心理学1 個人差:性格の心理学

心理学1
個人差:性格の心理学
福田玄明
個人差
 我々の行動の様式・心理的機能は一
人ひとり異なる。
 知能
 性格
 今回の講義では性格の違いの理論、計
測について取り上げる。
性格の表し方
 類型論
 人の性格をいくつかのタイプに分けて理
解する。
 特性論
 個人の持つ多くの特性によって性格を記
述する
類型論
 性格の個人差を見る最も素朴な方法
 誰もがそれなりに人の性格について
分類している
 血液型性格判断、星座占いなど
 分類は科学的方法の第一歩
 類型論は素朴であるが、強力な方法
 ギリシャ時代から多くの類型論が提唱
されている。
類型論1:パブロフの類型論
 性格は脳機能や情報処理能力の個
人差
 「芸術家型」、「思索家型」
類型論2:クレッチマーの気質理論
 ドイツの精神医学者クレッチマーは臨
床上の経験から、体型と精神異常の
関係を見出した
 躁うつ病⇒肥満型の体型が多い
 分裂病 ⇒細長型の体型が多い
 てんかん⇒闘士型の体型が多い
類型論2:クレッチマーの気質理論
類型論2:クレッチマーの気質理論
気質
躁鬱気質
分裂気質
粘着気質
体型
肥満型
細長型
闘士型
特徴
社交的
善良
親切
ゲーテ
ダーウィン
パスツール
ルターなど
静か
内気
きまじめ
カフカ
ニュートン
カント
カルヴィン
など
誠実
几帳面
忍耐強い
才能
類型論3:ユングの外向性・内向性
 内向性
 心的エネルギーが外との関係により多く
向かっていて、外的存在物を重視してそ
れを基準に行動する態度が習慣化
 外向性
 心的エネルギーが内に向かっていて、主
観的認識を基準として行動する態度が習
慣化
類型論3:ユングの外向性・内向性
 外向性のひと
 迎合的で気さくな態度
 状況への適応がよく、自信たっぷりで未
知の状況へ飛び込む
 内向性のひと
 躊躇し、反省が多く、引っ込み思案
 なかなか自分を開かず、受け身の姿勢で
周囲を疑い深く観察する
向性検査
100%
80%
60%
70
55
54
49
38
40%
20%
0%
30
45
46
51
62
24
76
外向
内向
特性論
 人の性格は多様なので、人を少数の
タイプに当てはめる類型論では無理
が出てくる
 数多くの性格特性から人の性格をとら
える特性論があらわれた。
 問題はどのような特性を表せばよい
のかということ。
特性論1:ギルフォードの性格因子論
 因子分析という手法を用いて、多くの
特性をグループ化し、少ない因子にま
とめる。
 因子分析により、13の性格特性に
絞った。
特性論1:ギルフォードの性格因子論
5
4
3
2
1
特性論2:キャッテルの根源特性
 辞書の性格に関する用語4500語を分
析し、35群の性格評定リストを作った
 このリストで成人約200人の生活を観
察し、因子分析で12個の因子にまと
めた。
 さらに、質問紙や実験のデータを考慮
して16個の重要な根源特性を選らん
だ。
 16PF
特性論3:ビッグファイブ
 性格の因子について多くの研究がな
されてきた。
 最近では、5つの因子によって性格を
ほぼ記述できるという5因子論に収束
してきている。
 5因子はいろいろな文化圏で普遍性が
確かめられビッグファイブと呼ばれる
ビッグファイブ
1.
2.
3.
4.
5.
外向性ー内向性
愛着性ー分離性
統制性ー自然性
情動性ー非情動性
遊戯性ー現実性
1.外向性ー内向性
 人との関係において積極的に働きかける
か、そうでないか
 外向性の人
 積極的で、常に強い刺激を求め、活動的で
あるが、極端になると無謀な面も現れる
 内向性の人
 控えめで刺激を求めず、物静かな生活を望
むが、極端になると臆病、気後れという面が
強くなる
2.愛着性ー分離性
 人との関係において、周りの人に同調し
やすいか、自主独立を好むか
 愛着性の人
 共感性や思いやりを持って、人との神話的
な協調関係を結ぶ。極端になると、人に追
従して、集団の中に埋没し自己を見失う
 分離性のひと
 自分の独自性を押し出していくが、極端にな
ると、人に冷淡になり、敵意を持ったり、自閉
的になる
3.統制性ー自然性
 はっきりとした目的や意志を持って物
事をやり抜こうとするか
 統制性
 意志が強く勤勉にいようとするが、極端に
なると、強迫的で仕事中毒になりやすい
 自然性
 環境や自分をありのまま受け入れて、仕
事にこだわりを持たない。極端になると、
怠惰な人と思われる
4.情動性ー非情動性
 危機に敏感に反応するか
 情動性の人
 敏感でストレスがあると不安や緊張などの
感情的な反応を持ちやすい。極端になると、
神経症になる
 非情動性の人
 危機があってっも動じることなく情緒が安定
している。極端になると感情が平坦である。
5.遊戯性ー現実性
 イメージや思考などが豊穣か否か
 遊戯性の人
 遊び心があり、新しいものに好奇心を
持って近づく。極端になると社会から逸脱
し、夢想や妄想を持ったりする。
 現実性の人
 堅実で着実な生き方をする。極端になる
と、権威や伝統にしがみつかずにはいら
れない。
類型論と特性論の長短
 類型論は、直感的でわかりやすいが、
細かい特徴や程度の差が見失われる
 特性論は、全体像、独自性を直感的
に理解しにくい。また、特性で性格全
体を表せているかわからない。
性格の検査
 性格を理解するには、いろいろな場面で
の個人の行動を観察することが最も一般
的
 より専門的に理解するには、面接法がと
られる。
 構造化面接、非構造化面接
 評定や判定のための検査法
 投影法
 質問紙法
投影法
 ロールシャッハテスト
 インクの染みを見せて、そこから何が見え
るかを問う
 TAT(絵画統覚検査)
 絵画を見て、そこから人物の過去・現在・
将来にわたる空想的な物語を作らせる
 P-Fスタディ
 欲求阻止状況の絵を見せて、絵の中の人
物の吹き出しに自由記述させる。
質問紙法
 Y-G性格検査、16PF、FFPQ、MMPI
やエゴグラムなど
 信頼性
 正しく測れているか
 妥当性
 測りたいものを測っているか
 そこで、FFPQ-50