格子系のフェルミオンシミュレーション

空間構造の発生
基底状態の縮退
m
m0
0
x
- m0
1 2 1 4 対称性の破れ →
f (m)  am  bm
2
4
m=m0, -m0: 複数の縮退した基底状態
ランダウの現象論や平均場近似ではゆらぎを無視していた。
古典系の絶対零度では2つの縮退した基底状態のどちらかの
空間的に一様な状態が実現し、ゆらぎを考慮する必要はない。
熱的なゆらぎや空間的な拘束条件を考慮すると
空間的な不均一や空間構造が生じる。
不均一の発生
磁化 m が場所に依存するとき
K: 弾性エネルギーの係数
熱平衡状態;自由エネルギー最小; 変分 = 0
自由エネルギー極小条件(停留条件)
停留条件:1次元系の場合
停留条件
空間的に一様な解
1 2 1 4
f (m)  am  bm
2
4
1次元系の欠陥:ドメイン壁
となる解
ニュートンの運動方程式に類似;
- f (m) がポテンシャルV に対応
2
dr
dV
M 2 力 
dt
dr
ドメイン壁
-f
m
m0
x0
- m0
x
2つの縮退した基底状態をつなぐ
1次元系に生ずる「欠陥」と秩序の破壊
m0
ドメイン壁
x0
x
- m0
トポロジカルな欠陥;断熱的な変形で基底状態と繋がらない
空間構造が秩序を破壊
たくさんのドメイン壁; 乱れた状態:対称性の回復
m0
- m0
2,3次元系の欠陥
⇔
2次元ドメイン壁
1つだけでは長距離秩序を
破壊しない
トポロジカルな励起
渦
1つだけでも
秩序を破壊する
秩序を破壊する励起が空間的不均一、空間構造を生み出す
トポロジカルな拘束条件で生み出される励起
熱励起
複雑な周期性を持つ秩序
秩序状態そのものが複雑な空間構造を持つ場合もある
ANNNI模型
最近接; -J1
次近接; J2=J1l
フラストレーション
J1
?
J2
J1≫J2
2重縮退
J2≫J1
4重縮退
J2 ~ J1 ??
長周期構造
3次元ANNNI模型
長周期の複雑な空間構造が
入り組んで現れる
平均場理論の相図
周期7
周期4
ゆらぎと秩序の破壊




平均場理論を超えてゆらぎを取り入れると、空間変化
や空間構造が生まれる
空間変化は秩序を壊す「欠陥」や熱的「励起」として現
われる
「欠陥」は縮退した異なる基底状態の間をつなぐ空間
構造と見ることができる
競合する相互作用(フラストレーション)は基底状態に
も複雑な空間構造を生み出すことがある
基本励起: ドメイン壁、渦、
多励起:
縞模様(ストライプ)、市松模様、長周期構造
不規則構造、乱流
量子相転移
相互作用と
運動エネルギー

e
H


2
2m i ri
i , j ri  r j
2
2
2
斥力のクーロン相互作用だけだったら?
電子は避けあって「棲み分け」を起こす:
ウィグナー結晶
粒子性
運動エネルギーだけだったら?
電子は波としてひろがる:電子ガス
波動性
競合による量子融解相転移
自由電子のひろがった波
ウィグナー結晶
クーロン相互作用
固相・
量子液体相
相転移
2つの電子の居場所
(波の振幅の大きいところ)
をなるべく離そうとしながら
量子ゆらぎでひろがりも持つ
絶対零度での
量子相転移
温度を下げながら圧力で縮める、または電子濃度を増やす
古典自由電子クーロン相互作用する 零点振動
古典電子による結晶化(量子ゆらぎ)
気体
量子融解
量子モンテカルロ計算
2次元電子系
GaAs/AlGaAs
ヘテロ構造
ウィグナー結晶 量子融解 量子液体
熱ゆらぎではなくて量子ゆらぎ(零点振動)
によって固相から液相へ相転移する
量子相転移と量子臨界点
H   J  S  S  hz  S
z
i
i, j
z
j
z
i
i
横磁場のかかった
 hx  S イジング模型
i
x
i
スピン1/2の量子スピン:
hz S x  ( S   S  ) / 2
量子臨界点
hx


S    , S   
hx:量子ゆらぎの大きさ
 と  との間の量子トンネリングを引き起こす
T = 0;量子ゆらぎによる強磁性スピン秩序の融解
量子臨界現象;古典系とは異なるゆらぎ
量子系と古典系
量子力学:不確定性原理のために粒子の配置と速度を
同時に決定できない
量子力学的な状態は古典的な状態の多数の重ね合わせ
+
+
+・・・・
量子ゆらぎ:零点振動
量
子
次
元
・・・
=
d + z 次元の
古典系へのマッピング
z: 量子次元の大きさ
動的臨界指数
量子相転移
★通常の相転移では熱ゆらぎによって秩序が破壊される
しかし、量子ゆらぎによって相転移が起きる場合もあり、
量子相転移とよぶ
★量子系では不確定性原理のために運動エネルギーと
相互作用エネルギーの両方のエネルギーを同時に下げる
ことができない
★両者の競合の末、どちらが勝つかによって量子相転移
が起きることがある
ヘリウムの結晶や電子のウィグナー結晶の量子融解は
その例である
★量子相転移の普遍性クラスと臨界指数はz次元だけ
空間次元の高い古典系の相転移で表わされることがある