コンビニ5社の現状とこれからの課題に関する研究

コンビニ5社の現状とこれからの課題
に関する研究
流通情報工学課程
2002718 佐伯士郎
指導教官 鶴田三郎
黒川久幸
1
コンビニの市場規模と大手5社

コンビニの市場規模(52社を対象)



売上 7兆6433億円
店舗数 4万3667店
大手5社(セブンイレブン・ローソン・ファミリー
マート・サークルKサンクス・ミニストップ)


売上高
店舗数
6兆511億 約79%
3万2755店 約75%
大手5社がコンビニ市場の約8割を占める
2
2005年度日経のデータを引用
コンビニ業界の現状


96年度の前年比伸び率

売上高 約11%

店舗数 約9%
最近の前年比伸び率比較
(2005年)
出典 NIKKEI NET

売上高

店舗数
2.0%
3.3%
伸び悩み
3
研究背景
現在
1980年の若年層数
4
2005年現在の若年層数
出所 国立社会保障 人口問題研究所
小売業界の現状
表 2003年度と2006年度売上高伸び率対比
業務用
100円 ベビー ドラッグ 家電
コンビニ
食品スーパー ショップ 用品店 ストア 量販店
売上高
伸び率
211.5%
157.5%
126.8%
120.4%
114%
106.5%
出所 株式会社富士経ホームページ
市場シェアが縮小傾向
にある
5
研究目的
現状のコンビニ
内部要因(ヒト・モ
外部環境(経済・政策など)
ノ・カネ・情報・ノウハ
ウ)
機会
脅威
把握前のコンビニ
現状のコンビニ
弱み
強み
外部環境と内部要因を把握した
コンビニ
向かうべき
理想のコンビニ
取り組み
6
SWOT分析
外部環境
機会
脅威
内
部
要
因

→自社の弱みを自覚し、機会を逃さないための戦略
差別化戦略


→自社の強みを活かし、なおかつ自社にとって優位に立つための戦略
段階的施策


専守防衛
弱み 段階的施策
または撤退
積極的攻勢


強み 積極的攻勢 差別化戦略
→自社の強みを活かして、脅威を回避するための戦略
専守防衛または撤退

→自社の弱みに対する脅威から身を守る、リスクマネジメントのための戦略。場合によっては事業
機会からの撤退も視野に入る
7
外部環境と内部要因

本研究では外部環境を
経済、政策・規制、科学技術、市場、顧客、他社、その他
と定義する

内部要因
ヒト、モノ、カネ、情報、ノウハウ
と定義する
8
外部環境項目

経済
(a原油高・原木高 b景気回復による有効求人倍率の上昇)



政策・規制(c規制緩和)
科学技術(dインターネットの向上)
市場
(e小額決済の利用増加f健康志向の高まり)

顧客
(g少子高齢化h単身世帯の増加iドラッグストアなどのよる顧客離
れ)


他社(j他社ATM利用増加k他社がコンビニに魅力を感じた)
その他(l自然災害)
9
インターネットの普及
インターネットの普及によりネットを介した
販売などを行う事によって新たな収益の手段が可能になった。
10
有効求人倍率の高まり
有効求人倍率の高まりにより
コンビニ業界は
オーナー不足の危険性
11
少子高齢化
顧客層のずれが生じ、
これによりそのままにしておくと
収入減の危険性
12
出典 Nikkei business 2006/9/25
外部環境とコンビニの関わり
原油高・原木高(配送費などにかかる費用の増加)
 景気回復により有効求人倍率の上昇(人材不足)
 規制緩和(規制緩和により販売品目の拡大など)
景気回復により有効求人倍率の上昇(人材不足)
 インターネットの普及(インターネットを介したサービスが可能)
 小額決済の利用増加(買物促進)
 健康志向の高まり(健康食品の開発による収益見込み)
 少子高齢化(高齢者を対象とする店舗作りや商品開発などのサービス)
インターネットの普及(インターネットを介したサービスが可能)
 単身世帯の増加(コンビニの豊富な品揃えを求め利用)
 ドラッグストアなどによる顧客離れ(売上低下)
 他社のATM利用増加(ATMによる集客ができなくなる)
 他社がコンビニに魅力を感じる(提携を結ぶなど積極的戦略を練ることが
できる)
少子高齢化(高齢者を対象とする店舗作りや商品開発などのサービス)
 自然災害(自然災害による商品調達ができなくなる恐れ)

13
内部要因比較項目
ヒ ト ・ モ ノ ・ カ ネ ・ 情 報 ・ ノ ウ ハ ウ
財務分析
・損益計算書
・貸借対照表
給料
離職率
有給休暇日数
平均年齢
全国分布の
店舗数
ポジショニング分析
・出店ノウハウ
顧客情報
・会員カード数
14
ヒトによる比較検討
セブン
ファミリー サークルK
ローソン
ミニストップ
イレブン
マート
サンクス
給料(万円)
604
646
608
585
583
離職率
25%
26%
20%
13%
34%
有給休暇(日)
1.4
2.8
2.1
2.4
平均年齢(歳)
32.1
37.1
35.8
36.5
36
ここでの離職率は入社3年以内にやめたものとする
四季報2008よりデータを引用
人材不足に陥る危険性が高い
15
モノによる比較検討
セブン
ローソン
イレブン
店舗数
11310
8366
出店都道府県
34
47
ファミリー サークルK
ミニストップ
マート
サンクス
6734
6372
1780
45
36
24
各社の有価証券報告書もとに作成
各地域にあった店舗作りや地域との提携が行える
16
カネ
現預金による比較検討
セブン
イレブン
現預金
(百万円)
店舗数
1店舗当りの現預金
(百万円)
ローソン
ファミリー
マート
サークルK
サンクス
ミニストップ
243,534
60,574
76,790
46,917
9,435
10,826
8,077
6,424
6,339
1,634
7.4
5.8
22.5
7.5
12.0
各社の有価証券報告書もとに作成(2005年2月期連結決算)
ローソンはセブンイレブンとファミリーマート
に比べ現預金が少なく多大な費用をかけた戦略を行えない
17
セブンイレブンとローソンの
内部要因の結果抜粋
セ
ブ 強
ン み
イ
レ
ブ
ン 弱
み
強
み
ロ
ー
ソ
ン 弱
み
ヒト 自然対策を強化
モノ コンビニで一番店舗数が多く2006年2月期で11310店舗
商品開発力があり、コンビニ業界売上の2-3割がオリジナル商品というなかで売上
モノ
の約5割がオリジナル商品
カネ 1店舗あたりの現預金を多くもっている
ヒト 多業態と比較したときに時給が低く、人材不足の危険性が高い
ヒト 離職率が高い
モノ
売り場面積が30平方メートル以上250平方メートル未満という狭い面積でありなが
ら、約2500-3000の商品数を扱う
モノ 業界内で一番早く47都道府県に出店
ヒト
ヒト
カネ
カネ
多業態と比較したときに時給が低く、人材不足の危険性が高い
離職率が高め
平均日販が低下傾向にある
セブンイレブンやファミリーマートと比較し、1店舗あたりの現預金が少ない
18
セブンイレブンSWOT分析抜粋
外部環境
経済、政策・規制、科学技術、市場、顧客、他社
機会
脅威
d インターネットの普及
b
i
強み
積極的攻勢
ヒト 6 店舗数が業界1位 6d ヤフーと提携
内 モノ 7
部
要 カネ 11
因
ヒト 12
ヒト
開発力がある
現預金がある
弱み
人材不足
13 離職率が高い
6d 富士ゼロ・MSと
共同開発
段階的施策
7i
11i
景気回復により
有効求人倍率の向上
ドラッグストアなどによる顧客離れ
差別化戦略
98円ペットボトル販売開始
第六次総合情報
システムの導入
専守防衛または撤退
12・13b リクルートスタッフィング
と提携
19
ローソンSWOT分析抜粋
外部環境
経済、政策・規制、科学技術、市場、顧客、他社
機会
脅威
小額決済の
利用増加
b
g 少子高齢化
i
e
強み
情報 3 47都道府県に出店 3g
内
部
要
因
6 カード会員数230万人
弱み
ヒト 7 人材不足
積極的攻勢
高齢者向けの
店舗作り
景気回復により有効求人倍率
の向上
ドラッグストアなどによる
顧客離れ
差別化戦略
6i
段階的施策
楽天とJALとポイント交換
で業務提携
専守防衛または撤退
7・8b
オーナー確保のための
制度の変更
ヒト 8 離職率が高め
20
SWOT分析まとめ




セブンイレブン・ローソンは他3社と比べ積極的な取り組
みを行っていた。が、セブンイレブンが店舗のサービス
を充実化を図っているのに対し、ローソンは顧客層に焦
点をあてた店舗作りなど戦略に違いが見えた。
ファミリーマートは従業員というところに着目し、介護資
格取得など他社との差別化を図っていた。
サークルKサンクスはサークルKとサンクスの合併を
2004年9月1日に行ったが物流統合以外での取り組み
が見られなかった。
ミニストップは親会社であるイオンの買収や提携による
取り組みが多かった
21
コンビニ5社のこれからの課題
セブン
イレブン
a
b
c
d
e
f
g
h
i
j
k
l
原油高・原木高による配送費等の増加
景気回復により有効求人倍率の向上
規制緩和
インターネットの普及
小額決済の利用増加
健康志向の高まり
少子高齢化
単身世帯の増加
ドラッグストアなどによる顧客離れ
他社のATM利用増加
他社がコンビニに魅力を感じた
自然災害
離職率が高いという
弱み
現預金が少なく
店舗改装の費用
×
○
○
○
ローソン
×
×
○
ファミリー サークルK ミニストップ
マート
サンクス
×
×
×
×
○
○
○
○
○
○
○
×
○
×
×
×
○
○
×
×
×
原油高・原木高に
対する取り組み
規制緩和に対する
積極的取り組み
人材不足に陥る
危険性
22
本研究の今後の課題

今回は外部環境(経済、政策・規制、科学技術、
市場、顧客、他社、その他)と内部要因(ヒト、モ
ノ、カネ、情報、ノウハウ)の範囲を限定してし
まったので、それ以外の項目についても検討を
する必要がある
23
ご清聴ありがとうございました
24
企業の関連図
連結財務
連結子会社
単体
(株)ローソンチケット
(株)ナチュラルローソン
(株)ローソン
(株)バリューローソン
関連会社
(株)ローソン・シーエスカード
26
持分法


持分法とは、企業が連結財務諸表を作成する際に、連
結子会社以外の会社であっても、企業グループ全体の
業績に影響を与える関連会社や非連結子会社の状況
も反映させるための会計方法。原則として、議決権所有
比率が20%以上50%未満の非連結子会社・関連会社
に適用され、持分法適用会社という。
http://www.nomura.co.jp/terms/japan/ko/kobetu_k.html
27
コンビニの分類
商社系列
総合スーパー系列
セブンイレブン
ローソン
ローソン
1973年設立
イトーヨーカ堂
1975年設立
ダイエー
2001年資本移動
三菱商事
ミニストップ
ファミリーマート
1980年設立
ジャスコ
1981年設立
西友
スリーエフ
サークルK
1981年設立
富士スーパー
1984年設立
ユニー
セーブオン
サンクス
サークルKサンクス
1984年設立
いせや
1980年設立
長崎屋
2001年事業統合
シーアンドエス
ファミリーマート
2000年資本移動
伊藤忠商事
メーカー系列
問屋系列
デイリーヤマザキ
am/pm
ポプラ
セイコーマート
コミュニティストア
1977年設立
山崎製パン
1990年設立
ジャパンエナジー
1976年設立
大黒屋食品
1974年設立
丸ヨ西尾
1994年設立
国分
28
コンビニの定義

日経MJの定義
 セルフ販売をしている
 飲食料品を扱っている
 営業時間が1日14時間以上
 売り場面積が30平方メートル以上250平方メートル未満を中心とする
上記四点を満たすチェーンとする
http://www.nikkei.co.jp/report/conveni/

早朝から深夜まで、あるいは無休で日常生活に必要な品を中心に扱
う小型のスーパー-ストア。フランチャインズ-チェーンが多い。コンビニ。
CVS。
大辞林 提供:三省堂
29
コンビニの必要性

コンビニの必要性について実際にどれくらいの頻度で
利用しているのか 株式会社サーチナ調べ
利用頻度
1.9
利用しない
8.2
月に1回以下
15.2
月に2~3回程度
22.8
週に1回程度
31.3
週に2~3回
20.7
週に4回以上
0
5
10
15
20
25
30
35
週一回以上
の人が7割
を超える
%
http://searchina.ne.jp/pr/disp_press.cgi?y=2006&d=0706&f=net_0706_001.shtml
30
コンビニの沿革

コンビニ大手5社の誕生[1973-1980]


成長期[1980-1994]


大手スーパーから発足
POSレジの導入
過当競争期[1996-]


サービスの拡大(チケット販売・ATM設置など)
海外展開
サービスを変化し続けるコンビニ
31
セブンイレブンSWOT分析
外部環境
機会
脅威
内
部
要
因




強み 積極的攻勢 差別化戦略
専守防衛
弱み 段階的施策
または撤退
積極的攻勢:ヤフーと提携、富士ゼロ・MSと共同開発
段階的施策:電子マネーnanacoの発行、電力費削減
差別化戦略:98円ペットボトル販売開始、第六次総合情報システ
ムの導入、デジタル通信の全国展開
専守防衛または撤退:リクルートスタッフィングと提携、在学証明
書発行に成功
32
ローソンSWOT分析
外部環境
機会
脅威
内
部
要
因




強み 積極的攻勢 差別化戦略
専守防衛
弱み 段階的施策
または撤退
積極的攻勢:マルチ端末を全店に設置、日本郵政公社と提携し、店内に
郵便ポストを設置
段階的施策:東京急行電鉄と提携開始
差別化戦略:日本郵政公社と共同配送、徳島県と提携、楽天とJALとポ
イント交換で提携
専守防衛または撤退:オーナー確保のための制度の変更、ツタヤと提携、
愛媛銀行・横浜銀行と提携・・・・・・A
33
ファミリーマートSWOT分析
外部環境
機会
脅威
内
部
要
因




強み 積極的攻勢 差別化戦略
専守防衛
弱み 段階的施策
または撤退
積極的攻勢:楽天ブックスと提携
段階的施策:ファミマ銀行参入
差別化戦略:福祉サービス
専守防衛または撤退:世界最速のレジ実験段階
34
サークルKサンクスSWOT分析
外部環境
機会
脅威
内
部
要
因




強み 積極的攻勢 差別化戦略
専守防衛
弱み 段階的施策
または撤退
積極的攻勢:なし
段階的施策:コンビニ弁当で健康にエイベックスと提携
差別化戦略:物流体制統合
専守防衛または撤退:一部店舗にてクリーニングの取
次ぎサービスを行う、人材確保のため新制度を導入
35
ミニストップSWOT分析
外部環境
機会
脅威
内
部
要
因




強み 積極的攻勢 差別化戦略
専守防衛
弱み 段階的施策
または撤退
積極的攻勢:イオンが銀行へ参入、イオンと日本郵政公社と
物流提携
段階的施策:ローソンとイオン提携、本格カフェでスタバに対抗
差別化戦略:オリジンを子会社化、割り箸を一部有料化
専守防衛または撤退:なし
36
SWOT分析まとめ





ノウハウが確立されないまま、実験中のものが
多く、外部環境に対する答えを見出せていない
ように感じた。
ヒトでは、会社規模での提携が目立ち従業員と
いうところには着目していないようだ。
モノでは各社認識していた
カネではなかなか表面化しないものの、潜在的
な力は把握する必要があると感じた
情報においては、戦略の違いが見えた。
37