PowerPoint プレゼンテーション

海外PL保険・損害サービスについて
~米国・中国における訴訟事情とその対応~
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/
目 次
Ⅰ. 海外PL保険の基礎知識
1. 海外PL保険の対象
2. 海外PL保険の特色
Ⅱ. 海外PL保険の損害サービス対応
1. 弊社の海外PL損害サービスの特徴
2. 米国PL訴訟への対応
3. 中国PL訴訟への対応
4. 海外PL訴訟における弊社の役割
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Ⅰ.海外PL保険の基礎知識
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/
I-1. 海外PL保険の対象-海外PL保険とは(1)
PL(Product Liability)保険とは?
• お客様が製造または販売した製品が原因となって、他人の生命・身
体を害し、または当該製品以外の財物を損壊したとして、お客様が
法律上の損害賠償責任を負った場合に、
• 和解や判決等による賠償金と、弁護士費用、エキスパート費用など
の防御費用をお支払いする保険です。
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I-1. 海外PL保険の対象-海外PL保険とは(2)
海外PL保険が発動する場合とは?
・法律上の賠償責任を負うこと
・身体障害または物的損害が存在すること
・Occurrence(事故)によって引き起こされたこと
・Coverage territory(保険適用地域)内で発生していること
・請求が保険期間内に提起されていること (Claims Madeベース)
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I-1. 海外PL保険の対象-海外PL保険とは(3)
海外PL保険の対象となる賠償責任
被保険者が製造または販売した製品に起因する、他人の生命・身体
に対する傷害、または当該製品以外の財物の物理的損壊
★海外PL保険の対象とならない損害
– 名誉毀損・プライバシーの侵害
– 単なる精神的苦痛
– 特許権・著作権の侵害
– 純粋な経済的損失
– 契約により加重された賠償責任、など
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I-2. 海外PL保険の特色-サービスの特徴
防御義務
・ 保険会社は防御の義務と権利を有します(示談代行)。
被保険者は事故や訴訟を遅滞なく保険会社に連絡し、保険会社の防御に
協力していただく義務があります。
・ 言いがかりの訴訟であっても防御します。
⇒PL訴訟防御サービスは
とくに米国での訴訟対応体制を持たない日本企業にとって、大き
なメリットとなります。
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I-2. 海外PL保険の特色-保険金支払対象の費用(1)
保険金としてお支払いするもの
<Loss>
・和解金
・賠償金
<Expenses>
・防御費用(弁護士費用、エージェント費用、エキスパート費用)
・判決前/判決後の利息
・Bond(保証書)の費用(控訴した場合の仮払金など)
・保険会社への協力費用(証人が証言するための出張費用など)
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I-2. 海外PL保険の特色-保険金支払対象の費用(2)
保険金としてお支払いしないもの
・生産物そのものの損壊と使用不能損害
・当社が防御を引き取る前に支出された防御費用
・被保険者の社内コスト(社内弁護士の給与等)
・ワランティー(保証)関連費用
・リコール関連費用
・罰金、懲罰的損害賠償金など
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Ⅱ.海外PL保険の損害サービス対応
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/
II-1. 弊社の海外PL損害サービスの特徴-海外体制(1)
TMCS-E
11
TMNF
TMCS
II-1. 弊社の海外PL損害サービスの特徴-海外体制(2)
略称
正式名称
所在
設立年
TMCS
TM Claims Service, Inc.
Los Angeles
1987
PL損害サービス対応の経験が豊富な専任日本人駐在員3名を配置
PL対応社内弁護士5名他と共に、米国PLに一元的に対応
TMCS-E
TM Claims Service
Europe Limited.
London
1974
(1999業務拡大)
PL損害サービス対応経験が豊富な日本人専任駐在員を配置。
欧州各国で機動的に対応
TMNF
東京海上日動火災保険㈱
(コマーシャル損害部)
東京
1879
PL損害サービス対応の経験が豊富な専任担当者9名が、アジアおよび
オセアニア各国を中心に機動的に対応
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II-1. 弊社の海外PL損害サービスの特徴-海外体制(3)
世界3極の拠点、各国の弁護士・
エージェントのネットワーク
事案に応じて最適な防御チームを結成
事案のハンドル+防御コストのコントロール
「包括提携・丸投げはしない」
独自の弁護士開拓
「単純に大事務所の大先生を選ぶと失敗する」
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - 米国連邦裁判所に提起された訴訟件数
米国連邦裁判所に提起されたPL訴訟の件数
件
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
出典:Administrative Office of the U.S. Courts
(注)一般的に、連邦裁判所に提起されるPL訴訟の件数は、州裁判所に提起される
件数の5%程度といわれる。従って、アメリカ全体ではこの20倍以上の訴訟が提起さ
れていると考えられる。
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - 米国PL訴訟平均評決額
PL訴訟における平均評決額
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - 高額訴訟が多発する理由
(1)弁護士が多い
⇒カリフォルニア州では326人に1人が弁護士(日本の約20倍)
(2)完全成功報酬制度
⇒弁護士への着手金を用意できなくても、「ダメもと」で訴訟を提起できる
(3)懲罰的損害賠償制度
⇒実質的な賠償金額にプラスして、社会的責任を金銭で償わせる制度
(4)陪審員制度
⇒時間的に余裕のある老人・主婦・失業者が多く、
技術的な問題が理解できないことも多い(刑事事件だけではない)
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - 高額訴訟が多発する理由
(5)連帯責任とDeep Pocketセオリー
⇒大きな資力を持つ者が賠償すべきというセオリー
(6)損害賠償金の算出方法が確立されていない
⇒悲惨な重傷ケースでは原告に対する同情のあまり、巨額な賠償金が
認められる可能性あり
(7)訴訟費用が安い
⇒印紙税も安く、ショットガンのように多くの被告を訴えることが出来る
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - PL訴訟高額事例(1)
高額評決例
・ドリルのケーブルが切れ頭に刺さり死亡
約2億6500万$の評決(08年)
・女性用の閉経薬により乳癌になった
約1億3400万$の評決(07年)
・ダイエット薬を飲み肺の病気で死亡
約10億$の評決
・タバコによる肺がんで死亡
約280億85万$の評決(02年)
・GM小型トラックの欠陥により
約49億$の評決
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(04年)
(99年)
II-2. 米国PL訴訟への対応 - PL訴訟高額事例(2)
高額和解・提訴例
・やせ薬の副作用で37億5千万$の和解 (99年)
・タバコによる医療費が増大したとしてたばこメーカーと州政府との
間で2060億$の和解 (98年)
・銃乱射はテレビゲームの影響として1億3千万$の提訴 (98年)
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - 米国PLクイズ
以下の説明は、どんな品物の説明書に載っているものでしょう?
①「身につけたままの衣料にあてないでください」
②「飛行には使えません」
③「赤ちゃんを乗せたまま折り畳まないで下さい」
④「就寝中の人には使えません」
⑤「トナー(熱転写粉)を食べないで下さい」
⑥「窓から外に落下させないで下さい」
アイロン
マント
ベビーカー
マッサージ機
PC用プリンタ
冷蔵庫
ミシガン州の市民団体「訴訟濫用監視団」調査
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - 防御のセオリー(1)
(1) 誰が、どんな責任を問われるのか?
主な責任主体
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問われる責任
製品の設計者
・安全な設計ではなかった(設計欠陥)
・危険を知らせる警告が不十分だった(警告の不備)
製品の製造者
・製造工程のミスで危険な製品となった(製造欠陥)
製品の販売者など
・製品の販売時の説明が不適切
II-2. 米国PL訴訟への対応 - 防御のセオリー(2)
(2) 防御のセオリー
問われている責任
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被保険者が責任を免れるために証明したいこと
設計欠陥・警告の不
備
・製造当時の安全基準
に合致していた
・製造当時の技術水準
では十分に安全な設
計だった。
製造欠陥
・十分なテストを行って
いる
事故は被害者(原告)自身、
共同被告、第三者の過失に
よって発生した。
<例>
・原告本人の操作ミス
・原告雇用主の過失
・安全装置が外されていた
・製品販売者の誤った説明
II-2. 米国PL訴訟への対応 - 米国の民事訴訟手続
米国の民事訴訟手続
①訴状の送達 → (事故受付)
②開示手続(Discovery)
③事案評価・解決方法の決定・和解交渉
④正式事実審理(Trial:裁判)
⑤判決確定 または 控訴・上告
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - 米国の民事訴訟手続(1)
①訴状の送達 → 事故受付
②開示手続(Discovery)
1. 防御弁護士の選任と答弁書の提出
(1)訴状の送達
• お客様米国法人への送達/貴社に対する国際送達/現地販売者への送達
③事案評価・解決方法の決定・和解交渉
• カリフォルニア州の場合、外国法人宛の訴状は同州所在の子会社へ送達すれば正式
送達と認められます。
(2)防御弁護士の選任
④正式事実審理(Trial:裁判)
⑤判決確定 または 控訴・上告
• TMCSの全米提携防御弁護士データベースをもとに、全米200都市、400以上の提携
弁護士事務所から、事案や訴訟地に最適な弁護士を選任。
• 多数の弁護士事務所との提携により、防御弁護士を割安料金で起用。
(3)訴答の提出 (通常21日以内)
• 防御弁護士が訴状に対する回答(Answer)を起草し、応訴手続をとります。
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - 米国の民事訴訟手続(2)
①訴状の送達 → 事故受付
②開示手続(Discovery)
③事案評価・解決方法の決定・和解交渉
④正式事実審理(Trial:裁判)
2.開示手続準備・対応・専門鑑定人の手配
• 正式事実審理(Trial)の前に、法廷外で当事者が互いに事件に関する情
報を開示し、収集する手続です。収集した情報は正式事実審理(Trial)の
際に証拠として使用するため、訴訟の結果を左右する極めて重要なもの
です。具体的には以下の手続が主として行われます。
(1)質問書(Interrogatories)
• 相手方が知っている事実関係等を明らかにするために一連の質問事項を記載した書
類。回答の仕方をお客様と一緒に検討します。
⑤判決確定 または 控訴・上告
(2)文書提出要求(Requests for Production of Documents)
• 実験記録・設計図等、関係文書(社内文書を含む)は全て開示の対象。どのような書
類を出すか、出さないか、お客様と一緒に検討します。
(3)証言録取(Deposition)
・ 原告弁護士が被告側弁護士の立会いのもと、お客様社員に対し尋問を行うものです。
日本から証人が出る場合は、事前の準備・予行演習を行います。
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - 米国の民事訴訟手続(3)
①訴状の送達 → 事故受付
3. 事案評価・解決方法の決定/和解交渉
②開示手続(Discovery)
(1)事案評価・解決方法の決定
①勝訴見込み
③事案評価・解決方法の決定・和解交渉
②敗訴評決額
③妥当和解金額
④正式事実審理(Trial:裁判)
過去の経験により、①②③の中から最適な解決方法を判断します。
⑤判決確定 または 控訴・上告
(2)和解交渉・裁判
<和解交渉>
・案件の9割が和解交渉で決着。
・TMCS(もしくは防御弁護士)にて、和解交渉を行います。
<裁判>
・案件の1割。
・裁判に入る場合は、契約者は社員証人の派遣が必要となることがある。
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - 米国の民事訴訟手続(4)
①訴状の送達 → 事故受付
4. 正式事実審理(Trial)対応
②開示手続(Discovery)
• 経験豊富な現地PL損害サービス対応専任スタッフが、防御弁護士に任
せきりにせずに、独自に訴訟戦略を構築し、訴訟をコントロールします
③事案評価・解決方法の決定・和解交渉
(重要TrialはTMCS担当者が傍聴に行き、状況の正確な把握、防御弁護
士との方針協議や臨機の対応を行います)。
④正式事実審理(Trial:裁判)
• Trialで日本からの証人が証言される場合は、TMCSの担当者が準備か
ら本番までアシストいたします。
⑤判決確定 または 控訴・上告
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - 米国の民事訴訟手続(5)
①訴状の送達 → 事故受付
5. 賠償金・費用の支払、データの蓄積
②開示手続(Discovery)
(1)賠償金・費用の支払
③事案評価・解決方法の決定・和解交渉
・最後まで徹底した賠償金減額努力を行うことにより、調停や和解会議直前
の権限額より10~15%安い金額で和解します。
④正式事実審理(Trial:裁判)
・弁護士ならびに専門家鑑定人の費用のチェック(Bill Review)により、費用
の削減と適切な支払を可能にします。
(2)データの蓄積・再発防止フォロー
⑤判決確定 または 控訴・上告
・定期的なケースレビューミーティングを実施。
・米国弁護士やエキスパートを招き、防御セミナーを実施することができる。
・事案解決後、弁護士ならびに専門家・鑑定人の能力評価を行い、データ
ベース化する。
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - TMCSの強み(1)
弁護士の選任
☆ 訴訟のコントロールと防御費用の削減は、弁護士選任から始まります。
☆ 弊社は大量のケースを発注するためバーゲニングパワーを持っています。
☆ 弁護士・エキスパートの能力評価データベースの利用により、事案に最適で有能な弁護士・エキス
パートをどの地域でも迅速に選任することが出来ます。
入り口での
防御費用コントロール
出口でも
防御費用コントロール
☆ 全訴訟ケースにおいて弁護士から事前見積
(バジェット)の取付を10数年前から実施して
おり、PLシステムを使用して万全のバジェット
残高管理を行い、防御費用を常時モニターし
ています。
☆ 弁護士・エキスパートの請求書をチェックする
専門部隊とPLシステムにより、請求書の
チェック体制を確立しています。
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☆ 20年にわたる経験と実績で、毎年10-15%の
支払額削減を実現しています。
II-2. 米国PL訴訟への対応 - TMCSの強み(2)
報告・打合せ・振り返り
適切なアドバイスと粘り強い交渉
☆防御方針の策定、ケースの評価、和解権限額の決定等に際しては、30年の経
験とPLシステムに蓄積された客観データベースに基づく的確なアドバイスを提
供致します。
☆報告・打合せ・振り返りにより、高品質、高付加価値のサービスを提供致します。
☆弁護士のケース評価レポートを弊社の経験・知識と客観データに裏付けられた
目で独自にレビューし、被保険者にフィードバック致します。
☆最後まで賠償金減額努力を行なうので、調停や和解会議直前の権限額より1015%低い金額で和解しています。
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - TMCSの強み(3)
報告・打合せ・振り返り
適切なアドバイスと粘り強い交渉
☆定期的なケースレビューミーティングの他、弁護士・エキスパートを招いたLEC
(Legal Engineering Conference)や防御セミナーをコーディネートすること
が出来ます。
☆豊富なPL保険契約を有していますので、他社ケースの経験を貴社のケースに
活かすことが可能です。
☆またロスデータに基づくベンチマーキングも可能です。
☆事案解決後、弁護士・エキスパートの能力評価を行い、データベース化していま
す。
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - TMCSの強み(4)
弊社がTMCSを通じて、お客様に貢献できること
証拠開示アシスト力
事案コントロール力
(例・デポジション、エキスパート)
(例・弁護士を使いこなす)
交渉力
賠償金の抑制
弊社割引弁護士レート
弁護士費用コントロール
防御費用の抑制
(原告要求額、評決見込額、和解権限額より
低い金額で和解)
後追い訴訟の頻発防止
お客様の保険成績を守る
お客様のブランドを守り、PLコストを削減することに貢献
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II-2. 米国PL訴訟への対応 - 防御のセオリー(まとめ)
勝利の方程式
①被保険者に責任がないことを証明して「勝ち切る」(訴え取下げ、勝訴)
②原告、共同被告、第三者の責任を主張し、被保険者負担額を最小限に
証
拠
系
手段
弊社のサービス
質問状への回答、書証提出
日本企業の証拠開示や、日本人証人のデポジション
などに豊富な経験を持つスタッフが、日米でフルサ
ポートします。
デポジション、トライアル(法
廷)での貴社証人の証言
エキスパート(専門家)によ
る立証
共同被告等との交渉
交
渉
系
33
労災等給付者等との交渉
(先取特権の減額)
原告弁護士・本人との交渉
・有能なエキスパートを選任します。
・被保険者の技術陣・弁護士との会議をコーディネー
トし、エキスパートに防御の勘所を理解させます。
被保険者との取引関係等に配慮した最適な方法で、
粘り強く交渉します。(米国の弁護士・保険会社だと、
いきなり訴訟を提起することも多い。)
交渉術に精通したTMCSスタッフが交渉に同席します。
II-3. 中国PL訴訟への対応 - 目次
(1)中国のPL事情概要
(2)中国の司法制度
(3)中国のPL関連法令
(4)損害賠償額の算定
(5)中国のPL事故および訴訟事例
① 中国特有の事例
② 外国企業ゆえの事例
③ 中国の訴訟制度特有の事例
④ 巨大なリスクとなりうる事例
(6)中国の損害サービス体制
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II-3. 中国PL訴訟への対応 - (1)中国のPL事情概要
意識面
⇒権利意識の高まりが顕著
制度面
⇒人治から法治への過渡期
・賠償額の高騰
・外国企業が標的になることも
・ 裁判の予測が困難
・ 消費者保護団体の大きな役割
(参考) 消費者権利保護法第32条(7)
消費者の適法な権利に損害を与える行為に対して、マスメディアを通じて、
暴露批判すること
政治面
⇒中国特有の問題が進行
・消費者やマスコミの外国製品に対する
大きな期待
・ 日本企業に対する訴訟が増加
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II-3. 中国PL訴訟への対応 - (1)中国のPL事情概要
<中国消費者協会における紛争処理件数>
項目
受理件数
2008
2009
2010
2011
638,477件
636,799件
666,255件
607,263件
1.95%
5.60%
4.50%
33.15%
4.53%
22.86%
受理件数(
前年比)
97.2%
99.7%
104.6%
91.1%
解決割合
95%
92%
94%
94%
27.41%
サービス
衣類・日用品
家電
建物建材
家庭用機械
農業生産必需品
その他
出典:中国消費者協会ホームページ
25.8%
0.3%
品質問題が全体の約50%を占める
50.2%
1.4%
1.3%
1.5%
2.1%
1.8%5.3%
10.3%
品質
契約書
価格
広告内容
安全性
偽物
計測
虚偽品質表示
人格尊厳侵害
その他
II-3. 中国PL訴訟への対応 - (2)中国の司法制度(PL関連)
◆ 4種の裁判所で2審制
人民法院は基層・中級・高級・最高人民法院の4つに分けられているが、外国企業が絡むPL事案
においては、通常、1審は中級または高級人民法院が管轄する。上訴は1回しか出来ない。
◆ 権利侵害行為地または被告住所地の人民法院に管轄権
外国企業のPL事案は損害発生地または被告住所地の人民法院に管轄権あり(民訴法29条)。
◆ 外国企業の答弁書提出期限は30日
外国企業は、訴状送達から30日(現法は15日)以内に答弁書の提出が必要(民事訴訟法248条)。
◆ 証拠収集手続の重要性
◆ 審理期間は短く、判決文は一部公表
原則として1審は6ヶ月、上訴審については3ヶ月で審理することとなっているが、渉外案件の場合
には制限はない。しかし、実務的には長くても2年程度である。判決に先例としての拘束力はないが、
最近は北京や上海の人民法院のウェブサイトで判決文が一部公表されている。
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II-3. 中国PL訴訟への対応 - (2)中国の司法制度
<紛争解決の方法>
示談
調解
メ
リ
ッ
ト
・経済的で効率的
・迅速な解決
・低コスト
デ
メ
リ
ッ
ト
・賠償根拠が不明確
・ユーザーが過剰賠
償を期待
・時間が必要
・ユーザーに不満
が残る可能性あり
示談80%
38
仲裁
・迅速な解決
・解決に強制力
・非公開ゆえ秘密保持可
・仲裁委員の能力に依拠
・簡単な審理のみ
調解10% 仲裁5% 訴訟5%
訴訟
・法律による解決
・判決に強制力
・ユーザーとの関係を損
ねる
・企業イメージへの影響
・日本では執行力がない
II-2. 中国PL訴訟への対応 - (3)中国のPL関連法令
<製造物責任に関する法律>
◆製品品質法(『産品質量法』1993年9月1日施行、2000年9月1日改正施行)
本法律で下記民法通則第122条の原則規定を具体化した製造物責任に関する規定の他、製品品質に関
する国家の管理監督制度や行政責任、刑事責任についての規定がある。なお、製品毎に修理交換返品
責任規定が定められ、また一部地域では地方性品質監督条例があり、留意が必要。
◆消費者権利保護法(1994年1月1日施行)
本法律は消費者の権利保護という観点から定められ、製品品質法の規定を消費者保護の観点から再確
認・補強している。また、殆どの省・直轄市で実施弁法(細則)が制定されている。
◆民法通則(1987年1月1日施行)
第122条に関連条項があり、特殊不法行為の形態の一つとして製造物責任について原則的規定を制定し
たものとされている。
◆契約法(1999年10月1日施行)
第111条、155条、158条等に関連条項があり、販売者の品質責任に関する記載がある。
新たに「権利侵害責任法」の公布・施行
39
II-3. 中国PL訴訟への対応 - (3)中国のPL関連法令
◆ 「権利侵害責任法」とは
2010年7月1日から施行された法律で、日本の不法行為法(正確には民法の一部)に該当するもの。
不法行為に関する様々な法令および行政上の規制ならびに司法解釈の統一化を図ることを目的と
して制定されたものであり、既存の法律と並存する。もっとも、製造物責任に関連する規定の多くは
既存の法律の規定と同じ内容であるが以下の2点については新設されている。
◆ 懲罰的損害賠償に関する規定の新設(同法47条)
これまでは、食品安全法96条で定める悪意の場合に10倍の懲罰的損害賠償を定めるのみであっ
たが、本法では理論上、明確な上限がないというのがポイント。
(参考訳文)権利侵害責任法47条 製品に欠陥があることを明らかに知りながら、なお生産、販売を行うことにより、他人に死亡させ、または健康に重大な損害を
生じさせたときは、被権利侵害者は、相応の懲罰的賠償を請求する権利を有する。
◆ 品目を特定しない製品リコールに関する規定の新設(同法46条)
本法の成立以前から、特定品目(食品・自動車・玩具・医療品および医療機器)を対象としたリ
コール規制があったが、本法で品目を特定しないリコール規定が定められた。時宜に応じた警告や
リコール等の救済的措置を義務付けられると同時に、救済措置をしなかった場合には責任を負う。
(参考訳文)権利侵害責任法46条 製品が流通した後に欠陥があることが発見されたときは、生産者、販売者は速やかに警告、リコール等の救済措置を取らな
ければならない。速やかに救済措置を取らず、または救済措置が不十分であったことにより損害が生じたときは、権利侵害責任を負わなければならない。
40
II-2. 中国PL訴訟への対応 - (4)損害賠償額の算定
<製品品質法で認められている費目>
◆ 死亡ケース
葬祭費、死亡賠償金、死者が生前扶養していた者が必要とする生活費等の費用
◆ 人身傷害ケース
医療費、治療期間の介護費、休業により減少した収入等の費用
◆ 後遺症ケース
上記人身障害費に加え、障害者生活自助器具費、生活補助費、後遺症賠償金、
扶養者の生活費等の費用
◆ 財産損害ケース
◆ 精神的慰謝料
原状回復もしくは金銭賠償義務 + 拡大損害の賠償義務
明文規定はないが、司法解釈上認められている(権利侵害責任法では明文有り)。
<損害賠償金額モデル>
◆ 平均的な賠償水準
自営業者である前年度年収が12万元(約144万円)の人(40歳公務員の妻と10歳の子1人あり)がPL事故で即死
した場合の損害賠償額は約53万元(約637万円)。
41
II-3. 中国PL訴訟への対応 - (5)中国でのPL事故及び訴訟事例
① 中国特有の事例
◆ 模倣品による人身損害があるとして訴えられた訴訟
原告Xが被告Y1が運転していたジープにはねられ重傷を負った。同ジープには、日系Y2社のマークがついており、自
動車の設計不良との鑑定結果も出たためXはY2も被告として訴訟を提起した。これに対して裁判所は、1審2審とも、Y2
の主張した当該ジープは密輸車であり密輸後に違法に組立てられたものでありY2の生産したジープではないとの意見
を容れてXのY2への訴えを棄却した。
⇒①模倣品であることの立証責任は企業側にある。②証拠の確保を迅速に行うこと。③海外PL保険で
は模倣品であるとの言いがかりの訴訟費用も保険対象。
◆ 一元のみを求める訴訟(マクドナルド一元訴訟)
公益性のためのみならず有名になるために行う訴訟が増加している
◆ 差別に関する訴訟
外国人と中国人の対応を変えると差別と取られる可能性がある
42
II-3. 中国PL訴訟への対応 - (5)中国でのPL事故及び訴訟事例
② 外国企業ゆえの事例
◆ 説明書を中国語で書いてなかったために起きた訴訟
・凍結が原因で、販売した電化製品にひびが入り水漏れ事故が発生した事故に関して、英語での注意書きと中国語注
意書きが不一致であったためにメーカーの過失が認められた事例(原告勝訴)。
・英米系の製薬会社がB型肝炎の訴訟に用いられる化学物質による副作用を公開しなかったとして損害賠償請求を受
けた。原告側の主張は、化学物質が含まれる薬に添付される中国語の文書において、国外で確認されていた副作用を
記載されていなかったというものであり、100万元を求めた事例。
◆ 外国ブランド基準として高い基準を求められた事例
・中国の基準を満たしているにもかかわらず、日本製のカラーテレビの映像が鮮明ではないという理由で、日本企業を
訴えを提起した事例(原告は敗訴で確定)。
・盗難事故が発生し、防犯機器に欠陥があったとして外資系警備会社が損害賠償を受けたため、警備会社は中国サー
ビス基準から判断して欠陥は存在しないと主張したが、中国企業に対する要求基準より外資系企業に対して高い品質
基準が求められた事例。
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II-3. 中国PL訴訟への対応 - (5)中国でのPL事故及び訴訟事例
③ 中国の訴訟制度特有の事例
◆ 鑑定方法を誤ったために敗訴した事例
日本車を運転していた中国人が死亡するという事故が起きたが、交通管理部門は現場検証の結果、交通事故では
なく、フロントガラスが突然破裂し、負傷したため死亡したと判断した。自動車メーカーの日系企業は、フロントガラスを
直ちに回収して封印し、ガラスの製造先の企業に鑑定を依頼した。その結果、確実に外部要因によるものと判断した
が、死亡した中国人の父親は、フロントガラスに瑕疵(欠陥)があるとして、訴えを提起した。
一審では、被告の鑑定書が証拠として認められ、原告が敗訴したが、二審(最終判断)では、以下のように述べて原
告を逆転勝訴させた。すなわち、日系のガラス製造業者は、法定の鑑定部門ではなく、かつ鑑定結果には利害関係が
存在しているため、裁判所はこの鑑定結果を証拠として採用しない。その後に中国で行われた鑑定結果についても、
一度日本に持ち込まれたものを戻したのであり、前のものと同じものであるとの証明が出来ておらず、さらには検査不
能なほどに粉々であったから同鑑定書についても証拠として採用できない。
したがって、フロントガラスに瑕疵がなかったことが証明できていない以上、被告は責任を負う。
⇒特に鑑定方法については国の定める鑑定所で行うなど、慎重に行わなければならない。
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II-3. 中国PL訴訟への対応 - (5)中国でのPL事故及び訴訟事例
④ 巨大なリスクとなりうる事例
◆ 製品に問題がなかったのに風評被害により損害をこうむった事例
・原告は、同僚から借りて使った日中合弁会社製のシャンプーを使用したところ、禿げたとして損害賠償請求をした。訴
訟では製品と禿げたことの因果関係はないとして棄却された。しかし、提訴時に地元の機関紙で大きく報道されたため、
注文が激減し結果的には中国からの撤退を余儀なくされたという事例。
◆ 集団訴訟に発展している事例
・米国の大手製薬会社が販売したリュウマチ薬に関して、米国で副作用を罹患する可能性があるとされたため、中国国
内でも回収されることになった。これに伴い、北京の弁護士が同薬の利用者約200万人を集めて集団訴訟を行おうとし
ている。
・携帯電話を製造している外資系メーカーが製造した携帯電話を購入した原告がインターネットで集団訴訟を提起する
ように呼びかけ、最終的に36名の原告が訴訟を提起した(一審では携帯電話に欠陥は認められなかったものの、購入
代金などについて賠償が認められた)。
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II-3. 中国PL訴訟への対応 - (6)中国の損害サービス体制
【弁護士ネットワーク】
・北京・上海・広州その他の有力弁護士事務所を起用
・日系企業のPL紛争に長けた弁護士を選定
・状況に応じてローカル弁護士を起用
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II-4. 海外PL訴訟における弊社の役割
< 日本 >
< 現地 >
お客様
お客様現地法人
報告・方針打合せ
海外賠技G
報告・方針打合せ
東京海上日動海外拠点
報告・方針打合せ
報告・方針打合せ・日本での決定事項の指示
防御弁護士・Agent
専門鑑定人
交渉
原告弁護士・請求者
原告
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原告専門鑑定人
(ご参考)
国内引受分の弊社幹事引受件数
【2012年度概算】
・海外PL引受件数
1,389件
・国内PL引受件数
57,423件
合計
他社を圧倒する
最大シェア
58,812件
中小企業製造物責任制度対策協議会団体PL保険
(契約者数:約58,000件。上記件数には含まず。)
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(ご参考)
自動車PL保険の引受件数幹事契約数
<日本自動車工業会員メーカー(二輪除く)>
・北米PL
12社中9社
・北米以外PL
12社中11社
・国内PL
12社中10社
(2013年2月現在)
最も件数の多い自動車PLへの対応によるノウハウの蓄積
事故対応→ノウハウの蓄積→対応力向上
→お引受件数増加の好循環
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(ご参考)
40年以上にわたる海外PLクレームサービスの実績
<海外PLクレームサービス通算件数>
・北米PL
・北米以外PL
海外PL合計
31,377件
3,476件
34,853件
(2012年12月末現在)
米国の弊社案件勝訴率 88%
全世界の弊社案件勝率 88%
(2012年12月末現在)
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ありがとうございました
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