肉芽腫性ぶどう膜炎と 非肉芽腫性ぶどう膜炎 ぶどう膜炎の分類 ぶどう膜炎の分類 外因性 or 内因性 前部、中間部、後部 or 汎ぶどう膜炎 片眼性 or 両眼性 びまん性 or 限局性 急性、慢性 or 再発性 肉芽腫性or 非肉芽腫性 感染性、免疫異常、悪性腫瘍 or 原因不明 ぶどう膜炎の病理像 「肉芽腫性」とは?―――病理像から 肉芽腫とは、 単核食細胞の限局性集合のこと。 類上皮細胞、巨細胞、リンパ球、形質細胞 などが浸潤している。 なぜ肉芽腫性かどうかの分類が重要か 眼所見から病理像が推定できる。 病理像から診断名が推定できる。 ただし、 同一疾患でも経過によって肉芽腫性か どうかが変わることがある。 ぶどう膜炎の臨床像 ぶどう膜炎の臨床像(まとめ) 眼痛 羞明・流涙 視力低下 前房内炎症細胞 毛様充血 縮瞳 虹彩結節 隅角結節 前房蓄膿 前房出血 角膜後面沈着物 併発白内障 帯状角膜変性 眼圧 虹彩前癒着 虹彩後癒着 網膜血管炎、滲出物 嚢胞様黄斑浮腫 網膜剥離 ぶどう膜炎の臨床像(各論①) 眼痛・・・前眼部の炎症。羞明を伴うことが多い。急性虹彩 毛様体炎では眼痛を伴うが、慢性虹彩毛様体炎では眼痛 (-)もしばしば。非肉芽腫性ぶどう膜炎に多く、角膜ぶどう膜 炎、高眼圧、ヘルペス性ぶどう膜炎では特に激しい。 羞明・流涙・・・毛様体の攣縮や角膜炎で起こる。急性虹 彩毛様体炎で多い。神経反射による流涙を伴う。 ぶどう膜炎の臨床像(各論②) 視力低下・・・様々な理由で起こる。霧視、変視症、小視 症、中心暗点、視野欠損といった網膜病変を示唆する所見 の有無を問診。グレア視力やAmsler’s chartも有用。 原因として 1.角膜混濁 2.角膜後面沈着物 3.前房混濁 4.前房出血 5.癒着小瞳孔および水晶体上の色素沈着 6.併発白内障 7.硝子体混濁 8.硝子体出血 9.黄斑浮腫 10.網膜滲出斑 11.網膜出血 12.網膜剥離 13.脈絡膜剥離 14.脈絡膜滲出斑 15.視神経炎 16.続発緑内障による視神経萎縮 17. 炎症性の虚血性視神経症による視神経萎縮 18.眼球ろう ぶどう膜炎の臨床像(各論③) 前房内炎症細胞・・・前部ぶどう膜炎の最も大きな所 見。細隙灯顕微鏡により観察されるが、混濁の程度として Hoganの分類が有名。炎症によるタンパク滲出はflareと 呼ばれ、これにも定性的な分類がある。 毛様充血・・・虹彩毛様体炎で見られる角膜輪部の周囲を 全体に取り巻く発赤。結膜より強膜に強く、非肉芽腫性ぶど う膜炎に強く見られる。この有無は疾患の鑑別に有用。 ぶどう膜炎の臨床像(各論④) 縮瞳・・・虹彩炎や虹彩毛様体炎で多いが、Fuchs虹彩 異色性虹彩毛様体炎やPosner-Schlossman症候群では 散瞳が見られる。 虹彩結節・・・肉芽腫性ぶどう膜炎で起こる。腫瘍性変化 やvon Rechlinghausen病でも起こるため、前房内炎症 細胞等の炎症所見を確認する。Koeppe nodules、 Busacca nodulesが有名で、未散瞳の状態で細隙灯で確 認する。 ぶどう膜炎の臨床像(各論⑤) 隅角結節・・・隅角部の炎症で起こる。肉芽腫性ぶどう 膜炎に多い。炎症が強いので続発性緑内障に注意する。結 節が消失後、しばしばテント状の周辺虹彩前癒着を形成す るので、隅角検査を定期的に行う。 前房蓄膿・・・前房内の滲出物の粘性が少なく沈殿しやす い時に見られ、主成分は多核白血球。急性非肉芽腫性ぶ どう膜炎に多い。 特にベーチェット病HLA-B27関連急性虹 彩毛様体炎でよく見られる。感染性眼内炎、炎症性腸疾関 連の虹彩毛様体炎、犬回虫症の眼内炎型、仮面症候群な どでも見られる。 ぶどう膜炎の臨床像(各論⑥) 前房出血・・・急性虹彩毛様体炎の激しい時に見られる。 必ず水平線を形成し、炎症による破綻性の前房出血や、炎 症性あるいは虚血性の虹彩ルベオーシスを伴っていることが ある。前房穿刺部の180度反対側から出血するAmsler’s signは、Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎で有名。 併発白内障・・・慢性あるいは急性再発性の前部ぶどう膜 炎。細菌性眼内炎は例外的に数日で成熟白内障を形成する こともある。JRAに伴うぶどう膜炎、 Fuchs虹彩異色性虹 彩毛様体炎、ベーチェット病、原田病の遷延例など。 ぶどう膜炎の臨床像(各論⑦) 角膜後面沈着物(keratic precipitates(KP))・・・ 炎症の程度ではなく炎症の性状を反映する。房水の温流の 関係で、KPは角膜中央から下方に掛けて三角形に見える ことが多い(Arlt’s triangle)。例外はFuchs虹彩異色性虹 彩毛様体炎、帯状(または単純)ヘルペス性角膜内皮炎。 肉芽腫性ぶどう膜炎では豚脂様角膜後面沈着物が見られる。 通常は前房内炎症細胞よりも早期に消失するが、PosnerSchlossman症候群では長時間に渡り持続する。 一方、非肉芽腫性ぶどう膜炎では白色の小さな角膜後面沈 着物が見られる。 ぶどう膜炎の臨床像(各論⑧) 帯状角膜変性・・・数ヶ月以上続く炎症。ボウマン膜近 傍の石灰化であり、眼裂に一致した瞳孔領を含む帯状の混 濁になる。小児の慢性虹彩毛様体炎で多い。 眼圧・・・毛様体機能の低下、房水産生の低下、房水流出 の低下などで上がりも下がりもする。急性前部ぶどう膜炎 の初期では低眼圧が多が例外もある。続発性の緑内障に 注意。 ぶどう膜炎の臨床像(各論⑨) その他の臨床像・・・ 虹彩前癒着:隅角結節の気質化や原田病 虹彩後癒着:多くの前部ぶどう膜炎。Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体 炎やPosner-Schlossman症候群、中間部ぶどう膜炎では見られない。 硝子体混濁:前部、中間部、後部ぶどう膜炎 網膜血管炎:急性網膜壊死、ベーチェット病、サルコイドーシス。原田 病、交感性眼炎では(-) 嚢胞様黄斑浮腫:中間部ぶどう膜炎、手術後のぶどう膜炎。しかし、 前部や後部のぶどう膜炎でも見られる。 網膜剥離:原田病、交感性眼炎、ベーチェット病、ヒストプラズマ症、急 性網膜壊死、サイトメガロウイルス網膜炎、犬回虫症、仮面症候群など。 ぶどう膜炎の病理像と臨床像 「肉芽腫性」とは?―――臨床像から 肉芽腫性 非肉芽腫性 発症形式 緩徐 突発 経過 慢性 急性/再発性 + - - + + 大きい +++ + + - - 小さい 原田病 サルコイドーシス ベーチェット病 HLA-B27関連急性虹彩毛様体炎 眼所見 毛様充血 眼痛 前房蓄膿 虹彩結節 隅角結節 角膜後面沈着物 代表的疾患 主なぶどう膜炎の病理分類 肉芽腫性 非肉芽腫性 サルコイドーシス 原田病 サイトメガロウイルス網膜炎 梅毒 犬回虫症 トキソプラズマ性網脈絡膜炎 結核 ベーチェット病 HLA-B27関連急性虹彩毛様体 炎 Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎 若年性関節リウマチ ライター病 ライム病
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