線形写像 線形写像 U,V:R上のベクトル空間 T:UからVへの写像 (1)T(u+v)=T(u)+T(v) (u,v∈U), (2)T(cu)=cT(u) (u∈U, c∈R) T:線形写像 T(0U)=T(0・0U)=0・T(0U)=0V Uの零ベクトルをVの零ベクトルにうつす U u V v T(u) T(v ) 写像T u+v T(u + v ) RnからRmへの写像TA TA(x)=Ax (x∈Rn) A:m×n行列 TA(x+y)=A(x+y)= A(x)+A(y)= TA(x)+TA(y) (x,y∈Rn) TA(cx)=A(cx)= cA(x)= cTA(x) (x∈Rn,c ∈R) 線形写像の像と核 T:ベクトル空間UからVへの線形写像 Im(T):Tの像 (T(U)とも書く) Im(T)={T(u)|u∈U} Ker(T):Tの核 Ker(T)={u∈U|T(u)=0v } 定理5.1.1 T:ベクトル空間UからVへの線形写像 (1)Tの像 Im(T)はVの部分空間である。 (2)Tの核 Ker(T)はUの部分空間である。 U V Im(T) 写像T U Ker(T) V 写像T 0 線形写像の階数と退化次数 T:UからVへの線形写像 rank(T):Tの階数 rank(T)=dim(Im(T)) null(T):Tの退化次数 null(T)=dim(Ker(T)) 定理5.1.2 U,V:ベクトル空間 T:UからVへの線形写像 null(T)+rank(T)=dim(U). RnからRmへの写像TA TA(x)=Ax (x∈Rn) A:m×n行列 Ker(TA) ={x ∈Rn| Ax =0} 解空間 A=[ a1 a2 ・・・ an ] Im( TA )={ Ax| x ∈Rn} ={ x1a1+x2a2+・・・+xnan|x1, ・・・,xn ∈R} 列ベクトルで生成されるRmの部分空間 線形写像の表現行列 表現行列 T:UからVへの線形写像 {u1,・・・,un}:Uの基 {v1,・・・,vm}:Vの基 (T(u1),・・・,T(un))=(v1,・・・,vm)A (A:m×n行列) 行列A:Uの基{u1,・・・,un},Vの基{v1,・・・,vm} に関するTの表現行列 U u1 u i un V 写像T v1 vm T(u1) vi T(ui) T(un) (T( u1),・・・,T(un))=( v1,・・・, vm)A 例) T:U=R2からV=R3への線形写像 2 1 T(x)= 1 0 x 4 3 標準基 1 0 0 e1= 1 ,e2= 0 e’1= 0 , e’2= 1 , e’3= 0 0 1 0 0 1 2 1 (T(e1),T(e2))=(e’1,e’2,e’3) 1 0 4 3 2 1 標準基に関するTの表現行列 A= 1 0 4 3 表現行列と基の変換行列 T:UからVへの線形写像 {u1,・・・,un}, {u’1,・・・,u’n} :Uの基 {v1,・・・,vm}, {v’1,・・・,v’m} :Vの基 (u’1,・・・,u’n)=(u1,・・・,un)P (v’1,・・・,v’m)=(v1,・・・,vm)Q (P,Q:正則行列) 行列P,Q:基の変換行列 U e1 e i en V 写像T 表現行列A e’1 e’m T(e1) e’i T(ei) T(en) 変換行列P U u1 u i un 写像T 変換行列Q V v1 vm 表現行列B T(u1) vi T(ui) T(un) 定理5.2.1 T:ベクトル空間UからVへの線形写像 A:{u1,・・・,un},{v1,・・・,vm}に関する表現行列 B:{u’1,・・・,u’n},{v’1,・・・,v’m}に関する表現行列 B=Q-1AP. 線形変換:ベクトル空間から自分自身への線形写像 定理5.2.2 {u1,・・・,un}, {u’1,・・・,u’n} :Uの基 (u’1,・・・,u’n)=(u1,・・・,un)P (P:変換行列) A:{u1,・・・,un}に関する表現行列 B:{u’1,・・・,u’n}に関する表現行列 B=P-1AP. P=[pij]nxn (T(u’1),・・・,T(u’n)) =(T(p11u1+・・・+pn1un ),・・・,T(p1nu1+・・・+pnnun)) =(p11T(u1)+・・・+pn1T(un),・・・,p1nT(u1)+・・・+pnnT(un)) =(T(u1),・・・,T(un))P =(v1,・・・,vm)AP (T(u’1),・・・,T(u’n))P= (v’1,・・・,v’m)B=(v1,・・・,vm)QB (v1,・・・,vm)AP=(v1,・・・,vm)QB B=Q-1AP T(x)= 3 0 0 1 x (x∈R2) T(e2)=e2 e2 T e1 T(e1)=3e1 固有値と固有ベクトル 固有値と固有ベクトル T:ベクトル空間Vの線形変換 T(u)=λu (u∈V,u≠0, λ∈R) λ:Tの固有値 u:(固有値λに属する)Tの固有ベクトル 例) T(x)= 7 -6 3 -2 2 u= とすると 1 x (x∈R2) T(u)= 8 4 2 =4 =4u 1 固有空間 T:ベクトル空間Vの線形変換 W(λ;T)={u∈V|T(u)=λu} 固有多項式 gA(t)=|tE-A| A:正方行列 行列Aの固有値:gA(t)=0 の根(複素根も含む) TA(x)=Ax Ax=λx Ax=λEx (λE-A)x=0 x(≠0)が存在する必要十分条件: λE-Aが正則行列でない 定理5.3.1 λがTAの固有値 gA(λ)=0 一般に多項式 f(t)=amtm+am-1tm-1+・・・+a1t+a0 と正方行列Aに対して f(A)=amAm+am-1Am-1+・・・+a1A+a0E と定義する。 定理5.3.2(ケーレー・ハミルトンの定理) gA(t)が正方行列Aの固有多項式ならば gA(A)=0 一般の場合の固有値と固有空間の計算 T:n次元のベクトル空間Vの線形変換 {u1,・・・,un}:Vの1組の基 A:Tの{u1,・・・,un}に関する表現行列 gT(t):Tの固有多項式(=Aの固有多項式) gT(t)=gA(t)=|tE-A| gB(t)=|tE-B|= |tP-1EP-P-1AP| = |P-1(tE-A)P|= |tE-A|=gA(t) 定理5.3.3 T:ベクトル空間Vの線形変換 λがTの固有値 gT(λ)=0 行列の対角化 同値な行列 A,B:n次正方行列 B=P-1AP となる正則行列Pが存在する A,Bは同値である。 行列の対角化 A:正方行列 B=P-1AP:対角行列 行列Aの対角化:正則行列Pと対角行列Bを求める 定理5.4.1 T:ベクトル空間Vの線形変換 λ1, ・・・λr:Tの相異なる固有値 r Σdim(W(λi;T))≦dim(V) i=1 定理5.4.2 A:n次実正方行列 λ1, ・・・λr:Aの相異なる実固有値の全体 AがR上対角化される必要十分条件 r Σdim(W(λi;TA))=n. i=1 ui1,・・・uini:W(λi;TA)の基 P=[u11・・u1n1・・・ur1・・urnr] T(uik)=Auik=λiuik λ1 ・ AP=PB, B=P-1AP B= n1 ・ λ1 ・ 0 ・ 0 λr nr ・ ・ λr 内積空間 内 積 u,v:R上のベクトル空間Vのベクトル 2つのベクトルu,vに対して実数(u,v)を対 応させる対応( , )が次の4条件を満たす (1) (u+u’,v)= (u,v)+ (u’,v) (2) (cu,v)= c(u,v) (3) (v,u)= (u,v) (4) u≠0 ならば (u,u)>0 例) a1 ・ a= ・ ,b= an b1 ・ ・ bn a,b∈V(=Rn) (a,b)=tab=a1b1+・・・+anbn Rnの標準的な内積 (1) (a+a’,b)= t(a+a’)b=tab+ta’b = (a,b)+ (a’,b) (2) (ca,b)= t(ca)b=ctab=c(a,b) (3) (a,b)=tab=t(tab)=tba=(b,a) (4) a≠0 ならば (a,a)=taa>0 ベクトルのノルム ∥u∥= √(u,u) u のノルム または 長さ 例) V=Rn, u= 3 -2 ∥u∥= √32 + (-2)2 = √ 13 定理6.1.1 内積空間Vのノルムについて次が成り立つ (u,v∈V,c∈R) (1) ∥cu∥=c∥u∥ (2) |(u,v)|≦ ∥u∥ ・∥v∥ (シュヴァルツの不等式) (3) ∥u+v∥ ≦ ∥u∥ +∥v∥ n (三角不等式) n n (2) (Σuivi)2 ≦ (Σui2) (Σvi2) i=1 i=1 i=1 ベクトルの直交 (u,v)=0 定理6.1.2 零ベクトルでないベクトル u1,・・・,ur が互いに 直交すれば1次独立である。 c1u1+・・・+crur=0 とおく。 r 0=(ui,c1u1+・・・+crur)= Σ cj(ui,uj)=ci(ui,ui) j=1 (ui,ui) ≠0 だから ci=0 (1≦i≦r) 正規直交基と直交行列 正規直交基 {u1,・・・,un}:Vの基 (ui,uj)=δij (1 ≦i,j≦n) 定理6.2.1 (シュミットの直交化) {v1,・・・,vn}:Vの1組の基 <u1,・・・,ur>R =<v1,・・・,vr>R (1≦r≦n) となる、正規直交基{u1,・・・,un} が存在する。 u1=v1/ ∥v1 ∥ ∥u1 ∥=1 v’2=v2-(v2,u1)u1, (u1,u2)=0 , u2=v’2/ ∥v2 ∥ ∥u2 ∥=1 <u1,u2>R= <u1,v2>R= <v1,v2>R r v’r+1=vr+1- Σ (vr+1,ui)ui, i=1 ur+1=v’r+1/ ∥vr+1 ∥ (v’r+1,ui)=0 (1≦i≦r) だから (ur+1,ui)=0 <u1,・・・,ur,ur+1 >R= <u1,・・・,ur,vr+1 >R = <v1,・・・,vr,vr+1 >R 1 v1= 1 , v 2= 0 1 1 1 u1= ||v1 || 0 1 2 3 , v 3= -1 1 1 1 1 1 = 正規化 √2 0 1 -1 4 1 1 v’2=v2-(v2,u1)u1 = 3 - 1 = 1 √ 2 √2 0 1 1 直交化 1 1 -1 u2= v’2 = 正規化 1 || v’2 || √3 1 5 1 v’3=v3-(v3,u1)u1 - (v3,u2)u2 = -1 6 2 直交化 定理6.2.2 {u1,・・・,un}:内積空間Vの正規直交基 u=a1u1+・・・ +anun , v=b1u1+・・・ +bnun と書くと (u,v)=a1b1 +・・・ +anbn n n (u,v)= Σ Σaibj (ui,vj)=a1b1 +・・・ +anbn i=1 j=1 直交変換 (T(u) ,T(v))= (u,v) (u,v∈V) 定理6.2.3 {u1,・・・,un}:内積空間Vの正規直交基 Tは直交変換 (T(u1) ,・・・,T(un )) はVの正規直交基 直交行列 tPP=En (P:n次の実正方行列) 定理6.2.4 A:n次の実正方行列 TA(x)=Ax (TA:Rn→Rn) と定義する。 Aが直交行列 TA が直交変換 定理6.2.5 A:n次の実正方行列 A={a1,・・・,an} Aは直交行列 {a1,・・・,an}はRn の正規直交基 複素共役 複素数α=a+bi (i=√-1) α=a-bi : αの複素共役 定理6.3.1 実対称行列の固有値は全て実数である。 行列の(上)三角化 A:正方行列 P-1AP:上三角行列 行列Aの(上)三角化:正則行列Pと上三角行列 P-1APを求める 定理6.3.2 n次実正方行列Aの固有値が全て実数ならばA は直交行列を用いて上三角化できる。 λ1 * P-1AP= ・ ・ 0 λn , det(P)=1 定理6.3.3 Aがn次実対称行列ならば、次の直交行列Pが存 在する。 λ1 0 P-1AP= ・ ・ , det(P)=1 0 λn 1 2 -1 A= 2 -2 2 -1 2 1 t-1 -2 1 gA(t)=|tE-A|= -2 t+2 -2 =(t-1)2(t+2)+8 1 -2 t-1 - {(t+2)+8(t-1)} =(t-1)2(t+2)-9t+14 =t3-12t+16 =(t-2)2(t+4) λ=2,-4 (λE-A)x=0 λ=2のとき 1 -2 1 -2 4 -2 x=0 簡約化 1 -2 1 1 -2 1 0 0 0 0 0 0 x=0 1. 2 x1 - 3x 2 - x 3 = 0 x1 + 2 x 2 - 3x3= 0 A= 2 -3 -1 1 2 -3 x1 x = x2 x3 W={ x ∈R3|Ax =0} (i) x =0 を代入。 A0 =0 だから 0 ∈W (ii) x ,y ∈W とすると A( x + y ) =Ax +Ay = 0+0 =0 だから x + y ∈W (iii) x ∈W,c∈R とすると A(cx) =c(Ax) =c0=0 だから cx ∈W 2. 3 2 5 c1 1 +c 2 3 + c 3 -3 = 0 2 1 4 3 2 5 1 3 -3 2 1 4 c1 c2 = 0 c3 解が一意に定まらない。 c1 = c 2 = c 3 = 0 以外の解 を持つから1次従属 3 1 2 1 3 2 1 0 0 1 0 0 1 0 0 2 5 3 -3 1 4 3 -3 2 5 1 4 3 -3 -7 14 -5 10 3 -3 1 -2 1 -2 0 3 1 -2 0 0 3. x4 = c1 x5 = c2 x1+3c2 = 0 x2+5c1ー7c2 = 0 x3ー3c1 +2c2 = 0 0 -5 x = c1 3 +c 2 1 0 -3 7 -2 0 1 とする。 x1 =ー3c2 x2 = ー5c1 + 7c2 x3 =3c1 ー2c2 x4 = c1 x5 = c2 2次元 1組の基 0 -3 -5 7 3 -2 1 0 0 , 1 x1 x2 x3 x4 x5 1 2 3 1 0 0 1 0 0 1 0 0 1 0 0 2 0 1 2 -4 -5 2 1 -4 0 1 0 0 1 0 3 1 -5 -1 3 4 4 -7 10 3 1 -5 -7 1 14 -5 -10 25 3 1 -5 1 2 -5 -7 1 14 1 -3 5 1 2 -5 -3 9 -6 0 0 3 0 5 -7 1 -3 2 c1 c2 4. x2 = c1 x4 = c2 x1+2c1ーc2 = 0 x1 =ー2c1+c2 x2 = c1 x3+c2 = 0 -2 1 x = c1 +c 2 0 0 (i) null(T)=2 Ker(T)の 1組の基 とする。 1 0 -1 1 x3 =ーc2 x4 = c2 -2 1 1 0 0 -1 0 ,1 x1 x2 x3 x 4 1 0 2 1 0 0 1 0 0 2 0 4 2 0 0 2 0 0 c1 1 1 3 1 1 1 0 1 0 0 1 1 0 1 1 -1 1 0 c2 (ii) rank(T)=2 Im(T)の 1組の基 2 3 0 1 1 ,1 5. A= 13 -30 5 -12 (i) gT(t)=|tE-A|= -5 (ii) λ=3,-2 (iii) λ=3のとき λ=-2のとき P= t-13 30 = t2-t-6 =(t-3)(t+2) t+12 (λE-A)x=0 -10 30 x=0 -5 15 3 W(3;T)={c 1 c∈R} -15 30 x=0 -5 10 2 W(-2;T)={c 1 c∈R} 3 2 1 1 B=P-1AP = 3 0 0 -2
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