質問(p73)への回答: 学習障害との比較から

学習障害との比較から
「ダブルリミテッド/
一時的セミリンガル現象を考える」
母語・継承語・バイリンガル教育研究会
第6回研究集会
国際医療福祉大学言語聴覚学科
田中 裕美子
質問1.
特別支援対象児の発見法とは
通常学級の軽度発達障害とは
学習障害
4.3%
学
習
が
著
し
く
困
難
1.2%
境界域
行
動
が
著
し
く
困
難
2.9%
高機能広汎性発達障害
ADHD
LD発見・診断の難しさ
1.定義の不明瞭さ
2.日本における2つのスタンダード
3.診断手続き上の難しさ
(1) 行動特徴による診断
・・・ 原因疾患が明らかか否か
(2) 診断に用いる検査や基準
・・・ どの程度低い・高いことが必要か
例:言語性IQ < 動作性IQ
2つのスタンダード
原(1995)
LD=
学習に躓い
ているという
状態像
★発達障害=LDではない!!
学習評価・LD発見法見直しの必要性
ダイナミックアセスメント
(Dynamic Assessment:DA)
RTI
(Responsiveness To Intervention)
質問2
セミリンガルとLDは…
現象が同じ=原因が同じ???
(研究例) Paradis(2005)
SLIとバイリンガルの文法の問題が類似
文法形態素の獲得困難がpathologicalな原因の
みで起こるとは限らない!
=原因が同じでなくても症状が同じ場合もある
(interaction between 2 languages)
⇒ 指導法が同じ ?
字が読めるようにならないのは
考えられる原因:
☛知的なレベル(ex. 境界域知能/非特異型)
☛情緒・行動の問題 (ex.高機能自閉)
☛特定の情報処理困難 ⇒ LD
☛言語環境 (バイリンガルなど)
☛本人の興味・やる気が乏しい
どうやって鑑別するのか?
ディスレキシアの近年の捉え方
Orton Dyslexia Society (Lyon, 1995)
“Dyslexia… is a specific language-based disorder*3
of constitutional origin*4
characterized by
difficulties in single word decoding*1, usually
reflecting insufficient phonological processing *2”
*1
*2
*3
*4
Decoding(文字-音の連合)困難
音韻処理能力の問題を反映
言語発達障害の特異型
先天性の障害
指導法が同じ?
セミリンガルはdecodingだけの問題か?
NO. decoding + Language
学習障害(LD)
言語学習障害(Language-based Learning
Disability:LLD)
ディスレキシア(Dyslexia)
学習障害
(LD)
言語学習障害
(LLD)
ディスレキシア
情報処理(認知)プロセス
に困難がある
言語の発達障害を
根底に持つ
音韻情報処理の障害
を根底に持つ
字が読めるようにならないのは…その2
ディスレキシア それとも LLD?
質問3.
生理的な発達との関連?
Q1)1歳 話し始める(初語) 独立歩行
時期が同じだと関連するのか?
Q2)話しことばが先で書きことばが後で発達する
前者が後者の土台になる?
★科学的根拠はない!