第33回地域社会学会大会報告(東京学芸大学) 2008.5.10 生協への共鳴度を決定するもの -生活クラブ生協北海道を事例として- 角 一典(北海道教育大学) 西城戸誠(法政大学) 社会運動組織としての生協 日本における生協 購買のための組織にとどまらず、食品添加物問題 や合成洗剤追放運動など、社会運動セクターの一 部として重要な働きをしてきた。 ⇒外国でも(特にヨーロッパ)、生協は「社会的経 済の担い手」として重要視されている。 「社会運動組織としての」生協の特徴 ・運動組織であると同時に事業組織である ・生活課題(ex.適正価格での材の提供・食の安全) が運動の起点 ・組合員数を背景として一定の発言力を確保 報告の目的 生協(特に生活クラブ)における班の位置づけの再検 討を行う。 →生協において班がどのように位置づけられてき たのかを振り返る →生活クラブ生協北海道の現状(2006年調査によ る)から実態を検討 →戸別配送(戸配)導入=班の解体による (継続的な)影響が起こる可能性はあるのか 日本型生協モデルの特徴(大坪,1994:61-67) ①出資と利用の一致 ②所有と経営の融合 ③世帯単位の加入 ④多機能・包括的な組織 ⑤女性・主婦の組織 ⑥末端基礎組織(班)を通じた出資・利用・運営の三 位一体 ⇒生活クラブでは、「班別予約共同購入(複数の組 合員で班を作り、班単位で消費材を発注、月に一 度消費材が代表に引き渡される仕組み)」が基礎 生活クラブにおける 「班別予約共同購入」導入の背景 *慢性的な職員不足:組合員の急速な増加に 追いつかない職員補充。 ⇒職員労働の一部を組合員労働に置き換えること により、人手不足を解消する。 副次的効果 ・雇用コスト抑制+無店舗経営+在庫管理の容易さ ⇒良質な消費材の低価格での供給が可能となる。 ・人的ネットワークの構築+組合員教育の場 ⇒組合員の相互交流による意識・認識の高まり 「班別予約共同購入」を支えた社会的背景 *専業主婦率の高さ ・比較的時間の融通が利く専業主婦である からこそ可能な仕組み *自動車保有台数の低さ ・班別予約共同購入は消費材を自宅(ある いは自宅付近)まで配達してくれる仕組み *新興住宅地の商業施設不足 ・そもそも買い物をするところがない 1955年以降の専業主婦率の推移 自動車保有台数の推移 「班別予約共同購入」に関する定説 *生協の組織的基盤は班である ⇒班の存在が「生協らしさの源泉」 ⇒班は生協に対する組合員の共鳴度を増す「装置」 *班は生協における共同性構築の基礎である ⇒班会・注文の集計などを通じて共同性が 作り出される *班における教育によってリーダー層が育成され ている ⇒班はリーダー育成のために必要不可欠 早稲田グループ調査における 生活クラブの班 *生活クラブ「らしさ」を支えていたのは班の存在 ⇒共同購入一本で、班を共同購入の基礎単位と した組織形成(=班別予約共同購入) →生活クラブの消費材を買うためには「消費の 結集」(=班)が不可欠(特に豚肉)な仕組み ⇒組合員同士の共同の契機を作り出すとともに、 消費者に都合の良い消費が社会に与える影 響の大きさを再考する機会を提供する。 ⇒「台所から世界が見える」 生活クラブにおける戸配導入の 影響 *規模の維持 ・組合員数の増加 ・供給高の維持 ⇒経営面ではプラスの効果 *班の縮小・戸配の増加 ・班から戸配へのシフトが進む →班に属する組合員が漸減 →班の規模(一般あたりの組合員数)も縮小 ⇒組織的にも大きな変化 19 82 年 19 度 84 年 度 19 86 年 19 度 88 年 19 度 90 年 19 度 92 年 19 度 94 年 19 度 96 年 度 19 98 年 20 度 00 年 20 度 02 年 20 度 04 年 度 組合員数 16000 14000 12000 10000 8000 6000 4000 2000 0 40 35 30 25 20 15 10 5 0 組合員数 供給高(億円) 供給高(億円) 組合員数と供給高の推移 (生活クラブ生協北海道) 班と戸配の比率の変化 (生活クラブ生協北海道) 19 95 年 度 19 96 年 度 19 97 年 度 19 98 年 度 19 99 年 度 20 00 年 度 20 01 年 度 20 02 年 度 20 03 年 度 20 04 年 度 20 05 年 度 16000 14000 12000 10000 8000 6000 4000 2000 0 班組合員 大型班組合員 戸配組合員 19 82 年 19 度 84 年 19 度 86 年 19 度 88 年 19 度 90 年 19 度 92 年 19 度 94 年 19 度 96 年 19 度 98 年 20 度 00 年 20 度 02 年 20 度 04 年 度 班の数と一般あたりの平均組合員 数の推移(生活クラブ生協北海道) 2000 1500 1000 500 0 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 班数 班の平均組合員数 2006年調査結果① ・加入形態については、新規組合員の多くが 「最初から戸配」であり、班に加入するケース は減少している。 ・班を継続する動機として、「4%の値引き」とい う経済的インセンティヴの効果が大きい。 ⇒組合員歴とは、統計的には無関係。 →統計的に有意なのは「生活クラブの考え方に 賛同する(p<.05)のみ。 ⇒組合員歴による班加入者の異質性はみられない。 組合員歴と加入形態 班員 元班員の戸配 3年未満 5.4 4.9 3-10年 28.6 24.9 10年以上 65.9 70.2 全体 100.0(276) 100.0(225) 値は% χ2=234.181 d.f.=4 p<.001 最初から戸配 58.8 35.6 7.6 100.0(118) 合計 15.0 28.6 56.4 100.0(619) 2006年10月に行った組合員調査の概要 ・回答者数683,回収率55.0% ・40代・50代がそれぞれ3割・4割を占める →母集団の分布と比較すると、若年層での回答率が 低くなっている。 班に所属する理由 品物を配達してもらえる 安全で品質の良い品物が手にはいる 適正な価格の品物が手にはいる 計画的な購入ができる 班の方が4%の値引きがある: 牛乳の配達の頻度が、戸配よりも多い 主婦の社会参加の場所として魅力がある 生活クラブ生協が行う市民運動に関心がある 仲の良い友人がいる 生活クラブ生協の考え方に賛同する 人間関係を構築* 値は% *は「その他」からカテゴリーを作成 36.3 87.1 33.8 39.6 53.8 12.5 8.8 5.0 33.8 24.2 4.6 2006年調査結果② ・ 生活クラブの諸活動に関する認知は、「組合 員歴」「加入形態」「役職経験」と関連する。 ⇒基本的に、生活クラブへの加入が長くなればな るほど、認知は上昇する。 ・生活クラブの諸活動に対する共鳴度も同様の 傾向にあるが、それは「役職経験」において 特に顕著に現われる。 ⇒「活動の是非」における「班」と「班から戸配」との 「逆転」現象 ⇒「参加希望」における「役職経験」効果の顕著な 高さ 生活クラブの諸活動に対する認知 (加入形態) 地区大会 知っていた 知らなかった 班員 254(96.9%) 8(3.1%) 班から戸配 212(95.9%) 9(4.1%) 最初から戸配 83(70.3%) 35(29.7%) 全体 549(91.3%) 52(8.7%) Χ2 =49.755 p<0.001 計 262 221 118 601 チラシまき 知っていた 知らなかった 計 班員 241(98.4%) 4(1.6%) 245 班から戸配 210(98.1%) 4(1.9%) 210 最初から戸配 91(77.1%) 27(22.9%) 118 全体 542(93.9%) 35(6.1%) 577 Χ2 =73.623 p<0.001 反・脱原発 知っていた 知らなかった 計 班員 257(95.5%) 12(4.5%) 269 班から戸配 227(95.8%) 10(4.2%) 237 最初から戸配 84(70.6%) 35(29.4%) 119 全体 568(90.9%) 57(9.1%) 625 Χ2 =73.031 p<0.001 班員 支部大会 知っていた 知らなかった 計 249(95.4%) 12(4.8%) 261 216(96.9%) 7(3.1%) 223 85(72.0%) 33(28.0%) 118 550(91.4%) 52(8.8%) 602 Χ2 =69.802 p<0.001 知っていた 知らなかった 計 230(89.5%) 27(10.5%) 257 199(91.7%) 18(8.3%) 217 57(48.7%) 60(51.3%) 117 488(82.2%) 105(17.8%) 591 Χ2 =112.553 p<0.001 石けん運動 講習会 知っていた 知らなかった 計 268(98.2%) 2(1.8%) 273 232(97.9%) 5(2.1%) 237 101(82.8%) 21(17.2%) 122 601(95.1%) 31(4.9%) 632 Χ2 =49.121 p<0.001 知っていた 知らなかった 計 256(97.3%) 7(2.7%) 263 216(95.2%) 11(4.8%) 227 96(81.4%) 22(18.6%) 118 568(93.4%) 40(6.6%) 608 Χ2 =35.624 p<0.001 代理人運動 知っていた 知らなかった 拡大活動 市民風車 計 231(85.9%) 38(14.1%) 269 182(78.8%) 49(21.2%) 231 44(37.9%) 72(62.1%) 116 457(74.2%) 159(25.8%) 616 Χ2 =101.367 p<0.001 知っていた 知らなかった 計 233(86.0%) 38(14.0%) 271 192(81.4%) 44(18.8%) 236 53(44.9%) 65(55.1%) 118 478(76.5%) 147(23.5%) 625 Χ2 =82.068 p<0.001 ワーカーズコレクティヴ 福祉基金 平和を考える活動 知っていた 知らなかった 計 知っていた 知らなかった 計 知っていた 知らなかった 計 243(90.3%) 26(9.7%) 269 231(86.2%) 37(13.8%) 268 233(86.3%) 37(13.7%) 270 班から戸配 206(86.2%) 33(13.8%) 239 183(78.2%) 51(21.8%) 234 188(80.0%) 47(20.0%) 235 最初から戸配 65(58.0%) 51(44.0%) 116 60(50.0%) 60(50.0%) 120 75(64.1%) 42(35.6%) 117 全体 514(82.4%) 110(17.6%) 624 474(76.2%) 148(23.8%) 622 496(78.7%) 126(20.3%) 622 Χ2 =69.562 p<0.001 Χ2 =60.709 p<0.001 Χ2 =24.906 p<0.001 活動の是非(加入形態) 代理人運動 積極的にすべき ある程度すべき 班 83(30.2%) 班から戸配 84(35.0%) 最初から戸配 25(23.6%) 計 192(30.9%) 135(49.1%) 107(44.6%) 38(35.8%) 280(45.1%) 反・脱原発 あまりすべきでない 活動すべきでない 活動を知らない 26(9.5%) 11(4.6%) 1(0.9%) 38(6.1%) 9(3.3%) 8(3.3%) 1(0.9%) 18(2.9%) 22(8.0%) 30(12.5%) 41(38.7%) 93(15.0%) 計 275 240 105 621 積極的にすべき ある程度すべき 班 114(41.0%) 班から戸配 113(46.5%) 最初から戸配 52(49.1%) 計 279(44.5%) 134(48.2%) 109(44.9%) 36(34.0%) 279(44.5%) あまりすべきでない 活動すべきでない 活動を知らない 16(5.8%) 11(4.5%) 0(0.0%) 27(4.3%) 3(1.1%) 5(2.1%) 1(0.9%) 9(1.4%) 11(4.0%) 5(2.1%) 17(16.0%) 33(5.3%) Χ2=68.122 p<0.001 Χ2=41.038 p<0.001 福祉事業 積極的にすべき ある程度すべき 班 99(35.9%) 班から戸配 103(41.2%) 最初から戸配 39(36.8%) 計 241(38.1%) あまりすべきでない 120(43.5%) 31(11.2%) 111(44.4%) 9(3.6%) 44(41.5%) 2(1.9%) 275(43.5%) 42(6.6%) 市民風車 活動すべきでない 活動を知らない 10(3.6%) 9(3.6%) 0(0.0%) 19(3.0%) 16(5.8%) 18(7.2%) 21(19.8%) 55(8.7%) 計 276 250 106 632 積極的にすべき ある程度すべき 班 104(37.4%) 班から戸配 109(44.1%) 最初から戸配 41(39.0%) 計 254(40.3%) 134(48.2%) 107(43.3%) 33(31.4%) 274(43.5%) あまりすべきでない 活動すべきでない 活動を知らない 18(6.5%) 8(3.2%) 0(0.0%) 26(4.1%) 4(1.4%) 3(1.2%) 0(0.0%) 7(1.1%) 18(6.5%) 20(8.1%) 31(29.5%) 69(11.0%) Χ2=39.204 p<0.001 班 81(29.9%) 班から戸配 87(35.5%) 最初から戸配 36(34.6%) 計 204(32.9%) 141(52.0%) 116(47.3%) 45(43.3%) 302(48.7%) 平和を考える活動 あまりすべきでない 活動すべきでない 活動を知らない 計 26(9.6%) 13(5.3%) 3(2.9%) 42(6.8%) 3(1.1%) 4(1.6%) 0(0.0%) 7(1.1%) 16(5.9%) 17(6.9%) 19(18.3%) 52(8.4%) 271 245 104 620 Χ2=27.807 p<0.01 ワーカーズコレクティヴ 班 積極的にすべき ある程度すべき あまりすべきでない 活動すべきでない 活動を知らない 115(41.5%) 129(46.6%) 15(5.4%) 3(1.1%) 15(5.4%) 計 277 4(1.6%) 1(1.0%) 20(3.2%) 4(1.6%) 0(0.0%) 7(1.1%) 17(6.9%) 33(31.7%) 65(10.3%) 248 104 629 班から戸配 124(50.0%) 99(39.9%) 最初から戸配 37(35.6%) 計 33(31.7%) 276(43.9%) 261(43.9%) 計 278 247 105 630 Χ2=56.418 p<0.001 共済事業 積極的にすべき ある程度すべき 計 278 243 106 627 Χ2=73.421 p<0.001 積極的にすべき ある程度すべき 班 114(41.0%) 班から戸配 117(47.4%) 最初から戸配 59(56.2%) 計 290(46.0%) 131(47.1%) 100(40.5%) 28(26.7%) 259(41.1%) あまりすべきでない 活動すべきでない 活動を知らない 計 9(3.2%) 8(3.2%) 0(0.0%) 17(2.7%) 4(1.4%) 4(1.6%) 0(0.0%) 8(1.3%) 20(7.2%) 18(7.3%) 18(17.1%) 56(8.9%) 278 247 105 630 Χ2=26.462 p<0.01 活動の是非(役職経験) 反・脱原発 代理人運動 積極的にすべき ある程度すべき あまりすべきでない 活動すべきでない 活動を知らない 17(54.8%) 13(41.9%) 13(37.1%) 委員(3年以上) 19(54.3%) 58(51.8%) 委員(3年未満) 40(35.7%) 役職経験なし 120(25.9%) 208(44.9%) 196(30.6%) 292(45.6%) 計 役員・委員長 0(0.0%) 1(2.9%) 0(0.0%) 19(4.1%) 20(3.1%) 1(3.7%) 1(2.9%) 11(9.8%) 25(5.4%) 38(5.9%) 0(0.0%) 1(2.9%) 3(2.7%) 91(19.7%) 95(14.8%) 積極的にすべき ある程度すべき あまりすべきでない 計 0(0.0%) 31 役員・委員長 17(54.6%) 14(45.2%) 0(0.0%) 35 委員(3年以上) 17(50.0%) 17(50.0%) 5(4.5%) 112 委員(3年未満) 52(46.8%) 54(48.6%) 463 役職経験なし 199(42.3%) 204(43.4%) 23(4.9%) 285(44.1%) 289(44.7%) 28(4.3%) 計 641 活動すべきでない 活動を知らない 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%) 10(2.1%) 10(1.5%) 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%) 34(7.2%) 34(5.3%) Χ2=22.017 p<0.05 Χ2=54.624 p<0.001 市民風車 共済事業 積極的にすべき ある程度すべき あまりすべきでない 活動すべきでない 活動を知らない 役員・委員長 15(50.0%) 13(38.2%) 37(33.6%) 役職経験なし 145(31.1%) 210(32.8%) 計 委員(3年以上) 委員(3年未満) 1(3.3%) 13(43.3%) 0(0.0%) 20(58.8%) 56(50.9%) 13(11.8%) 224(48.1%) 29(6.2%) 313(48.9%) 43(6.7%) 0(0.0%) 1(2.9%) 2(1.8%) 17(3.6%) 21(3.3%) 0(0.0%) 0(0.0%) 2(1.8%) 51(10.8%) 53(8.3%) 積極的にすべき ある程度すべき あまりすべきでない 計 0(0.0%) 30 役員・委員長 13(41.9%) 18(58.1%) 3(8.6%) 34 委員(3年以上) 15(42.9%) 16(45.7%) 5(4.5%) 110 委員(3年未満) 49(44.1%) 56(50.5%) 466 役職経験なし 183(38.8%) 194(41.1%) 19(4.0%) 260(40.1%) 284(43.8%) 27(4.2%) 計 640 Χ2=27.452 p<0.01 ワーカーズコレクティヴ 積極的にすべき ある程度すべき あまりすべきでない 活動すべきでない 活動を知らない 役員・委員長 20(64.5%) 20(57.1%) 委員(3年未満) 50(44.6%) 役職経験なし 197(41.8%) 287(44.2%) 計 委員(3年以上) 11(35.5%) 13(37.1%) 55(49.1%) 189(40.1%) 288(41.3%) 0(0.0%) 1(2.9%) 4(3.6%) 15(3.2%) 20(3.1%) 計 31 34 111 470 646 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%) 8(1.7%) 8(1.2%) 0(0.0%) 1(2.9%) 3(2.7%) 62(13.2%) 66(10.2%) 計 31 35 112 471 649 Χ2=28.447 p<0.01 活動すべきでない 活動を知らない 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%) 8(1.7%) 8(1.2%) 0(0.0%) 1(2.9%) 1(0.9%) 68(14.4%) 70(10.8%) 計 31 35 111 472 649 Χ2=31.287 p<0.01 活動への参加希望(加入形態) 地区会 支部大会 石けん運動 参加したい 参加したくない 計 参加したい 参加したくない 計 参加したい 参加したくない 計 班 25(8.9%) 257(91.1%) 282 21(7.4%) 261(92.6%) 282 12(4.2%) 272(95.8%) 284 班から戸配 8(3.2%) 244(96.8%) 252 4(1.6%) 249(98.4%) 253 8(3.1%) 247(96.9%) 255 最初から戸配 6(5.5%) 103(94.5%) 109 7(6.5%) 101(93.5%) 108 13(11.7%) 98(88.3%) 111 全体 39(6.1%) 604(93.9%) 643 32(5.0%) 611(95.0%) 643 33(5.1%) 617(94.9%) 650 Χ2 =7.636 p<0.05 Χ2 =10.324 p<0.01 Χ2 =12.557 p<0.01 生産者見学会 反・脱原発 平和を考える活動 参加したい 参加したくない 計 参加したい 参加したくない 計 参加したい 参加したくない 計 班 41(14.6%) 240(85.4%) 281 20(7.2%) 258(92.8%) 278 18(6.6%) 256(93.4%) 274 班から戸配 17(6.6%) 239(93.4%) 256 4(1.6%) 251(98.4%) 255 6(2.4%) 243(97.6%) 249 最初から戸配 16(14.7%) 93(85.3%) 109 9(8.3%) 100(91.7%) 109 11(10.4%) 95(89.6%) 106 全体 74(11.5%) 572(88.5%) 646 33(5.1%) 609(94.9%) 642 35(5.6%) 594(94.4%) 629 Χ2 =9.691 p<0.01 Χ2 =11.248 p<0.01 Χ2 =9.915 p<0.01 活動への参加希望(役職経験) 地区会 参加したい 参加したくない 計 役員・委員長 6(19.4%) 25(80.6%) 31 委員(3年以上) 7(20.0%) 28(80.0%) 35 委員(3年未満) 13(11.7%) 98(88.3%) 111 役職経験なし 17(3.5%) 472(93.5%) 489 全体 43(6.5%) 623(93.5%) 666 Χ2 =31.435 p<0.001 石けん運動 参加したい 参加したくない 計 役員・委員長 6(19.4%) 25(80.6%) 31 委員(3年以上) 0(0.0%) 35(100.0%) 35 委員(3年未満) 7(6.3%) 105(93.8%) 112 役職経験なし 21(4.2%) 474(95.8%) 495 全体 34(5.1%) 639(94.9%) 673 Χ2 =16.094 p<0.01 市民風車 参加したい 参加したくない 計 役員・委員長 7(22.6%) 24(77.4%) 31 委員(3年以上) 3(8.6%) 32(91.4%) 35 委員(3年未満) 9(8.3%) 100(91.7%) 109 役職経験なし 17(3.5%) 467(96.5%) 484 全体 36(5.5%) 623(94.5%) 659 Χ2 =23.457 p<0.001 支部大会 拡大活動 ちらしまき 参加したい 参加したくない 計 参加したい 参加したくない 計 参加したい 参加したくない 計 6(19.4%) 25(80.6%) 31 5(16.1%) 26(83.9%) 31 7(22.6%) 24(77.4%) 31 5(14.3%) 30(85.7%) 35 1(2.9%) 34(97.1%) 35 9(25.7%) 26(74.3%) 35 7(6.3%) 105(93.8%) 112 3(2.7%) 109(97.3%) 112 16(14.3%) 96(85.7%) 112 17(3.5%) 471(96.5%) 488 7(1.4%) 481(98.6%) 488 41(8.3%) 455(91.7%) 496 35(5.3%) 631(94.7%) 666 16(2.4%) 650(97.6%) 666 73(10.8%) 601(89.2%) 674 Χ2 =21.409 p<0.001 Χ2 =26.929 p<0.001 Χ2 =17.222 p<0.01 講習会 料理講習会 反・脱原発 参加したい 参加したくない 計 10(32.5%) 21(67.7%) 31 4(11.8%) 30(88.2%) 34 12(10.9%) 98(89.1%) 110 45(9.2%) 445(90.8%) 490 71(10.7%) 594(89.3%) 665 Χ2 =16.333 p<0.01 参加したい 参加したくない 計 9(30.0%) 21(70.0%) 30 5(14.3%) 30(85.7%) 35 10(8.9%) 102(91.1%) 112 47(9.6%) 445(90.4%) 492 71(10.6%) 598(89.4%) 669 Χ2 =13.302 p<0.01 参加したい 参加したくない 計 8(25.8%) 23(74.2%) 31 3(8.6%) 32(91.4%) 35 6(5.5%) 103(94.5%) 109 16(3.3%) 474(96.7%) 490 33(5.0%) 632(95.0%) 665 Χ2 =32.586 p<0.001 ワーカーズコレクティヴ 福祉基金 平和を考える活動 参加したい 参加したくない 計 4(12.9%) 27(87.1%) 31 0(0.0%) 35(100.0%) 35 9(8.3%) 100(91.7%) 109 18(3.7%) 464(96.3%) 482 31(4.7%) 626(95.3%) 657 Χ2 =10.426 p<0.05 参加したい 参加したくない 計 8(25.8%) 23(74.2%) 31 2(5.9%) 32(94.1%) 34 5(4.5%) 105(95.5%) 110 19(3.9%) 465(96.1%) 484 34(5.2%) 625(94.8%) 659 Χ2 =28.635 p<0.001 参加したい 参加したくない 計 10(32.5%) 21(67.7%) 31 1(2.9%) 33(97.1%) 34 6(5.6%) 101(94.4%) 107 18(3.8%) 462(96.3%) 480 35(5.4%) 617(94.6%) 652 Χ2 =47.005 p<0.001 結論 ・「班が生協の基盤を形成している」とされた定 説は再考する必要がある。 ←認知の差は、加入形態よりもむしろ組合員歴と 関連がある。 ←活動の是非については、認知差を考慮すれば、 加入形態別に大きな差はないといえる。 →どの組合員も生活クラブの活動には肯定的。 ←活動への参加希望は、役職経験の効果が強く現 われる。 ⇒役職経験の差異が生協への共鳴度を大きく 左右する。 早稲田グループ調査の「示唆」 班別予約共同購入を高く評価していた早稲田グ ループ調査の端々に、今回の結論を裏付ける記述 が散見される。 「役職者一人ひとりの意識変容という視点からみれば、委員の時期に …個々の活動を通じて生活クラブの運動や理念を主体化できるか否か、 そしてまた、そうした活動をともに支えてくれる仲間に出会うことができる か否かが、意識変容にとって決定的な要因になっているとも考えられる のである」(佐藤編,1988:290-91)。 コミュニティクラブ生協においても、役職経験による意識格差の存在が 現れ、高い役職についた組合員は、生活クラブアイデンティティの共有と いう点で高い共鳴度を示す一方で、そうではない組合員における「意識 の低さ」は、班別予約共同購入におけるそれ以上に深刻であることが表 面化することとなった(佐藤編,1994:第4章)。 1992年ICA東京大会における 日本型生協の班に対する評価 班という仕組みが、日本国内における生協 の勢力拡大に貢献したことを評価する一 方で、それが社会構造の特性を前提として 成り立っていることを指摘。 「ヨーロッパの生協活動が衰退するのに対して、日本の生協が拡大 を続けていることが、班を含めた組合員女性の活動によって支えら れていると評価される一方、日本型生協がきわめて日本的なひずみ ―組合員女性の無償労働に支えられた共同購入、性別役割分業の 上にのって発展してきた」(末川,2001:12)。 「家庭が私的領域としてはっきり独立している西欧諸国においては、 班別予約共同購入の導入は不可能であると評価された」(大窪, 1994:57)。 今後の展望? 班の教育機能は、定説ほどに強くない →班の縮小は、直接的に生活クラブの活動を 停滞させる要因になるとは考えにくい →首都圏では、戸配から理事に就任する ケースも出ている。 ⇔古参組合員・幹部職員の間では、班に対する 信頼の念が依然として強い ⇒時代状況を考えると、班は今後も縮小を 続けていくと思われるが、その機能と役 割について、再評価をする必要がある。 今後の展望?② 生活クラブにおける役員・委員のリクルート →基本的にはパーソナルネットワークに依存 ⇒班は、組織内部におけるパーソナルネット ワーク形成の手段であった ⇒今後も班は人材供給に寄与すると思われる ⇔班に代わるパーソナルネットワーク構築の 仕掛けも必要でもある。
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