ①体験を重視する ②個性を生かす ③学校と家庭・地域とのかかわりを見直す ④授業を変える 日本生活科教育学会全国大会 (埼玉大会)2 【課題別研究】 ①生活科学習指導における教師の役割 ②生活科の学力と評価 ③他教科に生きる生活科の可能性 ④生活科授業研究の方法 ⑤環境教育と生活科 【お国自慢】 (山形県、新潟県、長野県、福岡県) 総合的な学習の時間創設の趣旨とねらい 平成10年(1998) ※生きる力の育成を具現化させる 一定のまとまった時間として! *各学校が創意工夫を生かして特色ある教育活動を展開する *既存の教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習を実施する 【探究的な学習】 ①自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を 解決する資質や能力を育てること ②学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、 創造的、【協同的】に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることが できるようにすること ※キーワード:主体的、創造的、探究的、協同的 など 日本生活科・総合的学習教育学会 第23回全国大会(埼玉大会)1 平成26年(2014)6/14(土)、15(日) 大会テーマ 「かかわりを深め、新しい社会を創造する学び」 *生活科・総合的な学習の時間 ・自己決定・自己判断が求められる学習である ・実社会と直接かかわる学習活動である ・実社会とかかわり達成感を味わう学習活動である ・新しい社会の創造にかかわる学習である など 日本生活科・総合的学習教育学会 第23回全国大会(埼玉大会)2 (協同的に学ぶために) ①思考を見える形で提示する板書の工夫 ②外部人材の活用の工夫 ③地域社会と直接かかわる工夫 など (探究的に学ぶために) ①児童の思考過程を大切にする工夫 ②児童が主体的に課題を設定する工夫 ③整理・分析での話し合いの場面の工夫 など 生活科と総合的な学習の時間 ※内容等の規定・発達段階の違いはあるが、 身に付けるべき力や学習方法はほぼ同じ! ①自立への基礎・・・・・自己の生き方 ②主体的な学習、探究的な学習、協同的な学習 創造的な学習など ③教科等で身に付けた力を活用する学び ④常に、「自分は」を考えて取り組む学び ⑤学びを交流し合い、よりよいものを目指す学び ⑥地域社会と交流し合う学び など 探究的・協同的な授業の工夫 *授業のよさの共有! 1 探究的・協同的な取り組みの工夫は? ・ ・ 2 探究的・協同的な学習で身につく力は? ・ ・ 3 実践上の問題点は? ・ 授業の何を変えるか1 ○授業は協力してよりよいものを追究し合う場 (探究・協同で問題を解決するために) ・自分の考えをもつ ・他者に分かりやすく伝える ・他者と考えを交流し、より高めようとする *「導入→展開→まとめ」を、 【展開→まとめ→導入】に! 授業の何を変えるか2 ○家庭学習は情報収集の場 (考えを交流する時間を多く確保するために) ・「終末」には、「次時の導入」(次時の予告)を ・家庭でやってくるべき課題を明確に示す ・自分考えをもって、授業に臨む習慣を *学習の場は学校だけではなく、 家庭や地域での活動の中に! 授業の何を変えるか3 ○授業は創造・定着・発展の場 (新たな創造、発展につなげるために!) ・整理・分析等を通して、 創造・定着・発展に! ・みんなで学ぶことで 現状よりよいものに高めようとする! 友達や自分自身のよさに気付く! 授業の何を変えるか4 ○授業は自覚、納得の場 (自分自身の成長を自覚する時間に) ・「何かを知ったこと」 ・「何かができるようになったこと」など 自分自身が変わったことの自覚を! ※自分自身だけの力ではなく、 他者とのかかわりの中での成長 授業の何を変えるか5 ○自分自身や自分の生活についての気付き (意図的な振り返りの場を設定して) *活動における自己関与意識、成就観、仲間意識、 帰属意識(共によりよい生活にしようとする意識) *自分のよさや得意としていること、興味・関心を もっていることなどに気付くこと *自分自身の成長に気付くこと、これからの成長へ の願いをもって意欲的に生活しようとすること 幼・小・中連携した学び *子ども理解に基づく学びの連続性・一貫性を 1 規範意識の育成 ・基本的な生活習慣 ・発達段階に応じた学習規律 2 授業改善 ・考えをもち、話し合い、高め合う学習 3 家庭学習の定着 ・授業と家庭学習で 自立への基礎1 1 学習上の自立 *自分にとって興味・関心があり、 価値があると感じられる学習活動を 自ら進んでできる! *自分の思いや考えなどを 適切な方法で表現できる! ↓ 【自分にとって学ぶことの意味や価値の自覚】 自立への基礎2 2 生活上の自立 *身近な人々、社会及び自然と 適切にかかわることができる! *自らよりよい生活を 創り出していくことができる! ↓ 【自らの生活や行動について考えること】 ※何をすべきか、どのようにすべきかなど! 自立への基礎3 3 精神的な自立 *自分のよさや可能性に気付き、 意欲や自信をもつ! *現在及び将来における自分自身の在り方 に夢や希望をもち、 前向きに生活していくことができる! ↓ 【学んだことを現在及び将来の自己の生き方に つなげて考えること】 未来を生きる子どもたちに 確かな学力を ○自分の考えをもち、 社会と積極的にかかわろうとする子ども ○他者に分かりやすく 自分の考えを伝えようとする子ども ○互いに伝え合い交流することで、自分の考え や集団の考えを高め合おうとする子ども ○互いの存在を認め合い、 尊重していこうとする子ども 20年後を生きる子どもたちへ ※予測がつかない社会の変化 (例)20年前:携帯なし、自由な下校、水道水、 集団遊び、連絡網、・・・・・など <変わらないもの> 自ら判断、主体的に行動(主体性) 人と人とのつながり(社会性) 好奇心・探究心・表現力(意欲) *心身ともに健康、安全、生命尊重 など 夏目漱石「愚見数則」 ・・・・・ ただわかったばかりで実地に応用せねば、 すべての学問は徒労なり、 昼寝をしている方がよし。 教師は必ず生徒よりもえらき者にあらず。 ・・・・・ (明治28年4月愛媛県尋常中学校)
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