腱反射にまつわるデマと真実 誰も言わなかったが、実は誰もが知っている 腱反射ができなくて、損をしたこと • 恥をかいた? – どこの、誰が、どんな時にそんなハラスメント をしたのですか? • 診療録の空欄を埋められなかった? – それがどうした! • 誤診をした、病気を見逃した? – 本当ですか?根拠はありますか? ある英会話学習法 Aさんは一念発起して英会話を勉強するこ とにしました。英語の辞書を見るとSで始ま る単語がたくさんある上に、studyとかspecial superior super のような素敵な単語があるの で、sで始まる単語から覚えるようにしました。 ただし、subprimeという単語が縁起が悪そう なのは気になりましたが。 腱反射の真実1 43/1157=3.7 % 腱反射の真実2 意識障害患者での半球粗大病変の有無 • • • • • • • 自発運動の左右差 眼球運動,顔面の左右差,頸部の向き 上肢・下肢の肢位 筋トーヌス 痛み刺激からの逃避の左右差 バビンスキ徴候 腱反射(これだけが特異度50%未満) 腱反射の真実3 複雑なアナログ判断 • 診断によっても,個々の病態によっても,予想,結 果,解釈が異なる • 個々の反射で独立した判断をせず,全ての部位 の腱反射の全体と相互関係で結果を考察する • 筋萎縮,筋力低下,筋緊張,病的反射,知覚障害 の分布など,他の神経学的所見と総合して判断 する • このような複雑な判断により,検者により,特異度, 診断体系における意義が大きく変化する しびれ:76歳女性 76歳の女性が下肢のしびれと痛みを主訴に来院. 6年前から右のつま先に時々しびれがあったが, 徐々に両足に広がり,範囲も下腿まで上行してきた. 痛みは夜に強く,焼けるような感じで,両膝以下に あり,時に殿部まで広がることがある. 痛みの程度は,10段階評価で6.その他,針で刺さ れるような痛みが下肢にあるという.会陰部の感覚 が鈍い感じはあるが,歩行には問題がなく,膀胱直 腸障害もない. この患者さんで 腱反射はどうなると思いますか? それぞれの部位でどうなるでしょう か? また,なぜそう思うのですか? 上肢:亢進,正常,低下 下肢:亢進,正常,低下 腱反射をする前に必要な答え • • • • 鑑別診断のトップは何か? その事前確率は20%か,50%か,80%か? それ以外の疾患は何か? 下肢の腱反射をどう予想するか – 亢進(○○%),減弱(○○%),消失(○○%) – それぞれの場合,事後確率はどう変化するか – それぞれの場合,他に必要なのはどんな診察か 神経症候の判定 • 個人差があり,検査値のような客観的基準 はない • 検者の判断の結果である – 相対的判断:個人の中で,対照と比較する • 上肢と下肢 • 右と左 • 他の所見との総合的判断:筋萎縮・筋力低下があ るのに腱反射がはっきり見える 腱反射に対する態度 • • • • • あくまで数多ある診察手技の一分野 特に腱反射だけが大活躍するわけではない 感度,特異度ともに低い 従って学習の優先順位は低い 個々の診察手技を単語,診察そのものを会話や 文章と考えると,いくら単語をたくさん覚えても,話 す,読み書きはできないだろう.腱反射手技がいく らうまくなっても神経診察は上達しない
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