オーストラリアの家族法と ハーグ条約

オーストラリアの家族法と
ハーグ条約
Lincolns Lawyers & Consultants
リンカーンズ総合法律事務所
弁護士
占部英高
オーストラリアの家族法とハーグ条約
本日のセミナー
1.
序章
2.
本旨
3.
よくある質問
オーストラリアの家族法とハーグ条約
1. 序章
ハーグ条約の概要
オーストラリアの家族法とハーグ条約
2. 本旨
1.
子の返還請求手続き
2. 裁判申し立て・請求原因事実
3.
監護権の侵害
4.
抗弁事実•返還拒否事由
オーストラリアの家族法とハーグ条約
4. よくある質問
1. 連れ去られた子との面会交流
2. 子の返還後の手続き
3. 連れ去られた先がハーグ条約未加盟の場合
4. ミラー・オーダーとは
オーストラリアの家族法とハーグ条約
本日のセミナー(計50分)
1.
序章
(10分)
2.
本旨
3.
よくある質問 (10分)
4.
質疑応答
(20分)
(10分)
1.
序章:ハーグ条約の概要
ハーグ条約とは
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」
ハーグ国際私法会議(HCCC)
オランダ/1893年設立

1976年:検討

1980年10月25日:採択

1983年12月1日:発効

2014年10月現在:世界91カ国が締約
(外務省ウェブサイトより)
1.
序章:ハーグ条約の概要
ハーグ条約の目的
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」

近年、人の移動や国際結婚が急増

1970年代頃から、監護権の侵害を伴う、16歳
未満の子の国境を越えた連れ去りが急増

子がそれまでに生活していた常居所地国に子
を迅速に返還する国際協力の取り組み

親子の面会交流の実現
子の返還手続きの流れ
挿絵
オーストラリア
日本
③通報
中央当局
(外務省)
中央当局
(外務省・法務省・連邦警察)
9条
7条
④
所
在
確
認
子⑤
を裁
命送判
所
令りな
返ど
すが
11条・12条
①夫/妻が子を
連れて
無断で日本に帰国
8条
夫
妻
子
夫/ 妻
子
監護権の
侵害
⑥
送り返す
離婚または
関係が破綻
②
申
し
立
て
夫/妻
•
1.
序章:ハーグ条約の概要
2014年4月1日
日本とハーグ条約

2013年1月28日: 第183回通常国会において,ハーグ条約
の締結が承認され、国際的な子の奪取
の民事上の側面に関する条約の実施に
関する法律(条約実施)が成立

2014年1月24日: 条約の署名,締結,公布にかかる閣議決
定を行うとともに,条約に署名を行った
上で,オランダ外務省に受諾書を寄託

2014年4月1日: 発効
日本人の母親が父親の同意なく、またはその国の裁
判所の命令に違反して、子を日本に連れ帰った例
元妻は2009年、そのころ8歳の息子と同6歳の娘を日本へ連れ帰っ
たまま、米国へ 戻っていない。同州の司法当局は男性に監護権を認め、
元妻に逮捕状を出していた。
ただ、日本は、国際結婚で生まれた子どもの親権争いに関する「ハー
グ条約」に未加盟。 判決が直ちに日本国内で執行できるわけではない。
米国などは日本に同条約への早期加盟 を求めている。
(2011年5月10日12時20分 読売新聞)
1.
序章:ハーグ条約の概要
キーポイント

国境を越えた子の連れ去り


刑事罰
(国内法)
(国内法)
慰謝料
監護権の侵害(ハーグ条約・国内法)

子の返還手続き(ハーグ条約)

2.
本旨
1. 返還請求手続き
適用対象となるケース

16歳未満の子の国境を越えた移動

子の連れ去りや留置が、ハーグ条約締
約国間で起こった場合

連れ去りが子の監護権の侵害を伴う
2.
本旨
1. 返還請求手続き
日本の中央当局(外務省)
2.
本旨
1. 返還請求手続き
オーストラリアの中央当局(法務省)
 ハーグ条約に関する一般情報の提供
 返還請求手続きに関する情報の提供(International Social Service)
 子を連れ去られた親へ金銭的サポート(Overseas child abduction scheme)
2.
本旨
1. 返還請求手続き
オーストラリアの中央当局(外務省)
2.
本旨
1. 返還請求手続き
豪州連邦警察の取り組み

子の連れ去りの防止

エアポート・ウォッチリスト
2.
本旨
2. 裁判申立て・請求原因事実

子が16歳未満である

子が連れ去られ、又は留置される直前に条約
締約国に常居所を有している

子の連れ去り・留置が子の常居所地国の法令
によれば申立人の監護権を侵害する
2.
3.
本旨
監護権の侵害

申立人は子の常居所地国の法令で子の監護権
を有しているか?

監護権/単独親権/親権

申立人はハーグ条約上の概念として子の監護
権を有しているか?

子の居所指定権を保有する: ハーグ条約5条(a)
2.
本旨
3. 監護権の侵害
豪家族法

子の最善の利益(60CC条)

共同監護責任(61DA条)

監護命令(65DA条)

子が両親と同じだけの時間または、実質的で
意味のある時間を過ごす権利 (65DAA条)
2.
4.
本旨
抗弁事実•返還拒否事由

連れ去りから1年以上経過した後に裁判所へ
の申立てがされ、かつ子が新たな環境に適応
している場合 (ハ12条2項)

申立人が連れ去り時に現実に看護の権利を行
使していなかった場合 (ハ13条1項 (a))

申立人が事前の同意又は事後の黙認をしてい
た場合 (ハ13条1項 (a))
2.
4.
本旨
抗弁事実•返還拒否事由

返還により子が心身に害悪を受け、又は他の耐え難
い状況におかれることとなる重大な危険がある場合
(ハ13条1項(b))

子が返還を拒み、かつ該当子がその意見を考慮する
に足る十分な年齢・成熟度に達している場合
(ハ
13条2項)

返還の要請を受けた国における人権及び基本的自由
の保護に関する基本原則により返還が認められない
場合(ハ20条)
4.
1.
よくある質問
連れ去られた子との面会交流
ハーグ条約21条

監護権を有していない

子の常居所地国に取り残されている

海外で暮らす子と接触することができる地位を有する

相手親により、面会交流が妨げられている
4.
2.
よくある質問
子の返還後の手続き

監護者指定の審判手続きを行う

監護命令の取得
(65DA条)
4.
3.
①
よくある質問
連れ去られた先がハーグ条約未加盟の場合
日本で離婚訴訟を提起し、子の親権者指定
について付帯処分の申立てをする
② 子が連れ去られた先の外国における利 用可
能な国内法手続きに従って子の返還を求
める方法により、子の返還を求める
4.
よくある質問
4. ミラーオーダーの取得

ある国の裁判所が出した命令と同一内容で他国の裁判所が出
す命令

日本にはミラーオーダ制度はない

オーストラリアでは、ハーグ条約による子の返還手続きの裁
判で、返還命令を出すための条件として用いられることがあ
る。
オーストラリアの家族法とハーグ条約
質疑応答
オーストラリアの家族法とハーグ条約
終わりに
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