硬式野球ボールの投球 挙動シミュレータの開発 東京理科大学工学部経営工学科 大成研究室 4496099 森 淳一 硬式球の挙動シミュレーション 発表構成 はじめに 流体力学理論適用のための諸条件 投球挙動シミュレータの開発 投球挙動シミュレータの評価と検証 おわりに 2015/9/30 卒業論文審査会 2 1 硬式球の挙動シミュレーション はじめに 野球の試合をする際に打者を最も 悩まし,投手にとって有効な手段 変化球 ピッチングマシンでは投球不可能な変化球が多い. イメージトレーニングによる変化球対策は大変. 2015/9/30 卒業論文審査会 3 硬式球の挙動シミュレーション 本学野球部の変化球対策の現状 ・打撃練習時に選手が投球する変化球 ・素振りイメージトレーニング 既存のPC投球挙動シミュレータ ・投手のアニメーションがない ・扱いが難しい ・高額である 2015/9/30 卒業論文審査会 4 硬式球の挙動シミュレーション 2 目 的 ・野球打撃技術の向上 ・苦手な球種対策 ・雨天時の練習の補助 本研究では,ボールにかかる空気力を風洞実験によりも とめ,投手の指を離れてからホームベースを通過するま での球の動きをビジュアルに表現する. 2015/9/30 卒業論文審査会 5 硬式球の挙動シミュレーション 3 溝田教授の研究 福岡工業大学工学部知能機械工学科 溝田武人教授 ナックルボールの不思議(日本風工学会誌 第62 号) ・ナックルボールの揺れる原理についての研究 論文 CD フォークボールの不思議(日本風工学会誌 第70 号) ・フォークボールの仕組みの研究論文 飛翔軌跡の式に3つの空気力(抗力Cd,揚力Cl, 横力Cs)係数を代入し軌跡を表現している. 2015/9/30 卒業論文審査会 6 硬式球の挙動シミュレーション 4 流体力学理論適用のための諸条件 4.1 レイノルズ数 流体の流れ特性 20℃で 1.21×10(g/cm ) レイノルズ数R VL R (4.1) 直径Lの球が,空気密度ρ,粘性率ηの 7.4cm 空気中を速度Vで動く. 20℃で 0.018(CP) 2015/9/30 卒業論文審査会 7 硬式球の挙動シミュレーション 4.2 球周辺の空気の流れ 図4a 滑らかな球や回転の少ない球 2015/9/30 図4b 縫い目のある球や回転の強い球 卒業論文審査会 8 硬式球の挙動シミュレーション 4.3 空気抵抗 1 FD C D AV 2 約43cm2 2 (4.2) A=πr(半径)^2,空気密度ρ ボール速度V,抵抗係数 C D 20℃で 3 3 1.21×10(g/cm ) C D はレイノルズ数,球の凹凸により決まる. 図2参照 2015/9/30 卒業論文審査会 9 硬式球の挙動シミュレーション 4.3.1 抵抗係数 CD 図2 表面が異なる場合の抵抗係数と球速の関係 2015/9/30 卒業論文審査会 10 硬式球の挙動シミュレーション 4.4 マグヌス力 球速120km以下のとき Fm KfVC D (4.3) C Dが大きく変化しない球速Vに おいて回転数f(rpm) Fm をポンド重で速度をマイル/時で表すと Kの値は 2 102 であることが分かってい る. 球速120km以上のとき Fm KfC D [1 0.5(V 2015/9/30 CD 卒業論文審査会 )( dC D dV )] (4.4) 11 4.4のつづき マグヌス力 抵抗 硬式球の挙動シミュレーション 抵抗 回転していないボール 回転しているボール 図3 マグヌス力のしくみ ボ ー ル の 重 さ を 単 位 と す る 力 球速(km/h) 図4 球速と空気抵抗,マグヌス力との関係 2015/9/30 卒業論文審査会 12 硬式球の挙動シミュレーション 4.5 ベルヌーイの定理 21 ρV+ρgt+P=一定 (4.5) ただし空気密度ρ,重力g,時 間t,圧力P. B PV B B A A A PV 図5 上式と図5>PAとなる.よってBからA に圧力差による力が生じる. 2015/9/30 卒業論文審査会 13 5. 投球挙動シミュレータの開発 硬式球の挙動シミュレーション 5.1 投球飛翔軌跡式 1 X (t ) (V0 cos )t C D V 2 At 2 4m (5.1) 1 2 1 2 2 Y (t ) Y0 (V0 sin )t gt C L V At 2 4m (5.2 ) 1 2 2 Z (t ) C S V At 4m (5.3) 2015/9/30 卒業論文審査会 14 硬式球の挙動シミュレーション 5.2 投球挙動シミュレーションの流れ ユーザー入力 出 球 速 回転数 回転軸の傾き (3軸方向) 投球の挙動アニメーション 代入 DBより 呼び出す CD , CL , CS 空気力係数 2015/9/30 力 T=0.02毎に アニメーション する (5.1)(5.2)(5.3)式 代入 卒業論文審査会 15 5.3 投球挙動シミュレータ開発環境 硬式球の挙動シミュレーション 表1 投球挙動シミュレータ開発環境 構成分類 項 目 名 称 ハードウェア 本 体 GATEWAY2000 G6-300 O S Microsoft Windows 98 Microsoft Visual Basic 6.0 ソフトウェア アプリケーション Microsoft Excel 6.0 Jun Mizutani j3c 2015/9/30 卒業論文審査会 16 硬式球の挙動シミュレーション 5.4 空気力係数の入手 福岡工業大学工学部知能機械工学科 流体工学実験室設置 流速 0~162(km/h) 0~45(m/s) 40cm 図6 開放型小型低風速風洞 2015/9/30 卒業論文審査会 40cm 17 硬式球の挙動シミュレーション 6. 投球挙動シミュレータの評価と検証 アンケート 10項目の質問に対する5段階評価 5項目の質問に対する意見 対象者 茨城県立水戸第一高等学校 硬式野球部員22名 本シミュレータへの興味 点数 5 4 3 2 1 雨天練習の補助になる 投球のイメージがつかめた 3Dアニメーションの評価 実戦的である 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数の割合 図7 アンケート結果(一部) 2015/9/30 卒業論文審査会 18 硬式球の挙動シミュレーション アンケート結果 ・ボールの挙動 ・操作画面の見やすさ,扱いやすさ 好評 ・雨天時も楽しく練習できる ・ストライクゾーン(コース,高さ)がよく分からない. ・投手の種類がない. ・背景の臨場感が弱い. 改良点 2015/9/30 卒業論文審査会 19 硬式球の挙動シミュレーション 7. おわりに ・タイミングが取りやすい ・投球のリアルな挙動 (球速,変化) ・既存のPCシミュレータにはない簡単な操作ができる (マウスのクリックのみ) 雨天練習,イメージトレーニング の補助になる. 今後の発展 ・ボールの回転の表現(縫い目,効果音) ・より立体的に(立体視可能メガネ着用) ・タイミング,高さ,奥行き(赤外線発信装置) 2015/9/30 卒業論文審査会 20 硬式球の挙動シミュレーション 参考文献 [1]溝田武人,久羽浩幸,岡島厚:ナックルボールの不思議,日本風工学会誌 第62号 1995 [2]溝田武人,久羽浩幸,岡島厚:フォークボールの不思議,日本風工学会誌 第70号 1997 [3]久羽浩幸:ナックルボールの飛翔軌跡に関する空気力学的研究,福岡工 業大学電子機械工学専攻修士論文 1995 [4]ロバート・アデア著 中村和幸訳:ベースボールの物理学,紀伊国屋書店 1996 [5]高木隆司:スポーツの力学,講談社ブルーバックス 1981 [6]小岩利夫:野茂のフォークはなぜ落ちる,日本実業出版社 1998 [7]松井秀治:野球の科学,講談社ブルーバックス 1983 [8]有田正光:流れの科学,東京電機大学出版局 1998 [9]水谷純:J3w 3D Animation Kit,http://www.nk.or.jp/~jun/j3w/ 1999 2015/9/30 卒業論文審査会 21 硬式球の挙動シミュレーション 11月3日 福岡工業大学溝田研究室にて 私 2015/9/30 溝田武人教授 卒業論文審査会 大野直樹 22
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