PowerPoint プレゼンテーション

2014全国スキー協 サマーセミナー
スキー技術の本質を学ぼう
スキー技術の本質を探る手法
1 スキーの歴史からスキーの本質を探る
2 名言、格言、語録から本質を探る
3 スキー教程のスキー技術を格言的にピック
アップしてみると
4 パフォーマンスを発揮するために
5 まとめ
第1部
スキーの歴史から
スキーの本質を探る
紀元前
 ノルウェー・レディー洞窟の壁画
紀元前4500年前と推定されている
雪上歩行用具から雪上滑走用具へ
 深めのスリッパのような構造にも見える
 馬に引かれる図は滑走用具としても活用されていたことを伺わせる
フリチョフ・ナンセン
雪靴でグリーンランドを行く」発行
「あらゆるスポーツの王者に価するスポーツがあるとすれ
ばそれはスキーをおいてほかにない。スキーほど筋肉を鍛
え、身体をしなやかに、しかも弾力的にし、注意力を高め、
巧緻性を養い、意志力を強め、心身を爽快にするスポーツ
はほかにない。晴れ渡った冬の日にスキーをつけ森の中へ
滑走していく・・・これにまさる健康的でそして純粋高貴
なものがほかにあるだろうか」
1922年ノーベル平和賞を受賞したフリチョフナンセンのスキー讃歌より
この翻訳はスキー技術というよりスキーの本質をとらえた名言である。
マチアス・ツダルスキー
リリエンフェルトスキー技術
 (シュテム系1本杖使用)
1911年
オーストリアのレルヒ少佐来日
今年はスキー伝承104年目
レルヒはツダルスキーの弟子
1930年
ハンネス・シュナイダー来日
 世界で最初にパラレルターンを完成させ指導書も発行
 1920年サンアントンにオーストリア初のスキー学校開校、
アールベルグスキー術を広める
 ハンネスシュナイダーはユダヤ人の友人を弁護し、ナチ運動に
協力する教師を解雇したことで投獄され、スキー教師の資格を
剥奪される、後、アメリカに亡命
日本のスキーヤーを魅了した
映画「白銀の乱舞」(狐狩り)
1931年制作アーノルドファンク監督、ハンネスシュ
ナイダー主演の映画が制作され、日本の映画館でも上映さ
れた。この映画のクライマックス(狐狩り)は競技スキー
の原型が見られる。
ハンネスシュナイダーが狐の毛皮の帽子を被り、山頂か
ら村に向かって先に滑走、後から追いかける人達は狐の帽
子を奪おうと必死で追いかける
山頂から様々な斜面をあらゆる技術を駆使して滑降する
シーンが圧巻
ハンネスシュナイダーのアールベル
グスキー術(指導書)には
「パラレルターンはシュテムターンを洗
練させていけばパラレルターンになる」と
書かれていた
日本で最初にパラレルターンを会得
した大熊勝郎朗氏の話
何とかハンネスシュナイダーの技術を会得すべく、公開された映画
「白銀の乱舞」を1週間映画館に通い詰めて・・・・・・・・
山を切り開いて作った赤城山の斜面にカンテラを設置、ナイターでも
練習
ハンネスシュナイダーの教え通りシュテムターンを洗練させる練習を
一日20時間続けたがパラレルターンに至らず
ある日、ハンネスシュナイダーと反対のことを試みたところパラレル
ターンができてしまった
その方法は、スキーを踏み換えず上体を思い切って谷側に投げ出して
みた、次からは何度やっても同じように滑ることができた
この技術を普及するため日本で最初のプロスキー教師となる
その後、SAJに復帰、1962年第6回インタースキーに代表4名の1人として派遣される
オーストリアのクルッケンハウザー教授
1955年 フランスの
ローテーション技術が主流
の中で「オーストリアス
キー教程」発表
(フランスとオーストリ
アとの技術論争起こる)
フランスのローテーション谷回り
 スキーヤーはエミールアレ
オーストリアの
パラレル
シュブング
 外向傾姿勢による
ターンが特徴
フランススキー教程最後の稿の
フリースキーの写真
オーストリア
スキー教程の
ラストページ
フランス・オーストリアともラスト
ページは大自然の滑りで完結している
オーストリアのこの写真は4人とも
思い思い個性溢れるシュプールを刻ん
で、お互いを評価しあっていると思え
る
1956年コルチナダンペッツォ
冬季オリンピックの銀メダリスト
猪谷千春の技術
木登りする猪谷千春・4歳
木を切り開いて作った赤城山の斜面を滑る猪谷千春・5歳
家の裏の丸太を渡る猪谷千春・9歳
木を切ってスキー場造りをする猪谷千春・10歳
木登りする猪谷千春・10歳
ヘアピンを滑る猪谷千春・12歳
猪谷千春・17歳
猪谷千春・18歳
銀メダルに輝いた猪谷千春の滑り
トニー・
ザイラー
→
←
猪谷千
春
当時の世界の
トップ4人の滑
り、猪谷千春の
フォームが最も
決まっている
クルッケンハ
ウザー教授が発
表したオースト
リアスキー教程
は猪谷千春の滑
りを研究して作
られた
このフォームは
スキー技術の本
質を捉えている
第8回インタースキーでシュテムを
捨てたオーストリアの滑り
立ち上がり抜重を
取り入れることで
シュテムターンの
イチ・ニのリズム
を連続したリズム
の滑りに改良した
第9回インタースキー(ガルミッシュ・
パルテンキルヘン)
世界各国で抱え込み送り出し技術を発表
プラスチックブーツの開発により技術革新が起きた
インゲマル・ステンマルクの活躍
ノーマルスキーの時代にカービングスキー技術が使われていた
用具の発達とスキー技術の変化
1 スチールエッジ・・・制動力高まり高速化に拍車
2 バインディング・・・踵が固定され、解放もできるよ
うになり安全性が向上
3 メタル、グラス、新素材スキー・・・ターンが容易に
なり用途に合わせたスキー造りが可能になった
4 プラスチックブーツ・・・強いエッジングと後傾の支
えできた
5 カービングスキー・・・荷重移動による回転技術が可
能になった
6 ロッカースキー・・・回転が更に容易になった
スキー用具とスキー技術の関係
スキー技術はスキー用具の進化と共に変化して
きた
スキー用具の性能抜きにスキー技術は語れない
しかし、
スキー用具の発達による技術の変遷はあっ
たが、スキー技術(パラレルターン)の技術
の本質は変わっていない
スキーの歴史から学ぶこと
雪上歩行用具から滑降用具への発展・・・・・・
全ての動物は摩擦抵抗を利用し活動しているので滑
ることは恐怖心と直結する
しかし、人間だけが滑るスピードをスキー用具と
技術の習得により恐怖心を快感に変え滑ることを楽
しめるようになった
スキーは人類が生み出した素晴らしいスポーツ
(文化)といえる
第2部
名言・格言・語録等からスキー技術
の本質をさぐる
三浦豪太のコラム
前略 生前、祖父・三浦敬三も整地での
基礎を重視していたが、それはあくまで
「山スキー」をするための練習場だった。
中略 どんな時、どんな斜面でも通用する
基礎を磨くこと、それこそが「本当の基
礎」ではないだろうか
 三浦雄一郎の次男、リレハンメル・長野オリン
ピックのモーグル日本代表・プロスキーヤー・
登山家・医学博士
三浦雄一郎の言葉
可能性がゼロではない限り、
人間にはチャレンジする権利がある
小さなチャレンジでもかまわない。
自分の可能性を捨ててはいけないと思う
可能性を見限った瞬間に、心の寿命は尽きてし
まう
三浦敬三の名言
 三浦敬三が一人暮らしをしていた98歳のとき、息子の
三浦雄一郎が「お父さんもう歳だから一緒に住みません
か?」という誘いに対して返した言葉
 「ありがとうございます。」
 「老後はひとつ宜しくお願いします。」
 ※ スポーツ新聞夕刊掲載記事より
 三浦敬三の心の若さがにじみ出た名言といえる
原田雅彦の名言
笑顔で接すれば、笑顔が返ってくる
 スキーも笑顔で滑れば笑顔の滑りが返ってくると訳せる
 顔が緊張すると身体も緊張して思うような滑りができなくなる。
 顔の筋肉を緩和させると身体の緊張が解けて良い滑りができる
イチロー語録より
「メジャーリーガーの凄いところは、一度『あ、すごい選手だ』と認
めたら、2500本もヒットを打っている選手でも聞きに来ます。それ
が偉大な点ですね」
「メンタルな部分が及ぼす肉体への影響は、とてつもなく大きい」
何年、野球をやっても、勉強することがあるのです」
「4000本のヒットを打つために、8000回以上の悔しい思いをしてき
ている。その中で、常に自分なりに向き合ってきたという事実はある。
誇れるとしたらそこではないかと思う」
注釈:日米通算4000本安打達成した時の記者会見での発言
クレム伊達公子のコメント
やる以上はとにかく、どんな状況でも、どんな相
手でも、どんな場所でもベストを尽くす。そう思う
気持ちがある限り、コートに立ち続ける」
 8月25日、全米オープンで出場選手最年長、43歳のクレム伊達
公子が34歳のビーナス・ウイリアムズに逆転負けした後コメント
上村愛子語録より
「恐怖心を乗り越えて、そのコブの向こう側には
なだらかな斜面が待っているんだとイメージする
と、意外にすっと越えられるんです」
佐藤久哉氏の格言
 スキーにおいて初心者は力を入れる事からはじめ、
熟練者は力を抜く事から始まる。
 スキーが上手なるコツは多くの練習をするのではな
く、多くの仲間を作る事である。
 敗北感を味わった時の一流と三流の分かれ道は、原
因は自分にあったと考えるか、自分以外(例えば用
具)にあったと考えるかである。
 スキーの最も難しいと思う所は、運動達成感が得ら
れる能動的な局面から、運動達成感が得られない受
動的な局面に切り替える勇気が必要だからである。
 スキーが上達しない一つの理由は、力任せに曲げようと
するからである
 良いコーチとは、選手を良い方向に導こうと考えるが、
教え込もうとは考えない
 失敗をタイムロスと考えず、失敗後のリカバリー次第で
はそれ以上の良い結果を生み出す事ができると言う事を
知っておこう
 スキーの上達において学べば学ぶ程、せっかく学んだ事
を省かなければならない事も出てくる
 スキーが上達しない最大の敵は、良い結果を得た時の成
功体験を信じ続ける事にある
 目標を掲げ、努力し、助け合い、達成し、傷付き、転び、悩み、
泣き、考え、克服し、また助け合い、感動し、勇気を与え、笑
い、そして人のために貢献し・・・。スキーを体験してみると
それら全てが入っている。
 残念ながらどんなに最新なトレーニングを人一倍してもそれだ
けではベストタイムに結びつける事はできない。ベストタイム
に結びつける要とは心だからだ。
 スキーを始めたいと思った時60歳からでも決して遅くはない。
なぜならば100歳でも滑っていた三浦敬三さんまで40年も滑れ
るという目標を立てる事ができるから。
インゲマル・ステンマルク語録
子供のとき、砂いじりやトランプに時間を
忘れて夢中になったよね。あれとまったく同
じことなんだ。
【覚書き:圧倒的な強さを持った氏を狙い撃ちしたルール改正
後、総合優勝できなくなり、それでもなお滑り続けるのはなぜ
かと問われたときの発言】
インゲマル・ステンマルクから
浮かぶ格言
 緩斜面は一流スキーヤーを生む・・・・・・
インゲマル・ステンマルクの故郷(ターナビ)は緩斜面リフトが1
本掛かっただけの小さなスキー場だった
 緩斜面はスキーヤーにスキーを滑らせることを教え、
急斜面はブレーキを掛けることを教える
スキーの習い始め、スキーを滑らせることを教えるのかブレーキを
掛け続けて滑らせるのかでその後の成長が決まる、 初心者に適した
斜面選びはそれほど重要である
スキーはパレレルから
猪谷六合雄氏考案の
初心者用リフト
 昭和35年に石の湯に掛けられたリ
ングバー
 パラレルのスタンスで滑りながら登
り、パラレルのスタンスで滑り降り
る設計になっている
 乗鞍高原猪谷スキー場にも同タイプ
のリフトがある
ボディーミラーの名言
ターン前半は友達、ターン後半は敵
ターン前半は友達のように雪と仲良くやさしく接し
てターンに入り、ターン後半は外力に逆らわなければ
ならないので敵という表現が使われている
敵とは適切な訳とはいえないが頭に残る名言といえる
1963年SAJ全日本スキー連盟
スキー教程(初版)より
斜滑降と横滑りは山岳滑降の基本である
 1962年にインタースキーに提出されたオーストリアの論文よ
り
常に良い位置に乗り続けるには
常に動き続けなければならない
 身体が固まると良い位置に乗り続けることができなくなる
 不安や恐怖心、疲労等は身体の動きを止めてしまうことに
繋がる
 滑走にあたっては、集中力を高め、停止するまでしっかり
動き続けることが大切

ナショナルデモ 松澤寿
私の心に残っている言葉
 スキーは直滑降に始まり直滑降に終わる
私がスキーを始めた頃の先輩の言葉
 スキーはパラレルから
猪谷六合雄の本のタイトル
私の心に残っている言葉
「最初は怖かったけど、滑れる
ようになって、顔で風を切る感
覚が気持ち良い~」
視覚障害者スキーサーク
ル・シーハイルの仲間の言葉
「スキーって楽しい~」
2013年第2回震災復興支援
春休み子どもスキー(遠足)での
生徒の言葉
第3部
スキー教程のスキー技術を
格言的にピックアップしてみると
内向傾ターンに入るには先ず足場を
確保しなければならない
 足場を確保するには角付けと重心位置が内向傾に入る
条件となる
 足裏切り替えをすると内向傾ターンに入りやすい
 内向傾に入るための重心移動は谷側斜め前・・・・・
つまり谷側への重心移動より前への移動量を多くする
必要がある
 (前への移動量が不足しているケースが多い)
連続ターンは
山回りに始まり谷回りで終わる
 一つのターンはフォールラインから次のフォー
ルラインまで
 最初の山回りで得られた外力を利用して重心を
次のターン弧内側に移動して谷回りに入る
 切り替え時に重心移動の運動を止めてはならな
い
足裏切り替えターンは省エネで
合理的な技術である
 足裏切り替えターンはパラレルターンのベースとなる技
術である
 なので、足首が緩んだ状態では良いポジションを確保し
続けることはできない
 足裏の角付け・切り替えはスキー技術に欠く事ができな
い身体の使い方である
 なので、箸の使い方を習うのと同じように、日常的なト
レーニングが必要である
 足裏切り替えターンでは運動できる程度の適度な足首の
緊張を保ち続けて滑ることが重要である
ターンコントロールは外力と
のやり取りで決まる
 次の回転弧内側への重心移動は上級者になると外力を利
用して行うことができる
 外力とのやり取りはスキーのたわみと戻りを利用するこ
とである
 スキーをたわませるには内傾角を深くすることが必要で
ある
 そのためにも、スキーをひねり回す動作はできるだけ避
けなければならない
スキーの回転技術は横滑りと横ず
れを止める技術で構成される
 スキーは横滑りと横ずれをとめる技術ができればスキー
の性能でターンすることができる
 横滑りと横ずれを止める技術は体軸の傾き(重心コント
ロール)と足裏からの角付け(角付けコントロール)に
よって行われる
 横滑りに入る場合(特に急な斜面を除く) 、谷側への
横滑りに入るにはわずかな谷側への重心移動で済むが、
山側への横滑りに入るためには重心の入れ替え(クロス
オーバー)が必要となる
 クロスオーバーを行うには横のスペースが必要となる
ターンの構成
横ずれの少ないターン(カービングター
ン)の構成はターンゾーンと切り替えゾー
ンに分けると理解しやすい
 現教程はターンの構成の考え方はターンと切り替えから
ターン前半、ターン中盤、ターン後半でターン後半に
ターンマキシマムが存在するとなっている
 切り替えを切り替えゾーンとして考えるとスキーの回し
込みをせずに谷回りに入りやすくなる
ターンの構成図
教程書21Pターン構成の考え方の図(左)と
カービング技術で理解しやすいターン構成図(右)
ターンをするときのスタンスと押し出す方向
は次のように心がけなければならない
 切り替えゾーンではスキーを平行にして縦方向に滑らせな
がら切り替えを行うことが大事である
なぜなら、スタンスが平行の場合はクロスオーバーしやす
いが、切り替えゾーンでスキーをハの字にしてしまうと重心
が両スキーの内側に保たれ、クロスオーバーが困難になって
しまうからである
 逆にターンゾーンでは外スキーはハの字にしてもかまわな
い
ただし、外スキーがたわむ方向(ターン外側)に外脚を伸脚
して遠くに押し出すことが大切である
なぜなら、外スキーを外側に押し出すことは脚の内傾角を
深めるためスキーの性能で回転できるようになるが、スキー
を内側に回しこむ動作は内傾角が甘くなる動作となるからで
ある
スキーを回しこんでしまうのは切り替え時、
重心が山側に残っているからである
 ほとんどのスキーヤーは切り替えゾーンで次のターンへの重
心の入れ替えができていないからである
 その結果、ターン中盤まで待ってターンの開始が遅れる、あ
るいはスキーを強引に回し込む動作となる
 立ち上がり抜重、踏み換え(シュテム動作)、ジャンプによ
る切り替え方法も重心が山側に残ってしまうと待つかスキー
を回し込みむのかになってしまうのである
 様々な切り替え方法を駆使しても、結局クロスオーバーがで
きなければターン前半からの雪面のとらえはできないといえ
る
 内脚主動か外脚主動かについても先ず重心の入れ替え(クロ
スオーバー)ができることを前提にしてすべきである
ベーシックパラレルターンの開き
出しはスピードと共に変化する
 ベーシックパラレルターンは低速では外スキーの開き出し
が外力を得るために必要だが、外力が得られれば外スキー
を開き出す行為は不要となる
 外スキーの開き出しをせずに内傾角を深くするには内脚の
たたみ込み量で調節する
 低速では外スキーの開き出しは正面から見た場合、横のス
タンスを広げる動作なるが、スピードが増した場合は内脚
のたたみ込みにより上下のスタンスが広がる動作となる
スキーの逆前後差は切り替え時の
クロスオーバーをやりやすくする
 カービング技術では外スキーと内スキーの回転半径の
差から生じるスキーの前後差が増し、ポジションが外
れてしまう現象が生じる
 これを修正するには内スキーを引き、外スキーを前に
出すスキーの逆前後を作る動作が必要である
 スキーの逆前後差動作は、ターン中の左右のスキーの
ポジションを確保するためだけでなく、切り替え時の
クロスオーバーもやり易くする効果がある
ベーシックパラレルターンも洗練
のパラレルターンも切り替え時の
姿勢が高いか低いかの違いだけで
技術的に大きな違いはない
 ベーシックパラレルターンは切り替えゾーンで高い
姿勢が見られる
 洗練のパラレルターンは切り替えが低めの姿勢で行
われるが、ターン前半から中盤に掛けては脚が伸び
た高い姿勢が見られる
 どちらも脚の曲げ伸ばしの位相がずれているだけで
脚の曲げ伸ばしが使われる
教程技術は内脚ターン・OKターンができ
ると展望が開ける
 内脚ターンは切り替え時のクロスーバーの練習に効果的
 内脚ターンができるとスキーの性能でターンができるこ
とが分る
 更にOKターンは切り替え時の合理的な重心移動が身体
で理解できる
 OKターンができるとターン前半からの早い外脚の捉え
も可能になる
競技スキー技術としての可能性は
ベーシックパラレルターン?それとも
洗練のパラレルターン?
 洗練のパラレルターンはカービングスキー技術を表現するには
最も合理的で美しい技術である
 しかし、どちらの滑りが競技スキーとしての可能性が高いかと
いうと、ベーシックパラレルターンの方が洗練のパラレルター
ンより速く滑れる可能性が高い
 その理由は、ベーシックパラレルターンで使われる上下動はス
キーの性能をより発揮できるからである
 教程では洗練のパラレルターンに上下動を加えたより競技ス
キー的技術として、この上の段階の技術を発展のパラレルター
ンとして位置づけ、ベーシックパラレルターンからも繋がる道
筋を示しているが、残念ながらその領域はまだスキー協では未
開発の領域となっている
第4部
パフォーマンスを発揮させるには
パフォーマンスを発揮させる三つの要素
心
技
体
心技体がバランスよく保たれている状態がベスト
心を磨くためには?
 常にフロー(ご機嫌)な状態を保つ
 行動と心のバランスを保つ
 笑顔でいれば心はフローに傾く
 ありがたいと考えるとフローな状態に導かれる
 深呼吸は心をフローにする
 得意よりも好きを大事にする
 今は二度と来ないと考える
 自分を信じる
 辻秀一著 「心を磨く50の思考より」
どんなときスキーが楽しいと感じるか
考えてみよう
 白銀の雪景色を見たとき
 親しい仲間と会えたとき、誰かと出会えるかもしれないと思うとき
 転ばずに上手く滑れるかと想像するとき
 滑れなかったところが滑れるようになったとき等、スキーが上達したと実感
できたとき
 風を切って滑る爽快感を感じたとき
 誰かに注目されていると感じて滑っているとき
 自分の滑りが誉められたとき
 誰も滑っていない斜面に綺麗なシュプールを刻んだとき
 スキーを指導して喜んでもらえたとき
 滑った後の達成感と心地よい疲労感を感じたとき
 温泉に浸かり、美味しい料理やお酒を飲むとき
 友といつまでも語り合っているとき
 スキーの楽しさをいろいろ考えると心がフローになれる
生涯スポーツとしてスキーを続けるために
 長年スキーをしている人は、「若く見える」と言われる
のはなぜか
 体力的な維持もさることながら心が若いといえるので
は?
 体力的・精神的にも若さを保ってくれるスキーの魅力っ
て何?
 何歳になってもスキーはできる
 スキーを愛する心、スキーが好きと思う心を持ち続ける
 目標を失わない・・・・
まとめ
改めて、今回のテーマであるスキー技術の本質に
関する要点を整理してみると・・・・・
1 パラレルターンは次のターン内側への重心移動が必要
日本人で始めてパラレルターンができた大熊勝朗氏の体
験から
2 パラレルターンではターン後半、外力を受け止め次の
ターンへの準備態勢を整えるため外向傾姿勢が求められる
世界で最初に外向傾姿勢の滑りを身につけた猪谷千春氏
の技術から
ということで、私が考える
スキー技術の本質とは?
パラレルターンの重心は常に
ターン弧の内側にある
そのためには次のターンに入るためには次の回転弧の内
側まで重心移動しなければならない
そして、次のターンへの重心移動を容易にするには、外
力を受け止め重心の移し替えを合理的に行える外向傾姿勢
が求められる
おわりの言葉
今回のテーマであるスキー技術の本質を追及する捉
え方は、これを軸として、スキー技術・身体・心のバ
ランスのこと、更には仲間、指導者、理解者、職場、
家族等、スキーが楽しめる環境を大切にし、感謝する
気持ちを持つこと、そして、冬には雪がたくさん降っ
てスキーができる自然を大切にすること、そして、ス
キーを通じて社会のこと、世界の平和のことへと広が
りのある見方へと発展していただければ嬉しく思いま
す
 ご視聴ありがとうございました
終