定期的な生活習慣調査および 調査結果のフィードバックが 中学生の生活習慣改善に及ぼす影響 ○藤塚千秋1)、山本浩二2)、橋本昌栄3)、 和氣綾美3)、米谷正造1)、木村一彦1) 1)川崎医療福祉大学 2)東京学芸大学附属世田谷中学校 3)川崎医療福祉大学大学院 1 背景 小・中・高校生の 健康問題 • 就寝・起床時刻の遅延 • 朝食の欠食や偏食 • 活発に運動する者としない者とに二極化 (日本学校保健会:児童生徒の健康状態サーベイランス:2002) • 次のライフステージへの影響、または生活習慣病への移行 【学校における保健学習】 →小学校の「保健領域」、中学校の「保健分野」、高等学校の「教科保健」 【学校保健活動としての保健指導、個別指導】 健康教育のさらなる充実が求められている 2 仮説・目的 中学生に対して、セルフモニタリングを兼ねた 生活習慣についての縦断的調査を行い、同時に健康問題を把握 結果のフィードバックを含めた健康教育(集団指導)を行う 生活習慣改善に対する関心・意識の高まり 検証 行動変容 3 2004年度 2005年度 各クラス45分の授業を実施 結果のフィードバック・指導 4月→ 生 活 習 慣 調 査 → → 3月 1年生 5月 6月 10月 11月 2年生 5月 6月 10月 11月 2年生 3年生 3年生 1年次に調査+介入を行った群:2005年度2年生(「2005年」) 調査のみを行った群:2004年度2年生(「2004年」) 4 方法 1. 定期的な生活習慣調査(生活習慣チェック) ① 調査対象 協力の得られた東京都内の国立大学法人附 属中学校1校の生徒(各学年160名)のうち、4 回の調査すべてがそろっている者のみ。 (「2005年」71名、「2004年」108名) ② 調査内容 運動・食事・休養(睡眠)の基本的生活習慣、 自覚症状しらべ、健康状態、運動・身体活動セ ルフエフィカシーなど。 5 生活習慣改善のための健康教育 ①調査結果や情報のフィードバック 生活習慣の悪循環の証明!! 運動をしない人ほど寝る時間は遅い? 200分以上 135~199分 10.9 36.3 7.0 135分(体育授業だけ) 3.4 30.6 21.4 0% 22時より前 28.6 23時頃 31.3 29.9 20% 0時頃 40% 1時頃 14.6 6.71.9 21.3 27.9 60% 2時頃 6.42.6 12.1 5.1 80% 100% 2時以降 どうやらみんなのデータでも悪循環の証明がなされたようだ。 調査結果、各生活習慣の相関関係、改善の工夫などを スライドを用いて指導(各クラス45分) 6 生活習慣改善のための健康教育 ②運動段階の確認と朝食摂取への動機付け 7 生活習慣改善のための健康教育 ③1週間の目標設定と評価 8 結果および考察 5月・2004年 2005年 【生活習慣得点】 運動:運動部活動・クラブに所属、 または所属していないが、週に3日以上 何らかの運動・スポーツを行っている (体育授業は除く) 栄養:朝食を毎日食べる 休養:6時間以上の睡眠をとる、かつ0時 頃までに就寝する 54.6 45.4 50.7 49.3 64.8 6月・2004年 49.3 2005年 72.2 10月・2004年 27.8 57.7 2005年 17.6 47.9 2005年 0% 20% ** 42.3 82.4 11月・2004年 ** 50.7 ** 52.1 40% 5点以下 該当者に2点、非該当者に1点を与え、 3つの項目の和を生活習慣得点とした。 35.2 60% 80% 100% 6点 **<0.01 2004年(N=108)、2005年(N=71) 【図1】生活習慣得点の比較 9 5月・2004年 9.3 26.9 5月・2004年 7.4 9.3 63.9 2005年 5.6 26.8 83.3 2005年 14.1 67.6 * 85.9 7.4 6月・2004年 9.3 36.1 54.6 2005年 9.9 21.1 6月・2004年 6.5 69.0 86.1 2005年 14.1 * 85.9 8.5 10月・2004年 13.0 46.3 2005年 12.7 22.5 40.7 ** 64.8 10月・2004年 4.2 87.3 2005年 3.7 88.0 8.3 7.4 30.6 11月・2004年 38.6 2005年 7.0 25.4 0% 34.6 11月・2004年 3.7 ** 67.6 20% 40% 0日 1-2日 60% 80% 100% 3日以上 2005年 4.2 9.9 0% 20% ほとんど食べなかった **<0.01 2004年(N=108)、2005年(N=71) 【図2】運動実施日数の比較 88.9 85.9 40% 60% 時々食べなかった 80% 100% 毎日食べた *<0.05 2004年(N=108)、2005年(N=71) 【図3】朝食摂取状況の比較 10 テストや学校行事がある前日でも、 体を動かすことができる あまり気分が乗らないときでも、 体を動かすことができる 宿題や勉強で疲れているときでも、 体を動かすことができる いやなことがあって落ち込んでいる ときでも、体を動かすことができる 4月 22.1 10月 ** 47.7 4月 25.0 10月 P=0.093 42.2 4月 26.5 10月 76.9 4月 55.9 10月 0.0 ** 49.2 20.0 40.0 60.0 (%) 80.0 100.0 **<0.01 4月(N=69)、10月(N=66) 【図4】運動・身体活動セルフエフィカシーの変化 11 5月・2004年 13.9 2005年 8.5 73.1 13.0 5月・2004年 6.5 83.1 8.5 2005年 7.0 23.1 6月・2004年 70.4 37.0 47.9 6月・2004年 6.5 25.9 6.5 2005年 4.2 77.5 8.5 10月・2004年 16.7 74.1 9.3 2005年 18.3 73.2 8.5 2005年 1.4 8.3 11月・2004年 6.5 19.4 34.3 2005年 8.5 0% 57.4 78.9 20% 6時間未満 40% 6-8時間 12.7 60% 80% 0% 100% 8時間以上 **<0.01 2004年(N=108)、2005年(N=71) 【図5】睡眠時間の比較 2005年 7.0 22時頃 22.5 44.4 23.1 43.7 22.5 30.6 26.8 23時頃 21.3 38.0 32.4 20% 11.3 46.3 10月・2004年 6.5 25.9 ** 17.6 33.8 35.2 2005年 14.1 11月・2004年 38.9 43.5 49.3 40% 0時頃 60% ** 16.9 80% 100% 1時・1時頃以降 **<0.01 2004年(N=108)、2005年(N=71) 【図6】就寝時刻の比較 12 比較の結果(まとめ) 男 女 計 生活習慣 得点 運動 朝食 5月 - - ▲ - - ▲ 6月 ▲ ▲ ▲ - - - 10月 ▲ ▲ - - - - 11月 ▲ ▲ - ▲ ▲ ▲ 睡眠時間 就寝時刻 自覚症状 ▲効果あり、▲傾向あり、-not significant 13 まとめ • セルフモニタリングとして位置付け、実施した縦断的調査 • 結果をもとにした情報のフィードバック 中学生における生活習慣の改善 健康教育(集団指導)の効果 生徒自身が自らの健康や生活習慣をチェックし、振り返る 契機となり、今後積極的に導入されることが望まれる。 14
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