現代社会と経営 (11月8日:中小企業とベンチャー)

現代社会と経営
(11月8日:中小企業とベンチャー)
長岡技術科学大学
情報経営系教授 阿部俊明
中小企業とは
• 中小企業とは、以下の定義を基本とする
・製造業・・資本金3億円以下又は従業員300人以下
・卸売業・・・・・1億円以下又は100人以下
・小売業・・・・・5千万円以下又は50人以下
・サービス業・・5千万円以下又は100人以下
以上は中小企業基本法による定義
従業者規模別に見た会社数の推移
(非1次産業)
経営(マネジメント)とは
• マネジメントとは、一般的には次のことを言う。
“集団の中で、個人がある目的を効率的に達成するために外
部環境を計画、維持する過程を言う”
“Prosess of designing and maintaining an envir
onment in which indivisuals,working together i
n groups,efficiently accomplish selected aims”
(以上、Koontzによる定義)
投入資源→変換機構(マネジメント)→産出成果
マネジメントの機能的な分類(1)
• マネージメントを機能的に分類すると次ぎの5
つに分かれる。(Koontzによる分類)
企画(Planning)
組織(Organizing)
人事(Staffing)
指揮(Leading)
管理(Controlling)
マネジメントの機能的な分類(2)
• 企画は、他の経営機能である組織、人事、指
揮、管理に優先する。
*企画の種類は、次ぎの通り
①使命②目的③戦略④政策⑤手順⑥規則⑦プログラム⑧
予算
*次の段階を踏む
①機会の認識②目標の設定③条件の予測④選択肢の作成
⑤選択肢の比較・検討⑥案の選定⑦具体的細部の検討
*以上は意思決定されて、はじめて企画となる。
マネジメントの機能的な分類(3)
• 組織化とは内部構造を役割ごとに形作ること
*スパン(1人の命令者に帰属する受命者の数)・レベル(最
上位者から最下位の受命者の層)分析
*グループ分けの方法
①数②機能(販売部、経理部・・)③地域④製品⑤需要者
(法人、個人・・)⑥マトリックス(プロジェクトチーム等)
*ライン(直接責任を持つ部門)とスタッフ(支援部門)
*集中と分権
マネジメントの機能的な分類(4)
• 人事は組織と密接な関係
*人材の内部調達・外部調達
*評価
*キャリアパス(能力開発)
*OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)/外部トレーニング
マネジメントの機能的な分類(5)
• 指揮とは人間が組織や目的に貢献できるよう
に影響を与えること
*動機付け
・マズロー(Maslow)の「欲望の階層性」
・マグレガー(McGreger)のX理論(性悪)Y理論(性悪)
・ハーズバーグ(Herzberg)の「動機付け衛生理論」
*リーダーシップ(専制型、民主型、放任型)
*会議・委員会(3人寄れば文殊の知恵、権限集中の回避、
調整、参加による動機付け)
*コミュニケーション(情報の伝達)
マネジメントの機能的な分類(6)
• 管理とは、仕事を目的を達成する方向に持っ
ていくこと
*管理の過程は①管理の基準を立てること②成果を評価す
ること③ずれを修正することからなる。
*管理の基準の例は①コスト②予算③収入④投入する材
料、労働力⑤製品の納期、性能
*管理の方法の例
・ガントチャート(線表) ・PERT(時間・出来事) ・OR
・生産管理 ・情報伝達 ・決定科学
*財務諸表
2-2経営戦略論
経営戦略とは?
• 経営戦略とは、ドメインを定義し,資源配分を
決定し、ポジショニングを行うこと。
*ドメイン:組織の活動範囲ないしは領域
*ポジショニング:業務の構造とその基本的進め方、競争上
の位置付け
(「経営学入門」:日経文庫、榊原清則より)
MOGST
• 経営実務ではMOGST(モグストと読む)を、こ
の順序できちんと整理することが重要と言わ
れる
M・・使命(MISSHON)
O・・目標(OBJECTIVES)
G・・目的(GOALS)
S・・戦略(STRATEGY)
T・・戦術(TACTICS)
「使命」の前に「ビジョン」を位置つける考えもある。
インサイドアウトとアウトサイドイン
• アンドリュース(Andrews)によれば、戦略策定は、
次のプロセスをとる。
①環境における機会(Opportunities)と脅威(Thr
eats)の識別に始まり
②自社の強み(Strengths)と弱み(Weaknesse
s)を知り、自社の独自能力の評価を経て
③環境条件と独自能力のマッチングを図ること
• 実務では上記を「SWOT](スウオットと読む)と言う。
• インサイド・アウトとは、組織体の中から外を見るこ
と。逆に、アウトサイド・インとは、環境(外)から組織
を見ること。
競争戦略論
(ポーターのファイブ・フォース・モデル)
新規参入者
新規参入者
新規参入の脅威
売り手の交渉力
競争業者
買い手の交渉力
買い手
売り
既存の競争相手との敵対関係
代替品(サービス)の脅威
代替品
ポーターのファイブ・フォース
アンゾフの成長ベクトル
(企業が成長を目指す方向性にはどういうものがあるか)
既存
市場浸透
製品開発
新規
市場開拓
多角化
顧客/市場
既存
新規
製品/サービス
アンゾフの成長ベクトル
中小企業の創業・開業の準備期間中の苦労(アンケート調査)
(10月25日の資料の再掲)
創業・開業前に利用した資金調達先(アンケート調査)
(10月25日の資料の再掲)
金融機関業態別の貸出金残高推移
中小企業向け貸し出しをめぐる競合状況
メインバンクの有無と業態
メインバンクへの借入申込の状況
メインバンクとの取引満足度
取引金融機関数(日本の中小企業)
貸出以外のメインバンクとの取引
中小企業向け貸し出しの審査項目として3年前より特に
重視するようになった点
金融機関に提供する担保・保証内容
銀行が企業の代表者の資質を評価する際の判断材料
中小企業の株主
直接金融の実施状況及び利用意思
(従業員規模別)
銀行借り入れ以外の資金調達の主要方法
• エンジェル(創業期)
• ベンチャーファンド(5千万円位まで)
*基本的に出資なので資金を返す必要はな
いが、自己の出資比率は低くなる。
• 社債
*直接資金を調達するので、銀行よりも低金
利で資金調達の可能性あり。
• ストックオプション(株式引受権)
*給与の代わりに用いることが多い
エンジェル
○米国では、数多くのエンジェルが存在しており、エンジェルとベンチャー企業をマッチング
するエンジェルネットワークも普及。
【我が国エンジェルと米国エンジェルとの実態比較】:経済産業省調べ
日本
米国
人数
約1,500人
約40万人
年収
約1,670万円
約1,080万円(9万ドル)
純資産
約7,840万円
約9,000万円(75万ドル)
投資件数
3年に2社投資
3年に2社投資
投資平均金額
約394万円
約708万円(5.9万ドル)
株式公開
• 株式公開(IPO:Initial Public Offer)とは
株式を広く公開すること
• 株式公開は、会社成長のため
*資本金を、広く集めることができる
• 会社は誰のもの?
会社創業者? 株主?
株式公開の有無別平均自己資本比率
日米欧ベンチャーキャピタル投資残高の推移
出所:「平成18年度ベンチャーキャピタル等投資動向調査」
VEC((財)ベンチャーエンタープライズセンター)
日米欧ベンチャーキャピタル年間投資額の推移
出所:「平成18年度ベンチャーキャピタル等投資動向調査」
VEC((財)ベンチャーエンタープライズセンター)