社会システム論 第7回 経済ー政治ー社会 サブシステムとしての 3つのシステム 社会 (狭義の) 政治 経済 ケネス・ボールディング ケネス・ボールディング 経済学者(1910-1993) 一般システム理論の社会科学への導入 社会システム論を展開 ボールディングの3つのシステ ム 現実のすべての組織や制度、人間関係は次 の三つを様々な比率で含んでいる。 ①脅迫システム ②交換システム ③統合システム 脅迫システム 「君は、私の望むことをしろ、さもないと、私は 君の望まないことをすることになる。」 強制に基づく関係 地位の不平等の傾向 一方が支配的となり、他方が従属的となる 主な領域: 政治、法律・裁判、課税、外交、戦争 脅迫された側の反応 脅迫された側はどのように反応するか ① 服従、黙認 ② 拒否 ③ 逃走 ④ 逆脅迫 ⑤ 脅迫の無力化 交換システム 「君が、私の望むことをしてくれれば、私も君の 望むことをしよう。」 「君が、私の望むものをくれれば、私は君の望 むものをあげよう。」 自由な同意に基づく関係 主な領域 経済、政治的交渉、恋愛 交換の対象となるもの ・貨幣や商品 ・愛情 ・政治的議決 交換の条件 交換が成立するためには、その関係が両 者にとってともに利益があることが必要に なる。 両者がともに拒否権を持つ。 交換が平等に行われていない感情がある とき、その関係には不満足が伴う。 統合システム 定義が難しいゆるやかな概念 人間関係を結びつけるもの 感情 正統性 愛情 アイデンティティの感覚、一体感 道徳感 帰属意識 統合システム 人と人を結びつけるもの 宗教、民族主義、教育、歴史認識などから 生み出される。 愛情 贈与 すべての社会システムに3つの システムが存在する。 社会制度に含まれている各要素の比率は、 異なる。 図を参照。 社会組織の三角形 統合 脅迫 交換 家族における例 脅迫 親子の間の命令ー従属関係 交換 家族の間の役割分担 統合 家族の間の精神的紐帯(結びつき)、愛情 国家における例 脅迫 法律、税金 交換 税金と公共サービス 義務と権利 統合 国家に対する帰属意識 国民としてのアイデンティティ、歴史 政治・経済・社会 それぞれの領域との対応関係 脅迫 交換 統合 ー 政治 ー 経済 ー 社会 ー 政府 ー 市場 ー コミュニティ 脅迫システムの基礎としての 統合システム 統合システムは、脅迫システム、交換システ ムがうまく機能するためには必要である。 脅迫が機能するためには、そこに正統性が 必要である。 例:人々が政府に従うためには、その政府 の正統性を認めていることが必要。 政治が機能するための社会 政治制度が機能するために 正統性 信頼 秩序 規範 税金 正当化された強制 すべての人に強制することによって、われ われの状態が改善される。 自分たちの期待するとおりに使用されると いう信頼感 交換システムの基礎としての 統合システム 交換システムが成立するためには、 相互の間の関係が必要である。 経済的取引が行われるためには、両者の 間に、取引の両者の間に、感情の共有が 必要である。 信頼、確信、尊敬、平等 市場成立の条件としての 統合システム 市場での取引は、 適当な統合システムが存在する場合にの みうまく機能する。 互いの信頼関係 特に貨幣に対する信頼 福祉国家 統合システムの拡張 社会保障制度 政府を通じた 贈与 家族や地域社会の機能の代替 国民がその正統性を認めていることによって成り 立っている。
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