小型家電リサイクル法 新しいタイプ、欧州風味の法体系 安井 至 (独)製品評価技術基盤機構・理事長 東京大学名誉教授・国連大学名誉副学長 http://www.yasuienv.net/ まもなく800万アクセス 1 頂いた質問 答:キーワードは「計画」 Q1 収集段階で(リサイクル)実行するのか、処理の 段階で実行するのか。 Q2「誰が」リサイクルできるのか。地方自治体の立場 は。廃棄物処理業者なのか。 Q3 全体的に、何を言っているのかよくわからない。 Q4 国内だけのリサイクルの処理コストに限界がある のではないか。 Q5 小型家電は、有価になるものならないものが混 在しすぎているのではないか。 Q6 処理の認可施設はどのくらいの施設規模を想定 しているのでしょうか。 2 頂いた質問(続) 答:キーワードは「計画」 Q7 物が集まらないと広域から受け入れるようなことも想 定していますが、地域をまたぐと発生量が把握できず、処 理の規模が想定できないのではないでしょうか。 Q8 同法はあくまでも一廃の話で、産廃は独自に事業者 が考えることと割り切っていいのでしょうか。 Q9 この制度は、あくまでもお金の流れは認定事業者が 資源売却益を得るしか道がなく、自治体等からお金が流れ てくるというものでもないのか。 Q10 市町村等は、一般ごみの中に紛れている小型電気 電子機器を、どのぐらいの人手をかけて分別するのか。そ の後、認定事業者〈だけ〉に委託するのか、認定事業者で はないが、一廃の許可を持っている業者に委託することは あるのか。 3 小型家電リ法の枠組みを一言で言うと 第十条がキモ:再資源化事業計画を認定 廃棄物処理法では、事業者を許可 認定された計画を実施する者=認定事業者 第十三条:認定事業者は、廃棄物処理法の規定にか かわらず、小型家電に限って、許可を得ないで業とし て実施できる。 さらに、認定事業者の委託を受けた事業者は、小型家 電に限って、廃棄物処理法による許可を受けないで、 業を行うことができる。 4 計画が認定される要件 事業の内容が、国の基本計画に照らし適切で、経 産省・環境省の省令に適合している 事業活動を行う地域は「広域」でなければならず、 省令の定める基準に適合している 事業者のもつ能力が、小型家電の再資源化を的 確に、かつ、継続して行うことができるよう、省令の 定める基準に適合している 事業者の廃棄物処理法違反歴の面にも制限あり 5 小型家電リサイクル法 現在、省令の検討中、平成25年1月? 平成24年8月3日 法律成立 平成24年3月9日 閣議決定 平成24年1月31日 一次答申 平成23年11月 経産・環境合同検討会 平成23年3月 環境省の検討会 平成20年12月 環境省の研究会 6 これまで、金属類循環のスタンスが問題だった 本来、金属類循環の意義は 廃棄物削減: 非常に重要 特に日本で 資源有効利用: モッタイナイが非常に強い 循環産業の育成: かなり強いが規制も強い 資源枯渇対策: ほとんど観点なし 日本は資源輸入国: ほとんど観点なし 価格変動を抑える: ほとんど観点なし 日本はレアメタル大量消費国: 多少意識 レアメタルは原産地域環境汚染: ある程度意識 金属採掘は生物多様性喪失源: 無意識かも 7 循環が業として成立するか 縫製業が日本で成立しない理由 =人件費が勝負 モリコープの重希土類が成立しなかった理由 =放射性廃棄物の処理費用が問題 日本の循環の美談 コストを無視してもやる ー>消費者負担 家電リサイクル法は世界でも特異的 パソコンリサイクルもかなり特異的 小型家電リサイクル法は「欧州風味」 8 小型家電リサイクルの根拠 2012年8月 小型家電リサイクル法成立 その思想的な根拠は依然としてこれ 循環型社会形成推進基本法(平成12 年法律第110 号)では、循環型社会は「製品等が廃棄物等となる ことが抑制され、並びに製品等が循環資源となった 場合においてはこれについて適正に循環的な利用 が行われることが促進され、及び循環的な利用が行 われない循環資源については適正な処分が確保さ れ、もって天然資源の消費を抑制し、環境への負荷 ができる限り低減される社会」 しかし、ある修正を加える必要性が明白になった 9 国際循環について 資源循環の範囲としては、特に、有用金属の場合は 国際循環も視野に入れるべきだが、以下の観点から 国際循環を補完的なものと位置付ける。 アジア地域で大気汚染、海洋汚染、温暖化など越境する環 境問題が顕在化。現地の汚染防止が我が国の利益になる ことから、アジアスケールでの汚染防止が重要 日本は高い技術力をもって、アジア全体のリサイクル技術 の底上げをしていく必要がある。まずは、現時点で高い技 術を持つ日系静脈産業が、アジアで中心的役割を果たす べく、国内でノウハウを蓄積することが重要 資源価格の変動等により使用済製品の海外での需要が減 少した場合に、国内静脈産業が十分に 機能していなけれ ば、廃棄物が国内に溢れることになる 10 続 国際循環について なお、小型電気電子機器からの有用金属のリサイ クルにおいては、製造業における国際水平分業が 進展した状況に鑑みれば、必ず回収した金属を国 内で製品に再生利用するべきというものではない。 ところが、近年の国際情勢、特に、ジスプロシウム (中国)、コバルト(コンゴ民主共和国)などの厳しい 需給状況から、国内での金属再生を活性化する必 要性が認識されて、小型家電リサイクル法ができ た。 = 私見 11 小型家電リ法の枠組みを一言で言うと 第十条がキモ:再資源化事業計画を認定 廃棄物処理法では、事業者を許可 認定された計画を実施する者=認定事業者 第十三条:認定事業者は、廃棄物処理法の規定にか かわらず、小型家電に限って、許可を得ないで業とし て実施できる。 さらに、認定事業者の委託を受けた事業者は、小型家 電に限って、廃棄物処理法による許可を受けないで、 業を行うことができる。 12 認定事業者・委託を受けた事業者 許認可は不要。そのかわりとして、 計画の施行状況を透明性をもって開示する 両事業者とも、廃棄物処理法の罰則規定が適用され る。=第十三条 市町村が収集した小型家電の引き取りを依頼された 場合には、受け取らなければならない。=第十二条 小型家電を排出する事業者は、認定事業者か認定 事業者が委託した事業者に引き渡す。 13 計画が認定される要件 事業の内容が、国の基本計画に照らし適切で、経 産省・環境省の省令に適合している 事業活動を行う地域は「広域」でなければならず、 省令の定める基準に適合している 事業者のもつ能力が、小型家電の再資源化を的 確に、かつ、継続して行うことができるよう、省令の 定める基準に適合している 事業者の廃棄物処理法違反歴の面にも制限あり 14 認定基準には何が書かれるか? 収集運搬処理:廃棄物処理法と同じ 個人情報漏洩防止:結構、厳しい! 他の事業者への売却可能なこと:基板系、鉄系、 アルミ系 & 売却先の適正性 回収処理対象の非鉄元素 Cu,Au,Ag,Pd,Pt,Pb,Zn,Sb,Bi,Cd,Hg,Se,Te 適切なリユースが確保されていること 15 「広域」についての基準 隣接する3都道府県 北海道、沖縄は例外 人口密度が1000人/平方キロ以下 これは、人口密集地域だけを選択する「いいと こ取り」を防止するため 16 認定事業者と委託先の能力 周辺の生活環境保全 認定事業者および委託先の責任の範囲を明確 にしているかどうか 認定事業者および委託先の知識・技術・経理的 基盤 17 作成予定のガイドライン 認定申請ガイドライン 市町村と認定事業者の契約ガイドライン 認定事業者向け 市町村、認定事業者向け 小型家電の回収方法関連のガイドライン 市町村、小売業者向け ボックス回収、ステーション回収、などなど。。 18 小型家電リサイクル法最終答申より http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=19123&hou_id=14767 Fe、Cu、Al、Pb、Zn、Ag、Au、Sb、Ta、W、Nd、Co、Bi、Pdについて推計 19 20 21 製品中の有用金属の価値 22 対象製品のカテゴリーを決める? 携帯電話およびパソコン、ハードディスク、電子 辞書、CDプレーヤ、デジタル・オーディオプレー ヤ、ICレコーダ、ビデオカメラ、デジタルカメラ =以上コスト的に見合うと推測! ディスプレイ等、 電卓、電気光学機器、通信装 置、電熱、電気掃除機、調理器、計量器、マッサ ージ機、照明器具、電動工具、電子楽器、家庭 用ゲーム機、その他(ヘアードライヤーなど小型 なら)、付属品類(ACアダプタなど)=多分、コスト 的には苦しい? 23 特定品目を決める方向? コスト的に見合う可能性の高い品目? これに限り、市町村からの依頼があれば、 認定事業者は受け取る? それ以外の品目であれば、強制的な受け 取りの対象にしない? 24
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