DECIGO Pathfinderのための 試験マス制御実験 若林野花(お茶大人間文化)、大渕義之、岡田則夫、 鳥居康男、江尻悠美子、鈴木理恵子 上田暁俊、川村静児、新谷昌人 安東正樹、佐藤修一、菅本晶夫 1 (前回までの発表に引き続き) • 試験マスモジュールBBM構造解析 • 試験マスモジュール制御実験の現状 2 試験マスモジュール構成 ① 試験マスと衛星の非接触制御機構 • • • • • 静電容量型センサー レーザーセンサー (地球重力場観測用) 静電容量型アクチュエーター UV-LED(試験マスの放電機構) クランプリリース機構(軌道上精密位置決め) ② 打上時の鏡保護機構 • ローンチロック機構 3 構造解析の目的 打上時の負荷に対する基本構造の強度 を見積もり、次モデル(EM)の設計に活かす 解析内容 準静的加速度荷重解析 固有値解析 ランダム振動応答解析 ※BBMにかける負荷、材質はFM相当とする。 4 準静的加速度荷重解析 準静的加速度24Gに耐えられるか? (C)JAXA 要求値:各部品の安全余裕が0以上 ※塑性変形や破壊に至らない 許容応力 安全余裕MS 1 0 発生応力 MS : Margin of Safety 5 有限要素解析 • 解析用モデル (ネジ穴等簡略化、1/4モデル) • 境界条件(底面固定、接触条件) • 準静的加速度24G NX-IDEAS 5使用 解析結果(応力) 解析結果(変位) 24G 準静的加速度24Gに耐えられる構造 例:電極板(サファイヤ製)の応力分布 最大主応力110MPa(安全余裕20) 24G 最大たわみ0.9μm 6 各部品の安全余裕0以上 固有値解析 振動特性(固有振動数とモードシェイプ) が要求値を満たしているか調べる 要求値(固有振動数) – 機軸方向50Hz以上 – 機軸直交方向30Hz以上 機軸方向 ステップ1(概算) バネ-マスモデルでの解析 ステップ2 有限要素解析 機軸直交方向 k1 m1 k2 m2 7 ステップ1:バネーマスモデル k1 1 2 11 1 222 2 2 n 112 k1 m1 222 k2 m2 m2 m1 2 11 1 4 2 2 22 2 11 2 22 1次固有振動数434Hz 要求値クリア(≧30Hz)→ステップ2へ 8 ステップ2:有限要素解析 • 解析用モデル(一部簡略化) • 底面固定、締結部密着 固有値解析:要求値クリア 1次固有振動数754Hz 要求値クリア(≧30Hz) 9 ランダム振動応答解析 ランダム振動に耐えられるか? 150 ~ 700Hz 13.95(m/s²)²/Hz 30 ~150Hz +6dB/oct 700 ~ 2000Hz -3dB/oct ランダム振動 (パワースペクトル密度) 直交3 軸にランダム振動を与える →ランダム振動で壊れないか 応力値を調べた(有限要素解析) ※減衰比を変えて計算 10 ランダム振動応答解析結果 フレーム(基本構造)・・・問題なし ローンチロック機構・・・試験マスの機軸直交方向拘束が甘い ローンチロックロッド ローンチロックロッド Steel製 基本構造は問題ないが、 フレーム 試験マスの拘束方法は今後検討すべし 機軸直交方向 0.45C Steel(一般的なsteel) (減衰比0.5%, 降伏点365MPa以上) Aluminum製 塑性変形には至らないが 機軸直交方向の拘束が甘い アルミニウム(降伏点120MPa以上) 塑性変形に至らない フレーム 減衰比ξ[%] ∝1/ξ 11 構造解析まとめ • EM設計にフィードバックするために、試験マスモ ジュールBBMの構造強度を構造解析で検証した。 – 準静的加速度荷重解析・・・要求値クリア – 固有値解析・・・要求値クリア – ランダム振動応答解析・・・基本構造;十分な強度、 ローンチロック機構要検討 基本構造は現状でOK!! 今後の課題 EM…今回の基本構造を基にモデル全体の軽量化と ローンチロック機構の検討 12 BBMテストマス制御実験 (実験担当:江尻、他) 13 BBMテストマス制御実験概要 BBMテストマスを一本吊り 静電アクチュエーター 静電センサー レーザーセンサー で5自由度制御 微小重力実験 数mの高さからテストマスを 落とし、センサー・アクチュエータ で6自由度制御 1自由度制御実験 まずは静電アクチュエーター・フォトセンサーで 1自由度制御実験を行った V3 フォトセンサー BBM電極板 V4 BBMテストマス V1 並進1自由度 V2 BBM電極板 V1~V4 :アクチュエーター(制御信号) BBMテストマス フォトセンサー 結果 Unity Gain Frequency 1.22Hz 1自由度制御成功 制御 時系列データ 0.025 センサー出力[V] 0.02 制御かかった 0.015 0.01 0.005 0 -0.005 -0.01 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 時間[s] ただしUGFが1.22Hzで低すぎる (目標10Hz) (フォトセンサー等回路起源のノイズが大きい、 アクチュエーターのデジタル回路への入力制限 によってゲインを上げられない) →対策が必要 (ノイズ源の切り分け、アクチュエータードライ バーの改善) 今後 ●アクチュエーターの改善(デジタル回路の見直し等) ●テストマス一本吊りで5自由度制御(フォトセンサー) ●静電センサーでの制御 ●微小重力実験 ご清聴ありがとうございました☆ 18 19 アクチュエータの現状報告 鈴木理恵子 動作原理 -静電アクチュエータ― 静電アクチュエータの基本構造は 平行平板コンデンサである。 平行平板電極に電圧Vをかけたときに 発生する静電力Fは、極板間距離をd、 極板面積をS、誘電率をεとすると S d V 1 1 0S 2 2 U CV V 2 2 x U 1 0S 2 f V 2 x 2 x 式から明らかなように、発生する力は 電圧Vの2乗に比例する セットアップ BBMモデルへ移行、300Vまで出力可能な増幅器をセット 実験 センサーで読み取った信号Vinに対して下記の式のような信号を返すことで、 マスを制御出来るか確認してみる x Vin F 極板1 極板3 D S P 極板4 極板2 Vin センサからの要求でテストマスの分極を極力回避するために、 アクチュエータでは500Hzの変調を用いた制御を取っている 実験結果① 7 6 5 4 力変位伝達関数 i 02 m GA 2 0 i 2 m 3 2 アクチュエート効率(m/V) 10 -6 8 7 6 5 4 3 2 10 -7 8 7 6 5 4 3 2 10 -8 8 0.1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 周波数(Hz) 2 3 4 5 6 7 8 9 10 実験結果② 振り子の特性を反映した力変位伝達関数から、アクチュエート効率は 1.0 106 (m / V ) よってマスにかかる力は1Vあたり(マス:1kg、振り子の腕の長さ:20cm) F m gsin 1[kg] 9.8[m / s 2 ] 1.0 106[m] / 0.2[m] 5.0 105[ N ] 理論値 500Hz変調の下でテストマスにかかる力を求めてみる。 簡単のため の電圧を与えたとすると、 現在のセットアップで掛けた電圧 を代入して S 2.0 103 m2 , x 1.0 103 m, 0 8.851012 極板一枚でマスにかけられる力は f 4.0 104 N まとめ 1. 理論値の約12.5パーセント程度の出力を確認 2. 今後はセンサーと連結させ、制御させる予定 XY(機軸直交方向) Z(機軸方向) 754Hz 754Hz 754Hz XY(機軸直交方向)の変位も、試験マスと 電極板のギャップが1mmなので接触の 危険性はない。 XY(機軸直交方向) 1mm 0.1mm 0.01mm 0.001mm Z(機軸方向) 28 ●ばね定数の求めかた それぞれのモデルをさらにはりモデル に置き換える。 ローンチロック モーター 簡単な例:自由端に集中荷重を受ける片持ちばり k1 フレーム 電極板 荷重W m1 l 試験 マス k2 最大たわみ m2 ymax F kx より Wl 3 3EI k E:ヤング率 I:断面2次モーメント W y max 29 フレーム単体での固有振動数について、 有限要素解析での結果と実測値との 比較を行った ※フレーム(アルミニウム製)実物あり 30 NX I-DEAS 5 使用 アルミニウム製のフレームのモデル で固有振動数解析を行った。 モデル作成 FEモデル作成、境界条件 (底面固定) 固有値解析 解析結果:1次モード 946Hz 31 フレームをインパクトハンマーで叩いて加速度センサーで固 有振動数を測定 フレーム固有振動数測定 インパクトハンマー 加速度センサー 加速度センサー出力[m/s^2] 1.80E+00 1.60E+00 1.40E+00 880Hz 1.20E+00 解析結果は妥当!! 1.00E+00 8.00E-01 6.00E-01 4.00E-01 2.00E-01 0.00E+00 0 500 1000 1500 2000 周波数[Hz] 2500 結果:880Hz(解析結果:一次モード946Hz) 解析結果とほぼ一致 →形状、材料特性、境界条件が正しく与えられている 32 3000 フレーム固有振動数測定 加速度センサー出力[m/s^2] 1.80E+00 1.60E+00 1.40E+00 1.20E+00 1.00E+00 8.00E-01 6.00E-01 4.00E-01 2400Hz 2.00E-01 0.00E+00 0 500 センサーノイズ 1000 1500 2000 周波数[Hz] 2500 3000 2400Hz・・・高次モード (解析結果でも3kHzに高次モードあり) 33 ここで、研究目的のおさらい☆ ① スペース重力波アンテナDECIGOの前哨衛星 DECIGO Pathfinder用試験マスモジュール地上 技術実証モデル(BBM)の構造を設計 ② その構造強度や耐性を構造解析で検証し、衛 星に搭載可能なモデルを提示 34 固有振動数 k m バネ定数 質量 35
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