ビッグボスゲームを用いた 価値の交換システム 木下研究室 200902728 尾﨑友則 研究背景1 人やコミュニティごとに異なる価値観を持つ。 複数のコミュニティとの間で、多様な価値観を保ちつつ、 価値と情報リソースを交換することが望ましい。 多様な価値観の交換を考慮することで、より情報 リソースやサービスが流通できるのではないか。 研究背景2 これまで価値交換システムについての研究が進めら れていた。 先行研究では2者間のみの価値交換システムであっ た。 コミュニティ内での価値の交換システムは行われて いなかった。 研究目的 情報リソースやサービスを円滑に循環させること。 地域通貨的に流通させ、さらに価値も含めて多元的 に流通させること。 コミュニティ内での価値の交換システムを提案する。 コミュニティ内の価値を保ったまま、情報リソースを流 通できるシステムを提案する。 ゲーム路論を用いて評価をする。 実際に、モデルとしてコミュニティを身近な研究室として考える。 研究室における価値とは、時間と研究能力で表される努力値 とする。 研究室においてはビッグボスゲームが最適ではないかと考え る。学生には教授の存在が必要であることからビッグボス ゲームの性質に当てはまると考える。 以降、ゲーム理論およびビッグボスゲームについて解説し、実 際にビッグボスゲームを用いて研究室のモデルで価値の交換 を行なう。 ゲーム理論 提携:協力行動をとるために形成する集団のこと。 利得:各プレイヤーのとる戦略による利益のこと。 提携値:提携した利得の合計のこと。 配分:全員提携で獲得した提携値を全員が合意する利得分配 • コア:すべての提携に不満のない配分の集まり • 仁:最大の不満が最小になる配分 • シャープレイ値:貢献度の度合いに基づいた利得分配 ゲーム理論2 ビッグボスゲーム 𝑘:ビッグボス、𝑁, 𝑆, 𝑇:プレイヤー集合、𝑆:提携、𝑣(𝑆):提携値 • ビッグボスなしでは全く利益が得られない。 𝑆 ∌ 𝑘のとき 𝒗 𝑺 = 𝟎 • 提携のサイズが小さくなればなるほどプレイヤーの貢献度 が大きくなる。 𝑘 ∈ 𝑆 ⊂ 𝑇 ⊆ 𝑁_{𝑖}を満たす任意の𝑆, 𝑇, 𝑖 ∈ 𝑁に対し、 𝒗 𝑺 ∪ 𝒊 − 𝒗 𝑺 ≥ 𝒗 𝑻 ∪ 𝒊 − 𝒗(𝑻) • 提携のサイズが大きいほど利得が大きくなる。 すべての𝑆, 𝑇(𝑆 ⊆ 𝑇 ⊆ 𝑁)に対し、𝒗(𝑺) ≤ 𝒗(𝑻) 想定モデル ビッグボスゲームを用いて、研究室を全体提携する。 • ビックボスとなる教授と複数の学生が存在する。 • 教授、学生ともに研究を進めるという目的を持つ。 • 提携することで、個々人の研究能力が上昇すると同時に期 待や希望等の満足度も上昇する。 時間と研究能力を努力値として表し、1年間の研究達成度を 目標に設定し、そのためにどれだけ努力値をかければよいか 求める。 このモデルにおける配分とは研究室全体が不満なく、各々が 研究に必要な達成度である。 • コアや仁、シャープレイ値から評価する。 想定モデル2 𝑘:ビッグボス、𝐵(𝑆):提携𝑆の達成度、𝐵𝑖 :個々人の達成度、 𝐷:目標達成度に必要な研究室全体の達成度 提携値𝑣 𝑆 𝐵 𝑆 − 𝐷 > 0, 𝑆∋𝑘 𝑣 𝑆 = 0 , 𝑆∌𝑘 コア 𝐶 𝑁, 𝑣 = {𝑥 ∈ 𝐼(𝑁, 𝑣)|0 ≤ 𝑥𝑖 ≤ 𝑣 𝑁 − 𝑣(𝑁)_{𝑖} ∀𝑖 ≠ 𝑘} 仁ν 𝑆 、シャープレイ値φ 𝑆 1 1 𝐵𝑖 + 𝐵 𝑁 − 𝐶, 2 ν 𝑆 =φ 𝑆 = 2 1 𝐵𝑖 , 𝑖=𝑘 𝑖≠𝑘 想定モデル3 教授𝑘と学生a,b,c,dの最大能力値を100,10,12,20,16とする。 目標達成に必要な研究室全体の達成度:70 学生の目標達成に最低必要な達成度:7 • 提携値𝑣 𝑆 𝑣 𝑆 =𝐵 𝑆 −𝐷 = 100 + 10 + 12 + 20 + 16 − 70 = 88 • コア 𝐶 𝑁, 𝑣 = {𝑥 ∈ 𝐼(𝑁, 𝑣)|0 ≤ 𝑥𝑖 ≤ 𝑣 𝑁 − 𝑣(𝑁)_{𝑖} ∀𝑖 ≠ 𝑘}より、 {𝑘: a: b: c: d} = {59: 5: 6: 10: 8}, {43: 9: 10: 15: 11}など存在する。 学生の目標達成に最低必要な達成度に満たさない場合もある。 結論 本研究では、コミュニティ内での価値の交換システム を提案した。 コミュニティ内で価値の交換を地域通貨のように捉え、 ゲーム理論を用いて評価した。 しかし、価値の交換の対象範囲をコミュニティ内だけ ではなく、さらに広範囲に広めて価値の交換を行わ なければならない。 本研究では研究室をモデルとしたが、今モデルと異 なる状況やさらに対象範囲が広くなった場合に対応 できるようしなければならない。
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