世田谷区 発達支援親子グループ事業 について 世田谷区子ども部 子ども家庭課 1 発達支援親子グループ事業とは 平成24年度から開始 概ね3歳から就学前の子どもの発達に心配のある保護 者が、保育や心理の専門的な支援のもと、子どもとの関 わり方などを子どもとの遊びなどを通して学び、子どもの 個性を活かす方法を見つけ、養育力を高めることにより、 子育ての不安の解消や負担を軽減することを趣旨とした 事業。なお、さらなる支援を要する子どもの場合は、療育 機関等を紹介する。 →子育て支援として実施。ただし、発達障害の早期発見・早 期対応としての側面もある。 2 事業実施に至る経緯 3 発達障害児支援の取り組みの経緯 4 平成14年4月 子ども条例制定 平成16年4月 子ども計画策定 平成17年~ 子ども計画の重点課題である「配 慮を要する子どもへの支援」の検討開始(学識 経験者、親の会等からなる検討組織設置) 平成20年8月 発達障害児支援基本計画策定 平成21年度~23年度 発達障害児支援実施計画(第1期) 平成24年度~26年度 〃 (第2期) 発達障害児支援基本計画 平成20年8月に政策決定 発達障害児支援の基本的取組み •早期発見・早期対応 •個別的継続支援 •相談から療育までの一貫した支援体制の整備 •地域支援基盤の整備 5 ★これらの柱が相互に連携し合う支援システムを構成している。 ≪世田谷区発達障害児支援システムの概要≫ アドバイザー会議 (システム全体の管理) 支援基盤整備 早期発見・早期対応 子育てステーション発達相談室 協力・連携 発達障害相談・療育センター (21年4月開設) 協 力 ・ 連 携 協 力 ・ 連 携 相談受付機能 4歳6か月時案内送付 診断・評価機能 ・療育の必要性の判断 ・療育方針の検討 療育機能 個別的継続支援 ・社会生活適応訓練 ・18歳未満の児童対象 地域生活支援機能 ・保護者支援 ・関係機関支援 ・障害理解促進 ・人材育成 6 支 援 継 続 相 談 ・保護者、関係機関による個別支援会議 ・個別支援会議に基づく支援計画の策定 ・ライフステージごとの個別支援会議の開催 ・発達障害支援コーディネーター (発達障害 支援相談員)の配置 ・保護者への「スマイルブック」供与 4歳6か月を迎える子を 持つ全ての保護者に対 し、リーフレットを送付 母 子 保 健 ・ 育 児 相 談 ・ 子 育 て 支 援 発達支援親子グループ 概ね3歳から就学前の 子の発達に心配のある 親が、関わり方等を遊 びを通して学び、養育 力を向上し、子育ての 不安感を軽減すること を目的に実施。支援を 要する子どもの場合は、 療育機関等を紹介する。 健診経過観察 ・1歳6か月、3歳児健診 児童および就学前児童 を対象に、ことばや発達 の遅れに対し、内科医、 発達・発育相談(月/1)心 理職による経過観察を行 い療育等の支援につな げる。 早期発見・早期対応の取り組み 平成20年度 4歳6か月児発達相談事業開始 実施理由 当時、乳幼児健診だけでは要配慮状態が発見されにくい面があり、 3歳児健診をスルーし、通常学級に就学してから要配慮状態が 顕在化するケースが多く見られた等の理由により実施された。 事業概要 7 ・毎月1回、5地域の健康づくり課(母子保健担当課)で年間60回開催 ・心理士、保健師、看護士のスタッフにより、保護者からの聞き取りや 子どもの行動観察、簡単な発達検査などを行い、支援機関につなげた ほうがよいかをカンファレンスし、結果を保護者に伝え、保護者の了解 のもと支援機関へ情報提供する形で実施。 4歳6か月児発達相談の評価 平成23年度に4歳6か月児発達相談の評価を 行った。(平成24年度からの第2期発達障害児支援実施 計画の策定に向けて) 評価結果 8 ・開始当時(平成20年度)は、発達障害を対象とした相談機能がなく、 独自の専門相談を設ける必要があったが、現在は他の専門相談機能が 整備されている。 ・相談の形態から、相談を受けることで子どもに「障害がある」と判定 されてしまうという印象が保護者に強く、相談につながりにくい。 ・相談の結果、専門支援機関の利用を勧めても、保護者が子どもの 障害を受入れられず、支援につながらないケースがいる。 4歳6か月児発達相談の見直し 9 評価結果から、平成24年度より独自の専門相談として の実施を見直し、健康づくり課の健康相談やこの間整備 を図ってきた子育てステーション発達相談室など、既存 の相談機能を活用して相談に対応することとした。 また、この間の取り組みから、保護者が育て難さや子ど もの発達に不安を抱えていても、障害に対する抵抗感か ら相談に繋がらないケースが相当数いると推測した。 こうした保護者に対し、より実効性の高い取り組みを行う ためには、「障害支援」ではなく「子育て支援」の視点で 支援が受けられる場が必要であると考えた。 発達支援親子グループ事業の実施 10 こうした検討を踏まえ、発達障害を「発見する」と いう考え方での取り組みではなく、保護者が安 心して我が子の特性と、それに合った接し方に 「気づく」場として、子どもと一緒に参加しながら、 養育力向上を目指す「発達支援親子グループ事 業」を平成24年度より実施することとした。 この取り組みから、結果として早期発見・早期対 応のより一層の促進を図ることとした。 発達支援親子グループ事業の概要 11 親子グループの趣旨 世田谷区発達支援親子グループ事業実施要綱より 第2条 事業の趣旨は、子どもの発達を心配する保護者が親子での 遊び等を通して子どもとの関わり方を学び、子どもの個性を活かす方法を 見つけ、養育力を高めることにより、子育ての不安を解消し、又は負担を 軽減することを趣旨とする。 12 親子グループの目的 子どもとの関わり方のアドバイス等を通した保護者の養 育力の向上 親子の交流を通した保護者の「気づき」の促進 保護者同士の交流を通した孤立防止 以上のことから、保護者自身による子どもの理解を促 し、課題が整理されることで、子育ての不安感が軽減さ れるとともに、さらなる支援を要する子どもの場合は、保 護者が次の必要な支援を受けることに前向きになるきっ かけづくりを目指す。 13 親子グループの特徴 14 子どもの発達に不安のある保護者フォローがメイン 保護者も子どもと一緒に活動に参加する。 スタッフが子どもと遊ぶ姿を保護者が見て、関わり方の 手本にできる。 「障害があると判定される」場ではなく、「我が子の特性 と、それに合った接し方に気づく」場 スタッフに各総合支所保健福祉課(地域の相談窓口)心 理士(発達障害支援相談員)と発達障害相談・療育セン ター“げんき”のスタッフが入ることで、親子グループ終了 後の相談先や療育利用の際の連携が図りやすい。 親子グループの内容(平成25年度) 通称:「わくわくおやこひろば」として実施 対象: 発達が心配される概ね3歳から小学校就学前 までの子ども及びその保護者 (ただし、児童福 祉法による児童発達支援の受給者は除く) 実施場所: ・子ども・子育て総合センター ・等々力児童館 ・松沢児童館(24年度は上祖師谷ぱる児童館) 15 親子グループの内容(2) 16 定員:1グループにつき10組 回数:1グループにつき全6回。6回目終了後、 後日個別面談あり。 頻度:月2回(隔週) 実施時間:14時グループ開始、15時15分解散 (ただし、1グループのみ午前開催あり) 親子グループの内容(3) 17 年間グループ数 7グループ ・子ども・子育て総合センター 4グループ(水曜 午後開催。ただし、1グループのみ土曜午前開 催) ・等々力児童館 2グループ(月曜午後開催) ・松沢児童館 1グループ(月曜午後開催) 親子グループの内容(4) 18 スタッフ構成 ・保育士3名(子ども・子育て総合センター子育て ひろばスタッフ) ・心理士6名程度 (子ども家庭課非常勤心理士2名+発達障害相 談・療育センター“げんき”スタッフ2名+発達障 害支援相談員2名程度) ・その他子ども家庭課職員2名程度 ■目的 ・子ど も と の関わり 方のアド バイ ス等を 通し た保護者の養育 力の向上 ・親子の交流を 通し た保護者の「 気づき 」 の促進 ・保護者同士の交流を 通し た孤立防止 ■対象(概ね 3 歳~就学前) ・子ど も の発達に不安 ■実施場所 を 抱える 保護者 ①子ど も 子育て総合セン タ ー 3 階研修室 ・子ど も と の関わり づ ②松沢児童館 遊戯室ほか ら さ を 抱える 保護者 ③等々力児童館 遊戯室ほか ・専門支援機関の利用 に た めら いのあ る 保 ■実施曜日・ 時間 ①隔週水曜日( 1 グループ 土曜日開催あり ) いずれも 1 4 時~1 時間程度 護者 ( 土曜日は 1 0 時 2 0 分~) ②隔週月曜日 ( ただし 、 児童発達支 ( 事前事後にスタ ッ フ の ③隔週月曜日 援の受給者は除く ) カ ン フ ァ レ ン スを 実施) ■プ ロ グラ ム ■周知方法 ★親子でのグループ 活動 ・ 3 歳児健診のお知ら ・自由遊び、 課題遊びを 通し て、 保護者に対し 、 子ど も と せに パン フ レ ッ ト の遊び方や、 子ど も の特徴( 得意・ 不得意、 すき な事・ 同封 嫌いな事など ) への気づき を 促進する 。 ・ 児童館、 保育園、 幼 ・専門心理士がグループ 活動を 通し 、子ど も の発達状況や 稚園、 図書館、 その 子ど も の抱える 困難について理解し 、保護者へフ ィ ード 他関係機関へポ ス バッ ク する 。 タ ー掲示及びパン ★保護者のグループ 活動 フ レ ッ ト 設置 ・座談会など を 通し て、 保護者同士の交流を 促し 、 孤立の ・ 区ホームページ掲載 防止を 図る 。 19 ■申込方法 ■回数・ グループ 参加人数 ・子ど も 部子ど も 家庭 1 ク ール6 回( 終了後、 後日個別面談あり ) 課へ申込書を 提出す 各グループ 1 0 組 る。 ■スタ ッ フ ・参加者に対し 事前に 保育士3 名 簡単な 聞き 取り を 行 心理士( 非常勤職員2 名+げんき ” から 2 名+発達支援 う。 コ ーディ ネータ ー2 名程度) その他子ど も 家庭課職員 2 名程度 プログラム 親子でのグループ活動 (1)自由遊び、設定遊びを通して、保護者に対し、子ども との遊び方や、子どもの特徴(得意・不得意、すきな事・ 嫌いな事など)への気づきを促進する。 (2)心理士がグループ活動を通して、子どもの発達状況 や子どもの抱える困難について理解し、保護者へフィー ドバックする。 保護者のグループ活動(ママタイム) 座談会などを通して、保護者同士の交流を促し、孤立の 防止を図る。 20 1日のタイムスケジュール 21 13:40 受付開始: ・シール貼り・名札つけ・カゴにシール帳入れ→自由遊び 14:00 片付け:全員で10数えて片付けの歌を歌い、片付け 14:05 集まり開始:手遊び・挨拶・プログラム確認・名前呼び ・親子遊び 14:10 設定遊び(回によって異なる): 運動系もしくは机上系(スタンプ遊び・小麦粉粘土など) 14:25 片付け 14:30 自由遊び(母子分離) ・子ども:大型絵本「はらぺこあおむし」を見た後、おもちゃで遊ぶ ・保護者:別室で担当心理士と「ママタイム」 14:55 ママタイム終了・自由遊びの様子を保護者へフィードバック 15:05 片付け 15:10 帰りの集まり:帰りの歌・おしまい・名札を返して終了 15:15 解散 →その後、カンファレンス ○ プログラム(設定遊び)について 回数 子どもの活動のねらい・プログラム 親の活動のねらい・プログラム 1 回目 楽しむ・場に慣れる 知り合う・参加に前向きになる ・自由遊びを長くとる ・自己紹介(子どもの紹介・子育てで困ってることなど) ・アンケート記入 2 回目 動き・ルールのある遊びを経験する 親同士が話しをしてお互いを知る ・運動(スタート地点からゴールのフープまで) ・アンケートの内容を参考に、心理士が中心になって、お互いを知り、 平均台・トンネル・台車宅急便(箱) 飛び石・トランポリン 3 回目 子どもの発達についての話しを聞く ・机上課題 ・ アンケートを参考に、保健福祉課発達障害支援相談員から発達につ いての話しをしてもらう 動き・ルールのある遊びでコントロール↑ 関わり方のヒントの話しを聞く ・運動系:サーキット ・ほめる・楽しく遊ぶ・達成感・言葉かけ・特性 例)スタート→平均台→トンネル→箱そり→飛び石 →トランポリン→ゴール 5 回目 グループ活動の内容や意義を知る 机上課題を楽しむ 野菜スタンプ 4 回目 話す雰囲気を作る 理解・1 人でかかえこまない 等 ・親同士話す時間も作り、お互いにとって参考になるようにする 机上課題に集中して取り組む 相談先の紹介 ・机上課題 ・子育てステーション・保健福祉課発達障害支援相談員 小麦粉粘土 総合福祉センター・げんき・子ども家庭支援センターを簡単に紹介 ・親同士が話をする時間を作り、交流をはかる 6 回目 最後を楽しみ、達成感を味わう 一言ずつ感想を言い、親同士の交流をはかる ・親子で楽しめる遊び ・親同士が話をする時間を大事にし、今後も、親が子どもについての心 風船羽子板 22 クリスマス会ほか 配を 1 人で抱え込まないように促す 遊 び の 中 で 、 子 ど も ・ 親 ・ 親 子 関 係 理 解 を 子 ど も へ の 関 わ り 方 ア ド バ イ ス そ の 後 に つ な ぐ ま と め ・ 23 24 平成24年度の実施結果 25 平成24年度の参加実績 26 5月グループ(子ども・子育て総合センター) 参加親子7組(児童7名) 9月グループ(子ども・子育て総合センター) 参加親子8組(児童9名) 10月グループ(等々力児童館) 参加親子7組(児童7名) 11月グループ(上祖師谷ぱる児童館) 参加親子8組(児童8名) 1月グループ(子ども・子育て総合センター) 参加親子6組(児童6名) 合計:36組(児童37名) 27 ヶ月 5ヶ 月 0~ 5歳 11 6~ 4歳 ヶ月 5ヶ 月 0~ 4歳 11 6~ 3歳 ヶ月 5ヶ 月 0~ 3歳 11 6~ 2歳 5ヶ 月 2歳 人数 平成24年度参加児童 年齢別実績 平成24年度 児童 開始時年齢 16 14 12 10 8 6 4 2 0 参加児童数 事業成果 28 参加者の終了後アンケートや感想を分析したところ、概 ね高評価であり、グループ活動を通じて子どもの成長を 実感し、子どもに合った関わり方等への気づきが促進さ れるとともに養育力の向上が窺われた。また、他のママ にもそれぞれ違った悩みがあることに気付き、孤独感の 軽減が図られた。 本事業をきっかけに、支援を受けることのメリットを実感 できたことにより、参加者全体の半数以上が専門相談や 療育等、次の支援へつながった。 子どもの発達に心配はあるがなかなか相談に行けない (または、相談に行っても上手く相談できない、継続した 相談にならない)保護者が実際にいることが確認できた。 今後の課題と事業展開 29 今後の課題 親子グループへの参加が望まれる親子がより参 加できるために 24年度の参加実績は37組(児童数で換算)と定員を下回 った。 このことから、今後は、効果的なPRの工夫とともに、 健康づくり課等の関係機関とのさらなる連携が求められる。 30 今後の課題(2) 親子グループ終了後のフォローの必要性 ・終了後、相談・療育機関の利用が望ましいと考えられるが、保護者は 様子をみたい、と思っているケース ・グループで子どもの成長が見られ、すぐには相談・療育機関利用の 必要性は少ないが、年齢を重ねるとともに改めて支援の必要性が出てく ると予想でき、その後の経過を見守る必要があるケース ・グループ終了後も親同士がつながることが、お互いに支えになると 考えられるケース 31 ★これらのケースについては、親子グループ終了後も経過を 見守る必要性が高いため、親子グループ終了後のフォロー が必要 今後の事業展開 親子グループ終了後のフォローの充実 ・親子グループ終了後も保護者の交流を深めるとともに、その後の経過 を確認する機会とするため、親子グループ終了保護者の会を開催する。 (終了後アンケートにより、開催希望が多かった。) →親子グループ終了保護者の会(子ども・子育て総合センターで実施) ①年2回程度、保護者同士でお互いの近況報告をしあい、交流を深める。 ②相談・療育機関を利用している保護者の話を聞き、保護者が支援先について の情報を得る機会にする。 ③グループ終了後の親子の状況についてスタッフが確認し、困っていることが あればアドバイスするとともに、必要に応じ、相談・療育機関を紹介する機会に する 。 32 今後の事業展開(2) 親子グループ事業と子育てひろばとの協働 ・親子グループ終了者も参加でき、子どもの発達に心配のある保護者が親子 グループよりもさらに敷居が低く参加しやすい居場所づくりのため、 子育てひろばと協働した事業を展開する。 →わくわくタイム(子ども・子育て総合センター子育てひろばで実施) ①月1回程度、ひろばの設定を、親子グループで使用している運動遊具中心の 形に変更し、いつもと違う遊具で体を使って遊べる空間を提供する。 ②親子グループ終了者が、慣れた遊具や馴染みのあるスタッフがいる中で、 親子グループで出会った仲間と安心して過ごせる空間を提供し、ひろばをより 身近な遊び場として感じられるようにする。(通常のひろば利用者も一緒なので 環境配慮により注意が必要) ③親子グループ終了後の親子の状態を確認し、必要に応じ、保護者の話を聞く・ 33 アドバイスをする・相談場所を紹介する、という形で支援する。 ご静聴ありがとうございました。 誰にとっても子育てしやすいまち 世田谷を目指して 34
© Copyright 2024 ExpyDoc