Flu Sales scheme - JACRI 一般社団法人 日本臨床

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
特定健康診査における
血液検査項目の標準化
作成: 日本臨床検査薬協会 技術委員会
監修: 筑波大学大学院人間総合科学研究科
臨床医学系 准教授 桑克彦先生
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
「はかる:測る」行為には総合的な検証が必要
①
②
③
④
⑤
目的に適した検査方法の設定
基準とすべき標準物質の選定
計量学的traceabilityの確認
検査機器や検査基準の維持・管理
得られた結果の適切な解析と表現
1. JCTLMの設置
2002年
2. 国際単位系(SI)第8版
2006年
3. 国際計量用語集(VIM)第3版⇒ISO/IEC Guide99 2007年
4. 計測における不確かさの表現ガイド(GUM)
2007年
拠り所
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特定健康診査における血液検査8項目
• 脂質
– 中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール
• 肝機能
– AST、ALT、g-GT
• その他
– 空腹時血糖、HbA1c
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臨床検査値の標準化は標準物質による
• 常用参照標準物質により校正された値
• MHLWがMETI・AIST/NMIJ・JCCLSなどの協
力を得て検査の標準化が出来るようにする
• 血液検査8項目の標準物質を設定
健診機関はこれら標準物質にトレーサブルなキット
を使用し、トレーサビリティを含めた精度管理を実施
する
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トレーサビリティと不確かさ
• トレーサビリティ
– 標準物質と測定操作法で組立てられた階層構造
• 不確かさ
– 測定値の信頼幅がある確率で存在する範囲
• トレーサビリティを確保しているということは
– 測定値に対して不確かさを付けて表すことができ
ること
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n段の校正の連鎖と実試料測定
国家標準
u1
校正1
二次標準
u2
校正2
三次標準
校
正
の
連
鎖
‥‥
測定者
上位の標準
校正n
un
標準
測定作業
実試料
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NMIJによる
外部機関標準物質公表制度
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外部機関標準物質公表制度
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外部機関標準物質公表制度の概要
• 目的
– 各領域で設定されている標準物質のうち、計量学的に質
の高いものを、国家計量標準機関が認めたものとして登
録し、社会に公表することによって、要求される測定値の
信頼性が確保できるようにすること
• 登録
– 特定の組成(分析対象成分とマトリックスの組み合わせ)
の標準物質の中でトレーサビリティ体系において現時点
で最上位と位置づけられるもの
• 登録基準
– 標準物質生産者の認定に適用されるISO Guide 34及
びISO Guide 35の要求事項のうち、トレーサビリティ体
系を確保する上で必要な技術的項目
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外部機関標準物質公表制度のしくみ(案)
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特定健診の臨床検査に用いる認証標準物質
―外部機関標準物質公表制度への登録:NMIJ―
申請(2008年2月)→審査→公表
•TG, HDL-C, LDL-C:JCCRM224
•GLU:JCCRM521
•HbA1c:JCCLS CRM-004
•AST, ALT, γ-GT: JCCLS CRM-001
キャリブレータ:試薬メーカー
日常検査法:ユーザー
NMIJ
(独)産業技術
総合研究所計
量標準総合セ
ンター
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ISOとの関係
ISO認定機関
ISO認証機関
認証:ISO9001
ISO13485
製造業者
(独)製品評価技術基盤機構
(NITE)
認定:ISO17025
ISO Guide34
標準物質製造業者
ReCCS等
認証書
NMIJ:外部機関標準物質公表制度への登録
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計量学的トレーサビリティ連鎖と校正の階層段階:
ISO17511
材料
校正
値付け
操作法
実施
不確かさ
CGPMによるSI単位の定義
一次基準測定操作法
一次校正物質
BIPM,MMI,ARML
BIPM,NMI
二次基準測定操作法
二次校正物質
NMI,ARML
NMI,ARML、ML
製造業者自社推奨測定操作法
製造業者実用校正物質
ML
ML
製造業者社内標準測定操作法
製造業者製品校正物質
ML
ML
最終使用者の日常測定操作法
日常試料
製造業者又は
最終使用者
最終使用者
測定結果
最終使用者
ARML:認定基準検査室、BIPM:国際度量衡局、CGPM:度量衡委員会、ML:製造業者の検査室、NMI:国内計量研究所
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臨床検査関連標準(標準物質)の
計量トレーサビリティ体系(VIM 第3版:2007)
国家計量標準物質
National Standard
(Primary Standard)
計量標準研究所
NMIJ
特定二次標準物質
Secondary Standard
校正事業者
↓
常用参照標準物質
Reference Standard
↓
標準物質生産者
製造業者
実用標準物質
Working Standard
↓
製造業者
キャリブレータ
Calibrator
↓
日常試料
標準物質供給の流れ
トレーサビリティの流れ
↓
そ想標(
計
の定準国量
上し物家ト
のて質、
二レ
階いが次ー
層る存、サ
にが在常ビ
直、す用リ
接ある参テ
繋る場照ィ
が階合、体
る層を実系
場で 用は
合存 等、
い
も在 )
でず
容し
な もれ
認い
の
さ場
階
れ合
層
るに
。は
、
検査室(日常検査)
JCCLS RM/WG作成
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特定健康診査項目に用いる標準物質(本日現在)
標準物質
値付け
AST
JCCLS CRM-001a
JCCLS-SOP
○
List II
ALT
JCCLS CRM-001a
JCCLS-SOP
○
List II
g-GT
TG
JCCLS CRM-001a
JCCLS-SOP
○
List I
JCCRM 224-3
JSCC勧告法
○
List I
HDL-C JCCRM 224-3
CDCレファレンス法
○
LDL-C
JCCRM 224-3
CDCレファレンス法
Glu
JCCRM 521-7
JSCC勧告法
HbA1c JCCLS CRM-004a KO500法
供給機関は検査医学標準物質機構(ReCCS)
<>は厚生労働省の告示待ち
薬事法
JCTLM
項目
<CDC>
<○>
CDC
○
List I
○
List I
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臨薬協と標準物質の認証の関係
• JCCLS関係:CRM-001、004
技術委員会からJCCLS標準物質小委員会
への参加(従来より)
• ReCCS関係:JCCRM 224、521
技術委員会からReCCS認証委員会への参
加(H20年度より)
• 外部機関標準物質公表制度
臨薬協理事会より審議会への参加(H20年
度より)
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各項目の常用参照標準物質
及び
traceability体系
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AST・ALT・g-GT
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JCCLS CRM-001を用いる
• JCCLSにより認証されている「JCCLS
CRM-001」を用いる
• 現在のロットはa(従来表記のLot 5)で、
JCCLS CRM-001aと表記
• 現状と変更点は無い
• JCCLSが旭化成ファーマの協力の下に「外
部機関標準物質公表制度」へのノミネートし
ている
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別図5 AST, ALT, -GT活性測定のトレーサビリティ連鎖図
材料
校正
操作法
実施 機関
値付け
非SI単位系
JSCC常用基準法
(AST, ALT, γ-GT)
常用参照標準物質
(JCCLS-SOP法)
(JCCLS CRM-001)
共同実験
29機関
製造業者社内標準測定
製造業者
製品校正物質
操作法
製造業者
日常測定操作法
(JSCC 標準化対応法)
日常試料
検査室
測定結果
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LDL-C・HDL-C・中性脂肪
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JCCRM 224を用いる
• ReCCSにより認証されている「脂質測定用
常用標準物質 」を用いる
• 現在のロットは3で、JCCRM 224-3と表記
• LDL-Cは本品を用いる
• 各項目共濃度は一濃度
• ReCCSが「外部機関標準物質公表制度」へ
のノミネートしている
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LDL-C直接法と薬事法の関係
• 告示120号の修正・追加に関して厚生労働省にて
審議され、JACRI原案とおり決定した。LDL-Cに
関しては供給機関に「ReCCS」が追加されている。
• 近々告示される予定である。
• 製造販売業者は「特定健康診査」に用いる場合、基
準用較正物質を「CDC法」から「ReCCSが供給す
る標準物質(供給機関:ReCCS)」への変更届けを
医薬品医療機器総合機構に提出する必要がある。
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測定項目
測定値
単位
測定法
A/G比
1.5
-
アンモニア
87
mmol/L
比色法
グルコース
102
mg/dL
酵素法
総ビリルビン
0.5
mg/dL
酵素法
ヘモグロビン
4以下
mg/dL
比色法
濁度
Abs 0.05
-
吸光度法
(710nm)
-
JCCRM 224-3の
血清性状
• 原料
ヒト新鮮プール血清
• 血清処理方法
CLSI CA37-Aによる
• CLSIの規格
適合
アガロースゲル電気泳動
ディスク電気泳動
リポタンパク分画
単位
JCCRM224
VLDL
%
16
LDL
%
47
HDL
%
36
リポタンパク分画
α
preβ
β
other
単位
JCCRM 224
%
%
%
%
39
10
48
3
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JCCRM 224-3 各施設でのBQ法測定結果
項目
USA
カナダ
日本*
(ワシントン大学)
(CEQAL)
(ReCCS)
TC
(mg/dl)
190.9
HDL-C
(mg/dl)
60.1
LDL-C
(mg/dl)
130.8
188.6 191.1 192.2
59.7
60.5
60.8
128.9 130.6 131.4
*測定者及び日を変えた二個の測定結果を示す。
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認証値および不確かさ
25℃
認証値および不確かさ,mg/dL
JCCRM 224-3
HDL-C
LDL-C
60.3 ± 0.9
130.4 ± 2.1
不確かさは、拡張不確かさ(95%信頼水準)で表した。
血清標準物質NIST SRM 1951b Ⅰ
LDL-C測定結果 (mg/dL)
CDC認証値
SRC測定値
113.2 ± 3.1
111.8 (バイアス -1.4%)
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中性脂肪用標準物質について
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中性脂肪用標準物質及び問題点
• 厚労省告示120号における中性脂肪の標準物質
供給機関はHECTEF(今後はReCCS)となってお
り、JCCRM 223/224が該当する。
• 223を検体として各社中性脂肪測定試薬にて測定
した場合、認証値に対する測定値の回収率が各レ
ベルにより異なり、高濃度になるほど高くなる傾向
が見られた。この為、各社の値付けに用いるレベル
により試薬間差が生じていた。
• JCCLS・JSCC・JACRIにて問題点及び今後の
対応を協議し、224で対策を講じた。
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脂質標準血清の各社キャリブレータによる測定値
企業名
A社
B社
D社
直近上位標準
JC C R M 223
H EC TEF S R C 基準品
JC C R M 224-1 M
H
TG
認証値
78.4
140.3
215.4
血清
78.0
142.0
223.0
血清
77.0
142.1
220.4
水溶液
72.6
133.0
207.4
M
H
TG
回収率
回収率
回収率
99.5%
101.2%
103.5%
98.2%
101.3%
102.3%
92.6%
94.8%
96.3%
a
b
r
Sy/x
-5.585
1.059
1.000
1.235
-4.939
1.047
1.000
0.251
-4.744
0.984
1.000
0.412
トリオレイン
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JCCRM224/223の各試薬TG測定値
試薬回収率
224
A
B
C
D
E
F
G
110%
108%
106%
104%
102%
100%
98%
96%
94%
92%
90%
50
100
150
200
JCCRM 224/223認証値
250
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TG測定用血清標準物質の
アガロース電気泳動パターン(和光純薬提供)
JCCRM-224-3(TG)の認証値±拡張不確かさ(k=2)
125.6 ± 0.9 mg/dL
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JCCRM 224-3による補正効果
図4 JCCRM224-3による補正効果
7%
6%
収束性(CV%)
検
体
は
ボ
ラ
ン
テ
ィ
ア
採
血
十
二
検
体
5%
4%
3%
2%
1%
0%
0
100
200
300
各社測定平均値(mg/dL)
補正前
補正後
400
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中性脂肪測定のトレーサビリティ連鎖図
材料
校正
操作法
実施 機関
値付け
SI単位系
純度の確認方法
(屈折率・クロロホルム溶状・
TLCなど)
高純度標準物質
(トリオレイン)
JSCC勧告法
(アルコール性KOH加水分解
GK-PK-LD法)
常用参照標準物質
JSCC/
JCCLS会員
JSCC/
JCCLS会員
JCCRM 224-3(TG)
製造業者社内標準測定
操作法
製造業者製品校正
物質
製造業者
日常測定操作法
日常試料
検査室
測定結果
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HDL、LDLコレステロール測定のトレーサビリティ連鎖図
材料
校正
操作法
実施 機関
値付け
SI単位系
純度の確定方法
高純度標準物質
(NIST SRM 911
NMIJ CRM 6001)
(LC, GC, TLC)
CDCレファレンス法
常用参照標準物質
製造業者社内標準測定
JCCRM 224
NIST
AIST
共同実験3機関
操作法
製造業者製品校正
物質
製造業者
日常測定操作法
日常試料
測定結果
検査室
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今後のJCCRM224の目標濃度
項目
中性脂肪
LDL-C
HDL-C
濃度
140 mg/dL
130 mg/dL
40 mg/dL
現行製品
H
LDL1
L
各項目一濃度の設定とする!
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グルコース
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
JCCRM 521を用いる
• ReCCSにより認証されている「JCCRM
521」を用いる
• 現在のロットは7で、JCCRM 521-7と表記
• 現状と変更点は無い
• ReCCSが「外部機関標準物質公表制度」へ
のノミネートしている
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
グルコース測定のトレーサビリティ連鎖図
材料
校正
操作法
実施 機関
値付け
SI単位系
純度の確定方法
(DSC, TLC, GC, NMR)
高純度標準物質
(NIST SRM 917)
NIST
ID-MS
一次血清標準物質
(NIST SRM 965 )
NIST
JSCC勧告法
(除蛋白・HK-G6PD法)
JSCC/
JCCLS会員
常用参照標準物質
JCCRM521
製造業者社内標準測定
操作法
製造業者製品
校正物質
製造業者
日常測定操作法
日常試料
検査室
測定結果
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HbA1c
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
JCCLS CRM004を用いる
• JCCLSにより認証されている「JCCLS
CRM-004」を用いる
• 現在のロットはaでJCCLS CRM-004aと
表記
• 現状と変更点は無い
• ReCCSが「外部機関標準物質公表制度」へ
のノミネートしている
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
HbA1c測定のトレーサビリティ連鎖図
材料
校正
操作法
実施 機関
値付け
非SI単位系
JDS標準品
JDS
JSCC基準標準測定
操作法案(KO500法)
常用参照標準物質
(JCCLS CRM-004)
製造業者社内標準測定
共同実験
4機関
操作法
製造業者製品校
正物質
製造業者
日常測定操作法
日常試料
検査室
測定結果
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
トレーサビリティと不確かさに関して
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
わが国における許容誤差限界
項目
TG
CVA(%)
BA(%)
14.8
15.4
HDL-C
LDL-C
AST
ALT
4.2
4.6
7.6
11.1
6.0
6.9
7.1
12.4
γ-GT
GLU
8.2
2.9
12.8
2.3
•CVA:施設内精度
•個体内生理的変動のCV(CV1)の1/2以下、CVA<1/2 ×CV1
•BA:かたより
•個体内生理的変動のCV(CV1)と個体間生理的変動のCV(CVG)の
それぞれの2乗和の平方根の1/4以下、BA <1/4 × √(CVG2 + CV12)
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トレーサビリティ及び値付けに関して
• 各社は常用血清標準物質を直近上位の校正
物質として値付けを実施する。
• トレーサビリティ連鎖が常用の血清標準物質
より上位の標準物質に繋がっている場合(グ
ルコース等)は容認できる。(産総研見解)
• 中性脂肪はJSCC勧告法の値を伝達する。
• キャリブレータの表示値に関しては不確かさ
を付記することとする。
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特定健康診査の手順と
検体の取扱
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
検査前手順
検査手順
検査後手順
Preanalytical Phase
Analytical Phase
Postanalytical Phase
・健診者への事前注意
・検体採取者への指示
・試薬キット(標準化されたも
の)
・報告書
・測定結果の確認
・採血管の選択
・測定装置
・基準範囲
・採血時の確認事項
・測定の検査マニュアル
・個人の生理的変動幅
・尿検体の扱い
・内部精度管理
・健診判定値
・試薬キットの管理
・保健指導
・装置の保守
・健診データベース
・検体の搬送
・管理試料による測定管理
・健診担当者の教育
・測定検体の保存
・健診者データによる測定管
・採血管の処理(血清・血漿
の分離)
理
・外部精度評価
・測定のみのアウトソーシング
健診検査
手順
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健診項目における検体の取り扱い(1)
項目名
絶食条件
採血管
分離剤入りプ
TG,HDL- 10時間
C,LDL-C, 以上(脂質 レイン管
AST,ALT, 項目のみ)
γ-GT
空腹時血糖 10時間
以上
HbA1c
(午後健
診の場合
でも軽め
の朝食)
採血後の保
存
測定までの検
体保存
分離後,冷蔵
冷蔵保存,
12時間以内 保存、採血か
に遠心分離 ら72時間以
内に測定
測定検体
種
血清
NaF入り採血
管(血糖測定
用採血管)
全血のまま
冷蔵保存
6時間以内に
測定または遠
心分離(12時
間以内に測定
または遠心分
離)、遠心分
離血漿は採血
から72時間
以内に測定
血漿
血糖測定用採
血管または
EDTA入りの
採血管
全血のまま
冷蔵保存
採血後48時
間以内に測定
全血
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
健診項目における検体の取り扱い(参考)
項目名
尿糖
尿蛋白
貧血
(RBC, Hb,
Ht)
条件
中間尿
採取後4時
間以内に試
験紙法で測
定
採血管
採後の保存
測定までの検体 測定検
保存
体種
専用容器に 室温保存では採
移して蜜栓、 取から24時間
以内に測定、.冷
蔵保存では採取
から48時間以
内に測定
EDTA入り 全血のまま
採血管
室温保存
6時間以内に測
定
尿
全血
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トレーサビリティと測定値の
不確かさ及び精度管理
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
内部精度管理と外部精度管理の実施
• 基本的考え方
– 「健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針」に
おける精度管理に関する事項に準拠して、精度管理を行うものとす
る。
• 内部精度管理
– 健診機関内では、検体の採取・輸送・保存、測定、検査結果の管理、
安全、管理者の配置等について常に管理し、検査値の精度を保証す
る。そのためには、トレーサビリティも含めた十分な内部精度管理が
定期的に行われることが必要である。
トレーサビリティ:健診判定値について、測定の基準となる標準物質
あるいは基準となる測定方法の結果に合わせられることである。
• 外部精度管理
– 現在実施されている外部精度管理事業(日本医師会、日本臨床検査
技師会、全国労働衛生団体連合会など)を少なくとも一つは定期的
に受け、検査値の精度が保証された結果であることが必要である。
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トレーサビリティと測定値の不確かさ及び精度管理
標準物質
生産者
製造業者社内標準物質の不確かさ
キットのキャリブレータの不確かさ
検査室
医療機関
健診機関
第三者
機関
トレーサビリティ
試薬製造
業者
認証標準物質の不確かさ
日常検査法による測定値の不確かさ
内部精度管理による維持
・管理限界(CL)の設定
外部精度評価による監視
精密さ(CVA%)
かたより(BA%)
}
医療・健診機関
における許容幅
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
製造販売会社がキャリブレータに値付けする方法
1. 常用参照標準物質(RS)から直接値付けす
る方法
• RSは認証値とほぼ同じ値に測定される。
2. 社内標準物質を介する方法
• 標準物質の測定値は、認証値とずれが生ずる。
(JCCLS CRM-001のAMYと同様)
社内標準測定法の詳細が必要な場合は、
製造販売会社(販売会社)に問い合わせする。
JCCLS 標準的な健診・保健指導プログラムにおける血液検査8項
目のトレーサビリティに関する指針(第1版)
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ヒト血清
日常検査法
日常検査法
常用参照
標準物質
RSの値付けの方
法
社内
標準物質
RSの値付けの方
法
日常検査法
社内SOP
RSの値付けの方
法
社内SOP
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
メーカーがキャリブレータに不確かさを付ける方法
• 不確かさの基本実験方法(指針:p×q×r回測定)
1. 15日間×2バイアル×2重測定
=5日間(1日3回)×2バイアル×2重測定
2. 標準物質でキャリブレーションし60回のデータを取る。
標準物質15本→5本
• HbA1c(桑
克彦:糖尿病検査の標準化,検査と技術 35: 749-756、2007)
1. JDS校正のキャリブレータの設定
2. キャリブレータ検量で、HbA1c測定用標準物質を測定
 認証値に対して測定値をプロット
 直線回帰分析
3. 性能評価試験:1項または2項を実施
① 実試料の測定
 表示値(JDS校正KO500法値)に対して測定値をプロット
 直線回帰分析
② 性能評価用試料の測定
 単日反復測定あるいは連日反復測定
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表示値および不確かさが必要な試料
認証機関
認証標準物質
検量用試料(キャリブレータ)
メーカー
管理物質(メーカー指定管理血清)
メーカーがバリデーションを実施
ユーザー
内部精度管理試料(PS、管理血清)
日常試料(健診者血清)
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
不確かさ推定の実験系と使用ソフトの例
不確かさ推定の実験系と使用ソフト
実験条件例
タイプ
検量
日数
1日当たり 測定
の試料数 回数
使用者
メーカー
基本形
毎日
15日
2本
2
検査室
メーカー
初回検量
初回のみ
15日
2本
2
検査室
精度管理 基本的に
試料データ
毎日
40日
1本
2
検査室
ソフト名
①キャリブレータ不確かさ計算
v4-20.XLS
③日常検査の不確かさ計算
v4-20.XLS
②初回校正キャリブレータ不確かさ
計算:v4-20.XLS
④初回校正日常検査不確かさ
計算:v4-20.XLS
⑤内部精度管理データ日常不確
かさ計算:v4-20.XLS
http://www.jccls.org/active/calculation_soft.html
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
検査室のバリデーション方法(精密さ)
・併行精度(同時再現性)
・再現精度(日差再現性)
・実試料による測定値の精密さ(ランダマイズ2回測定)
JCCLS 標準的な健診・保健指導プログラムにおける血液検査8項
目のトレーサビリティに関する指針(第1版)
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
検査室のバリデーション方法(精確さ)
・常用参照標準物質(RS:Reference Standard)
から直接値付けする方法
RSを測定し確認。
→測定値は、認証値とほぼ同じ値にでる。
・社内標準物質を介する方法
メーカー指定の管理物質(表示値と不確かさ付)で
確認する。
→RSの測定値は、認証値と一致しない。
JCCLS 標準的な健診・保健指導プログラムにおける血液検査8項
目のトレーサビリティに関する指針(第1版)
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
わが国における許容誤差限界(1)
項目
TG
HDL-C
LDL-C
AST
ALT
γ-GT
GLU
CVA(%)
14.8
4.2
4.6
7.6
11.1
8.2
2.9
BA(%)
15.4
6.0
6.9
7.1
12.4
12.8
2.3
CVA:施設内精度で個体内生理的変動のCV(CV1)の1/2以下
CVA<1/2 ×CV1
BA :かたよりで個体内生理的変動のCV(CV1)と個体間生理的変動のCV(CVG)
の
臨床化学35:144,2006
それぞれの2乗和の平方根の1/4以下
2
2 1/2
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
わが国における許容誤差限界(2):HbA1c
(HbA1cの単位:%値)
試料
JCCLS CRM-004a
単日反復測定における不確かさの評価基準
標準不確かさ
認証値
拡張不確かさ(k=2)
連日反復測定における不確かさの評価基準
標準不確かさ
拡張不確かさ(k=2)
標準不確かさ
HbA 1c%
相対値
HbA 1c%
相対値
HbA 1c%
相対値
HbA 1c%
相対値
S-1
4.54
0.03
0.15
3.2
0.30
6.4
0.12
2.6
0.25
5.2
S-2
5.27
0.03
0.12
2.3
0.24
4.6
0.09
1.8
0.18
3.5
S-3
6.96
0.04
0.20
2.8
0.40
5.6
0.16
2.2
0.32
4.4
S-4
9.24
0.05
0.26
2.8
0.53
5.5
0.21
2.2
0.43
4.5
0.07
0.37
3.3
0.75
6.7
0.32
2.9
0.64
5.8
S-5 11.58
・桑 克彦:HbA1c測定の総合的な不確かさの評価の手順と基準
(URL:http://www.jccls.org/active/standard/hba1c_4.pdf)
・日本臨床化学会糖尿病関連指標専門委員会:HbA1c測定の信頼性確保のための指針.
臨床化学 37:68-74, 2008
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
まとめ
特定健康診査血液項目の標準化方法(メーカー)
• 標準物質による標準化
• 厚労省告示の較正物質を用いること。
• 外部機関標準物質公表制度で公開された常
用参照標準物質を用いる。
• キャリブレータに不確かさを付ける。
• ユーザーが精確さを確認する為の「管理物質
(不確かさ付)」を用意する
社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会
まとめ
特定健康診査血液項目の標準化方法(検査機関)
• メーカーによりバリデーションされた測定手順
により、表示値に不確かさがついたキャリブ
レータで校正された測定値は、トレーサビリ
ティがとれた値となる。
• 不確かさを有する管理物質を用いて、測定値
の不確かさを推定することができる。
• 精確さを常用参照標準物質で確認できるの
はこれで直接値付けられた試薬キットのみで、
これ以外はメーカーによる精確さの確認用試
料を用いて確認する。(メーカーに確認)