法令改正への具体的対応の要点 (社)日本アイソトープ協会 放射線取扱主任者部会 概要 1. 予防規定の変更方法 2. 再計算方法 3. 測定方法 予防規定の変更方法 はじめに 平成12年10月23日に改正法令が公布 科学技術庁放射線安全課長より「国際放射線防護委 員会の勧告(ICRP Pub.60)の取り入れに等による放射 線障害防止法関係法令の改正について」が通知 今後、電離放射線障害防止規則、人事院規則等につ いても改正法令が公布予定 これに伴い放射線障害予防規定の変更が必要 予防規定の変更方法 1 放射線障害予防規定の変更方法 1.省庁改革に伴う名称に関するもの H13.1.6 中央省庁改革 → 大臣職名・組織名を自動的に読み替え (他に変更がなければ届出不要) 2.規定内容に関するもの ・ 平成13年4月1日までに予防規定を変更 ・ 変更日から30日以内に文部科学大臣に届出 ・ 予防規定の施行日は平成13年4月1日 予防規定の変更方法 2 規定条文の変更事項 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 省庁・法令等の名称 用語 数値 測定(方法、場、個人、記録) 健康診断 緊急作業 その他 予防規定の変更方法 3 省庁・法令等の名称 各種届出先、報告先等に、大臣職位名・省庁名 等の記載がある場合、変更が必要 科学技術庁→文部科学省 科学技術庁長官→文部科学大臣 総理府令→文部科学省令 運輸大臣→国土交通大臣 運輸省令→国土交通省令 etc. 予防規定の変更方法 4 省庁・法令等の名称変更例 STA予防規定例文第41条2 危険時の措置 事業所長は前項の事態が生じた場合は、(中 略)遅滞なく科学技術庁長官又は運輸大臣に 届け出なければならない。 文部科学大臣又は国土交通大臣 予防規定の変更方法 5 用語の変更 変更前 変更後 備考 線量当量 実効線量当量 1cm線量当量 線量 実効線量 防護量と実用量の総称 組織線量当量 等価線量 1cm線量当量 3mm線量当量 70μm線量当量 1cm線量当量 削除 70μm線量当量 防護基準値(従事者、遮 蔽に係る限度等)、被ばく 算定に係る項目など 測定に係る項目 予防規定の変更方法 6 用語の変更例 STA予防規定例文第36条(9) 第7号の測定結果から実効線量当量及び 組織線量当量を算定し、次の項目について記録 すること。 実効線量及び等価線量 予防規定の変更方法 7 数値の変更 以下の項目について数値等の記載があれば変更 線量限度 管理区域設定に係る基準 空気中濃度、排気・排水に係る基準 緊急作業に係る線量限度 予防規定の変更方法 8 数値の変更(線量限度:全身) 実効線量当量限度 50mSv/年 → 実効線量限度 100mSv/5年、50mSv/年 5mSv/3月(女子*1) 1mSv*2(妊娠中である女子の内部被ばく) *1 *2 妊娠不能と診断された者、妊娠の意思のない旨を 使用者等に書面で申し出た者を除く。 本人の申出等により使用者等が妊娠の事実を知った ときから出産までの間 予防規定の変更方法 9 数値の変更(線量限度:組織) 組織線量当量限度 目の水晶体150mSv/年、その他の組織500mSv/年 女子の腹部1.3mSv/3月、妊娠中の女子の腹部10mSv*1 *1妊娠と診断されたときから出産までの間 → 等価線量限度 目の水晶体150mSv/年、皮膚500mSv/年、 妊娠中である女子の腹部表面2mSv*2 *2本人の申出等により使用者等が妊娠の事実を知ったとき から出産までの間 予防規定の変更方法 10 数値の変更(管理区域設定の基準) 外部放射線 1cm線量当量が300μSv/週 → 実効線量が1.3mSv/3月間 空気中濃度 1週間平均濃度が空気中濃度限度の3/10 → 3月間平均濃度が空気中濃度限度*の1/10 *空気中濃度限度の値も全面改定されている。 表面密度:変更なし 予防規定の変更方法 11 数値の変更(空気中濃度、 排気・排水濃度) 告示別表第1及び第2が全面改訂 核種数の増加(786⇒1042) 吸入区分及びf1の削除 年摂取限度⇒実効線量係数 空気中濃度限度、排気・排水中濃度限度の変更 該当する数値が予防規定にあれば変更 予防規定の変更方法 12 数値の変更(緊急作業時の限度) 放射線業務従事者*1が緊急作業に従事する 場合 の線量限度として、実効線量100mSv(従前)に加えて、 以下を追加 眼の水晶体の等価線量 300mSv 皮膚の等価線量 1 Sv *1 男子、妊娠不能と診断された女子及び妊娠の意思の ない旨を使用者等に書面で申し出た女子 予防規定の変更方法 13 数値の変更例 管理区域等の設定基準 外部放射線のみが対象となる区域にあっては、 1cm線量当量が週あたり300μSvを超えるおそれ のある区域 3月あたり1.3mSv 予防規定の変更方法 14 測定に係る変更(項目・用語) 3mm線量当量(率)の測定に係る項目の削除 場所の測定、個人被ばく線量の測定とも 「放射線測定器」への用語統一 旧法令:「放射線測定器」→サーベイメータ等 「放射線測定用具」→個人線量計 新法令:「放射線測定器」 → サーベイメータ等(場所の測定) 個人線量計(個人の外部被ばく線量の測定) 予防規定の変更方法 15 測定に係る変更(女子の外部線量) 旧法令 新法令 着用部位 腹部 ただし *1については胸部 腹部 ただし *2 については胸部 集計・記録 期間 1月間 ただし *1については3月間 3月間 ただし *3については1月間 *1 妊娠不能と診断されたもの *2 上記*1及び妊娠の意思のない旨を使用者等に書面で申し出たもの *3 本人の申出等により使用者等が妊娠の事実を知ることになった女子 予防規定の変更方法 16 測定に係る変更(累積実効線量) 4月1日を始期とする1年間の実効線量が20mSvを 超えた場合 →当該年度を含む平成13年4月1日を始期と する5年度間(5年を一つのブロックとする。) 累積実効線量を算定、集計、記録 新たに追加となった項目のため予防規定へ追加 予防規定の変更方法 17 測定に係る変更例1 STA予防規定例文第36条 安全責任者は管理区域に立ち入るものに対して適切な測定用 具を着用させなければならない。ただし、放射線測定用具を用 いて測定することが著しく困難な場合は放射線測定器を用い ることとし、なお測定が困難な場合は、計算によってこれらの 値を算出することとする。 ・・・測定器を着用させなければならない。ただし、放射線測定 器を用いて測定することが著しく困難である場合は、計算に よって行う。 予防規定の変更方法 18 測定に係る変更例2 STA予防規定例文第36条(10) 末尾に改行して次の条文を挿入する。 前号による実効線量の算定の結果、4月1日を始期とする1年 間についての実効線量が20ミリシーベルトを超えた場合は、当 該1年間を含む平成13年4月1日以後5年ごとに区分した各5年 間の実効線量を集計し、集計の都度下記の項目について記録 すること。 ア 集計年月日, イ 対象者の氏名, ウ 集計した者の氏名, エ 集計対象期間 オ 累積実効線量 予防規定の変更方法 19 健康診断に係る変更 • 省略規定の削除(全員について毎年問診を実施) → 該当部分(省略及び記録の交付・保存)の削除 • 検査又は検診する部位及び項目 ① 末しょう血液中の血色素量又はヘマトクリット値、 赤血球数、白血球数及び白血球百分率 ② 皮膚 ③ 眼 (②、③の変更なし) • ①~③については医師が必要と認める場合のみ 実施(ただし、初めて管理区域に立ち入る前の健 康診断では①、②は検診は必ず実施) 予防規定の変更方法 20 健康診断に係る変更例 STA予防規定例文第38条1(健康診断) (1) イ ただし書(省略規定)を削除する。 (2) (省略に伴う措置の項)を削除する。 (3) (2)に繰り上げる。 (4) (3)に繰り上げる。 (5) (4)に繰り上げる。 ただし書を次のように変更する。 「アからウについては、医師が必要と認める場合に行う こととする。」 アを次のように変更し、イを削除する。 「末しょう血液中の血色素量叉はヘマトクリット値、赤血球 数、白血球数及び白血球百分率」 ウ、エをイ、ウに変更する。 予防規定の変更方法 21 他の法令との整合性 • 放射線障害防止法と労働安全衛生法(人事院 規則)では、詳細部分に差異があると予想される。 • 実際の運用にあたってはより厳しい規制に従うこと が必要 • 放射線障害予防規定でも、厳しい規制に合わせた 規定への変更が必要となるかもしれない。 予防規定の変更方法 22 その他の変更(懸案事項) • その他に、懸案のもので変更しておきたいものを 併せて改定しておくとよい。 • 変更例) 現 行 :「被ばくの測定は、フィルムバッジにより行う。」 背 景 :今後、フィルムバッジを蛍光ガラス線量計や光 刺激ルミネセンス(OSL)線量計に変更したい。 改正案:「被ばくの測定は個人線量計で行う。」 予防規定の変更方法 23 その他の変更(全体的見直し) • 予防規定:関係者全員に必要な基本的、共通的な 事項を規定 • 細 則 等 :一部の関係者にのみに必要な事項や細 かい数値、行為基準等を規定 • STAの予防規定例文等を参考に各事業所の放射 線安全規定全体を見直す良い機会 予防規定の変更方法 24
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