スライド 1

2012年度版
MRテキストⅠ
医薬品情報
第1章 MRと医薬品情報
第2章 医薬品情報の創出と活用
第3章 医療用医薬品添付文書
第4章 医薬品情報を理解するための薬学の基礎
第1章
MRと医薬品情報
1
MRが働く医療現場
2
MRの資質向上
3
MRが取り扱う「医薬品」とは
4
医薬品の適正使用と「医薬品情報」
1 MRが働く医療現場
第1章 MRと医薬品情報
医療におけるMRの位置づけ(1)
【医師法における医療とは】
「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、
薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関
係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとと
もに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及
びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。」
(医療法第1条の2)
「医療は、国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎として、医
療を受ける者の意向を十分に尊重し、病院、診療所、介護老人保健施
設、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設、医療を受ける
者の居宅等において、医療提供施設の機能に応じ効率的に、かつ、福
祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提
供
されなければならない。」
(医療法第1条の2の2)
MRテキストⅠ医薬品情報 P2
1 MRが働く医療現場
第1章 MRと医薬品情報
医療法におけるMRの位置づけ(2)
日本国憲法第25条:
・ 健康権の保障
・ 社会福祉、社会保障、公衆衛生の保障
医療は社会のインフラとして整備される必要があり、国民皆保険制度
によって運営されるとともに、種々の法的規制がなされている。
【製薬企業の使命】
・ 研究開発
・ 高品質な医薬品の製造・販売
MRテキストⅠ医薬品情報 P2
1 MRが働く医療現場
医療法におけるMRの位置づけ(3)
第1章 MRと医薬品情報
規制当局
厚生労働省
医療機関
製薬企業
情報の提供・伝達
医療関係者
MR
情報の収集
フィードバック
【学術(情報管理)】
研究⇒開発⇒生産⇒営業
診療
情報
連携
医薬品卸
患者
MS
納品
出荷
MRテキストⅠ、P3,図1-1より改変
MRテキストⅠ医薬品情報 P3
1 MRが働く医療現場
第1章 MRと医薬品情報
患者中心の医療(1)
医師中心の医療:
「患者をいたわる心と専門知識・技術によって治療にあたるのだから
医師のいうとおりにすればよい」 (パターナリズム)
患者中心の医療:
「患者が十分な情報を得て、最善と思われる治療方法や医療機関を
選択し、主体的に医療に関われるよう、患者の視点に立って行う医療」
MRテキストⅠ医薬品情報 P3
1 MRが働く医療現場
第1章 MRと医薬品情報
患者中心の医療(2)
患者中心の医療を実現するための 「6つのKey word」
Key word
内
容
患者中心の医療との関連
クオリティ・オブ・ライフ
(QOL)
「生活の質」と表現され、人生を寿命という「量」の
視点だけではなく、「質」を重視しようという考え方
インフォームド・コンセント
患者が医療関係者から十分な説明を受け、患者
の
患者中心の医療を実現するため
理解と納得を得たうえで、患者の自由な意思に基 の医師と患者との信頼関係.
づいて同意すること
セカンド・オピニオン
診断や治療方針について主治医以外の医師の
意見を聞くこと
患者の理解・納得を高め、主体的
に治療を受けるための選択肢
アドヒアランス
患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その
決定に従って治療を受けること
患者自身の治療への積極的な
参加が治療成功の鍵
チーム医療
各分野の専門スタッフが連携しチームを組んで
総合的に解決を図る体制
主治医のみによる患者の問題解
決が困難
地域医療連携
かかりつけ医とほかの医療機関が専門性や機能
に応じて、患者をスムーズに紹介できる仕組み
患者に対する最善の医療の提供
患者中心の医療の目的・方向を
考える上での重要な概念
MRテキストⅠ医薬品情報 P4~5
1 MRが働く医療現場
第1章 MRと医薬品情報
患者中心の医療(3)
「患者中心の医療」におけるチーム医療とMRの役割
MRへの期待:
コ・メディカルとしての
「薬物治療のパートナー」
MR
薬剤師
医師
患者
看護師、検査技師など
MRテキストⅠ、P5,図1-2より改変
MRテキストⅠ医薬品情報 P5
1 MRが働く医療現場
第1章 MRと医薬品情報
医師の医療行為(1)
【マネジメントサイクル】
医師法における医師の任務とは
「医師は、医療及び保健指導を
掌ることによって公衆衛生の
向上及び増進に寄与し、もって
国民の健康な生活を確保する
ものとする。」
(医師法第1条)
Plan
目標を設定して、
それを実現する
ためのプロセスを
設計(改訂)する
Action
Do
プロセスの継続的
改善・向上に
必要な措置を
実施する
計画を実施し、
そのパフォーマンスを
測定する
Check
測定結果を評価し、
結果を目標と比較
するなど
分析を行う
IT情報マネジメント用語辞典より改変
MRテキストⅠ医薬品情報 P6
1 MRが働く医療現場
第1章 MRと医薬品情報
医師の医療行為(2)
【診療行為のフロー】
(Check)
処置
視診
(Action)
他院へ紹介
問診
確定診断
治療計画
(Plan)
検査
他院へ紹介
治療
経過観察
(Do)
(Check)
予後不良
予後良好
治療継続
治療完了
(治癒)
MRテキストⅠ、P7、図1-4より改変
MRテキストⅠ医薬品情報P7
1 MRが働く医療現場
第1章 MRと医薬品情報
医師の医療行為(3)
【診療方針決定のプロセス】
・生活指導(食事や運動など)
・薬物療法
・手術療法
・理学療法 など
患者に最適な治療方法を選択し、
治療方針を決定
EBM(Evidence Based Medicine):科学的根拠に基づいた医療
→
EBMに基づいた治療ガイドラインによる治療の標準化
MRの役割:
的確な情報提供
MRテキストⅠ医薬品情報 P7
1 MRが働く医療現場
医師の医療行為(4)
【処方せんの発行】
使用期限:
4日以内
(交付日含む)
処方せんの形式
第1章 MRと医薬品情報
【処方】
・医薬品名(薬価基準に記載されている名称ま
たは一般名)
・分量(1日分量、内服用滴剤、注射、
外用薬については投与総量、頓服薬は
1回分量)
・用法及び用量(1日当たりの服用(使用)量、1
日当たり服用(使用)回数、服用(使用)時点、
投与日数(回数)、服用(使用)に際しての留
意事項)
【備考】
調剤を行うにあたり留意すべき事項などを記載
・ 負担率など
医療保険加入者:負担率30%
75歳以上の高齢者:負担率10%(高1)など
「後発医薬品(ジェネリック医薬品)への変更が
全て不可の場合、以下に署名又は記名・押印」
・ 本欄に処方医の署名、記名、押印がなけれ
ば、薬剤師は【処方欄】に先発医薬品の
商品名の記載があっても、後発品に切替え
て調剤することができる
MRテキストⅠ、P8、図1-5より改変
MRテキストⅠ医薬品情報P8
1 MRが働く医療現場
第1章 MRと医薬品情報
薬剤師の業務(1)
薬剤師法における薬剤師の任務とは
「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆
衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」
(薬剤師法第1条)
【薬剤師の業務】
・
・
・
・
・
調剤業務
医薬品情報管理(DI:Drug Information)
服薬指導
医薬品管理
院内製剤の調剤 など
[病院薬剤師] 病棟業務
[保険薬局]
在宅医療支援(患者訪問による薬学的管理)
MRテキストⅠ医薬品情報 P7~8
1 MRが働く医療現場
薬剤師の業務(2)
第1章 MRと医薬品情報
【薬剤師調剤業務のフロー】
処方医
処方せん発行
【禁忌】
医薬品の使用がその疾患に
悪影響を及ぼす可能性がある
ので使用できないこと。
【OTC薬】
(Over The Counter Drug)
大衆薬
【セルフメディケーション】
軽い病気やケガの場合、
OTC薬などを購入して
自分で治療すること
処方箋の受付・確認
↓
処方箋の監査
↓
薬剤の調整
↓
薬袋の作成
↓
薬剤の監査
疑
義
照
会
処方せんに疑問
や不明な事項が
ある場合、薬剤
師は処方医に問
い合わせて確認
しなければならな
い。
薬剤の交付・服薬指導
↓
薬歴作成・管理
MRテキストⅠ、P9、図1-6より改変
MRテキストⅠ医薬品情報P9
1 MRが働く医療現場
第1章 MRと医薬品情報
薬剤師の業務(3)
【薬剤師の調剤業務①】
調剤に当たっての禁止事項

調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあった場合には、正当な理由がなければ、
これを拒んではならない。
(薬剤師法第21条)

薬剤師は、医師、歯科医師または獣医師の処方せんによらなければ、販売または
授与の目的で調剤しではならない。
(薬剤師法第23条)

薬剤師は、処方せんに記載された医薬品につき、その処方せんを交付した医師、
歯科医師または獣医師の同意を得た場合を除くほか、これを変更して調剤しては
ならない。
(薬剤師法第23条の2)

薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、
歯科医師または獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、
これによって調剤してはならない。
(薬剤師法第24条)
MRテキストⅠ医薬品情報 P9~10
1 MRが働く医療現場
第1章 MRと医薬品情報
薬剤師の業務(4)
【薬剤師の調剤業務②】
処方欄
「処方」欄記載の問題点
医師、医療機関間で統一された記載がなされていない。
例) 医薬品名:
用法・用量:
商品名(販売名)、一般名(原薬名)、略名、慣用名
1日量、1回量
「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会」 (厚生労働同省)
・ 医薬品名:販売名または原薬名に剤形・規格を付記した名称
・ 分量:1回量
MRテキストⅠ医薬品情報 P10
1 MRが働く医療現場
第1章 MRと医薬品情報
薬剤師の業務(5)
【薬剤師の病棟業務】
・ 入院患者に対する服薬指導や副作用のチェック
・ 血中濃度モニタリング
・ 注射薬の管理 など
[病院薬剤師]がん専門薬剤師、感染制御専門薬剤師など
【薬剤師の医薬品情報管理業務(DI業務)】
院内で使用する薬剤の有効性・安全性・品質情報を収集、評価・管理
↓
情報発信
↓
医薬品の適正使用
MRは確実な情報提供を
MRテキストⅠ医薬品情報 P10
2 MRの資質向上
第1章 MRと医薬品情報
MRの定義と法令の関係(1)
【教育研修要綱におけるMRの定義】
公益財団法人MR認定センターにおけるMRの定義:
MRとは、企業を代表し、医療用医薬品の適正な使用と普及を目的として、
医療関係者と面談のうえ、医薬品の品質・有効性・安全性などに関する
情報の提供・収集・伝達を主な業務として行う者をいう。
MRの立場
企業の代表者
→ 責任ある言動
MRの仕事の目的
医療用医薬品の適正な使用と普及
→ 正確な情報提供、各種法令の遵守、
患者のベネフィットを念頭に置いた行動
MRの仕事の形式
医療関係者との面談
→ 薬物治療のパートナーとしてチーム医療の
一端を担う
MRテキストⅠ医薬品情報 P11
2 MRの資質向上
第1章 MRと医薬品情報
MRの定義と法令の関係
【GVPにおけるMRの定義】
医薬情報担当者とは、医薬品の適正な使用に資するために、医療関係者を訪問す
ること等により安全管理情報を収集し、提供することを主な業務として行う者をいう。
※GVP (Good Vigilance Practice):医薬品等の製造販売後安全管理の基準
GVPにおける「安全管理基準」
医薬品の品質、有効性および安全性に関する事項、その他、
医薬品の適正な使用のために必要な情報
||
適正使用情報(MR教育研修要綱)
MRテキストⅠ医薬品情報 P11~12
2 MRの資質向上
求められるMR像(1)
第1章 MRと医薬品情報
医師とMRとの関係
MRは、臨床医の生涯教育に
必要な存在である
MRは、新しい薬について
正確な情報を提供している
12%
8%
19%
15%
73%
MRは、古い薬について
正確な情報を提供している
73%
MRとの会話は、自分の
処方行動によくない影響を与える
6%
21%
25%
46%
33%
N=1、407
そう思う
69%
どちらともいえない
そう思わない
MRテキストⅠ、P12、図1-7より改変
MRテキストⅠ医薬品情報P12
2 MRの資質向上
第1章 MRと医薬品情報
求められるMR像(2)
【MRの社会的使命】
企業:優れた医薬品の供給を通じて医療に貢献する
M R:医薬品の適正使用情報活動を通じて企業理念実現の一旦を担う
主活動
<バリューチェーン>
研究:新規標的物質の創製・特性把握/安全性確認(非臨床)
開発:医薬品設計・安全性/有効性確認(臨床)
生産:低コストで高品質製品の製造
支援活動
経
営
管
理
・
人
事
労
務
管
理
学
術
・
情
報
管
理
MR 営業:適正使用情報の提供による医薬品普及活動
MRテキストⅠ、P13、図1-8より改変
MRテキストⅠ医薬品情報P12~13
2 MRの資質向上
第1章 MRと医薬品情報
求められるMR像(3)
【医療関係者から求められるMR像】
MR活動上での問題点 (MR認定センター実施調査から)





自社の都合の良い情報に偏っている。
売り込みたいという意図が見えすぎている。
医療関係者を訪問する際、MRの都合で訪問してくる。
医療関係者のニーズを明確に把握していない。
薬物治療のパートナーというには、知識が不十分である。
・面談は、目的を持ち、アポイントを取る。
・情報提供活動は、医療機関のルール遵守、方針や理念を理解した上で行う。
MRテキストⅠ医薬品情報 P13
2 MRの資質向上
第1章 MRと医薬品情報
MRの果たすべき役割(1)
「MRの果たすべき役割」(2003年3月 現MR認定センター発行)
 医薬品が患者にとって適正に使用されるための情報活動を通じ、医薬品を
普及させること
 市販後の有効性・安全性および品質に関する情報の収集と伝達(フィード
バック)をすること
 創薬・適応拡大などに役立つ幅広い情報入手にも努め、新薬の誕生ならび
に適応拡大に寄与すること
患者にとってのメリット
ニーズに合ったきめ細かい情報活動
信頼関係(医療関係者⇔MR)
自社医薬品の普及
MRテキストⅠ医薬品情報 P14~15
2 MRの資質向上
第1章 MRと医薬品情報
MRの果たすべき役割(2)
【自社医薬品の普及】
MRが行う情報活動:
自社医薬品の適正使用に関する情報提供 ⇒ 正しい理解に基づく処方
情報提供活動に際して
 法令およびルールの遵守
・医療用医薬品プロモーションコード
・医療用医薬品製造業公正競争規約
・その他関連法規
・各医療機関の院内規則 など
 患者のベネフィット
MRテキストⅠ医薬品情報 P14
2 MRの資質向上
MRの果たすべき役割(3)
【情報の提供】
1.自社医薬品およびそれに関連した情報
・警告、投与禁忌に関する情報とその背景ならびに対処法
・有効性(効能・効果など)と安全性(使用上の注意など)
・他剤併用時の安全性(相互作用)
・製品特性
・組成、性状、用法・用量
・高齢者・妊婦・小児など、および各種病態時(肝・腎障害、
合併症など)における体内動態とそれを踏まえた用法・
用量などの調整と使用上の注意
・長期間使用時の安全性情報
・副作用を起こさないための対策と副作用が起きた場合の
対処法
・食事との関連性および生活上の留意点
・同効・類似薬との比較に関する情報
・配合変化、配合禁忌に関する情報
・剤形・製剤変更、包装変更などに関する情報とその背景
・製造・販売中止、製品回収に関する情報とその背景なら
びに代替薬に関する情報 など
MRテキストⅠ、P14、 表1-2より改変
第1章 MRと医薬品情報
2.インフォームド・コンセントや服薬指導に
役立つ情報
・自分の疾病の治療に、なぜこの薬が処方されるの
か
のかその理由
・自分にとって最適な薬か(ほかに選択肢はないか)
・期待される効果と予測される副作用
・服用に当たっての留意点
・ほかの医薬品との相互作用
・保管に関する注意事項
・異常を感じた時の対処法
など
MRテキストⅠ、P14、
表1-3より改変
3.薬物療法に関するガイドラインなどの最新情報
4.医療関係者のより高度な医療ニーズに対応
した情報
5.地域医療に関する情報
6.MSに役立つ、疾病や医薬品に関連した情報
7.その他、医薬品の経済性など医療現場に
役立つ情報
MRテキストⅠ医薬品情報 P14~15
2 MRの資質向上
第1章 MRと医薬品情報
MRの果たすべき役割(4)
【情報の収集】
MRが収集する情報
・ 自社医薬品が使用された際の安全性に関する情報(自発報告)
・ 自社医薬品の品質(クレームなど)に関する情報、その他
・ 医療関係者に依頼した「調査」や「試験Jの進行状況とその成績
「医薬品等の品質管理の基準 (GQP)」
「医薬品等の製造販売後安全管理の基準 (GVP)」
「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準 (GPSP)」
に基づき、自社医薬品が使用された際の品質と有効性・安全性に関
する情報を積極的に収集し、安全管理統括部門に報告しなければ
ならない。
・GVP、GPSPなどに基づく製造販売後調査業務手順書に則った行動
・患者の個人情報の取り扱いは要注意
MRテキストⅠ医薬品情報 P15
2 MRの資質向上
第1章 MRと医薬品情報
MRの果たすべき役割(5)
【情報の伝達・報告】
MRが伝達する情報
・ 厚生労働省の指示または企業の自主判断による製品回収に当たって、その背景ならびに対処
法
・ 厚生労働省が指示した「緊急安全性情報J r添付文書の改訂」と、その背景ならびに対処法
・ 企業が自主的に改訂した「添付文書の改訂」と、その背景ならびに対処法
・ 再審査・再評価の結果
安全管理統括部門
収集された情報
評価・分析
医療関係者、MS
(伝達:フィードバック)
・定められた期間内に迅速かつ確実・公平に行う
・伝達結果を安全管理統括部門に報告し、 フォロー活動を適切に行う
【創薬・適応拡大などに関する情報の収集】
・新薬の誕生、効能・効果の拡大、用法・用量の追加、新剤形の開発などの情報
→ 研究・開発部門へ報告
MRテキストⅠ医薬品情報 P15~16
2 MRの資質向上
第1章 MRと医薬品情報
MRに求められるマナー
・髪型や服装などの身だしなみは、医療現場にふさわしいものか
・言葉づかいは、社会人としてふさわしいものか
・挨拶やお礼、謝罪など基本的な礼儀を実践できているか
・言動は患者や医療関係者の邪魔になっていなか
・仕事の相手と交わした約束は確実に履行しているか
・待合室など患者がいる前で仕事や薬の話をしていないか
・工レベータや廊下などでは患者を優先しているか
MRテキストⅠ、P16,表1-6より改変
MRテキストⅠ医薬品情報 P16
2 MRの資質向上
第1章 MRと医薬品情報
MRに求められるスキル
コミュニケーションスキル :
TPOに合わせた言動や挨拶、相手の話を聴く姿勢など
人間
関係を円滑にするための基本スキル
面談スキル :
プレゼンテーションスキル :
<事前準備>
・訪問目的の明確化
・前回訪問時の内容確認
・説明資料や文献の準備
<面談>
・日頃の感謝
・対話によるニーズの顕在化と共有
・問題解決に向けた提案
・リスクとベネフィットの提示
・具体的な使い方、注意事項の説明
・クロージング
<事前準備>
・テーマの選定
・聴衆のニーズ想定
・時間内に終了するスライド枚数設定
・論理的で科学的な構成
<プレゼンテーション>
・日頃の感謝
・明確なメッセージ
・リスクとベネフィットの提示
・具体的な使い方、注意事項の説明
・クロージング
ITスキル : ITスキルの習得により業務の効率化を図り、 本来業務の医療関係者との面
談
機会・時間の増加へつなげる。
MRテキストⅠ、P16、表1-7,8より改変
MRテキストⅠ医薬品情報 P16
2 MRの資質向上
MRの教育研修制
度
第1章 MRと医薬品情報
MR認定試験
MRの生涯教育
・基礎教育
・実務教育
導入教育
合格
実務経験
6ヵ月
MR認定書
継続教育
5年間(空白年度)
継続教育
認定更新
継続教育
補
完
教
育
MRテキストⅠ、P17,表1-9より改変
MRテキストⅠ医薬品情報 P17~18
3 MRが取り扱う「医薬品」とは
第1章 MRと医薬品情報
医薬品の医療上の位置づけ(1)
【医薬品とは】
疾病の治療に使用される生命関連物質で、品質と有効性が求められる。
品質
一定の基準の品質を備えていること
⇒品質確保のために各種の試験方法が定められている
有効性
ある疾患に効果があること
安全性
有効性を上回る重篤な副作用がないこと
薬事法により定義づけられており、さまざまな規制を受けている
厚生労働省ホームページより改変
MRテキストⅠ医薬品情報 P19
3 MRが取り扱う「医薬品」とは
第1章 MRと医薬品情報
医薬品の医療上の位置づけ(2)
【医療用医薬品と一般用医薬品の違い】
医療用医薬品
一般用医薬品
定義
医師または歯科医師の処方
せん、指示により使用される
一般の人が薬局などで購入して、
自らの診断で使用する医薬品
承認審査上の違い
有効性、安全性を考慮して
審査される
とくに安全性の確保を重視して審査
される
効能・効果
医師の診断による疾患名
[例] 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、
胃炎
一般の人が判断できる症状
[例]胃痛、胸やけ、もたれ、
むかつき
用法・用量、剤形
用法や剤形に制限はない
一般の人が使いやすい剤形
(注射などは不適)
使用上の注意
医療関係者にとって見やすく分
かりやすいもの
一般の人に理解しやすいもの
症状の改善がみられない場合は、
医師などに相談することを記載
厚生労働省ホームページより改変
MRテキストⅠ医薬品情報 P19~20
3 MRが取り扱う「医薬品」とは
第1章 MRと医薬品情報
医薬品の医療上の位置づけ(3)
【医療用医薬品による薬物療法の種類】
1. 原因療法
病気そのものの真の原因となっているものを
治したり取り除いたりして直接働きかけて治療
するもの感染症の治療薬としての抗生物質や
抗菌薬は、病原菌そのものを殺菌するため原因
療法に該当する。
3. 予防療法
疾病を予防するための療法.インフル工ンザ
ワクチンは,事前の投与によりインフルエンザ
にかかった時の症状の軽減を目的としている
ほかに子宮頚がんの予防ワクチンや肺炎球菌
のワクチンなどがある。
MRテキストⅠ、P20、図1-10より改変
2. 対症療法
原因療法に対比される治療法である病気
そのものの原因を取り除くのではなく、
病気がもたらす症状や苦痛を軽減させる
ことを目的とする治療法の1つ。かぜを
引いたときに使用されるかぜ薬がこの対症
療法に該当する発熱には解熱剤を、くしゃみ
には抗ヒスタミン薬を投与して、これらの
症状を緩和・軽減する療法のことをいう。
4. 補充療法
体内に不足している必要な物質を補う療法。
ホルモンの補充療法が代表的な例であるイン
スリン不足で生じる糖尿病にはインスリンを
投与する甲状腺機能低下症に対しては、甲状腺
ホルモンを投与する閉経による更年期障害が
強い場合は,女性ホルモンを補うことで症状が
軽くなるビタミン剤の投与も補充療法である。
MRテキストⅠ医薬品情報 P20
4 医薬品の適正使用と「医薬品情報」
第1章 MRと医薬品情報
医薬品の適正使用(1)
【医薬品の適正使用の重要性】
MRの活動の支柱
∥
ハインリッヒの法則
1件
重大な事故・災害
29件
軽微な事故・災害
適正使用情報の提供
※ヒヤリ・ハット:重大な事故にはならなかったが、
事故につながってもおかしくな
い
一歩手前の事例
ヒヤリ・ハット
300件
MRテキストⅠ、P21、図1-11より改変
MRテキストⅠ医薬品情報 P21
4 医薬品の適正使用と「医薬品情報」
第1章 MRと医薬品情報
医薬品の適正使用(2)
【医薬品適正使用のサイクル】
医薬品の適正使用の定義
医薬品の適正使用とは、まず、的確な診断に
基づき患者の状態にかなった最適の薬剤、剤
形と適切な用法・用量が決定され、これに基づ
き調剤されること。ついで患者に薬剤について
の説明が十分理解され,正確に使用された後、
その効果や副作用が評価され、処方にフィード
バックされるという一連のサイクルである。
(21世紀の医薬品のあり方に関する懇談会の最終報
告
厚生省薬務局監修)
目的:医薬品の有効性を最大限に発揮させ、
同時に医薬品のリスクを最小限に抑
えて患者への良質な医療を提供する
最適な薬剤、
剤形、
用法・用量の
選択、決定
的確な判断
正確な調剤
医薬品適正使用のサイクル
最大の効果発現
副作用予防、
早期発見
患者への
情報提供
正確な使用
医薬品に関する情報が医療関係者や患者
に適切に提供され、十分理解されること
MRテキストⅠ、P22、図1-12より改変
MRテキストⅠ医薬品情報 P21~22
4 医薬品の適正使用と「医薬品情報」
第1章 MRと医薬品情報
医薬品の適正使用(3)
【適正使用のサイクルにおけるMRの役割】
薬事法(第77条の3)
医薬品の有効性および安全性に関する事項その他医薬品の適正な使用の
ために必要な情報の提供と収集が企業の責務である
適正使用のために必要な情報の提供と収集
MR
医療の一端を担う者として医師や薬剤師と同様の重要な責務
MRテキストⅠ医薬品情報 P23
4 医薬品の適正使用と「医薬品情報」
第1章 MRと医薬品情報
医薬品情報(1)
【医薬品情報の種類】
品質
・規格試験の結果
・安全性試験の結果
安全性
・禁忌・慎重投与
・相互作用
・副作用
有効性
・薬効や薬理作用
(効能・効果)
・用法・用量
その他
・名称(一般名、販売名)
・剤形、含量
・化学構造式
・EBM(メガスタディなど)
・薬価
MRテキストⅠ、P23、表1-11より改変
MRテキストⅠ医薬品情報 P23
4 医薬品の適正使用と「医薬品情報」
第1章 MRと医薬品情報
医薬品情報(2)
【MRにとっての医薬品情報の効果的な活法】
求められている情報の明確化
ニーズに合わせた情報の検索
情報の収集
(情報収集能力:①探し出し ②精査し ③使うことが出来る)
情報の評価と選択
顧客のニーズに合わせた加工(見せ方)
情報の提供
MRテキストⅠ、P24、表1-12より改変
MRテキストⅠ医薬品情報 P24
4 医薬品の適正使用と「医薬品情報」
第1章 MRと医薬品情報
主な医薬品情報媒体(1)
医薬品情報の種類
【企業】
◆ 医療用医薬品添付文書
◆ 医療用医薬品製品情報概要
◆ 新医薬品の使用上の注意の解説
◆ 医薬品インタビューフォーム
◆ 緊急安全性情報
◆ 安全性速報
◆ 各種のお知らせ
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:
薬事法を根拠とする医薬品の基本情報
主に医師を対象とする概要解説書
添付文書の安全性(警告、禁忌、使用上の注意)に関する詳細解説
日本病院薬剤師会からの依頼により作成
添付文書を補完する内容
: 緊急に伝えるべき安全性情報
厚生労働省の指示のもと、1ヵ月以内に医療関係者に直緩配布する
義務がある
: 緊急安全性情報ほどの緊急性はないが、重要な改訂の時,厚生労働省の命令・
指示や企業の自主判断で作成する
: 包装変更、不良品、販売中止に関するお知らせ文書
【日薬連】
◆ 医薬品安全対策情報
:日本製薬団体連合会(日薬連)が、添付文書の改訂を成分ごとに定期的に発行
(監修:厚生労働省)
【厚労省】
◆ 医薬品・医療機器等安全性情報
:厚生労働省から医療関係者を対象にしてほぼ毎月発信されている
【機構】
◆ 医薬品医療機器情報提供ホームページ
:インターネットを介して最新の添付文書情報や各種適正使用情報を提供している
MRテキストⅠ、P24、表1-13より改変
MRテキストⅠ医薬品情報 P25~27
4 医薬品の適正使用と「医薬品情報」
第1章 MRと医薬品情報
主な医薬品情報媒体(2)
【医薬品情報の種類】
医療用医薬品添付文書(添付文書): 製薬企業の医薬品情報で最も基本となる
もので、唯一の法的根拠のある医薬品情報
薬事法第52条
医薬品は、これに添付する文書又はその容器若しくは被包に、次の各号に掲げる事項が記載され
ていなければならない。ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない 。
1.用法・用量その他使用及び取扱い上の必要な注意
2.日本薬局方に収められている医薬品にあっては、日本薬局方においてこれに添附する文書又
はその容器若しくは被包に記載するように定められた事項
3.第42条第1項に規定によりその基準が定められた医薬品にあっては、その基準においてこれ
に添附する文書又はその容器若しくは被包に記載するように定められた事項
4.前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
MRテキストⅠ医薬品情報 P25
4 医薬品の適正使用と「医薬品情報」
第1章 MRと医薬品情報
主な医薬品情報媒体(3)
【医薬品情報の種類】
医療用医薬品製品情報概要(製品情報概要):
個々の医療用医薬品に関する正確かつ総合的な情報を医療関係者
に伝達し、その製品の適正な使用を図ることを目的とした文書
(パンフレット)
日本製薬工業協会(製薬協)制定:1995年(平成7年)9月
・宣伝色の排除
・安全性情報の記載の明確化
医薬品適正使用推進資料
・記載項目を添付文書とほぼ同一化
MRテキストⅠ医薬品情報 P25~26
4 医薬品の適正使用と「医薬品情報」
第1章 MRと医薬品情報
主な医薬品情報媒体(4)
【医薬品情報の種類】
新医薬品の使用上の注意の解説:新医薬品の安全性確保促進のため販売開始時に
作成。
「使用上の注意」の設定理由および副作用の経過・
措置などをわかりやすく解説。
医薬品インタビューフォーム:
日本病院薬剤師会からの依頼に基づき作成。
化合物や製剤の物性や安定性の情報、有効性や
安全性の根拠となった情報、薬物動態や非臨床試験
を掲載。
MRテキストⅠ医薬品情報 P26
4 医薬品の適正使用と「医薬品情報」
第1章 MRと医薬品情報
主な医薬品情報媒体(5)
【医薬品情報の種類】
緊急安全情報(イエローレター)
: 緊急に安全対策上措置を取る必要があると厚生労働省が判断した
使用上の注意の改訂。
厚生労働省の指示のもとに製薬企業が「緊急安全性情報」を作成
して、指示を受けた日から 1ヵ月以内にMRが医療機関に直接配布
することが原則。
安全性速報(ブルーレター)
: 緊急安全性情報ほどの緊急性はないが、迅速に医療関係者に注意
喚起を図るために作成。
厚生労働省の命令・指示や企業の自主判断で企業が作成。
緊急安全性情報と通常の使用上の注意との間に位置する。
各種のお知らせ : 医薬品の包装変更や不良品販売回収などの各種のお知らせ情報。
お知らせ文書として、当該医薬品の採用施設などにできるだけ早く
提供する。
MRテキストⅠ医薬品情報 P26~27
4 医薬品の適正使用と「医薬品情報」
第1章 MRと医薬品情報
主な医薬品情報媒体(6)
【医薬品情報の種類】
医薬品安全対策情報(DSU:Drug Safety Update)
: 日本製薬団体連合会(日薬連)が、添付文書の使用上の改訂
を定期的に成分ごとにまとめて厚生労働省の監修のもとに発行。
通常は年10回発行。
医薬品・医療機器等安全性情報
: 厚生労働省において収集された副作用情報をもとに医薬品の
より安全な使用のために医療関係者に対しでほぼ毎月発信。
医薬品医療機器情報提供ホームページ
: 独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページから最新の
添付文書情報や各種適正情報を提供
MRテキストⅠ医薬品情報 P27
MRテキスト<2012年度版>
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